クラウドファンディングにかかる税金を解説!確定申告は必要?注意点や控除手続きの手順も

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新ビジネスをスタートしたり、新商品を開発したりする資金を確保するためにクラウドファンディングは便利なシステムです。しかし、クラウドファンディングで集めた資金にかかる税金や会計処理について気になっている人もいるでしょう。

「クラウドファンディングで得たお金は課税の対象になるのか。」
「クラウドファンディングの種類ごとに、会計処理方法はどうなるんだろう。」

このように、プロジェクト成功後の税務関係について不安を感じる人もいます。では、3つのタイプ別にかかる税金や控除手続きの方法などについて解説しましょう。個人でクラウドファンディングを活用する方も、確定申告について説明しているので、ぜひチェックなさってください。

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クラウドファンディングでかかる税金をタイプ別に解説

クラウドファンディングで資金を調達したいけど、集まったお金にかかる税金について疑問をもつ人は多いでしょう。税金の課税対象なのか、という問いに関する答えは「YES」です。

プロジェクトを支援するためのお金が振り込まれた時点で、全ての資金が課税対象です。ただし、税金の種類や課税率はクラウドファンディングの種類によって違うので、自分または自社が活用する種類に応じた知識を身に付けておく必要があります。

クラウドファンディングでかかる税金の種類を表で一挙紹介

クラウドファンディングの種類を細かく分けると、主に購入型・寄附型・融資型・ファンド型・株式型の5種類となります。

株式型個人所得税・法人税
融資型
ファンド型
寄附型(個人→個人)贈与税
寄附型(法人→個人)個人所得税
寄附型(個人→法人)法人税
寄附型(法人→法人)法人税
購入型個人所得税・法人税

表では、5種類のクラウドファンディングそれぞれで起案者にかかる税金について紹介しました。

ただし、税金について考えるとき、クラウドファンディングの種類は基本的に購入型・寄附型・金融型の3つに分けられます。では、それぞれの税金や会計処理について解説しましょう。

購入型クラウドファンディングの税金・会計処理

購入型クラウドファンディングは、支援者から資金を募り、商品やサービスをリターンする仕組みです。会計上、通常の売買と変わらないため支援金は売上に相当します。つまり、得た資金は所得税と法人税の課税対象です。ただし、プラットフォームを利用するための手数料は経費として報告できます。

起案者が個人ではなく、法人の場合はクラウドファンディングのリターンで提供する商品・サービスが試作品にあたります。予定している商品の販売価格に支援額が上乗せされているため、市場価格と異なる差額が寄附扱いされるケースに注意しましょう。受増益として会計処理した場合は、法人税が割高になります。

寄附型クラウドファンディングの税金・会計処理

寄附型クラウドファンディングは、商品やサービスではなく手紙や写真のリターンでお礼を伝えます。ですから、購入型クラウドファンディングとは違い、売買にはなりません。

プロジェクトの起案者が企業や法人の場合は、支援金が受増益にあたるため法人税が貸されます。リターンを用意するためにかかった費用は経費として報告できるので覚えておきましょう。

個人がプロジェクトを起案した場合は、支援者が個人か法人かによって税金が異なります。個人が寄附する場合の支援金は贈与となるため贈与税が課せられますが、年間贈与額は110万円以下なら税金処理は必要ありません。申告する場合、個人起案のプロジェクトはリターンの制作費やプラットフォームの手数料を経費にできないので注意してください。

法人が寄附した場合は、個人が一時所得を得た扱いになるため所得税がかかります。

融資型クラウドファンディングの税金・会計処理

融資型クラウドファンディングは、プロジェクトを実行するための融資を募るため、利息を含めたリターンを用意しなければなりません。クラウドファンディングで調達した資金は、利益ではなく借入金として扱われます。

実行したプロジェクトが成功して得た利益は、法人なら法人税、個人事業主なら所得税の課税対象です。

ファンド型や株式型のクラウドファンディングは新株発行がリターンとなるため、法人は収益、個人事業主は雑所得となるので覚えておきましょう。

クラウドファンディングの税金に関する注意点

クラウドファンディングによって得た支援金は、売上や利益として計上されるため税金が課されます。税金をきちんと支払うのはもちろんですが、起案者の状況によってはより注意が必要なケースも理解しておきましょう。

クラウドファンディング起案者が課税事業者の場合

クラウドファンディングの起案者が課税事業主の場合、支援金に消費税が課されます。もし、200万円の資金を調達した場合、10%の消費税がかかるため実際の資金は180万円です。ですから、消費税の差し引き金額も考慮に入れた上で達成したい目標金額を設定する必要があります。

起案前は免税事業者であっても、クラウドファンディングでプロジェクトが成功して支援金と売り上げの合計が1,000万円を超えると2年後からは課税事業者になります。

ただし、支援金が利益に計上されず受増益となる寄付金型クラウドファンディングでは、消費税がかかることはありません。

リターンが遂行できない場合

クラウドファンディングで起案したプロジェクトが必ずしも成功するとは限りません。思ったより資金が集まらなかったり、商品やサービスの販売にまでいたらなかったりするケースもあります。プロジェクトが失敗に終わり、予定していたリターンを用意できない場合もあるでしょう。

クラウドファンディングでは支援金を受け取っただけでは、プロジェクトの成立にはなりません。「前受金」として資金を調達しているため、成功すれば売上に振り替えて処理します。失敗した場合は支援者にお金を返金するため「前受金」を取り消す処理が必要です。All in型など、支援金の返金が必要ない場合は「前受金」から「受増益」に振り替えて会計処理が行われます。

クラウドファンディングで確定申告が必要なパターン

確定申告とは、自分の所得や所得税を計算して税務署に申告する手続きです。給与所得のみの方を除いて、すべての国民が確定申告する必要があります。クラウドファンディングも、資金調達すると収入とみなされる場合があるため確定申告が必要です。

  • 20万円以上の資金調達時には確定申告が必要
  • クラウドファンディング以外に収入がなく20万円以下の資金調達であれば確定申告は不要

個人がクラウドファンディングで起案した場合、支援金は雑所得となります。しかし、給与所得や退職所得以外の所得の合計額が20万円以下の場合は確定申告をする必要がありません。ですから、クラウドファンディングにより得た支援金が20万円以下で、それ以外の収入がないなら確定申告は不要です。

ただし、20万円以上の支援金を調達したプロジェクトの起案者は法人・個人に関わりなく申告が必要です。

購入型クラウドファンディングを活用した場合は、どのタイミングで資金を売上として処理するかがポイント。入金時に売上としてみなすのか、プロジェクトが完成してリターンが完了した段階まで待つのかは慎重に考慮しましょう。

確定申告時に経費として計上できるもの

確定申告の際は必要経費も計算しましょう。クラウドファンディングでは、次のような費用は経費に計上できます。

  • サイトの運営者に支払う手数料
  • サービス提供のために必要だった費用
  • プロバイダ料金
  • 通信料
  • リターンの郵送料
  • 書籍購入費用
  • セミナーや交流会の参加費・交通費
  • 事業用家賃・電気料金
  • パソコン等の備品・消耗品

生活費や医療費、国民健康保険や年金などは経費に該当しません。

クラウドファンディングで資金を調達して20万円以上の売上や雑所得を得たなら、きちんと確定申告を行ないましょう。

寄附型クラウドファンディングは控除対象

クラウドファンディングでかかる税金について知ると、できるだけかかる税額をおさえる方法も気になるでしょう。クラウドファンディングの種類によっては、控除対象になる場合があります。

寄附型クラウドファンディングが寄付金控除や政党等寄附金特別控除の対象です。確定申告の際には、それぞれの控除が適用された場合の計算をして有利な方を選べます。ただし、プロジェクトの内容によっては寄附控除の対象とならないので注意してください。

では、寄附控除それぞれの概要と、控除を受けるために方法について解説します。

寄附金控除

以下の団体への寄附型クラウドファンディングでの支援金は、寄付金控除に該当します。

  • 国や地方公共団体
  • 公益社団法人・公益財団法人
  • 独立行政法人
  • 地方独立行政法人のうち、当該法人の主たる目的である業務部分
  • 日本司法支援センター、自動車安全運転センター、日本私立学校振興・共済事業団及び日本赤十字社
  • 学校法人
  • 国立大学法人及び公立大学法人
  • 社会福祉法人
  • 更生保護法人
  • 認定特定公益信託
  • 認定特定非営利法人(認定NPO法人)に対する寄付金のうち一定のもの
  • 政治活動に関する寄附金のうち一定のもの

出典:マネーフォワード クラウド給与「所得税で認められる寄付金控除の範囲とは?

寄付金控除を選択した場合は、次のように計算します。

税額=(総収入-寄付金控除)×税率

寄付金控除額は、前年1月1日から12月31日までに受領された支援金額から2,000円を差し引いたものです。ただし、寄附金として認められるのは所得金額の40%相当。また、控除額は所得税の25%が上限として定められています。

政党等寄附金特別控除

政党や政治資金団体の政治活動を支援するために支払った寄附金については、寄付金控除または政党等寄附金特別控除を受けられます。ただし、支援金については政治資金規正法第12条や第17条の規定に沿って報告されたもののみが適用されるので注意してください。

政党等寄附金特別控除額が次のように計算します。

(1年間で支払った政党等に対する寄附金合計額-2,000円)×30%

なお、100円未満の端数は切り捨てます。寄附金は年間総所得の40%相当と上限が定められているので注意しましょう。また、政党等寄附金特別控除を利用する場合は、寄付金控除は受けられません。

寄附金控除を受けるための手続き手順

では、クラウドファンディングを利用して寄付金控除を受けるにはどうしたらよいのでしょうか。具体的な手順を解説します。

<クラウドファンディングの寄付金控除で税金を節約する手順>

  1. 必要書類を受け取る
  2. 確定申告書を作成する
  3. 必要書類とともに確定申告書を提出
  4. 還付金を受け取る

確定申告で寄付金控除を利用するには、寄附金の受領書が必要です。ですから、受領書を入手したら翌年の確定申告まで大事に保管しておきましょう。また、会社員で給与がある場合は源泉徴収票も必要ですので受け取ってください。

確定申告書に必要事項を記入し、必要書類とともに税務署へ提出します。政党等寄附金特別控除を受けるには、認定NPO法人等寄附金特別控除額の計算証明書の提出も必要な場合があるのでチェックしておきましょう。

確定申告の内容が受理されれば、1〜2ヶ月ほどで還付金が振り込まれます。

加えて、ふるさと納税クラウドファンディングも寄付金控除の対象ですが、確定申告をしなくてもワンストップ特例制度を活用すれば住民税の控除を期待できます。ただし、6自治体以上に寄附すると特例が適用されません。

税金について正しく理解してクラウドファンディングを活用しよう

クラウドファンディングでは種類によってかかる税金が違います。支援者や起案者が個人か法人かによっても異なるため、自分や自社が活用するクラウドファンディングの種類と税金について正しく把握しておきましょう。

寄付金控除や寄附金特別控除を受けられるクラウドファンディングもあるので、支援者となって税金対策することも可能です。会計処理や確定申告などについて知っておくことで、よりクラウドファンディングを活用しやすくなるでしょう。

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