物流担当者として、現場で『理論在庫と実在庫の差異がなくならない』という問題に直面した経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
中には「理論在庫って何?」という方もいらっしゃるかも知れません。
理論在庫とは何か、理論在庫と実在庫のずれがどのようなリスクに繋がっていくのか、ということも含めて解説させていただきます。
理論在庫と実在庫にずれがでてしまうことは往々にしてありますが、企業経営に大きく関わる問題になることも。
ここでは理論在庫について理解していただきつつ、こうした経営問題に直面しないために理論在庫と実在庫のずれが発生する原因・対策についてもご紹介させていただきます。
物流担当者が知っておくべき!アウトソーシングで期待できる導入効果とは
目次
理論在庫とは
理論在庫とは、在庫管理上あるべき在庫数量を示す数字です。
伝票や帳簿、在庫管理システム上あるべき数値ですから、帳簿在庫・伝票在庫と称されることもあります。
今あるべき在庫数量ですので、適切に経営されているのであれば、実際の在庫数もこれに合致するはず、という前提で棚卸作業が行われます。
理論在庫と実在庫の違い
理論在庫に対して、「実在庫」と称されるのが、棚卸をして実際にあった在庫数量を示す数値です。
適切に在庫管理が運用されていれば「理論在庫=実在庫」となるはずですが、この2つの数値がずれてしまうことに悩む企業が多くあります。
棚卸差異とは理論在庫と実在庫のずれ
理論在庫と実在庫がずれることを、「棚卸差異」と表現します。
詳しくは、理論在庫<実在庫という状況を「棚卸差益」、理論在庫>実在庫となっている状況を「棚卸差損」と表します。
もちろん「差益」と表現していても、利益になるものではありません。
棚卸差異が発生していると、様々な問題に繋がっていきますから、棚卸差異がでないよう、理論在庫と実在庫の数量を極力揃える対策を講じる必要があるのです。
理論在庫と実在庫があわないことで抱えるデメリット
理論在庫>実在庫となっていると、顧客から受注を受けてピッキングしよう、という段階で希望通りの納品ができない事態に直面します。
当然こうなれば企業として取引先や顧客から、「管理がずさんな会社だ」と信用を失ってしまうこと、顧客満足度を低下させてしまう事態は避けられません。
逆に、理論在庫<実在庫という状況では、長期間の保管で商品が劣化したり、不良在庫を抱えることとなります。
こうなってしまうと、処分・廃棄をするコストもかかりますし、何より経営上の損失に直結しますから改善が求められる状況と捉えなくてはなりません。
このように、棚卸差異がある状況は企業運営の継続が危ぶまれかねないリスクを内包しているのです。
理論在庫と実在庫がずれる6つの原因
理論在庫と実在庫がずれる(=棚卸差異)には、6つの原因が考えられます。
- 入出庫・作業時に受け渡す際のカウント・数量登録ミス
- 保管場所ミス
- 在庫管理のルールが徹底されていない
- 紛失・関係者による盗難
- 棚卸資産の確定タイミングによるずれ(※1)
- 棚卸作業時のカウント・数量登録ミス(※2)
入出庫時の検品、在庫管理の方法が適切に行われていないことは、棚卸差異の原因として多くあります。
時には仕入れ先のミスで「入り数500」となっていたものを信頼していたら、「実際の入り数が495個だけだった」ということもあり得ますから、軽視されがちな入荷検品作業の重要性も再認識することも重要です。
その他、しっかり検品していても、倉庫内の整理整頓や保管場所が定まっていないなどの場合も、不良在庫になってしまうことはお分かりいただけるでしょう。
由々しき問題でもありますが、換金性の高い商品の場合関係者による盗難の可能性も考えられます。盗難を防ぐ、また倉庫内業務をしっかり適切に行うという意味でも、入退室の管理や監視カメラの設置なども有効策です。
※1について解説すると、倉庫内業務担当者と経理・総務担当者がともに行う棚卸業務は、常に動きのある在庫をどこで棚卸資産として確定させるかでタイムラグ上の差異が発生してしまうことがあります。
このようなことにならないよう、棚卸を行う場合には在庫の動きなど各部署間の連携も大切です。
※2について、数の多い商品をカウントしなくてはならない棚卸作業で起こりがちなミスです。
気を付けていてもミスが発生してしまう作業ですから、人為的ミスを防ぐためダブルチェック体制で望むという対策をとる企業も多くあります。
理論在庫と実在庫のずれを防ぐための6つのポイント
理論在庫と実在庫がずれてしまうことを防ぐには、6つのポイントがあります。
- 在庫管理業務を属人化させない
- 入庫・在庫管理業務のDX化を図る
- 在庫管理を含め倉庫内業務担当者の教育
- 入庫検品・商品登録・保管場所ルールの見直し・徹底・マニュアル化
- 日時棚卸を実施する
- 紛失盗難を防ぐためのセキュリティ・管理体制の強化
在庫管理業務が属人化してしまうと、業務に精通した人材が抜けてしまったり、休みの時にうまく回らなくなってしまいます。
属人化してしまうことを防ぐためにも、入庫・在庫管理という物流業務の重要部分の在庫管理システム導入を含めたDX化が有効です。
DX化には、新たな機器の導入や、システム導入などコストもかかりますが、的確で迅速な業務進行に大きな効果が得られます。
DX化を進めつつ、特定の人材にだけ頼らない人材育成を行い、業務を効率よく的確に進めるためのルールの策定・マニュアル化と、それらを徹底して行うことで、様々なトラブルの発生を未然に防ぐこともできるでしょう。
また、あわせて推奨するポイントとして、棚卸を日時処理として組み込むというものもあります。
日時棚卸はその日に動きのあった在庫の確認を行うもので、日ごとに確認することで大きな差異が発生することを防ぐことができるのです。
毎日では厳しい場合には、週ごとなどで実施するのも良いでしょう。
対策を講じても理論在庫と実在庫のずれが減少しない時は
様々な対策を取り入れても、棚卸差異が減少しない場合もあるかもしれません。
経営上大きな問題がある目安とされる、棚卸差異率が10%を超える場合は、上記6つのポイントとあわせて以下の対策も検討してみてください。
- 棚卸差異が起こる原因を調査し対策をとる
- 棚卸作業を行うスパンを短期化する
- 棚卸作業の進め方を再検討する
根本的な原因解決の方策として、『棚卸差異が起こっている原因』を突き詰め、それに対する対策をしっかり行うことが重要です。
また棚卸差異率を抑えるために有効なのは、棚卸作業を行うタイミングを頻回にすることです。
年に1回でなく、四半期ごと、それでも効果が薄い場合には2か月ごと、と頻回にしていきましょう。
それと同時に、棚卸作業の現場でも棚卸差異が発生することもありますから、棚卸作業の進め方も見直しすることをおすすめします。
理論在庫とあわせるためのアウトソーシングという選択肢もある
物流業務はビジネス上欠かせない業務ではあるものの、本業ではないからこそなかなか思うように運営できていない、というケースも多いもの。
理論在庫と実在庫のずれがなくならない、減少しきっていない、という状況を長引かせるのは経営上の大きな問題・損失に繋がりかねません。
本業に人的リソースを集中させ、スムーズな物流も実現できるのが、物流業務のアウトソーシングです。
物流業務全般をアウトソーシングすることはもちろん、入出庫や、在庫管理をアウトソーシングするという部分的なアウトソーシングも可能。
請け負う業者は物流のスペシャリストとして、豊富な実績・経験からノウハウも蓄積されています。
自社でコストをかけて、ルールの見直し、徹底や担当者の人材教育まで行うことを考えると、スピーディーかつスムーズに物流業務を最適化することも叶うでしょう。
まとめ
理論在庫とは何か、また理論在庫と実在庫に差異が発生してしまうことで、経営上の問題を起こす原因となる棚卸差異についても解説させていただきました。
棚卸差異については、発生原因となりがちなポイントとあわせて、発生を防ぐためのポイントについても解説しました。
日頃の業務の中で気を付けておくべきこと、またた理論在庫と実在庫に相違がでてしまうと企業運営の安定した継続が危ぶまれる事態となってしまうことも踏まえて、対策を検討してください。
導入事例や細かい料金体系、お問い合わせから業務開始までの流れがわかる!
自社サービスの紹介資料になります。物流業務のアウトソーシングをご検討されている方は、ぜひ一度ダウンロードください。
- 導入フローについて
- MOTOMURAの特徴
- 期待できる導入効果
- 取引実績一覧
- 基本料金体系
フォームにご記入いただくと、無料で資料がダウンロードできます。
いただいたメールアドレス宛に資料が自動送信されます。