
アパレルや雑貨などと異なり、食品を扱うECサイトや通販の場合には、在庫管理の際に賞味期限や消費期限を適切に管理することが重要です。これは、安全で高品質な商品を消費者に届けるために欠かせません。
平成27年に新たに施行された「食品表示法」により、消費者にとってわかりやすく賞味期限を伝えることが事業者に求められました。これにより、消費者の賞味期限に関する意識も高まり、合わせてSDGsの観点から食品ロスへの対策へも関心が高まっています。
ここでは、食品を取り扱うEC事業者や物流倉庫が知っておくべき、賞味期限管理についての基礎から、物流倉庫において適切に保管・管理する方法などお伝えしていきます。
目次
賞味期限と消費期限の違い
まずは賞味期限と消費期限を正しく理解し、管理することが非常に重要です。それぞれの期限の違いを理解し、管理のポイントを押さえましょう。
賞味期限とは?
「賞味期限」は、「おいしく食べられる期限」を指します。この期限を過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではありませんが、風味や食感が劣化する可能性があります。
- 対象食品:スナック菓子、缶詰、インスタント食品など、品質が劣化しにくい食品
- 倉庫管理でのポイント:
消費期限とは?
「消費期限」は、「安全に食べられる期限」を示します。この期限を過ぎた食品を摂取すると、健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、期限内の消費が必須です。
- 対象食品:食肉、お弁当、生菓子など、傷みやすい食品
- 倉庫管理でのポイント:
- 消費期限の短い商品は、迅速な出荷を心がける。
- 温度管理が特に重要なため、冷蔵・冷凍設備のモニタリングを行う。
- 在庫数を最小限に抑え、過剰在庫を防ぐ。
賞味期限と消費期限の違いを在庫管理視点で整理
項目 | 賞味期限 | 消費期限 |
---|---|---|
意味 | 美味しさの保証がされる期限 | 安全に食べられる期限 |
対象食品 | 保存性が高い食品 | 保存性が低い食品 |
倉庫管理のリスク | 在庫の価値が徐々に低下 | 期限切れの食品が廃棄対象に |
管理方法 | 定期的な棚卸しと先入先出を徹底 | 短期間で迅速に出荷 |
在庫管理の最適化が食品ロス削減に直結
- システム導入:賞味期限や消費期限を記録・追跡するための在庫管理システム(WMS)を活用し、リアルタイムで状況を把握します。
- データ分析:消費期限が短い商品の動向を把握し、発注量や在庫量を調整する。
- 顧客との連携:賞味期限が近い商品を割引販売するなどのプロモーションを活用して、期限切れの在庫を減らします。
食品ECにおける賞味期限管理の重要性
食品ECで賞味期限管理を的確に行うと、以下のメリットがあります。
- 廃棄削減で無駄なコストをカットできる
- 消費者とのトラブルを未然に回避できる
- 食品ロスに配慮した事業者としてアピールできる
- 企業イメージを良好に保てる
こうしたメリットがあり、事業者として消費者からの信頼を得る、またトラブルによる悪影響を防げるため、食品ECでは賞味期限管理を適切に行うことが重要です。
食品ECで適切に賞味期限管理されない場合のリスク
食品EC事業で、賞味期限管理が適切に行われない場合のリスクについても見てみましょう。
- 無駄なコストがかさみ経営が悪化する
- トラブルにより企業イメージが悪化してしまう
- 健康被害トラブルで事業存続が危ぶまれる
アパレルや雑貨などのECと異なり、食品の保管・管理が適切でないと消費者の健康被害につながってしまうことが最大のリスクです。 廃棄で無駄なコストがかかることも経営悪化につながるものの、消費者とのトラブルは他の商材以上に深刻な影響を及ぼすことは言うまでもないでしょう。
食品ECにおける賞味期限管理の課題
食品と取り扱うEC事業者が、賞味期限管理で抱えがちな課題は以下があります。
- 大きなリソース・コストが必要になりがち
- 在庫管理が煩雑になってしまう
- ヒューマンエラーが起こりがち
- ミスが健康被害に直結する可能性があり簡素化しづらい
同じ商品であっても、賞味期限・消費期限が異なるため、管理も保管も煩雑になるため、人的リソース・保管場所のリソースが増大し、コストもかかることが大きな課題です。 あわせて、そうした細かな在庫管理を的確に行うためヒューマンエラーも起こりやすいことも認識しておくべきでしょう。 適格かつ効率的な保管・管理を実現するには、管理しやすくするための保管場所・ロケーションの準備と管理も重要です。その分大きなコストがかかります。 そうした課題を抱えていてもなお、消費者への健康被害につながる懸念から、簡素化しづらいことで多くの事業者が悩んでいるのも実情です。
食品ECで知っておくべき賞味期限表記のルール
賞味期限の表示に関しては、食品表示基準Q&A|消費者庁で詳しく解説されています。 ECサイト上でも、わかりやすく消費者に向けて、賞味期限や消費期限を表記することが求められるため、商品ページの更新も随時行う必要も出てきます。 傷みやすい食品については、賞味期限でなく消費期限を表示することも定められており、商品によって表示する期日も適宜設定しなくてはなりません。 また、抑えておくべきポイントとしては、「3ヶ月以内に消費すべきものに関しては、年月日を明記すること」、そうでない場合は「年月」で良いという決まりもあるため、在庫管理が煩雑になってしまう要因になっている点も注意が必要です。
効率よく的確に賞味期限管理する4つのポイント
効率的かつ的確な賞味期限管理を実現するための、4つのポイントをご紹介します。
- ロット番号・製造所固有記号別に管理する
- 先入れ・先だし法を徹底して従業員教育する
- ①実施のため保管場所を工夫する
- 賞味期限管理システム・アプリを導入する
上記のポイントを抑えていただくと、効率的で的確な賞味期限管理を実現しやすくなります。併せて、DX化できる場合は実施することで、よりシステマチックな管理が実現できますが、相応にコストがかかるのが懸念点です。 そのため、事業規模によっては自社で製造だけ行い、保管・管理から発送までを物流代行業者に委託するケースもあります。こうしたときに利用されることの多いFBA(Amazonの配送代行サービス)は、食品の取り扱いは細かな規定があります。 期限の短いもの、食品衛生法に適合しない輸入食品、パッケージに通気口のある味噌のような性質変化や梱包破損の危険のあるものはあつかえないなど、出品できるものに限りがあります。 物流代行業者にとっても、保管環境の有無や作業可能範囲などから、どんな食品でも取り扱えるケースは多くないのが実情です。 もし、御社の食品ECにおける物流代行業者をお探しでしたら、当社の物流アウトソーシングサービスでも食品を取り扱っておりますので、お気軽にご相談いただければ幸いです。
食品ECは賞味期限管理が欠かせないからこそ
賞味期限管理は、食品を取り扱うEC事業者にとって最重要といっても過言でな業務の1つです。 適格な賞味期限管理ができないと、消費者とのトラブルに直結してしまい、最悪事業継続も危ぶまれるリスクがあります。とはいえ、大きなリソースが欠かせない業務でもあり、トラブル回避のため簡素化できず、DX化の恩恵も限りがあるのが実情。 FBAのようなサービスをもってしても手広く代行しているわけでもないため、代行業者を探すのも一苦労…ということもお伝えした通りです。 もし御社の食品販売事業をより的確に、効率的にする方法を模索されていらっしゃるのであれば、ぜひ当社にもお気軽にご相談ください。
豊富な実績と経験から、可能な限り御社の事業をサポートさせていただきます。