物流拠点の分散はリスク管理と配送コストの圧縮に効果的!4つのメリット・3つのデメリットそれぞれ解説

物流拠点を分散させるより、集約させたほうがメリットが大きいように感じますよね。しかし、物流拠点の分散にも重要なメリットがあります。特にリスク管理の面からは拠点の分散は理にかなっています。

この記事では、物流拠点の分散に関してメリットとデメリットを解説します。

  1. 物流拠点の分散はリスク管理をする上では重要
  2. 物流拠点を分散する4つのメリット
  3. 物流拠点を分散する3つのデメリット

ぜひこの記事を参考にして、拠点の分散に関してメリット・デメリットを客観視できるようになってください。

物流拠点の分散はリスク管理をする上では重要

物流拠点を分散しておく最大の強みは、万が一の緊急事態でも事業の継続がしやすくなることです。そのため、BCP(Business Continuity Planning:事業継続計画)にも備えられるでしょう。

BCPとは、災害などの緊急事態において、企業や団体が事業継続するための計画をいいます。具体的には、台風や地震、テロ攻撃などにさらされた際に事業資産の被害を最小限にしつつ、事業の継続。もしくは、早期復旧を可能にするための段取りを指します。

BCP は、2011年の東日本大震災をきっかけにして注目されており、重要性が増しています。事業への被害が少なく済み、被災しても速やかに再開されれば、信頼が揺らぐことも取引先を失うこともないといえるでしょう。もちろん、単純に効率面だけでいえば拠点は集約したほうがよいです。しかし、いざという時に事業が立ち行かなくなるような事態は回避しないといけません。

以上のことから、拠点の分散は効率以外に事業の生存性に優れているといえます。

物流拠点を分散する4つのメリット

ここからは、物流拠点を分散するメリットを4つ紹介します。順番は以下のとおりです。

  1. 配送コストが抑えられる
  2. 配達スピードを上げられる
  3. 拠点ごとに必要な人員の数が少なく済む
  4. 拠点にする土地が選びやすい

1つずつ確認していきましょう。

1. 配送コストが抑えられる

物流拠点を分散することで、配送先に近い拠点から輸送ができて配送コストを抑えられます。納品先が近いほど配送にかかるコストは安くなるからです。一方で、拠点が集約されていると納品先が遠くなりやすく、ドライバーの人件費やトラックの燃料費などのコストが増加して配送コストが上がります。特に、燃料費は今後も高騰が続くと予想されているため、輸送コストも高くなるでしょう。

そういった情勢では、配送距離が短いというのは大きなメリットといえます。

2. 配達スピードを上げられる

拠点が分散されていると納品先まで距離が近くなるため、配達までにかかる時間も短くできます。配送コストが抑えられるのと同様に移動距離が短いということで得られるメリットです。ドライバーとトラックも配達完了までの拘束される時間も短くなります。結果として1日で多数の配送先に短時間で回ることができるため、効率が良くなります。荷主の中には、配送スピードを重視する場合もあり、そういった顧客に対しては短時間で配達ができるのは差別化につながるでしょう。

したがって、物流拠点の分散には、配送コストの低減と配達スピードの向上、そして、差別化がセットになっているといえます。

3. 拠点ごとに必要な人員の数が少なく済む

物流拠点を分散していると、拠点ごとに必要な人手の確保が少人数で済みます。人手の確保は、大きな物流拠点では悩みの1つといえるでしょう。大型の物流拠点ではある程度の人員が必要です。しかし、労働人口の減少により、採用活動が大変になりやすく、慢性的な人員不足が現場の問題になりやすいです。しかし、物流拠点を分散していると、それぞれの拠点に必要な人員は少なく済むため、労働力の確保がしやすくなります。

4. 拠点にする土地が選びやすい

物流拠点を分散させていると、拠点の規模が小さく済むため、土地の確保がしやすくなります。つまり、拠点の移転や撤退、新設がしやすいということです。そのため、新しい道路の開通や、新しい大口顧客に対応する際にも柔軟な対応が可能です。このような柔軟性が拠点分散の大きなメリットであるといえます。また、拠点ごとがお互いに近いため、カバーし合うこともできます。特に、不測の事態においては、物流拠点を小規模にして分散させておいたほうが望ましいといえるでしょう。

物流拠点を分散する3つのデメリット

次に物流拠点を分散するデメリットを3つ紹介します。
内容は以下のとおりです。

  1. 在庫管理の手間が拠点の数だけ必要になる
  2. 物流拠点ごとに設備が必要になる
  3. 転送回数が増えて配達効率が下がる

それぞれ確認していきましょう。

1. 在庫管理の手間が拠点の数だけ必要になる

物流拠点が分散していると、それぞれの拠点ごとに在庫管理が必要です。当然、管理するためのコストや労力もかかるため、非効率といえます。また、拠点が分散していることで、全体の在庫量が増える傾向があります。同時に、各拠点への在庫の振り分けなどのオペレーションが負担になるため、拠点数の分だけ手間が増えるのがデメリットといえるでしょう。

2. 物流拠点ごとに設備が必要になる

拠点が分散されていれば、その数だけ設備も必要になります。在庫管理と同様に、拠点の数だけ同じような設備の数が増えるため、拠点を集約している場合に比べてコスト高になります。加えて、人員の採用などもそれぞれに拠点ごとに必要になるため、間接的な手間も増えるでしょう。したがって、企業全体で見れば設備費が高くなる傾向があります。

3. 転送回数が増えて配達効率が下がる

拠点が分散されている場合、1つの場所に在庫できる数が少なくなります。そのため、在庫切れが起こりやすくなります。物流拠点で商品の欠品が起きると、在庫のある拠点から商品を転送して対応するのが一般的です。そのため、商品転送から配送までの時間がかかり、配達効率が下がってしまいます。分散している以上、1つの拠点に大量に在庫を集めることも、十分なスペースを確保するのも難しいといえるでしょう。とはいえ、徹底した在庫管理ができれば防ぎやすいデメリットではあります。

リスク管理を考えるなら物流拠点は分散させる

リスク管理や事業の柔軟性を保つためには、物流拠点は分散させたほうがいいでしょう。最近は、効率化を求めて拠点を集約させるケースが多いといわれます。

しかし、あまりに効率を求めて拠点を集約すると、天災で一気に事業が立ち行かない状態になる可能性があります。そのため、流行りに乗るように拠点を集約するのは危険かもしれません。

冷静に、自社の状況や、扱っている商品の特性を考慮して拠点の分散・集約を決めるのが大切です。また、時代の流れが速いため、企業のフットワークの軽さが重要になる場面も多いです。そのため、物流拠点を分散させておくほうが様々な局面で対応できるといえるでしょう。余談ですが、災害発生時には支援物資の配送などで物流の果たす役割は大きいです。拠点の分散は、企業アピールとしても使用が可能ではないでしょうか。

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この記事の著者について

MOTOMURA物流編集部

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