物流においてポカヨケとは、倉庫への入庫から出庫、配送先への出荷の過程で、十分に注意すれば防止できる些細なミス(ポカミス)を避ける(ヨケる)ための仕組みやツールのことです。
酷似した商品を取り違えたり、商品を詰める段ボールを間違ったり、といったうっかりミスは、後になって大きな問題に発展することも考えられます。自然災害のように不可抗力の場合は致し方ありませんが、適切なシステムを構築したり、デジタル機器を利用したりして防ぐことができるヒューマンエラーは、徹底して撲滅する必要があります。
そのために物流現場で施すミスの未然防止対策が、ポカヨケです。
目次
ポカヨケの重要性
ポカヨケは、物流において3つの点で重要となります。
1.誤出荷の撲滅
物流業務においてもっとも避けなければならないミスの一つが、「誤出荷」です。そして誤出荷の原因は、ポカミスによるケースが少なくありません。
いかなる理由があっても、誤出荷は顧客に多大な損失を与えると同時に、自社の価値が下がり、ひいては売上を下降させる深刻な要因にもなりかねないため、最大限の注意を払う必要があります。
2.作業者の負担軽減
ポカヨケが効率よく行える環境を構築できれば、ポカミスをめぐって作業者が余計な神経を使わなくて済むようになります。ポカミスは、犯した本人がもっとも落ち込み、それが大問題に発展して、クライアントはもちろん、同僚や会社自体に迷惑をかけるとなると、なおさら悔しくもなるものです。そこから人間関係の綻びが生まれたり、作業現場の空気が悪くなったりすることも考えられます。
よって、ポカミスは軽視も放置もできませんし、そのためのポカヨケにも非常に大切な役割があると認識する必要があるでしょう。
3.業務効率の向上
後述のように、ポカヨケは具体的にデジタルツールを導入することで大幅に促進されます。すると業務時間の短縮化や作業プロセスの単純化が進み、省人化も実現するため、自ずと業務効率が向上するでしょう。
ポカヨケが必要なシチュエーション
受注管理には、いくつかの注意点があります。
1.入庫(棚入れ)時
荷物が届き、在庫棚へと格納する棚入れの際に、決められた場所と異なるところに配置してしまうと、ピッキングの際に荷物が見つからないという事態に陥ります。いっときに別の荷主から外見が酷似した荷物が届いたり、同じ種類と大きさのダンボールで別々の商品が同時に、しかも大量に届いたりすると、ロケーションミスが発生しやすくなります。
2.ピッキング時
見た目がそっくりだったり、品番の文字列が似ている商品は、ピッキングミスが起きやすいです。新人のポカミスは不慣れなため致し方ないこともありますが、ベテランであっても、自分がミスするはずがないという思い込みがあると、信じられないポカミスをしてしまうことが意外と多いので要注意です。
3.梱包時
ピッキングした商品を宛先の違うダンボールに詰めてしまうポカミスも起きがちです。例えば、同じブランドの化粧水と乳液が、大きさも形も同じボトルの場合で、数量も同じという注文が同時に入ると、取り違える可能性が高くなります。
4.積荷時
出荷の際に、行き先の異なるトラックに誤って別の荷物を積荷してしまうポカミスもあり得ます。あまりに基本的すぎるミスですが、現場の担当者が変わったばかりとか、いつもと違うドライバーが急きょ輸送することになった時などに、勝手がわからず勘違いするケースがあります。
ポカヨケの方法
受注管理には、いくつかの注意点があります。
1.ハンディーターミナルを使う
倉庫に荷物が届いたらバーコードや2次元バーコードを発行して、格納する棚やラックに貼付しておきます。出荷指示にしたがって、ピッキングリストにある該当商品のバーコード・2次元バーコードをハンディーターミナルで読み取ると、格納されている棚の位置、現在庫数などが表示されるので、すみやかにピッキングができます。すべての商品のデータは、出庫されるまでシステムで一元管理できるため、どこに何が何点、どのような状態にあるかが、いつでも確認可能です。
この流れを確実に定着させることができれば、ピッキングミスや誤出荷は、高い確率で撲滅できるでしょう。
2.RFIDを使う
RFID(Radio Frequency Identification)を使えば、専用タグのついた複数の商品を非接触のまま一瞬で確認できるので、バーコード・2次元バーコードのように、商品一つ一つの情報を手にとって確認する必要がありません。これによりスピーディーかつ正確で簡易的な検品やピッキングが、可能となります。
指定範囲内なら、段ボールや木箱などに入っていたり、人や棚などの障害物があったりしても使えます。専用のリーダライターで、タグの情報は、遠隔で何度でも読み書き、修正が可能です。使われているICチップは、半永久的に使えるうえ、複製が極めて困難なため、偽造リスクも低く、費用対効果は非常に高いといえるでしょう。