トレーサビリティとは?意味や仕組みを解説

トレーサビリティ(Traceability)とは、原材料の調達から製造、輸送、販売、消費、そしてその後の廃棄・リサイクルまでの過程を追跡できることを指します。主に製造業や販売業、物流業などで、製品やその原材料の流通経路の履歴を記録し、詳細に追跡・管理するために利用されています。

「Trace(追跡)」と「Ability(可能)」という意味の2つの単語を組み合わせています。

トレーサビリティは、流通経路や各工程で「誰が」「いつ」「どこで」「何をしたのか」をリアルタイムに把握し、関係者間で共有したり、必要に応じて公開することで、透明性や信頼性を高め、製品のトラブル原因調査や異物混入などの犯罪防止に大きな役割を果たしています。

トレーサビリティの利用法

在庫

トレーサビリティには、具体的に「トレースフォワード」と「トレースバック」という2つの利用法があります。

トレースフォワード

トレースフォワード(追跡)とは、何らかの問題が製造過程で発覚した際に、問題のある商品がそこから消費者にいたるどの部分にまで波及したかを把握し、回収のうえ、補償の必要性を明確にする方法です。

トレースバック

トレースバック(遡及)とは、逆に、消費者側に近い方から問題が生じた際にどの過程で異常があったかを遡って調査する利用法です。

トレーサビリティの種類

サプライチェーン

トレーサビリティには、「チェーントレーサビリティ」と「内部トレーサビリティ」の2種類があります。

1. チェーントレーサビリティ

原材料の調達から製造、流通、加工、販売といったサプライチェーン上で関わりのある商社やメーカー、倉庫業者、運送業者、小売店などが、共同で構築、活用するトレーサビリティを「チェーントレーサビリティ」といいます。データは消費者に公開されることもあり、透明性や安全性をアピールする役割をもちます。

2. 内部トレーサビリティ

単体やグループ企業内で、生産から加工、組み立て、在庫保管、販売といった流れを管理したり工場内での生産管理を行ったりするためのトレーサビリティを「内部トレーサビリティ」といいます。問題の早期発見、作業効率や品質の向上に役立ちます。

トレーサビリティが必要な理由

トレーサビリティの考え方が必要とされる理由には、以下のことが挙げられます。

1. 品質トラブルへの迅速な対処

生産過程で製品の破損や予測不可能な異物混入といったトラブルが生じたり、消費者から製品についてのクレームがあったりした際の原因究明と再発防止に役立ちます。気付かずに放置しておくと被害が拡大する恐れがあるので、リアルタイムで全工程を把握できる意義は非常に大きいといえるでしょう。

2. 異物混入などの犯罪防止

トレーサビリティは、悪意をもった者の故意による異物混入や、製品や材料の盗難が起きた場合の原因究明に役立ちます。加えて、それらを可能にするトレーサビリティの存在が、犯罪抑止に寄与することも大いに考えられます。

3. 歩留り向上

トレーサビリティにより作業効率がよくなり、高レベルの品質管理が実現することによって、歩留りの向上が期待できます。

4. ブランド価値の向上

トレーサビリティによって透明性と安全性をアピールできると、企業やブランドに対する信頼度が高まり、収益向上につながると考えられます。

トレーサビリティの課題

続いて、トレーサビリティの課題について見ていきましょう。

1. 見解を統一するのに手間がかかる

とくにチェーントレーサビリティの場合は、他の企業同士や同業界内、組合など、規模も企業文化も異なる複数の組織が、トレース(追跡)に対する考え方やシステムの構築方法について見解を一致させる必要があります。そのため、構想から実際にトレーサビリティを実施する段階にまで漕ぎ着けるには、それなりの時間と手間がかかるでしょう。

2. データ改ざんリスク

複数の企業やメンバーがデータを入力したり修正したりできる体制では、データ改ざんが行われる可能性があります。それに適宜気付けるか、あるいは改ざんそのものが不可能となるメカニズムの構築が課題となります。

3. 不正利用

複数企業やメンバーが閲覧できるため、悪意のある第三者にデータが漏洩すると不正に利用される恐れがあります。

ブロックチェーンの活用

現在、トレーサビリティに関しては、あらゆる産業でブロックチェーンが活用されています。

ブロックチェーンの大きな特徴は、中央の管理者やクライアントサーバーが存在せず、複数の端末それぞれが直接通信を行います。ノードと呼ばれるすべての端末は1対1で接続されながら、データベースにブロック状のかたまりとして登録されたすべてのデータを共有することができます。複雑な暗号により管理されたデータは、一度書き込まれると永遠に消滅することはなく、全端末の承認を得なければ修正もできないため、透明性、非改ざん性、安全性、信頼性が担保されたトレーサビリティの構築が、可能となるのです。

ブロックチェーンの導入が進めば、多くの産業や地域で優れたトレーサビリティが実現し、これまで不可能だった経済・社会問題の解決が大きく進むことが期待されます。

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