キッティングとセットアップという二つの言葉がありますが、「何が違うのか」と悩まれる方も多いのではないでしょうか。本記事ではキッティングとセットアップの違いについて、またそれぞれの言葉の意味や作業範囲をわかりやすく解説いたします。
それぞれの違いについて把握した上で、作業範囲が広く手法も複数あるキッティングについて解説します。どのような時にどの方法でキッティングを行うのが効率が良いかもご理解いただけるようまとめました。
ノウハウを要し、時間も人件費もかかるキッティングは専門業者に委託する企業も多いですが、自社でキッティングを行う上でライセンス違反などにならないよう気を付けるべきポイントもまとめております。
まずはキッティングとセットアップの違い、それぞれの意味からみてみましょう。
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目次
キッティングとセットアップの違いは作業範囲にあり
キッティングとセットアップの違いは「作業範囲」にあります。
キッティングには様々な作業が含まれており、その一部にセットアップが含まれていると認識するとスムーズにご理解いただけるでしょう。
キッティングはOSだけでなく業務に必要なシステム・アプリのイントールや設定も行い、『すぐに仕事ができる状態』にしておくのに対し、セットアップでは開梱は含まず、OSのインストールまでが作業範囲となります。
キッティングで行う開梱作業、OSインストール後に行う個別設定や業務アプリ・システムのインストール、管理台帳上の管理はセットアップには含まれていません。
キッティングとは
キッティングにはセッティング・セットアップの作業も含まれます。
開梱して端末・付属品を机上に【セッティング】し、OSインストールと設定・ネットワーク設定を行う【セッティング】まで済ませたら、業務をすぐに始められる状態まで設定・確認・資産管理を行うのがキッティングです。
業務用アプリやシステムなどのインストール・初期設定と、動作確認を行い管理台帳への記帳も作業範囲となります。作業範囲が広いため、作業の流れも本記事で解説していますのでお目通しください。
セットアップとは
セットアップは、箱から端末や周辺機器が出た状態から、それぞれの作業者が必要なアプリをいれたり個別設定が行える状態に机の上にセットアップすることを指します。
端末のもっとも基本的な機能として必要なOSをインストールして設定まで行うことから、インストールと同じ意味合いで使われることもあります。
キッティングが必要になるタイミング
どのような時にキッティングが必要になるか、以下にまとめました。
- 新入社員の入社時
- IT機器の追加購入・買い替え時
- オフィスの開設・移転
- セミナーなどでPC・モバイル端末が必要な時
キッティングにはいくつかの手法があり、「キッティング対象の端末台数や機種の種類の多さ・作業の煩雑さ」により、適した手法は異なります。
続けて解説するキッティングの作業手法をあわせてご覧いただくと、どのようなケースでどの手法を選ぶべきかご理解いただけるはずですので、ご確認ください。
キッティングには手作業とクローニングの2種類の手法がある
キッティングの作業手法は、大きく「手作業」と「クローニング」の2種類に分類されます。
手作業・クローニングのどちらを選択するかは「PCの台数」「機種の多さ」「作業の煩雑さ」がポイントです。
手作業キッティングは台数が少なければ短期間で終えられるのがメリット。
対してクローニングで行うキッティングは、同機種で台数が多いと作業が簡略化できること、ハードウェアが故障した場合の再セットアップ時も手軽になる点がメリットです。
デメリットは、手作業の場合「人為的ミスが起きやすい」点、クローニングは「マスターPC(マスターPCに行った設定をその他のPCに複製して行う)の作成に時間がかかる」という点です。
キッティングの流れ【手作業の場合】
手作業で行うキッティング作業の流れを解説します。
PCか、モバイル端末(スマホ・タブレットなど)かによっても手順が変わりますので、それぞれ解説させていただきます。
- ①PCの手作業キッティング手順
- ②タブレット・スマホの手作業キッティング手順
①PCの手作業キッティング手順
手作業でPCのキッティングを行う際の手順は以下です。
- PCの開梱・設置・通電確認
- 周辺機器接続(モニター・マウス・キーボード等)
- BIOSなどのセットアップ
- OS(Windows・Mac)のインストール・アカウントと初期設定
- ネットワークの設定
- 業務用アプリケーションのセットアップ(アップデート・パッチ適用)
- セキュリティ対策ソフトウェアのセットアップ
- 各種設定の動作確認
- 管理番号ラベル貼付・管理台帳記帳
②タブレット・スマホの手作業キッティング手順
手作業でスマホ・タブレットなどモバイル端末のキッティングを行う際の手順は以下です。
- スマホ・タブレットの開梱・充電
- SIMカード設定
- メールアドレス・パスワード設定
- 言語設定
- ディスプレイ設定
- Wi-Fi・テザリング・VPN(※)などの設定
- セキュリティ設定
- プリインアプリの削除
- アプリインストール・アプリ設定
- 各種設定の動作確認
- 管理番号ラベル貼付・管理台帳記帳
※モバイル端末は、社外から社内システムへ接続することもあるため、ネットワーク関連の設定でVPNが必要になる場合もあります。
キッティングの流れ【クローニングの場合】
クローニングでPCキッティングを行う際の手順は以下です。
- マスターPCの作成(数週間から1か月程度かかる)(※)
- SYSPREP(Microsoft)による個別設定
- マスターイメージ抽出
- 各PCのブート順序変更
- クローニング
- 個別キッティング
- 各種設定の動作確認
- 管理番号ラベルの貼り付け
- 管理台帳への記帳
※マスターPCのキッティングは手作業キッティングと同様に行います。ですがOSインストール時にはライセンス違反とならないよう、ボリュームライセンスを購入して行うようにしましょう。
(ボリュームライセンスの購入はSoftware in CSPでできます)
Windowsのキッティングを行う専門的な手法もある
PCの全ての機能ではありませんが、Windows(OS)のキッティングに有効な手段というものもあります。
Windowsの機能に関するもの・自動インストールで対応できるものだけに有効な方法で、業務用アプリケーションや個別設定は行えません。
キッティングというよりセットアップ向きの手法にはなりますが、簡単にご紹介させていただきます。
- プロビジョニング:Windows ADKを利用
- ベアメタルビルド:個別設定以外の単純インストールを自動化
プロビジョニング:Windows ADKを利用
プロビジョニングはクローニングに似た手法です。
Microsoft社のWebサイトから無料ダウンロードできるWindows構成デザイナー(Windows ADKに含まれている)というツールで、PPKG(プロビジョニングパッケージ)をUSBメモリやSDカードに作成して行います。
PPKGはOS設定・アプリケーションのインストール設定が含まれ、対象端末がネットワークに未接続でも作業可能な点はメリットでしょう。
作成したPPKGをキッティング対象の端末に割り当てることで、短時間でキッティングができる点が魅力ですが、台数が多い場合はあまりおすすめできません。
業務用にインストールするようなシステムやアプリがほとんどない、台数がそれほど多くないなどでは利用価値がある手法です。
ベアメタルビルド:個別設定以外の単純インストールを自動化
ベアメタルビルドはWindowsの「バックアップと復元」でも利用する手法で、Windowsの必要な環境を自動的に構築することができます。
自動化できる範囲はWindowsのインストール・設定・アプリケーションインストールなどに限られてしまいますので、業務用設定・アプリが多数必要になる場合には不向きです。
自社内キッティングで気を付けるべきポイント
自社内でキッティングを行う場合に、ライセンス違反や、企業としての信用失墜に繋がることの無いよう、気を付けるべきポイントをまとめました。
- OSやアプリはOEMライセンスでクローニングするとライセンス違反
- セキュリティ対策を万全でないと信用問題に関わるリスクあり
- 台数が多いと人為的なミスで修正作業が膨大になる
台数が多いキッティングを行う場合は特に、作業手順にミスが起こらないよう、事前の準備を入念に行うことが成功への近道です。
どのような作業手順で行うか、また確認すべきことはどういった事かなど、マニュアルやチェックリストを作成しておくことで人為的ミスを軽減できます。
またセキュリティに関して、機密情報や個人情報の漏洩が発生してしまう可能性をさけるため万全に整えておく必要があります。
セキュリティソフトのインストールだけでなく、「特定のアプリ以外使用不可の設定にする」・「閲覧禁止サイトを設定をする」・「盗難・紛失時のロック機能設定」も行うと安心です。
ライセンス違反は民事損害賠償・刑事罰に問われる可能性あり
クローニングの流れでもご説明したように、OSのインストール時には1つのOEMライセンスを複数台に展開するのではなく、ボリュームライセンスを購入して展開するようにしましょう。
ライセンス違反となってしまうと、民事的に損害賠償が請求される上、刑事罰にも問われてしまう可能性があります。
人員・作業時間・ノウハウを要するキッティングをアウトソーシングする企業が増加中
キッティングの流れで解説させていただいたように、キッティングには人的コストがかかること、台数が多いと期間も長くなり、ノウハウ・スキルも求められる作業です。
そのため、以下のような背景からキッティングを別の専門業者などに委託(アウトソーシング)する企業が多くなっています。
- 社内で対応すると情シス部のリソース不足になるから
- パソコンなどのスペックが高くなり専門的な知識が求められるようになった
- 従業員の職種に応じキッティングの内容が異なり手順が煩雑になる
- 日々進化するセキュリティ対策を万全に講じるため
以前よりもPCやモバイル端末の初回利用時に、様々な設定が必要になったことは皆さん私生活でも感じておられるのではないでしょうか。
キッティングにおいて、この煩雑な全ての初期設定を行うことは作業の煩雑化にも直結しており、難易度も数段上がっているのが現状です。
企業活動を行う上で様々なリスクを回避するため、セキュリティ対策を常に万全に整えなくてはなりません。常に最適なセキュリティ対策をしようとすれば、キッティング作業のマニュアルも随時最適化しなくてはいけない為、簡単にはいかなくなります。
また、同一企業内であっても部署により使用するアプリ・システムが異なることもあります。部署ごとに異なるキッティングをするとなると、よりキッティング作業は煩雑になり、自社内で対応しようとしても人員不足・スキル不足となってしまうことから、外部へ委託するケースが増えているのです。
キッティングをアウトソーシングする際の費用相場
キッティングを外部に委託する場合の費用に関して、明確な相場というものはありませんが、1台あたり基本的なキッティング作業であれば、1台あたり1,000~10,000円で行えるケースが多いです。
ただし、資産管理台帳記帳は要相談・台数が多いと割引といった対応の業者が多くなる点もあわせてお伝えしておきます。
MOTOMURAのキッティング代行サービス
株式会社MOTOMURAでは、キッティング代行サービスを提供しています。本業は物流事業を営む企業ですが、PCやスマホ、カメラなど情報機器のキッティング代行サービスおよびPCリユース物流事業などを行っています。
基本的な端末の初期設定はもちろん、業務で使用するアプリやソフトウェアのインストールなどにも対応可能です。ユーザーが使いやすい環境となるよう、デスクトップをカスタマイズする作業にも対応しているため、すぐにデバイスを使用できます。
またMOTOMURAでは100台規模のキッティングにも対応できるため、特に導入する端末の台数が多い場合におすすめです。事前に丁寧なヒアリングも実施しており、ユーザーの要望をきちんと聞き取ったうえでキッティングを行っているため、理想的な状態で納品できるのも魅力です。
まとめ
キッティングとセットアップの違いは「作業範囲の広さ」であること、ご理解いただけたでしょうか。
「すぐに仕事ができるようにする」のがキッティング、「デスクで個別に必要な設定・インストールができるようにする」のがセットアップでした。
またキッティングには大きく手作業、クローニングの2つの種類があり、どちらで行うかはキッティング対象端末の台数や機種の多さなどがポイントです。
自社内で多くの台数のキッティングを行うには、人的・金銭的にも負担が大きく、抜けやミスが企業として命取りになりかねないことから、アウトソーシングする企業も増えていることもお伝えした通りです。
キッティングとセットアップの違いを把握し、最適な方法でキッティングを行うにはどうすべきか、こちらでお伝えした情報を役立てて頂ければ幸いです。
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