次世代の物流倉庫は自動化が必須!メリットや課題をサクッと解説

ロジスティクスとは

ネットショップの普及で、物量が右肩上がりに伸びており、今まで以上に効率的な物流システムの構築と、倉庫内作業の自動化が求められています。

しかし、物流倉庫の自動化について、具体例や今後の展望が掴めないと、前向きに取り組めないのではないでしょうか。
本記事では、物流倉庫の自動化がもたらすメリットや課題など、以下の内容をわかりやすく解説します。

  • 物流倉庫の自動化とは
  • 自動化によるメリット
  • 自動化に伴う課題
  • 導入事例

自動化した物流倉庫を構築するために必要な取り組みを発見するのに役立つでしょう。ぜひ、最後までご覧ください。

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物流倉庫の自動化とは人を介さずに効率化を図ること

物流倉庫の自動化とは、倉庫内の業務をシステム化・ロボット化して作業を行えるように整えることです。
具体的な自動化の一例をあげると以下のとおりです。

AIによる在庫管理システムの導入
無人搬送車(AGV)による運搬作業の無人化
ロボットアームによる自動ピッキング

このような自動化が求められる背景には、労働力不足や人件費の高騰だけではありません。
ネットショップの普及によるEC市場の拡大で、年々荷物量が増えており、圧倒的な作業効率の向上が求められているからです。

画像引用:令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)

経済産業省がまとめた「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」では、物販系分野の市場規模は右肩上がりで成長しています。

画像引用:令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)
画像引用:令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)

画像引用:令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)

また、物販系分野でのEC化率を分類ごとに見てみると、食品や化粧品などは一桁で留まっており、今後はさらに少量・高頻度の荷物が増えていくでしょう。

そのため、物流倉庫内での物品の運搬、ピッキング、梱包などでロスを減らし、効率的に行えるようにするのが自動化です。

物流倉庫の自動化による4つのメリット

物流倉庫を自動化するメリットを4つ紹介します。

  1. 作業効率が向上する
  2. コスト削減につながる
  3. 倉庫内の安全性が向上する
  4. データ活用ができる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1. 作業効率が向上する

自動化による最もわかりやすいメリットは、倉庫内の作業効率が飛躍的に向上することでしょう。 例えば、ピッキングや搬出作業をロボット化すると、24時間稼働で作業が可能となり、作業の中断がありません。 ロボットであるため、疲労度合や休憩などを考慮する必要もなく、作業スピードと正確性が向上し、誤配やピッキングミスが減少します。 その結果、大量のスタッフの勤務管理やローテーションを考える必要がなくなり、少人数で高い作業効率を実現できます。

2. 人件費のコスト削減につながる

物流倉庫の自動化には、多額の初期投資が必要になるものの、長期的な視点で見るとコスト削減になります。 2024年現在では、人手不足が深刻になっており、以前のように多くの人材を確保することが困難になりました。 仮にスタッフを必要数確保できたとしても、採用と雇用、教育などに費用がかかり、昇給も考慮しないといけません。 しかし、自動化された物流倉庫であれば、少人数で運営ができるため、人件費の削減と採用に掛かる費用を節約できます。 そのため、年々深刻になる人材採用や雇用に関わるコストの削減が可能です。

3. 倉庫内の安全性が向上する

物流倉庫の自動化は、労働環境の安全性向上にも寄与します。 特に、重量物の運搬など危険を伴う作業をロボットが担当すれば、従業員の作業負担を軽減させることが可能です。 他にも、繁忙期における接触事故や転倒などによる従業員のケガや事故も減少するでしょう。 そのため、自動化は肉体労働の作業負担を軽減し、安全な労働環境の構築に役立ちます。 また、労災の発生抑制にもなるはずです。

4. データ活用ができる

自動化をすると、膨大なデータの収集と蓄積が可能になるため、システム化する際に分析することで高効率な物流倉庫の運営ができます。 特に、需要予測に関わる分野ではデータ量が多いほど精度が向上し、理想的な在庫管理ができ、欠品や過剰在庫を防げるでしょう。 また、業務プロセスの改善点が特定しやすくなり、さらなる効率化を図れます。

物流倉庫の自動化に伴う4つの課題

物流倉庫の自動化に伴う代表的な課題を4つ紹介します。

  1. 初期投資が高額になる
  2. システムが複雑で扱いに専門知識がいる
  3. 自動化に対応した人材の確保と再教育をしないといけない
  4. サイバーセキュリティの必要性が高まる

それぞれ確認していきましょう。

1. 初期投資が高額になる

一気に倉庫全体を自動化する場合は、億単位の予算が必要になる場合もあるため、多額の資金を用意しないといけなくなるでしょう。 初期投資が高額になるのは、ロボットだけでなく、自動化に対応した棚やシステムなど、多くの設備を入れ替える必要があるからです。 また、システムやロボットは維持費もかかります。 そのため、初期投資を抑えるために、部分的な自動化から始める企業も少なくありません。 ただし、部分的に自動化する場合は、後から追加する機器やシステムと連携ができるように、倉庫全体をデザインした上で取り組む必要があります。 まとめると、物流倉庫の自動化は全体的かつ長期的な視点を持ちながら、予算を計画的に用意することが重要です。

2. システムが複雑で扱いに専門知識がいる

物流倉庫の自動化に伴い、導入するロボットやシステムを扱うためには専門知識が必要です。 そのため、導入手順や機能を十分に発揮するための技術的なハードルを越えないといけません。 同時に、日常的なメンテナンス、トラブルシューティングにも専門的な知識が必要です。 これらを怠ると、導入初期や運用中に発生する問題を解決できずに、業務が停止するリスクが生じる可能性があります。 したがって、自動化を本格稼働させる前には、専門知識の習得が必須になるでしょう。

3. 自動化に対応した人材の確保と再教育をしないといけない

前述した内容に関連していますが、自動化に対応した人材確保や、従業員の再教育が課題となるでしょう。 システムやロボットの扱いに慣れていないと、システムエラーへの対処ができないため、円滑な倉庫運営に支障が出るからです。 また、自動化によって従来の業務がなくなるため、従業員の再教育に失敗すると、一部は職を失う可能性があります。 再教育には時間と費用がかかるため、自動化を始める前に対応が必要です。

4. サイバーセキュリティの必要性が高まる

自動化された物流倉庫のシステムでは、データをサーバーやインターネット上で扱うため、ランサムウェアなどのサイバー攻撃のリスクにさらされる可能性があります。 もちろん、実際にサイバー攻撃される可能性は低いものの、無視できないリスクといえるでしょう。 そのため、データの安全性を確保するために、厳重なセキュリティ対策が必要です。 また、システムを常に監視し、迅速に対応できる体制を整えることが求められます。

物流倉庫の自動化3つの導入事例

自動化・システム化によって作業効率を大幅に向上させた企業の事例を3つ紹介します。

RFIDタグと仕分けロボットを組み合わせた自動仕分け

複数のロボットを組み合わせ出荷・保管・出庫を自動化

電子マニュアルで育成期間を短縮

現場の自動化は企業ごとで異なるため、紹介する事例を参考にして自社の自動化のヒントにしてみてください。 これらの事例は、国土交通省の「中小物流事業者のための物流業務のデジタル化の手引き」に掲載されています。

1. RFIDタグと仕分けロボットを組み合わせた自動仕分け

佐川急便は、仕分け業務にロボットソーター「t-Sort」とRFIDシステムを導入し、仕分け作業を自動化しています。 「t-Sort」は、業務量に応じて使用するロボットの台数と規模を変更でき、処理能力の増減が可能であり、コストの流動化が可能です。 2021年に埼玉県東松山市の東松山SRCに導入され、1時間当たりの出荷と返品作業の作業効率を高めています。

2. 複数のロボットを組み合わせ出荷・保管・出庫を自動化

トランコム株式会社は、2種類の無人搬送車とロボットアームを組み合わせ、垂直搬送機とパレット自動倉庫を設置し、荷物の搬入と保管、出庫を自動化しています。 この自動化により、作業軽減と省人化に成功、人手の確保が難しい地方での倉庫運営が可能になったと説明しています。

3. 電子マニュアルで育成期間を短縮

株式会社インテンツは、マニュアルの整備のために電子マニュアルツール「Teachme Biz」を導入し、教育時間の短縮に成功しています。 同社は、食品スーパーの買い物支援のために宅配サービスを提供している企業です。 導入したTeachme Bizは、画像の挿入ができ、ステップ形式でわかりやすく、ITに不慣れな人でも直感的に操作できる電子マニュアルです。 また、内容はリアルタイムで更新可能であり、現場で起きている問題に対して対処方法を追加し、すぐに調べられるようになっています。 そのため、新人スタッフの不安解消に役立ち、研修に必要な期間を80時間から56時間に短縮できたと説明しています。

物流倉庫の自動化はインフラとなる:まとめ

将来的に物流倉庫の自動化は、倉庫運営において不可欠な要素となるでしょう。 今後、AI技術の進歩により、今以上に高度な予測と効率化が可能となって物流業界に大きな影響を与えるからです。

そのため、物流倉庫の自動化を単なるコスト削減や人手不足の解消手段と考えるのではなく、インフラ整備をするつもりで取り組むのをおすすめします。 また、競争力を維持・強化するための重要な要素として捉えることも必要になるでしょう。

物流倉庫の自動化は、効率性の向上やコスト削減など、多くのメリットをもたらします。 一方で、初期投資の高さや技術的な課題、人材の確保など、克服しないといけない課題もあります。 そのため、早めに事前準備と対策を講じて、円滑に倉庫の自動化が進められるように体制を整えましょう。

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