物流担当者が知っておくべき!
アウトソーシングで期待できる導入効果とは
今や国内の宅配便の数は、年間で50億個に迫る勢いです。一人につき、実に40回近くも利用している計算になります。このすべてに送り手と受け手が存在しますが、忘れてはならないのは、その両者の橋渡しとなる物流業者の存在です。
近年、その物流の世界で声高に叫ばれているのが、「ラストワンマイル」です。
すべての荷物は、受け手に予定通り届いてこそ意味をなします。せっかく目的地に到着しても、荷受人の手元に届くまでにトラブルが発生しては元も子もありません。しかし、その数の多さから、すべてを確実に注文通りに届けることは容易でないのが現実です。とりわけ「ラストワンマイル」には、様々な問題と課題が内包されています。
今回は、「ラストワンマイル」の詳しい意味、注目されるようになった背景、問題点や課題の解決策について解説します。
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目次
ラストワンマイルとは
「ラストワンマイル」とは、直訳すると「最後の1マイル」という意味です。マイルは距離を表し、約1.6kmになります。
もともとは通信業界で使われていた言葉ですが、近年、物流業界で頻繁に使われるようになり、注目されています。具体的には、最寄りの配送拠点から荷受人のいる自宅や会社までの最後の区間を指して「ラストワンマイル」と呼んでいます。
1990年代半ば頃から、通信販売が徐々に流通業界における存在感を高め始めました。さらに、ネットの普及やスマホの台頭により、2000年代から2010年代にかけて宅配便の需要が急拡大しました。それに伴い、日本郵便以外の民間の宅配業者も増え、様々なサービスを開発・提供して顧客を獲得する宅配合戦が激化していきました。その闘いに勝利するためには、配送業務の最後の詰めともいえる、「ラストワンマイル」でどううまく立ち回るかが、大きくものをいうのです。
ラストワンマイルが注目されている背景
宅配競争が激しさを増すと、サービスの水準は時とともに格段にレベルアップしていきます。「配送無料」にはじまり、「翌日配送」、さらに「当日配送」や、中には「1時間以内にお届け」といった画期的なサービスまで登場しました。さらに宅配件数が増えるにつれ、返品やキャンセルの数も増加するため、荷受人から荷主へ荷物を逆流させる、いわゆる静脈物流にも対応する必要が出てきました。
これらのニーズに的確に応えられる配達エリアを広範囲で網羅するためには、市町村単位で配送拠点を増やす必要がありました。これにより、ローカルであるがゆえに、トラックだけに頼らず、土地勘のあるパートの主婦や学生による自転車や台車を使った配送も可能になるなど、従来よりも小回りの利く柔軟な配送、集荷体制が実現しているのです。
配送拠点が増えることで、荷受人からすると飛躍的に利便性が高まったわけですが、同時にこのラストワンマイルを巡って様々な問題が生じることになります。
ラストワンマイルの問題点
ラストワンマイルの現場では、運送会社やドライバーにとって厳しい現実が横たわっています。いずれも根が深く、容易に解決できるものとは言い難いですが、放置することは許されない問題ばかりです。それらを具体的に見ていきましょう。
経済的な負担の増大
ネット通販では、他社より上級のサービスで競争優位に立とうと思えば、配送料を安くするだけでなく無料にしたり、スピーディーに配送することが強く求められます。とくに安価な送料への対応は、運送業者にも負担を強いることが多いので、深刻な利益圧迫につながりかねません。
ドライバー不足
増加する宅配需要に応えるためには、ドライバーを増やす必要があります。しかし、国内のトラックドライバー事情は、高齢化と減少傾向が顕著なため、ニーズに合わせた手配が非常に困難な状況にあります。Amazonでもデリバリープロバイダ―という地域密着型の運送業者と契約したり、個人の専用ドライバーを大々的に募集したりして、対応に追われているのが現状です。
薄利な状況下では、高報酬でドライバーを募集するのも容易ではなく、無理をすれば赤字となるので、痛し痒しの状態が顕在化しています。
再配達件数の増加
宅配の増加に比例して、再配達の件数も増加しています。その数は5件に1件ともいわれており、非常に深刻です。通常、再配達は無料のため、ドライバーの負担ばかりが増え、低賃金による過剰労働、長時間労働という悪循環からなかなか脱却できない状況が常態化しています。
ラストワンマイル問題を解決するためのソリューション
ラストワンマイルを巡る問題はいずれも 深刻です。だからこそ一刻も早く適切な課題解決策を講じる必要があります。その方法を具体的に見ていきましょう。
受取手段の多様化
ドライバーのみならず荷受人への負担を減らして利便性を高めるために、宅配ロッカーや宅配ボックス、また置き配や職場受取、店頭受取など、受取手段が確実に増えつつあります。これらがさらに普及すれば、一度の配達で間違いなく荷受人に届けることができるため、再配達の連絡を受けたり、無理なスケジュール調整をして再び配達に行ったりといった手間が省けます。
最近では、生鮮食品専用の温度調整可能な宅配ボックスも増えているので、ますます利便性とコスト削減が進みそうです。
輸配送管理システム(TMS)の導入
大手物流業者を中心に「輸配送管理システム(TMS=Transport Management System)」の導入が進んでいます。
専用のパッケージソフトやクラウドサービスにより、配送に関する様々なデータを一括管理し、配送ルートの決定、配車、積載計算、進捗管理、運賃や燃料の計算管理など、配送業務を総合的に管理、最適化するシステムです。
渋滞や事故といったリアルタイムの交通事情に合わせてAIが最適な配車ルートを割り出したり、GPSを使って配送状況を把握、ドライバーと直接連絡を取ったりもできるので、配送指示だけでなく体調把握も可能となります。日報も自動作成されるため、残業時間や肉体的負担を減らすこともできるでしょう。積載効率が上がれば、無駄な配車が削減でき、人件費や燃料費などのコストカットにも大いに役立ちます。
トラック以外の輸送手段の活用
佐川急便の「宅配メイト」、ヤマト運輸の「フィールドキャスト」のように、パートの主婦や学生などを雇って、自転車や台車で限られたエリアのみで配送するサービスもあります。トラックのように駐車場所を気にする必要がなく、小回りが利くうえ、土地勘もあるので、非常に効率よく配送業務が進みます。
ハイテク輸送手段の開発
輸送ロボットやドローン、自動運転といった次世代型のハイテク機器を輸送手段として活用しようとする動きも活発化しています。技術や法整備の面でまだ実験段階にあるものが多いですが、とくにドローン輸送については、法改正も進み、山間部や離島だけでなく、一部の有人地域での活用も始まろうとしています。
まとめ
コロナ禍で拍車がかかった宅配需要は、ニューノーマル(新常態)においてもある程度変わらずに推移するものと考えられます。よって、ラストワンマイルの充実や課題解決は、国民一人一人の生活と密接に関わる最重要テーマの一つといっても過言ではありません。
配送拠点を増やしたり、ドライバーを確保したり、質の高い物流システムを 構築したりといった企業が行うべき努力と、宅配ボックスや置き配の設置、職場受取など個人ができる協力、さらに新たな輸送手段の活用についての法整備など国が率先して推進するべき業務が、三位一体となってはじめて、ラストワンマイル問題が真の意味で解決するといえるでしょう。今後も、ますますこの問題から目が離せません。
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