SNSは近年、幅広い世代に利用者数が拡大し、生活に欠かせないツールとなっています。
そのSNSを活用したSNSマーケティングは、大企業だけでなく中小企業にとっても避けては通れないものになりつつあることを感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
マーケティングの父と呼び名の高いフィリップ・コトラーは、「2030年までにマーケティング予算の50%がソーシャルメディアに回されるだろう」と予測しているのだそうです。
SNSの利用者の状況分析とあわせて、SNSマーケティングとは何か・どのような手法があるのか・成功させるためのポイントは何か解説してまいります。
関連記事:マーケティングで導入が進むUGCとは?Twitterでの活用方法と事例も紹介
目次
SNSマーケティングとは?何をするもの?
SNSマーケティングとは、SNSを活用し、企業・商品の好意的な認知を高め拡散したり、直接ファンとのつながりを得たりして、ブランディングや売上アップを図るマーケティング手法です。
利用されるSNSは様々で、Instagram、LINE、Twitter、Facebook、Youtube、Tiktokなどです。
SNSマーケティングは、情報を蓄積することで認知を目指すストック型とは異なり、こまめに情報を発信することで認知拡大を目指すフロー型のビジネスです。更新頻度が高いからこそ、高い効果を発揮する手法です。
一方的なメッセージの発信ではなく、企業と消費者(SNSユーザー)とのコミュニケーションや「いいね!」を通じて消費者(SNSユーザー)とコミュニケーションを図ることで、より好意的な認知を高めるマーケティングであることもポイントです。
SNSマーケティングの購買行動モデル「ULSSAS」
従来のマーケティングとは購買行動モデルが違うSNSでは、ファンによる「口コミ」や「企業に関係する内容の投稿」といったUGCを起点とした、ULSSASが重要です。
UGCとはSNSユーザーにより生み出される口コミのようなコンテンツのことで、ULSASS(ウルサス)の循環の起点とされるもので以下の要素で構成されています。
【ULSSAS(ウルサス)】
- U:UGC
- L:LIKE(いいね!)
- S:Search(SNS検索)
- S:Search(検索エンジンでの検索)
- A:ACTION(購買)
- S:Spread(SNSでの拡散)
SNS利用者は世代を問わず増加&情報収集に欠かせなくなっている
ICT総研の「2020年度SNS利用動向に関する調査」を見てみると、SNSのアクティブユーザーは年々増加していて2020年時点での利用率は80%を超えていることがわかります。
また総務省が年代別に行った「ソーシャルネットワーキングサービスの利用状況調査」によれば、年代問わずSNSの利用率が増加していて、60~80代の利用率も大幅に増加しているのが現状です。
上記調査を詳しく見ると、消費者のSNSの利用目的は1位はコミュニケーションのためですが、「知りたいことについて情報を探すため」が続く2位と、SNSは情報収集に欠かせないツールとして利用されていることもわかります。
このような背景から、企業がSNSをマーケティングに活用するケースも急増しており、未着手であれば是非とも実施したいマーケティング手法といえるでしょう。
SNSマーケティングの手法と流れ
SNSマーケティングが今や欠かせないマーケティング手法であることをご理解いただけたところで、どのような手法があるのか、どんなことをすればよいのかを簡単に解説致します。
SNSマーケティングの代表的な手法
SNSマーケティングには以下のような手法があります。
- SNSアカウント運用
- SNS広告
- インフルエンサーマーケティング
- ソーシャルリスニング
- SNSキャンペーン
最も取り組みやすくコストも抑えてできるのが、公式SNSアカウントを作成して運用する「SNSアカウント運用」です。アカウントへの投稿で公式サイトやECサイトへの動線とすることもできます。
広告費用はかかりますが、「SNS広告(SNSの画面に動画・画像の広告を表示)」ではターゲティング精度の高い広告が打ち出せます。いかにも広告という感じがしないのが強み。
インフルエンサーに依頼してSNS投稿してもらうのが「インフルエンサーマーケティング」。商材にあったインフルエンサーを起用することでより消費者に好意的なコンテンツとして受け入れられやすいのが特長です。
「ソーシャルリスニング」SNSでユーザーに対してアンケートなどを行い声を集め、分析しマーケティングに活用するもの。気楽さで従来のアンケートよりも自由な意見・批評が集まりやすいとされていため、新商品開発や業務改善に役立てるケースがあります。
ユーザーにSNSを通じてWEBイベントなどに参加してもらう「SNSキャンペーン」は、参加したユーザー自身が作成するコンテンツ(= UGC)で拡散される確立も高く、話題性にとんだ実例も豊富です。
SNSマーケティングの流れ
SNSマーケティングは上記のように手法により違いはあるものの、基本的な流れは以下のようになります。
- マーケティング目的の見定める
- ターゲティングを設定する
- 活用するSNSの選定をする
- どのような方針で投稿していくか決定し、運用体制を整える
- マーケティング戦略をたてSNSを運用する
サービスの認知向上・商品の認知度向上・企業としての認知向上など目的によりどのようなマーケティング戦略が最適かは異なります。
ターゲットを限定的に絞らず効果が狙えるSNSマーケティングですが、ターゲット層をある程度絞ることでより興味を惹けるコンテンツが作成できます。
またSNSはそれぞれに利用者層に偏りがあるのも事実ですから、見当違いなSNSで運用しても効果が見込めないことも忘れてはおけません。
日常的に投稿するのが好ましいSNSマーケティングですから、投稿する文章が画像のテイストなども定めることで、複数の担当者がいてもスムーズに運用していけるでしょう。
SNSマーケティングの成功事例
SNSマーケティングが今や欠かせないマーケティング手法であることをご理解いただけたところで、どのような手法があるのか、どんなことをすればよいのかを簡単に解説致します。
SNSマーケティングの成功事例①|Instagram
Instagramの成功事例として、「松屋(牛丼チェーン)」の成功事例をご紹介します。
松屋が若い女性に利用者が多いInstagramを使ったのには、それまであった「女性一人では入りづらい」というイメージを払拭するためでもありました。
実際松屋の行ったSNSマーケティングは「おもしろい」「かっこよい」「オシャレ」という牛丼チェーンで想起されにくいイメージを付加することに成功し、女性でも入りやすい、という新たなイメージを消費者に持たせることができたのです。
SNSマーケティングの成功事例②|LINE
広い世代にコミュニケーションツールとして活用されているLINEを使った成功事例として、ステーキのどんを運営する「アークミール」の事例をご紹介します。
2019年に公式アカウントを開設し、コロナ禍で来店動向に変化があったことから2021年にLINE予約を開始し、新規顧客獲得の施策を行い、5日だけで650組の予約を獲得できたのだとか。
新メニューの情報発信のほか、割引キャンペーンなども積極的に行い、リピーターの獲得にもLINEを使ったマーケティングが活きた事例です。
SNSマーケティングのもたらす効果
SNSマーケティングを行うことで得られる効果は、以下のようなものが挙げられます。
- 認知度拡大
- ブランディング
- ロイヤリティ向上
SNSマーケティングの最大のポイントは、”ポジティブな情報が拡散されやすい “ことといっても過言ではありません。単に認知度を上げるだけでなく、場合によっては「友達がいいね!していたから」という理由で閲覧されることもあるようです。
また、近年では企業のブランディング向上にもSNSマーケティングが一役買っていることも見逃せないポイントです。ポジティブな印象を与えることができるSNSの投稿が、思わぬところで企業の脚光を浴びることがあるのは記憶に新しいのではないでしょうか。また、SNSを通じた消費者との良好なコミュニケーションは、ビジネスシーンにおける忠誠心や愛着心、信頼感といった「ロイヤリティ」の向上にも有効です。
このように、SNSマーケティングは、適切に実施すれば、関心のある消費者だけでなく、その背後にいる潜在顧客にもリーチすることができるのです。
SNSマーケティングのメリット・デメリット
SNSマーケティングのメリット・デメリットについてです。
SNSマーケティングのメリット
SNSをマーケティングに活用するメリットは、「低コストで、幅広い消費者とリアルタイムに情報発信し、良好な関係を構築できる」ことです。
主要SNSの公式アカウント開設は無料で行えます。
各SNSの利用者の年齢層はバラバラですが、多くの利用者が積極的にSNSを利用して情報収集やコミュニケーションを行っています。
一つの投稿が拡散するスピードが速いのも、SNSマーケティングの特徴です。
新商品の発売で注目を集めたい」「年末商戦で集中的に売上を伸ばしたい」「秋までに事業を大きく拡大したい」といった目標に対して、SNSマーケティングは成果を出しやすい方法でもあります。
SNSマーケティングのデメリット
SNSマーケティングを行うメリットは、運用を適切に行わなければデメリットに転じてしまうことも意識しておかなくてはなりません。
拡散性があるSNSを活用する上で、「炎上」によるイメージ低下を避けるためには、ネットリテラシーや不快な気持ちにさせてしまいかねない投稿をしないよう、運用ルールをしっかりと定めておくことも大切です。
Facebookを運営しているMeta社の言葉に「Allways on(常にONでいること)」とあります。
発信して待つだけの従来のスタンスではSNSマーケティングは成功しませんが、常に投稿内容についてしっかりと意識しながらコミュニケーションを図ることは必須と心得ておく必要があるのです。
SNSマーケティングを成功させる6つのポイント
SNSマーケティングで目標達成するために大切なポイントは6つあります。
- 自社に最適なSNSを選定する
- 導入するSNSの特性を十分理解する
- SNSにマッチした良質なコンテンツを発信
- 日々情報収集する
- 分析・改善を行いながらSNSマーケティング戦略を立てる
- (商材やターゲットにあわせた)複数のSNSを活用する
さまざまなSNSサービスがある現在、利用者の属性や利用目的の違いを理解した上で、サービスを活用することが必要です。
例えば、30~40代を中心としたユーザー層を持ち、実名登録が必要なFacebook、若い女性を中心に多く利用されているInstagram。面白い投稿で注目されることの多いTwitterは、若いユーザーも多いですが、長文の投稿は好まれません。
各SNSの特徴を把握し、その特徴に合った良質なコンテンツを提供することが重要です。また、投稿した内容に対するユーザーの反応をデータで分析し、必要であれば改善しながら戦略を練ることも欠かせません。
それぞれ特色の異なるSNSを活用するSNSマーケティングを行う際には、1つのSNSだけでなく複数のSNSを使い分けることも有効です。
まとめ
SNSマーケティングは、低コストで実践できるメディアでありながら、質の高いコミュニケーションの場を提供し、いわゆる広告とは異なり好意的に捉えられやすいのが特徴です。
幅広い世代に利用されているSNSだからこそ、自社の商品に合ったSNSを選び、ターゲットに合わせた速度でコンテンツを発信できるのがSNSマーケティングです。
今やマーケティングに欠かせないツールとなりつつあるSNSですが、良質なコンテンツを発信し続けることで、より確実に消費者とのエンゲージメントを高めていくことが期待できそうです。