新たな資金調達の方法として注目を集めるクラウドファンディング。魅力的なビジネスプランはあるものの、なかなか着手できずにいる方にとって、心強いシステムです。今回は、クラウドファンディングを使ってプロジェクトを立ち上げるための具体的な方法をご紹介します。
「初めてクラウドファンディングに触れるから、仕組みについて詳しく知りたい。」
「クラウドファンディングは魅力的だけど、デメリットはないのだろうか。」
メリットやデメリット、仕組みについても理解を深められるので、ぜひ参考にしてください。
クラウドファンディングのリターンを決めるときのポイントや注意点、リターンにおすすめの商品やサービスを知りたい人は、ぜひこちらもご覧ください。
クラウドファンディングを成功させるためのリターン(お返し)の決め方
目次
クラウドファンディングとは?
クラウドファンディングとは、インターネットなどを通じて、事業に必要な費用を不特定多数の人から募る資金調達の方法を指します。Crowd(群衆)と、Funding(資金調達)が複合して生まれた造語です。インターネットでの情報発信やショッピングが普及したことも影響し、新しい資金調達の手段として広がりを見せています。
2022年8月に矢野経済研究所が発表したデータによると、2021年度の日本国内におけるクラウドファンディングの市場規模は、新規プロジェクト支援額ベースで前年度比11.1%減の1,642億円です。一方で、22年度の市場規模は、前年度比16.3%増の1,909億8,200万円と見込むまれており、徐々に認知が広がり始めた2016年は716億円だったことをふまえても活性化しているのがわかります。
(参考:矢野経済研究所「国内クラウドファンディング市場の調査を実施(2022年)」)
既存の資金調達は、銀行や信用金庫、公庫、ベンチャーキャピタルなどから融資を受けるのが一般的です。また、開業資金をコツコツと貯めたり、国の補助金や助成金で一部を補ったりする方法もあります。一方で、クラウドファンディングは「このプロジェクトを応援したい」と共感をしてくれた方から支援を受けるのが特徴です。個人であっても企業であっても、プロジェクトを立ち上げられます。

クラウドファンディングの種類と仕組みを徹底紹介!
クラウドファンディングは、資金調達の方法やリターンなどによって、いくつかの種類に分けられます。ここでは、代表的なものをご紹介します。自分のビジネスにマッチするのはどの方法か、検討しながら読み進めてください。
購入型
購入型のクラウドファンディングは、援助した金額に応じて支援者が「リターン」という形で商品・サービスなどの見返りを得られます。商品やサービスの開発にあたり、ニーズがあるかどうかを市場調査するために実施されるケースもあります。
購入型には「All or Nothing」「All In」という2つの形式があります。All or Nothingは、目標金額を達成できなければ、プロジェクトが成立しないまま終了します。支援された金額は、全額支援者のもとに返金されます。All Inは、集まった金額にかかわらず、プロジェクトが実行されます。目標に到達できなくても金額を受けられますが、予算を下回っても必ず実施しなければなりません。プロジェクトの起案者は、どちらの方法で行うのかを立ち上げ時に選択できます。
購入型のクラウドファンディングについて、詳しくはこちらをご覧ください。
購入型クラウドファンディングとは? メリット・デメリットや方式を解説
寄付型
寄付型は、支援者が寄付として支援を行う方式です。災害があった土地や発展途上国への支援、環境改善といった、社会に貢献するために立ち上げられるプロジェクトが多くを占めます。名前の通り寄付として募るため、商品やサービスのリターンはありませんが、お礼としてレターなどが送られることもあります。
金融型
金融型は、「融資型クラウドファンディング」や「ソーシャルレンディング」とも呼ばれます。クラウドファンディングの事業者が、起案者と支援者の間に立ち、個人の投資家から資金を募るのが特徴です。各投資家から集めた資金を大口としてまとめ、起案者となる企業に融資を行います。支援者は、元本+利息をリターンとして受け取れるため、実質は利息分が利益となります。
投資型
投資型のクラウドファンディングには、「ファンド投資型」や「株式投資型」があります。ファンド投資型は、ある事業に対して支援を集め、売り上げの一部を配当する仕組みです。株式投資型は、株式市場に上場していない企業の非公開株を購入できるのが特徴です。判断力や先見の明が求められますが、配当金のほか、企業が成長した際に大きな利益を得られる可能性もあります。
なお、ご紹介した以外にも、最近では税金を利用して地方自治体への支援ができる「ふるさと納税型クラウドファンディング」なども登場しています。
参考記事;クラウドファンディングの種類とは? タイプ別の特徴を解説
クラウドファンディングを行うメリットとデメリット
ここでは、プロジェクトの起案者と支援を行う支援者、それぞれの視点から、クラウドファンディングのメリット・デメリットを解説します。トライしてみるかどうかを決めるうえでの参考にしてください。
起案者のメリット
まずは、起案者側の3つのメリットを紹介します。
資金調達ができる
クラウドファンディングでプロジェクトを立ち上げる起案者のメリットとしてまず挙げられるのは、資金調達のハードルが低く、小さな事業や個人であっても参加しやすいところです。
ファンの獲得につながる
また、クラウドファンディングサイトに掲載し、SNSやブログ、動画などを活用してプロジェクトをPRすることで、多くの人に商品やサービスを認知してもらえるのもメリットの一つです。支援者は「このプロジェクトを応援したい」「この商品が世に出て欲しい」という共感から支援に至るケースが多いので、ファンの獲得にも繋がります。
マーケティングに活用できる
クラウドファンディングでプロジェクトを立ち上げれば、どれほどの支援者に注目されるかによってユーザーの反応をチェックできます。新しい製品やサービスのテストマーケティングとしてクラウドファンディングを活用する企業も増えているのです。クラウドファンディングサイトには、コメントなどで支援者とコミュニケーションが取れる仕組みが用意されているため、市場のリアルな声を吸い上げるのにも適しています。
起案者のデメリット
起案者側のデメリットもあります。
目標金額に達さない可能性がある
クラウドファンディングを行ったからといって、必ずしも目標とする資金が調達できるとは限りません。労力だけがかかり、プロジェクト自体は不成立になるケースも覚悟しておくべきでしょう。
プロジェクトの途中で中断できない
購入型クラウドファンディングは、プロジェクトを途中で変更したり中断したりすることができない場合があります。
支援者のメリット
続いて、支援者側のメリットを紹介します。
商品やサービスのリターンを得られる
支援者のメリットは、ほかではなかなか見つからないような商品やサービスをリターンとして得られる点です。支援したプロジェクトが、今後ブームを巻き起こす可能性もあります。新しいもの好きの方にとっては、クラウドファンディングは興味を引かれる商品・サービスとの貴重な出会いの場だといえるでしょう。
起案者の応援ができる
また、クラウドファディングのプラットフォームは、起案者と支援者がコミュニケーションを取れるものが多いので、近い距離感で応援ができるのも魅力です。
支援者のデメリット
クラウドファンディングの種類によっては支援者側にもデメリットが生じます。
出資したプロジェクトが実行されない可能性
出資したプロジェクトが実行されない、リターンが届かないといったデメリットが生じる可能性があります。サイトによってそのような場合の保証制度があるところもあります。
リターンが得られない可能性
また、金融型や投資型のクラウドファンディングは、プロジェクトの成果が上がらなかった場合はリターンが得られないリスクも想定しておきましょう。
起案者にも支援者にもメリット・デメリットの両面がありますが、いずれも参入のハードルは低いので、トライしてみる価値は十分あります。
クラウドファンディングの手順とポイント
ここからは、クラウドファンディングに挑戦する際の手順と、押さえておきたいポイントを見ていきましょう。
起案者の手順とポイント
起案者は通常、以下の手順でプロジェクトを進行します。
1.提供する商品やサービスの内容を決定する
まずは、自分が提供したい商品・サービスの内容を企画します。どんな商品を、どんな人に使ってもらいたいのか、実現するために必要な金額や期間はどれぐらいなのかなど、事業計画を立てましょう。このプロセスが成功・失敗を大きく分けます。
2.プラットフォームを選定する
プロジェクトの内容が決まれば、次はプラットフォームの選定です。複数あるサービスのなかから、自分のプロジェクトと相性が良さそうなところを探します。手始めに、有名どころである「READYFOR」「CAMPFIRE」「Makuake」などをチェックすると良いでしょう。
3.プロジェクトの登録と審査
プラットフォームのフォーマットに沿ってプロジェクトの内容を登録し、審査に申し込みます。通過すれば、無事にプロジェクトがスタートします。開始日までにSNSなどで拡散を行い、多くの方に関心を持ってもらえるように下準備をしておくことも大切です。
4.プロジェクトをスタート
プロジェクトを開始したら日々進捗を追い、途中経過も積極的に発信しましょう。「あといくらで達成できます!」「今日は○名の方に支援いただきました!」など、臨場感のある報告ができると、起案者・支援者間で一体感を共有できます。
5.プロジェクト完結
プロジェクトが達成された場合、手数料を引いた支援金が入金されます。資金を元手に、商品やサービスを形にし、リターンとして還元しましょう。未達成の場合、支援金は支援者に返金されます。
支援者の手順とポイント
支援者としてプロジェクトを応援する場合、以下のやり方を参考にしてください。
1.クラウドファンディングのプラットフォームでプロジェクトを探す
クラウドファンディングのサイトでは、毎日のように新たなプロジェクトが募集を開始しています。気になるジャンルなどから検索ができるので、興味のあるものを探してみましょう。
2.プロジェクトの詳細を確認する
支援したいプロジェクトに出会えたら、詳しい内容について調べます。支援の金額によってリターンのグレードが変わるものが多いので、リターンの詳細についてもチェックしてください。
3.支援の決済手続きを行い、プロジェクトの結果を待つ
サイトの案内に従って決済方法を選択し、支援金を支払います。あとは結果を待つだけですが、どうしても成功して欲しいプロジェクトならSNSなどで拡散しましょう。ある程度フォロワーなどがいるのであれば、より注目を集められるようになります。
4.プロジェクトが完結
プロジェクトが達成した場合、リターンが届きます。未達成の場合、支援金が返金されます。
クラウドファンディング発送代行サービス
クラウドファンディングリターン品の保管や発送代行はお任せください。「Makuake」や「CAMPFIRE」などのクラウドファンディングプロジェクトの支援者へ、リターン品の配送は欠かせない業務です。MOTOMURAはプロジェクト終了後の迅速な発送・配送業務を柔軟にサポートします。
まとめ
クラウドファンディングは、一般的な方法と比べると低リスクで資金が集められるので、これからビジネスを始めたいと考えている方におすすめの方法です。メリットやデメリットをしっかりと確認したうえで、トライしてみてください。