医療機器の保管倉庫選び:最適な方法と重要なポイント

医療機器

コンタクトレンズは医療機器の中でも、「高度管理医療機器等販売業」という特殊な資格が必要なのはご存知でしょうか。EC需要が拡大する以前から、日常的に利用するもので都度病院で処方箋もらって購入するのは手間、ということでECを利用する消費者は多くいます。コンタクトレンズに限らず、医療機器は取り扱う際に倉庫で保管を行うだけでも許認可が必要です。

医療機器には精密機械も含まれるため、物流倉庫での保管の際にも特別配慮が必要な商品です。安全に保管するための設備投資や、保管環境を整えるための資金が高額になりがちです。

ECは消費者の日常生活の負担を大幅に軽減してくれる存在ではありますが、販売するメーカーや業者、店舗にとっては倉庫をどうするかという問題は簡単に解決できるものではありませんよね。

この記事では、「医療機器の出荷までの保管を自社で行うか、外部委託するか」という悩みを抱える皆様に、最適な解決策を提供する情報をご紹介します。そして外部委託を選ぶ際のポイントやメリットについても詳しく解説しますので、ぜひお読みください。

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目次

医療機器倉庫は自社で?外注?選び方のポイント

医療機器を保管から出荷まで取り扱うための倉庫を、自社で構えるか外部委託するかは悩ましい問題です。

医療機器は有効性や安全性をしっかり確保して取り扱えること、また精密機器も多いため温度・湿度だけでなく振動や衝撃への配慮も必要となります。

そうなると、自社で倉庫を立ち上げるにはかなりの費用が必要ということになりますから、事業規模に見合わないケースもでてくるでしょう。

また冒頭お伝えしたコンタクトレンズのように身近な商品であっても、医療機器は薬機法により4つのクラスに分類されていて、うち2つのクラスに分類される商品は特別な資格がなければ保管もできません。

一般的なECショップの運営にたとえると、まだ顧客数が増えていない時期は出荷数も在庫数も限られるため、自社運営しているケースが多くなっています。事業が軌道にのって出荷数・在庫数ともに増加してきたタイミングで、外部に委託するという選択をする企業が多いのです。

続けて、医療機器の倉庫業務を自社運営するか、外部委託するか検討する際の目安となるポイントは何か、見ていきましょう。

医療機器倉庫業務をアウトソーシングするか検討する目安・ポイント

医療機器倉庫を自社運営するか、アウトソーシングするか、選び方のポイントをリストアップしました。

  • 広い倉庫スペースが必要である
  • 倉庫業務を賄うには人材が不足している・する懸念がある
  • 倉庫業務を任せられる人材が不在
  • 出荷数が急増し既に業務が滞ってしまっている
  • 在庫保管・管理・発送でトラブルが後を絶たない

取り扱う医療機器の種類が多い、既に顧客がある程度ついてくれている、という場合では広い倉庫スペースが必要となるでしょう。広い倉庫スペースを持つということは、それを管理する人材を確保し、医療機器を取り扱うための人材教育も必要、保管・管理するための設備機器を準備しておくことも必要となります。多くのコストと労力が求められるため、自社運営をするよりも信頼できる業者を選定し外部委託するケースが多くなります。

また自社では商品開発や営業職の人材は豊富だが、大きな倉庫の管理・運営のノウハウが蓄積できていないため、外部委託するというケースも多くあります。医療機器を取り扱うには、特別な配慮とノウハウも重要になるため、品質をキープし万全の物流を実現するためにアウトソーシングすることで、物流品質を担保するという考え方もできます。

その他にも、すでに現状受注に対して発送が追いついていない、適切な管理ができているとは言えない状況でトラブルも出ているという場合には、自社運営は難しいと判断し、アウトソーシングすることで解決することもできます。

医療機器の倉庫業務をアウトソーシングするメリット

業務のアウトソーシングをするということは、コストも当然発生するということになります。アウトソーシングすることで得られるメリットが御社にとって、どれだけの価値があるか検討しつつご確認ください。

  • 保管・管理から発送までの人的コストを大幅削減できる
  • 出荷業務を担当している人のリソースを、別の注力領域に当てられる
  • 取り扱う商品の保管・管理に関する設備・機器に関わるコストを省ける
  • 精密機器なども含め安心の物流品質が保たれやすくなる
  • EC事業の成長を加速させやすくなる

医療機器を取り扱う倉庫業務は、細かな配慮も必要で、様々な制限・環境維持も重要で、簡単ではありません。
ですがアウトソーシングすることで、自社運営するよりコスト削減に繋がるケースも多く、また管理に関わる人材の確保・育成も不要になる上に、安定してプロ品質を保って出荷を迎えることができるのが大きなメリットとなるでしょう。
自社で賄う場合には、相応の人材を倉庫業務に充てる必要がありますが、アウトソーシングすることで社内業務に注力できるようになるため、戦力UPで事業拡大に繋がってケースも少なくありません。
このように効率化・最適化された企業が、EC事業でより大きな成長を確実なものとしているのです。

医療機器倉庫業務に求められる環境・設備・許認可について

冒頭でも軽く触れましたが、医療機器を取り扱うには、倉庫業であっても「医療機器等製造業許可」が必須となります。これは薬機法への理解と対応が必要となるためで、保管するだけの倉庫であっても同様です。

あわせて、医療機器の中には精密機器も含まれます。湿度・温度・衝撃・振動にも注意を払わなくてはならないものも多く、保管する上で倉庫に様々な機能・設備が必要でもあります。

身近に感じるが特別な資格が必要なコンタクトレンズのような商品もある

身近なものだから、特別な取り扱いが必要には思えないかも知れませんが、実はコンタクトレンズも高度管理医療機器等販売業の資格がなければ扱うことができない商品です。

またコンタクトレンズはSKUが多く、使用期限への配慮も求められる上に、出荷時にも「ロットを揃えて納入してほしい」というオーダーが出されることも多いもの。

医療機器にはこういったオーダーも多く、倉庫運営の仕組み・方法で考慮が必要となるケースも多いのです。

どのような医療機器があるのか、またそれぞれの医療機器が薬機法でどのクラスに分類され、どのような規制があるのか、続けて「薬機法上の医療機器の分類と規制について」で解説させていただきます。医療機器の倉庫業務を委託する業者の選び方にも重要なポイントとなりますから、ご確認ください。

薬機法上の医療機器の分類と規制について

医療機器を取り扱う上で、知っておくべき医療機器の薬機法上の分類と規制について表にまとめました。業務委託する上でも重要なものですのでご確認下さい。

分類医療機器名規制
クラス1:一般医療機器体外診断用機器、メス・ピンセットetc、歯科技工用用品、X線フィルム、聴診器、水銀柱式血圧計など規制なし
クラス2:管理医療機器MRI装置、消化器用カテーテル、造影剤注入装置、電子体温計、超音波診断装置、電子式血圧計、電子内視鏡、歯科用合金、家庭用電気治療器(マッサージ器)、補聴器、手術用手袋など届出のみ
クラス3:高度管理医療機器透析機器、人工骨頭、人工呼吸器、放射線治療機器、血管用ステント、胆管用ステント、体外式結石破砕装置、汎用輸液ポンプ、コンタクトレンズ、人工角膜、バルーンカテーテルなど許可必須
クラス4:高度管理医療機器ペースメーカー、冠動脈ステント、吸収性縫合糸、人工乳房、ビデオ軟性血管鏡、中心静脈用カテーテル、人工心臓弁、人工呼吸器など許可必須

「医療機器の保管から出荷を任せるだけなら許認可は必要ないだろう」と考えてしまいがちですが、これは誤り。
医療機器の保管を委託するだけでも「医療機器製造業許可」は必須となります。またクラス3・4に分類される高度管理医療機器の取扱には、「高度管理医療機器等販売業」も必須となる点に注意が必要です。

医療機器倉庫業務の委託先の選び方6つのポイント

医療機器倉庫業務をアウトソーシングする際、業者選定時に見ておくべきポイントは以下の6つが挙げられます。

  1. 医療機器製造業許可があるか
  2. 必要な場合高度管理医療機器等販売業の許可を取得した業者か
  3. 細やかな在庫管理がなされているか
  4. 倉庫内が整理整頓され清潔な状態がキープされているか
  5. 医療機器の取扱を任せられる人材教育が徹底されているか
  6. これまでの医療機器取扱実績は豊富か

医療機器製造業許可は必須ですが、任せる商品にクラス3・4に分類される医療機器が含まれる場合は、「高度管理医療機器等販売業」の許可も必須となります。

また、実際に作業を行う倉庫は訪問ししっかりとポイントを抑えて視察しておきましょう。何故訪問したほうが良いか、というと上記ポイントの③~⑤に関して、目視で確認して頂きたいからです。

医療機器の取扱を任せる以上、商品に何かあると重大なトラブルとなるリスクは避けられません。十分な人材教育・現場の管理が成されているか、倉庫内の設備は十分か、清潔に保たれているか、といったことと合わせ間違いが起こらないよう雑多な環境ではないことも確認しておきましょう。

その他、『ロットを揃えて出荷しなくてはならない』など商品によって取引先から指定がある場合もあるでしょう。そのような場合にも対応できるかどうか、と併せそれを可能とするだけの細やかな在庫管理が行われているかの確認も必要です。

使用期限など細かく管理しなくてはならない商品も多い医療機器、上記と合わせて細かな管理も可能にするWMS(倉庫管理システム)を導入している業者を選定することも好ましいポイント。納品先が一般消費者だけではない場合、様々な配送方法や、BtoC・BtoBにも対応している業者か確認しておくことも重要です。

まとめ

医療機器を保管から出庫まで取り扱う現場となる倉庫、自社で運営するか業務委託するかお悩みは解決したでしょうか。

業務委託することのメリットは大きいですが、委託先となる業者選定でミスをしてしまうことは、医療機器販売者としては絶対に避けたいトラブルに直結してしまう可能性も避けられません。

アウトソーシングされる際には、こちらでお伝えした「医療機器倉庫業務の委託先の選び方6つのポイント」をご確認の上、御社にとって最良となる選択に繋げていただき、今後のご活躍に繋がれば幸いです。

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