発送委託業者に荷物を引き渡す際に、漏れて残ってしまったものを残荷と言います。
残荷事故は、物流担当者が最も避けたい事故とも言われています。残荷が発生するとお客様の要望通りに荷物が到着できなくなりクレームに繋がります。皆さんは、残荷を防ぐためにどのような対策をしていますか?
本記事では残荷とはどういうものなのかを解説しながら、残荷が起こる原因となりやすいタイミングと、残荷を防ぐためのポイントをご紹介します。
残荷とは
残荷とは、何らかの原因・見落とし・作業ミスなどで本来配送されるはずだった荷物が、倉庫や積み込み現場に取り残されてしまうことを指します。
残荷があれば、当然届くはずだった荷物が届かないことで顧客・取引先に迷惑をかけてしまうことになり、顧客満足度の低下・信頼関係を損なう結果に繋がってしまうでしょう。
また本来引き渡されるはずだった配送業者とは違う業者をあたり、個別に配送手続きをするなど手間もかかります。
物流現場において、デメリットでしかない物流事故である残荷がなくならない、件数が多いなどの課題を抱えている場合には早急な対策が必要です。
残荷事故
残荷については、残荷事故と表現されることもあります。
「事故」と付くだけで、かなり重いトラブルの印象になりますね。
物流現場においてもっとも避けるべき事故、とも言われる残荷がどのようなタイミングで起こるのか、原因になるのはどういったことがあるのか続けて見ていきましょう。
残荷が発生しやすい9つの原因・タイミング
物流の現場で残荷が発生してしまう原因となりやすい事柄、タイミングはどういったものがあるのか知っておくことで、残荷防止の対策もとりやすくなります。
9つの原因・タイミングを以下にリストアップしましたのでご覧ください。
- 夜間配送分の荷物なので残していた
- 翌日以降の配送指定なので残していた
- 配達しなくてはいけない荷物を見落としてしまっていた
- 荷物の保管場所を間違っていた&見落としで気付かなかった
- 輸送業者に引き渡し漏れていた
- 出荷時の検品作業に漏れがあった
- 急遽当日に出荷することになったものの連携不足で出荷されなかった
- 輸送業者に引き渡したものの積み込み忘れてしまった
- 輸送時のトラックの荷物が多すぎて積み込めなかった
①②については、残荷とはいえ、急遽配送しなくてはならないものではありませんから、必要なタイミングできちんと荷積みされれば問題ありません。(運用方法として配送する時間・日にち分を荷積みするだけであれば、配送分ではないものが荷積みされようとしていたことのほうが問題の場合もあるでしょう。)
③④⑤⑥⑦については、自社の作業担当者による人為的ミスが原因ですから、対策を講じるなど再発防止が必要な状況です。
中でも③④⑤⑥については、倉庫内が煩雑であったり、出荷作業の進め方が定まっていない、きちんとルールが守られていない、などが原因であり、現場の整理整頓・運用ルールの見直しや徹底で改善できるでしょう。
⑦についてもありがちなミスですが、他部署間の連携をどうするか、急な出庫があった場合の運用ルールの改善で対処できます。
⑧⑨については、輸送業者に引き渡した際のトラブルとなりますから、自社でできる範囲の対策をとり、積み込み終了後の確認をするなどの対策が有効です。
残荷を防ぐ7つのポイント
残荷を防ぐためにできることとして、以下の7つのポイントをご紹介します。
- 倉庫内・出荷作業現場の整理整頓
- 出荷作業の現場を最終出荷前に確認することを徹底する
- 出荷時の確認を目視だけで終わらせずチェックリストで確認する
- 出荷対象の荷物かどうかわかるよう目印をつける
- その日に出荷する荷物を置く場所を決め、看板などを設置する
- 輸送業者の積み込み終了後に再度残荷確認をする
- 残荷確認をする担当者を決めておく
残荷が起こりがちなタイミング・原因でお伝えしたものを簡単にまとめると、残荷は倉庫内・積み込み現場・輸送業者への引き渡し後に残荷チェックを徹底することでかなりの確立で防ぐことができることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
上記を踏まえると、①については倉庫内が煩雑であったり出荷作業現場が整頓されていない、という状況では残荷に気付きにくくなってしまいます。それだけでなく、出荷までの作業もスムーズには進まないなど他のデメリットも併発しますから要改善です。
そのうえで②③について、出荷作業を終えたと思ったタイミングの確認作業を徹底して行うことで残荷を防ぐことも大切です。
確認を終えたら、出荷対象の荷物であることが誰がみてもわかるように④⑤の対策をおすすめします。
さらに輸送業者に引き渡した際、再度自社担当者による残荷チェックを徹底するまですることで、残荷の発生を未然に防ぐことができるでしょう。
⑦について、複数人が担当することも多い出荷作業時には、「誰かがチェックしたはず」という思い込みで残荷が発生することもあります。
誰が残荷チェックを行うのか、出荷作業時・出荷作業後・輸送業者による荷積み完了後の3つのタイミングでそれぞれ担当者を決めておくようにするとベターです。
DX化しているからこそ残荷が発生しやすくなる
どの業種も、近年急速にDX化が進んでいます。
効率的かつ的確な作業を遂行するために役立つDX化ではありますが、システム化され作業負荷が軽減されることが当たり前になることで、残荷チェックが不十分になってしまうこともあります。
残荷はあるもの、という認識のもと、徹底した残荷チェック、運用ルールの徹底と作業マニュアルの改善が重要であるということをご認識ください。
まとめ
どの業種も、近年急速にDX化が進んでいます。
効率的かつ的確な作業を遂行するために役立つDX化ではありますが、システム化され作業負荷が軽減されることが当たり前になることで、残荷チェックが不十分になってしまうこともあります。
残荷はあるもの、という認識のもと、徹底した残荷チェック、運用ルールの徹底と作業マニュアルの改善が重要であるということをご認識ください。