デバンニングとは、手作業やフォークリフトで荷物をコンテナから降ろすことです。海上輸送されてきたコンテナの中で荷物が崩れていないかを確認しながら慎重に扉を開ける必要があります。反対の意味ではバンニングがあります。
目次
デバンニングとは
デバンニングとは、コンテナから貨物を荷降ろしする作業のことを意味し、通称「デバン」と呼ばれます。
デバンニングの作業工程は、以下のような流れが一般的です。
コンテナが作業場に到着する
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コンテナと床の高低差をなくすためスロープ等を設置する
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コンテナの金属製の封印を切って扉を開ける
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荷降ろしする
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荷物をパレットに載せ、随時フォークリフトを使うなどして運び、必要に応じて検品・仕分け等の付帯作業を行う
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荷降ろしが完了したらコンテナを清掃して終了
なおデバンニングが行われるタイミングは、以下のように大きく2つに分かれます。
- 荷主が単独の場合・・・貨物を保税地域へ搬入後、通関が行われ輸入許可がおりると、荷主の倉庫など指定された場所に貨物を輸送してデバンニングを行う
- 荷主が複数の場合・・・コンテナヤード(CY)近くの荷捌(さば)き場でデバンニングを行い、通関、輸入許可の後でそれぞれの荷主が指定する倉庫などに輸送する
ちなみに、輸出する際に貨物をコンテナに積む作業は、「バンニング」といいます。
デバンニングの注意点
梱包代行には、さまざまな会社があります。どこに委託するかによって効果にも差が生じるので、ポイントを押さえて候補を絞り込んでいく必要があるでしょう。そこで、梱包代行を検討する際の注意点について解説します。
危険がともなう
- コンテナの扉を開けると、貨物がいきなり雪崩(なだれ)のように崩れ落ちてくることがある
- 足もとに数十kgにもおよぶ荷物を落として大怪我を負う危険性がある
- コンテナの限られたスペース内での作業で作業員同士が接触して落下する危険性がある
- フォークリフトとの接触で怪我を負う危険性がある
作業が過酷
デバンニングは以下の通り、非常に過酷な作業をともなうケースが少なくありません。
- コンテナは金属製の閉塞空間のため、真夏の温度が50℃近くにおよぶ例がある
- 重い場合は一点につき30kg、なかには50kg前後にもおよぶ例があり、それらを膝を折って持ち上げたり、肩より高い位置から降ろしたりしなければならない
- 多い場合、貨物が数千ケース、さらに1万個近くにおよぶ例もあり、それらを決められた時間内にすべて荷降ろししなければならない
- SKUが数十種類、中には100種類以上にもおよぶ例があり、それらをリストと照合し、検品しなければならないことがある
- コンテナ内は換気がなされないことが多いため、調味料やシンナーといった強烈な臭いを放つ貨物の場合、作業員の呼気や体臭とあいまって長時間の作業が過酷になる
- 貨物が雨水で濡れていたり、荷崩れを起こしていたりする場合の仕分けや検品が過酷である
破損に注意する
貨物は重く、点数が膨大になることも珍しくありません。しかし落下などによって破損してしまうと、荷主や消費者に損失を与えるだけでなく、損害賠償の対象になるケースもあるので注意が必要です。
デマレージに注意する
輸入されたコンテナは、フリータイムという無料保管期間の間は、コンテナヤード(CY)に置いたままでもコストはかかりません。しかしそれを超えると、その期間が長引くほど累進的にデマレージという超過保管料が、船会社から請求されます。さらにコンテナも早くに返却しなければ超過料金を支払わなければなりません。
つまり、必要な作業員が確保できないなどの理由でデバンニングまでに時間がかかると、予定外のコストが次々と加算されるので要注意です。
デバンニングを問題なく完了させるポイント
梱包代行には、さまざまな会社があります。どこに委託するかによって効果にも差が生じるので、ポイントを押さえて候補を絞り込んでいく必要があるでしょう。そこで、梱包代行を検討する際の注意点について解説します。
作業環境に配慮する
デバンニングは非常に過酷な作業となるケースが多いので、作業環境を良好にする配慮は欠かせません。とくに換気が難しくなりがちなため、大型扇風機や冷風扇などを設置して、コンテナ内の空気循環を促す対策は、重要でしょう。
コンテナからの落下リスクをなくすべく、頑丈なスロープを設置することも忘れてはなりません。
デバンニングの現場では、ややもするとデバンニングスタッフが、フォークリフト作業員等から下目に見られ、罵声を浴びせられるなどパワハラの温床となるケースがあります。そのあたりのコンプライアンスについても軽視しないようにする必要があるでしょう。
作業者の健康・安全対策を徹底する
作業者には、安全靴や動きやすい作業着の着用を義務付けます。
作業前の体温チェック、体調不良の有無、感染症対策としてのマスク着用などにも留意します。
熱中症など、体調不良や命の危険から守るために、水分補給や適宜休憩を挟むなどの対策も重要でしょう。
適切な人数で作業を行う
コンテナの大きさは、20フィートか40フィートであることが多いです。いずれも横幅と高さは、約2.5mと変わりませんが、奥行きが20フィートなら約6m、40フィートなら約12mになります。作業員は、少なすぎてもいけませんが、多すぎてもかえって邪魔になり作業が捗らないことがあります。
20フィートなら2〜3名、40フィートなら4〜6名が適切と思われます。もちろん貨物の量や種類によってはもっと増やす方がよい場合もあるでしょうが、状況をよく把握したうえで作業員を手配することが大切です。また単に人数の問題だけではなく、デバンニングの経験値が高い人材がいなければ、特殊な貨物や作業中のイレギュラーな事態への適切な対応ができなくなることもあるので、留意しなければなりません。
マシーンを有効利用する
デバンニングにおいて、コンテナから降ろした荷物をさらに人の手で運ぶのは大変な作業になります。よって、パレット上に荷物を載せた上でフォークリフトをつかって運ぶのが一般的です。
荷主によっては、アシストマシーンを導入し、コンテナの荷物を直接のせたらそのままコンベアを使って在庫棚近くまで自動で運搬する方法を採用しているケースもあります。もちろんコストがかかりますし、利用できる環境とそうでない場合があるでしょう。しかし、人頼りの作業は過酷で限界があるため、マシーンやロボティクスによる自動化ができるに越したことはありません。
問題はその場で処理する
貨物の中身は、事前に届いたリストと照合します。しかしその内容が一致しなかったり、輸送途中に盗まれていたりするケースがあります。荷崩れを起こしたり破損したりして、売り物にならないことも考えられるでしょう。その際には、いったん作業を中断し、すみやかに荷主や船会社にその旨を連絡して、指示をあおぎます。すべての作業を終えてからでは、責任の所在がはっきりしなくなるため、対処に時間がかかったり、あらぬ責任を負わされたりするおそれがあるので、要注意です。
アウトソーシングを検討する
デバンニングは大変な作業になります。自社ですべて行うとなると、ノウハウは蓄積できますが、人材の確保や育成、さらにコストも必要です。そこで代行業者にアウトソーシングする方法もあります。
手数料は必要ですが、作業そのものの責任を負う必要がなくなるため、金銭以外の面で負担が軽くなるという意味では、メリットが大きいでしょう。
まとめ
デバンニングは、迅速であることが重要ですが、危険な作業を多くともなうので安全であることも欠かせません。重大な事故を起こさず、予定時間内に無事作業が済むためにも、最適な環境で作業できるように十分配慮する必要があるでしょう。