PDラベルとSCMラベルとは?PDラベル・SCMラベル導入で物流効率は大きく改善される

物流業務に求められるスピードが、格段に早くなっていることを痛感されることが多くなった現代。確実・適切・迅速な物流を実現するためには、多くの工程があり、効率化には限界があるように思われます。それでも、ネットで注文した商品が翌日には届くというのは、もはや当たり前のことです。そのため現代のスピードに対応した物流システムを実現することが生き残りのカギとなります。

本記事では、大手企業でも物流の効率化のために採用している「PDラベル」「SCMラベル」を取り上げます。この記事では、PDラベルとSCMラベルについて、その違いやメリット、使い分けについてご紹介します。

PDラベルとは?

PDラベル【Physical Distributionラベル】は、オフラインで荷物の仕分けを行う際に使用する識別用ラベルです。流通システム開発センターという財団法人により定められた規格に沿って作られ、荷物を仕分ける時に「何個口の商品なのか・そのうちの何番目の箱なのか」など目で見てどこに保管すべきものかわかるように荷物に貼付します。PDラベルを見れば行き先がわかるので、箱を開けなくても機器の使用や目視での確認が容易になり、方面別仕分けや店舗別仕分けの際、入出荷作業の効率化に利用されています。

SCMラベルとは?


SCMラベル規格
1-1.SCMラベルの概要 – 流通システム標準普及推進協議会

SCMラベル【Shipping Carton MarkingラベルまたはShipping Container Markingラベル】は、広義でPDラベルと呼ばれることもありますが、ASN(事前出荷明細情報)など荷物管理ができるデータが紐づけられたバーコードが印字されたラベルです。出荷梱包表示ラベルなどとも呼ばれます。

SCMラベルは企業間や企業内の物流管理をオンライン上で行えるようにする目的で利用されます。SCMラベルを使うことでバーコードを読み取れば、検品から出荷指示までを機械的に管理可能にするため、大幅な業務効率改善効果が期待できます。

SCMラベルのバーコードに含まれる荷物データは、企業により違いはありますが、一般的に紐づけられるものとしては以下のデータが挙げられます。

  • 発注者情報
  • 取引先情報
  • 最終納品先情報
  • 直接納品先情報
  • 商品分類情報
  • 荷物番号

SCMラベル導入の目的

SCMラベルを導入する目的には、このようなものがあります。

  • 出荷に関わる業務効率の改善
  • 出荷に関する人件費の削減
  • 伝票レス運用を適切・効率的に行うため

SCMラベルの導入はオンラインによる管理が可能なため、出荷業務の効率化や無駄な人件費の削減を実現します。SCMラベルの導入には、システム化やバーコードリーダーの購入などのイニシャルコストがかかりますが、特に大企業では、伝票レス運用の導入が容易になるため、SCMラベルのメリットは大きいと言えます。その場合、SCMラベルの導入による煩雑さを避けるため、伝票の有無にかかわらず共通業務でSCMラベルを使用し、出荷業務の効率化と業務の煩雑化を防いでいる企業もあります。

PDラベル・SCMラベルは3つのサイズがある

PDラベル・SCMラベルには以下の3つのサイズがあります。

  • Aサイズ:縦5.0センチ 横8.5センチ
  • Bサイズ:縦6.0センチ 横9.2センチ
  • Cサイズ:縦8.0センチ 横11.5センチ

PDラベル・SCMラベルを活用するメリット

PDラベル・SCMラベルを活用することで得られるメリットには、以下のようなものが挙げられます。

  • ペーパーレスで検品作業の質も向上する
  • 入出荷業務の作業効率の改善
  • 入出荷の業務負担軽減
  • 検品を含めた入出荷業務に関わる人件費の削減
  • 検品精度の向上
  • 【SCM】納品までの作業をペーパーレス・自動化できる

PDラベルとSCMラベルで同じくメリットとなるものも多くありますが、ラベルを読み取ることでより多くの作業を自動化し、確実な作業ができるようになるSCMラベルを導入することでより多くのメリットが生まれます。

SCMラベル導入による出荷業務の流れ

SCMラベルを活用することは、物流倉庫内での業務改善だけでなく、発注から納品に関わる店舗などの場所においても業務効率改善の効果が得られます。企業全体のシステムを統一し業務負担を軽減できるSCMラベルにより、自動で発注から出荷まで行うEDI(Electronic Data Interchange)を共有することで、グループ全体の製造から販売まで管理できる流通BMS(Business Message Standards)を導入することも可能になるのです。

参考記事:EDIシステムとは?物流視点でわかりやすく解説

SCMラベルを使用した出荷業務の流れ

SCMラベルを導入し出荷業務を行う場合の流れを見てみましょう。

  1. 発注者がEDI発注で物流倉庫の在庫状況をオンラインで確認
  2. 在庫があったため「発注」する
  3. 物流業者はEDI発注情報を元にピッキング指示を出し商品の確保
  4. ピッキングした商品ケースにSCMラベルを貼りバーコード読み取りによりデータ管理
  5. SCMラベルを読み取り納品先ごとに集荷された商品の検品
  6. 単品で納品する場合バーコードを読みとりデータ管理した上で出荷
  7. 混載納品の場合出荷用SCMラベルを新たに貼り、データ管理した上で出荷
  8. 出荷時のデータ管理を行ったタイミングで納品先へ発送済みの連絡・荷物番号共有
  9. 発注者のもとに到着したらSCMラベルを読み取り納品完了情報が共有される
  10. 納品先で検品が完了したらSCMラベルを読み取り入荷検品のデータ管理がされる

このように、SCMラベルを読み取るだけでデータ上の管理も行うことができるため、業務効率が大きく向上します。さらに上記で解説したようにEDI発注もあわせて活用することで、より広い範囲での業務効率が改善し、物流の質も向上させることができるのです。

SCMラベル活用事例

ここでは、アマゾンによるSCMラベルの導入事例を紹介します。

ネット通販大手のアマゾンは、1人の顧客から複数の商品の注文を多数受けます。アマゾンの倉庫は全国に点在しているため、ピッキング、梱包、出荷に時間がかかるように思われますが、そのスピード感を実現するために、同社ではこのように業務を行っています。まず、注文を受けると、保管されている商品の近くで各スタッフにピッキングの指示が出される。ピッキングされた商品はSCMラベルが貼られたコンテナに集められ、倉庫のラインを流れてくると、SCMラベルを読み取り、オーダーごとに商品をグルーピングしていく。出荷用のSCMラベルが出荷ラインの最終地点を通過すると、ラベルを読み取り、商品を出荷したことを示すデータを管理し、出荷完了をお客様にお知らせします。

巨大な倉庫を持ち、大量の商品を扱い、1日に大量の注文を受けるアマゾンでは、このようにSCMラベルを活用することで、スピーディーで確実な出荷業務を行っています。

まとめ

PDラベル・SCMラベルについて解説させていただきました。それぞれどのようなラベルかご理解いただき、御社の抱える課題や悩みを解決するために役立つラベルはどちらかもご判断いただけたのではないでしょうか。PDラベルとSCMラベルは、大きな違いは「オンライン上でのデータ管理までを自動化することができる」点にありました。また倉庫業務の効率化についてはPDラベルでも効果は期待できますが、物流業務全般において確実かつ効率的に進めたいならSCMラベルの導入がおすすめです。

こちらでお伝えした事例やメリット、導入後の作業の流れなどの情報も役立てていただき、御社の業務効率改善と業務の質の向上に役立てていただけましたら幸いです。

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