
ECを手掛ける事業者が増えたことを受け、この市場で勝ち進んでいくには、他社との差別化も重要性を増しています。
ECで注文した商品が顧客の手元に届いたとき、もっとも重要なのは「開封直後のファーストインプレッション」です。当記事では、顧客の購入体験・満足度向上になぜ梱包が重要なのか、また顧客から喜ばれる梱包のコツなどわかりやすくお伝えしてまいります。
EC事業者としての成長に欠かせないポイントになりますので、ぜひご一読ください。
目次
EC事業の梱包の重要性と役割
高品質・丁寧・迅速な梱包を実現できると、以下に好影響を及ぼします。
- ブランドイメージの向上
- 配送中の損傷リスクの低減
- 物流効率化によるコストの無駄を削減
- 丁寧かつ迅速な対応で他社との差別化
- 顧客満足度向上によるリピーター獲得
梱包は、ECで受注した商品の品質を保ち、顧客の手元に商品を届けることが主目的ですが、役割はこの範囲にとどまりません。顧客の購入体験を向上させ、満足度を高め、ひいてはリピーター獲得にもつながる重要な役割もになっています。
あわせて難しいのが「消費者の環境問題への意識の高まり」も意識しなくてはならず、丁寧でありながら最適化された梱包を実現することも求められる時勢であることです。
購入体験を向上させるには、梱包を開けたときの見た目・開封しやすさと、無駄なごみの少ないことが重要ですが、あわせて同梱物にも注目が集まっています。また、迅速な発送でスピーディーに注文した商品を手にすることができる、ということも必要不可欠な時代ですから、梱包作業の効率化も重要なポイントです。
EC事業の梱包における5つの課題
EC事業者が最適で効率的な梱包を実現するうえで、課題となりがちな4つの点を見ていきましょう。
- SGDsへの対応
- 梱包作業の効率化とコストダウン
- 取り扱う商品種類・形状の煩雑化への適応
- 梱包増加に耐えうる安定した人材確保
- 同梱作業
それぞれ掘り下げて解説していきます。
1.SGDsへの対応
環境問題への意識はここ数年で大幅に高まり、企業運営にも大きな影響を及ぼしています。
EC事業において必要不可欠な梱包、梱包するための梱包資材にも注目が集まっており、「安全に商品を届けるための必要最低限を実現するにはどうすべきか」に頭を悩ます事業者は少なくありません。
エコ梱包として商品パッケージ内で保護が適切に行われているものは、そのまま配送伝票を貼付し配送するケースもあります。また、近年では「シェアバッグ」という、使い捨てずに使いまわせる外装材も注目されており、リユースした消費者にクーポンを付与するなど行う企業もあります。
とはいえ、ECは商品により大きさ・重さ・形状にはばらつきがあり、「これを使えば問題ない」といえるものが見つかるとは限りません。シェアバッグを使うとしても、中で商品をどのように保護するか検討が必要でしょう。
環境問題と、無事に商品を届ける目的を両立させるということは大きな課題といえるでしょう。
2.梱包作業の効率化とコストダウン
梱包作業に限らず、丁寧な作業を行うには時間と労力が一定以上必要になるものですが、いかに省人化し効率化するかでコストは大きく変わります。
さまざまな商品に最適な梱包方法を定めたマニュアルを策定するのも労力が必要で、従業員への教育を浸透させるにも時間とコストがかかるもの。このため、自社内製はやめ、物流代行業者に委託する企業も増えているのです。
3.取り扱う商品種類・形状の煩雑化への適応
EC梱包で最も難しいのは、取り扱う商品の形状・大きさ・重量も煩雑で、定例的な扱いではすべての商品を万全の状態で配送するのは難しいことでしょう。環境問題への配慮も含め、リサイクルできる紙製の緩衝材なども登場しています。緩衝材を使わずにすむ、ハニカムクッション封筒を使うケースも増加中です。
商品に最適な梱包を効率よく行うことを考えると、最善は取り扱う商品全体を見回して汎用的に使え、容易に商品を守れる緩衝材を使うことでしょう。汎用化が難しい場合には、いくつかの緩衝材を見繕い、マニュアルで「この商品群はこれを、こちらの商品群にはこれを」と定めて従業員教育することも有効です。
スピードが求められる時代にEC事業者として消費者から指示を受け続けるには、こうした工夫をもって効率化することも重要です。
4.梱包増加に耐えうる安定した人材確保
EC事業が波に乗り、毎日・毎月の出荷数が増加すると、梱包を担当する人員増員も視野に入ってくるでしょう。ただし、取り扱う商品ジャンルにより繁忙期と閑散期、通常期の差が激しく安定した人材確保が難しいケースもあります。
繁忙期に合わせて人材確保してしまえば、閑散期には人が余ってしまいます。波が激しい場合で自社内製するには、繁忙期にはスポット増員することも有効策ではあるものの、梱包業務の教育を増加メンバーに行う手間とコストもかさみます。こうした人材面での課題も大きいことも、要検討事項です。
5.同梱作業
梱包時に顧客の購入体験を向上できるよう同梱する企業は増えています。同梱物のにより、ブランディングにも大きく好影響を及ぼすことがわかっているためです。
同梱物のトレンドとしては、サンキューレターと呼ばれる「購入に対する感謝を伝えるメッセージ」や、あわせて使うとおすすめのアイテムのサンプルや、購入商品の活用方法を記載したものなどが挙げられます。
同梱物の有無で開封時の印象は大きく変わることは、みなさん消費者としての体験でご理解いただけるでしょう。嬉しいと感じられるものが同梱されていたら、「このショップは今後も使ってみようか」と考えるきっかけにもなります。
こうしたきめ細やかな同梱はEC事業拡大に欠かせないものの、対応可否・人員確保と教育が課題として大きくのしかかる企業も少なくありません。
細やかな同梱作業にも対応している物流代行業者は多くはないため、代行委託する場合には「どのような同梱作業が必要なのか」明確にしたうえで、対応可能な業者を探す必要があります。
顧客満足度向上につながった同梱事例
どのような同梱が顧客満足度・購入体験の向上につながっているか、事例をいくつかご紹介します。
ZOZOTOWN
ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」では過去に、食べログと共同で行った「ワンコインランチブック」のような「おまけ」を同梱する企画を成功させています。
ワンコインランチブック企画では、購入者に同梱した冊子の持ち込みで500円割引が受けられるというもの。これにより顧客育成し、顧客のファン化を実現しました。
BASEFOOD
おしゃれ感ある完全栄養食を提供するメーカーとして定着しつつある、BASEFOODでは、定期購入者に「BASE FOOD JOURNAL」という冊子を同梱しています。
この冊子には、おいしい食べ方だけでなく、開発者の声、利用しているユーザーへのインタビューなどを掲載し、自社により興味を持ってもらい、魅力を再発見してもらえる工夫を行い、エンゲージメント向上・ファン化に繋げています。
その他の同梱アイディア
ファッションブランドでは、「着こなしの提案カード」を同梱することで、購入した商品をより活用できる情報発信を行うケースもあります。あわせると魅力倍増するアイテムの紹介なども行うと、リピート購入を促す効果も得られるでしょう。
また化粧品ブランドで、肌質に合わせたトライアルキットを同梱することで、自分だけのスキンケア方法を提案するケースもあります。製薬会社で知られる「エーザイ」も、汎用的な同梱をやめ、ユーザー個人のニーズをくみ取ることを強化し、需要があるであろう商品のサンプルを同梱する方針に切り替えています。
このような、ユーザー全体でなく、ユーザー個人を見た丁寧な同梱物の選定も、顧客のファン化や顧客育成に大きく寄与しているのです。
EC梱包で購入体験・満足度を向上させるコツ
購入体験・顧客満足度を高められる梱包が実現すれば、ブランド力強化につながりリピーター獲得にも効果的です。以下の2つのコツを抑えていただくと効果的ですので、チェックしていきましょう。
ファーストインプレッションを重視する
第一印象が大事、というのは人に限ったことではありません。EC事業におけるファーストインプレッションは開封時です。この時の記憶・イメージはとても重要で、購入体験・顧客満足度に大きく影響するもの。
開けた瞬間の見た目を意識した梱包であることも重要です。例えば、「開封したら真っ先に丁寧に扱われたことがわかり、真っ先に目に入ってくるのがサンキューレターであった」場合と、「環境を意識していることはわかるが、必要最低限度の緩衝材などとともに、とりあえず商品が入っているだけ」のショップを比較したら、どちらでリピートしたいか考えてみるとわかりやすいです。
こうした購入体験が良いものであれば、ブランディング向上にもつながり、口コミや日常的な会話でおすすめされるなどして、広告効果も見込めます。自社デザインの外装材を使い、さりげない広告効果を狙うこともできますが、こうした工夫でより効果的な広告効果も見込めるのです。
梱包資材最適化で梱包オペレーションを最適化・効率化する
商品が無駄に感じられるほど厳重に緩衝材で守られているのは、一見丁寧に見えるかもしれませんが。ですが環境問題への意識が高まった今、「無駄」とネガティブにとらえるユーザのほうが多いのではないでしょうか。
スピーディーに最適な梱包方法を選択できるようにすることが、効率的な梱包オペレーションにつながるのはいうまでもないでしょう。使い勝手の良い汎用的な緩衝材を含め、いくつかの緩衝材を準備しておき、ケースバイケースで使い分けられるようにするのも有効です。
あわせて、商品や商品の包装の強度にあわせた最適化された外装材もパターン化しておくと、サステナブルかつ効率的で、無駄のない梱包作業をスムーズに実現できます。
EC梱包は開封時の満足度が重要
EC梱包において最も意識すべきポイントは、購入体験に直結する「開封時の満足度を高めること」にあります。
ここを意識し、時勢も踏まえ環境問題にも配慮しつつ、可能な限りユーザー個人のニーズにかなう同梱物を同梱できれば、開封時の印象がポジティブなものになります。
あわせて配送のスピード感も重視される今だからこそ、最適化された配送を実現しうる梱包作業を行うため、自社内製にこだわりすぎず、必要に応じて代行業者への委託を検討するのもおすすめです。
弊社ではEC物流代行サービスを手がけています。土日祝日の出荷にも対応しており、スピーディーな配送を実現するため出荷キャパも250万点、保管料も低価格に抑えています。
同梱作業も承っておりますので、高品質で満足度の高い梱包作業の委託先をお探しでしたら、ぜひ一度お気軽にご相談ください。