MOQ、SPQ、SNP と、この3つの言葉は、日本のメーカーの受発注業務や海外メーカーとのやり取りで使われることが多くなってきました。
一見するとどれも似ていて、どれがどれだかわからなくなる方もいらっしゃるかもしれません。この3つの言葉は、受発注業務の効率化だけでなく、製造・物流業務の効率化、無駄なコストやロスの削減にもつながります。
意味を勘違いしていると、大きな失敗につながることも!?
そんなことにならないように、ここでは3つの言葉の意味を解説するとともに、これらの記述の様々な読み方、理解の仕方、記載された場合の注意点などをまとめています。
倉庫・物流業務を委託したい方へ
目次
MOQ、SPQ、SNPとは?
MOQ・SPQ・SNP、それぞれ何を表すものなのか解説いたします。
MOQとは
MOQは、Minimum Order Quantityのことで、最小発注数量を示しています。
つまり『この数量以上でなければ注文は受け付けられません』という数量を明示します。
例えば、「MOQ:250」となっていれば注文は250個以上で受け付けますという意味になります。
輸送・製造・保管にかかるコストや業務負担の効率化のために設定する単位です。
SPQとは
SPQは、Standard Packing Quantityのことで、最小発注単位を示しています。
『1パッケージに含まれる商品の数』を示すものですが、これが、発注時の最小単位となる点に注意しましょう。
例えば「SPQ:200pcs」となっていたら、200個を1単位として注文することとなります。
これもMOQと同じく、製造・管理・輸送のコストや業務効率化のために設定されているもので、SPQの記載が100となっている物を105個欲しい、となると、2単位注文するか、高値で半端分の5個を購入可能か交渉することもあります。
SNPとは
SNPは、Standard Number of Packageのことで、出荷梱包単位を示しています。
「出荷時の1梱包におさめられている商品の数」を明示するときに用いられ、例えば「SNP:25pcs」と記載がある場合には1梱包あたり25個の商品が含まれているということになります。
輸送コスト・効率の関係でこれがSPQと同じような意味合いで使われることもあります。
MOQ、SPQ、SNPの違い
MOQ(最小発注数量)・SPQ(最小発注単位)の違いはどちらも注文を受ける際の最小ラインを示すことは同じですが、個数を示すのがMOQ、(1箱・1パッケージなど)まとまりで表現するのがSPQです。
SNP(出荷梱包単位)はあくまで輸送時のコストや業務負担を効率化する目的で設定する数値で、最小発注ラインではなく出荷時の1梱包あたりの数量を示したものでしたね。
MOQとSPQは輸送面だけでなく製造・保管の際の業務効率・生産効率をUPさせる目的であることに対してSNPは輸送時のコスト・業務効率を考えて設定するものという違いもあります。
MOQ・SPQが併記されている場合はこう読み解く
MOQ/SPQは併記されている場合もあります。その場合の読み解き方は以下です。
【例①】MOQ/SPQ:100/100
これはMOQ=100、SPQ=100という意味合いで併記されているものですから「発注は最小で100から、1パック100個入なので100個単位で注文してくださいね」という意味です。
この記載がある場合に350個必要であるなら、3パック注文するか、もしくは2パックと別途50個の購入が可能か交渉することになります。
【例②】MOQ/SPQ:1000/200
例②のケースでは、MOQ=1000、SPQ=200という意味合いです。つまり、「発注は1000個以上から受け付けますが、1パック200個入りなので200個単位で注文してください」ということです。
このような記載がある場合に1400個注文するなら、7パック注文すればよいということになります。
1000個未満は(基本的には)注文できませんが、1300個欲しい場合には100個余る前提で7パック注文する、ということです。
MOQ・SPQの記載がある・する場合に気を付けるべきポイント
MOQ・SPQ・SNPといった記載がある場合に気を付けておくべきポイントもあります。
発注する側であればまず、『発注する際条件をくずして注文できるのか、その場合はどのような条件となるのか』をまず確認しておくようにしましょう。
受注側である場合には、MOQ・SPQ・SNPの数字を明示した上で交渉するようにしましょう。
数字をしっかりと伝えた上で、条件を崩すことができる場合にはその際どのような条件になるのか、事前に伝えておくことで後々のトラブルが回避できます。
確認する際には似たような表記でもありますから、誤認してしまっていないかも含めしっかり確認することも欠かせません。
業務効率や利益の確保の観点でMOQを設定する際、最小数量を大きく設定することで売り上げを確保することはできますが、購入側の目線に立つと「最初は少量を購入して売れ行きから判断して、追加発注したい」という意思があることも意識しておくことも必要です。
多くの企業は利益が確保できるギリギリのラインで発注の最小ラインを設定しているのはこのためであることもお伝えしておきます。
まとめ
物流業界や受発注のシーンで用いられるMOQ・SPQ・SNPという3つの専門用語について解説させていただきました。それぞれが業務効率・利益確保・コストを最小化する目的で設定するものであることはご理解頂けたのではないでしょうか。
MOQ・SPQについては併記されることもありますが、その際の読み解き方についても解説いたしました。
読み違えてしまうと、想定とは違う受発注契約となってしまう事もあるこれらの専門用語について、ポイントを抑えてスムーズな受発注に役立てていただければ幸いです。