TMS(輸配送管理システム)とは

宅配便

物流を格段に効率化するツールに「TMS(輸配送管理システム)」があります。物流コストの実に7割近くを占めるといわれるのが、「輸送と配送」です。生産品を物流倉庫に届け、それらを別のトラックが積み込んで目的やエリア別に配送、さらに卸売業者や仲介業者を経由して小売店や飲食店、企業や個人宅に送り届ける。このプロセスで必要なトラックの手配やリース・購入・整備にかかる費用、ドライバーの人件費および燃料コストなどには、トータルで相当額の予算と多くの時間が、必要となります。逆を言えば、上記の工程で効率化が実現すれば、大幅なコストカットと時短や人手不足解消効果が期待できる、と考えてよいでしょう。これを可能にするのが、TMSなのです。

そこで今回は、TMS(輸配送管理システム)についての基本知識と必要とされている背景や主な機能、サービスを選択するうえでのポイントについて解説します。

TMS(輸配送管理システム)とは

輸送管理システム:TMS(Transport Management System)とは、配車、配送計画、積載計画、進捗管理、運賃管理など、輸配送プロセスをトータル管理するツールのことです。一般に、運送会社は自社でシステムを開発・構築せず、ベンダーから提供されたソフトウェアを自社用にカスタマイズして使用しています。従来、輸配送に関わる様々な業務は、別々のシステム、別々の担当者で別々に行われることが多かったです。しかし、シーンごとに必要なトラックの大きさや台数の見積もり、手配のタイミング、積み込み方法、配送ルートの選定などは、担当者の勘や経験、考え方によって異なり、トータルで見ると大きなコストと時間の無駄が発生していました。

TMSは、これらのバラバラな業務を一つのシステムで管理し、上記の業務に加え、運賃計算・請求からドライバーへの日報の自動作成までを自動化し、業務の効率化とコストダウンに貢献します。

物流で使われるシステムとして、他にWMS(倉庫管理システム)などがあります。

TMS(輸配送管理システム)の機能

TMS(輸配送管理システム)の主な機能について解説いたします。

1.配車・配送計画の作成

各オーダーに対して、納品先や時間、荷物の量などを入力するだけで、車両のサイズや台数を計算し、交通状況を考慮した配送ルートや順番を提案することができます。

2.積付計画の作成

貨物の積み込み方法は、熟練ドライバーと新人の間で効率に大きな差が出るところです。しかし、TMSを使えば、3Dパズルのように荷台スペースに貨物の大きさを当てはめて最適な積載方法を算出することができ、効率的な輸送と非属人化を実現することができます。

3.運行状況の把握

GPSを使ってオペレーターが道路状況をリアルタイムで把握し、ルート変更が必要であればオンラインによるドライバーへの指示が可能です。すべての荷物をどの車両に積載しているか、そしてどこを走行中かが、常に把握できるので、顧客からの荷物に関する問い合わせにも無理なく応えることができるでしょう。

4.運賃管理

運賃は、季節や地域、運送距離などにより細やかに変化します。TMSを使えば、車両ごとに異なる複雑な運賃計算や料金体系の変更にも柔軟に対応できるうえ、自動計算が可能です。請求書の発行も自動化できるので、手間も時間も大幅に削減できるでしょう。

TMS(輸配送管理システム)が必要とされる背景

TMS(輸配送管理システム)が必要とされる背景について、さらに詳しく掘り下げましょう。

車両手配の効率化が必要

物流倉庫では、トラックが到着しても荷受け体制が整っていなかったり、出荷準備ができていてもトラックが遅れていたり、といったことが日常茶飯事です。これらがドライバーの長時間労働や配送遅延といった重大な問題の原因となりかねません。

積載効率の向上が必要

国土交通省の調査では、トラックの積載効率の平均は約40%といわれています。つまり、半分以上は空という非常に効率の悪い状態で、多くのトラックが、運行しているわけです。これは効率の問題だけでなく、荷物の偏りによる横転事故にもつながるため、大変危険です。もし積載効率を80%に引き上げることができれば、単純計算でトラックの数は半分で済むでしょう。

運行状況の把握が必要

事故や渋滞、イベント開催により、ルート変更が必要でも、それらの情報を把握できなかったり、できてもドライバーの居場所が分からなかったりして、結局非効率な配送ルートを選択してしまうことがあります。そこで、その日、その時間帯の最良のルートや配送順を計算の上、オペレーターとドライバーで情報共有できれば、ドライバーの労働時間短縮や配送スピードの向上が実現するでしょう。

属人化の解消が必要

トラックの手配、配送ルートや積載効率の計算、請求書の発行と請求手続きなどは、どうしてもベテラン社員の勘や処理能力に頼ることが、多くなります。するとその人たちが不在や退職といった際には、たちまち業務に支障をきたします。このような事態を回避するためには、属人化を解消するシステムを構築する必要があるのです。

TMSを選ぶ際のポイント

最後に数あるTMSの中から最適なサービスを選択するためのポイントを説明しましょう。

必要な機能で絞る

TMS導入にあたっては、まず社内で徹底したヒアリングを行い、問題点や不満、ストレス度の高い業務が何かを明確にします。その上で改善効果の上がるポイントを確実に把握する必要があるでしょう。

問題が浮き彫りになったら、どの機能を最優先すべきかを決めましょう。最初から一つの業者に絞らず、目的が叶い、かつ傾向の違う複数のサービスを比較することも忘れないでください。

クラウドサービスを利用する

TMSの多くはクラウド化されています。自社サーバーの設置は膨大な予算とスペースの確保が必要で、クラウドのように仕様変更が容易にできません。よって、導入が早くて楽、メンテナンスも必要ないクラウド型を前提とするのが、おすすめです。

互換性・操作性を確認する

先ほど、社内のヒアリングについて述べましたが、その際に、各業務がどのようなシステムで動いているかを詳しく調べることも必要です。新たなシステムに従来のデータを活用できるのか、互換性はどうかをくまなく調査します。操作についてもあまりに複雑なものは、属人化を招くおそれがあり、TMSを導入する意味がなくなります。ある程度の研修と実地訓練でだれでも使えるという操作性の良さで、作業の平準化が実現することを目指すのがよいでしょう。

まとめ

物流の効率化や利益最大化を目指すなら、各業務をぶつ切りにせずトータルでソリューションを追求する姿勢が、不可欠です。そのために大変有効なのが、TMS(輸配送管理システム)です。長年培ってきた馴染みの深い環境を大きく変化させるのは、勇気も手間も費用もかかります。しかし、物流需要の激増、ドライバーの高齢化や人手不足、激化する輸配送サービス合戦などに対応しようと思えば、一日も早く思いきったDXを推進する必要があるでしょう。

ぜひ、自社に最適なTMSを導入して、ライバルに負けない競争力を手に入れてください。

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