3定管理(さんていかんり)とは、在庫や備品の管理方法の1つです。定位・定品・定量と3つの要素で成り立ち、頭文字を取って3定管理と呼ばれます。
それぞれの内容を以下の順番で説明します。
- 定位
- 定品
- 定量
3定管理は整頓の基本ともいわれます。3定管理をご自身の知識にして、在庫管理だけでなく、職場環境の改善にも応用できるでしょう。
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3定管理とは
3定管理は、定位・定品・定量の3つの要素で成り立ちます。
1.定位(ていい)
定位とは、ものを置く場所を決めることです。
ものの置き場所を決めることで、工具や備品などが使われる度に、別の場所に仕舞われるのを防ぎます。定位をしないと、備品がまだあるのか・ないのかが判断できません。
しかし、定位で置く場所を決めると、ものの置く位置が変わることがなくなります。備品の紛失防止にも役立つでしょう。
2.定品(ていひん)
定品とは、何を置くか決めることをいいます。定位で、ものの置く位置を決めたら、何を置くかを決めましょう。
身近な例えでは、引き出しに何が入っているかラベルを貼り付けることも定位といえます。何を置くか・入れるか決めることで、物を探す時間や手間がなくなり、作業効率がアップします。
3.定量(ていりょう)
定量とは、どれだけの量を置くか決めることです。
置くものの量、つまり定数を決めると、どれだけ物の数が減っているかが客観視できます。在庫を発注する・備品を補充する際に、常に数を一定に保つことができるでしょう。また、定量によって数を決めると、必要以上にものが増えたり、足りなくなったりするのも防止できます。
3定管理のメリットとは
この章では、3定管理の3つのメリットを紹介します。内容は以下の通りです。
- 作業効率がアップする
- 異常に気づきやすくなる
- 備品紛失の防止になる
1つずつ説明します。
作業者のムダな時間が減って作業効率がアップする
3定管理をすると、作業者が探し物をしたりする時間が減り、作業効率がアップします。常に、物がどこに置いてあるか決まっているため、場所さえ知っていれば、必要な物を調達でき作業に集中できます。
特に、多数の工具を使う生産工場や修理工場では、作業効率を上げることが重要な課題といえるでしょう。
普段の業務で、探し物をしている時間がある場合は、3定管理ができているか確認をしてください。探し物をする時間が無くなれば、効率的に作業ができるようになるでしょう。
作業者が備品や在庫に関して異常に気づきやすくなる
定量で必要量が決まっているため、数が足りなかったり、紛失したりすると、作業者自身で異常に気づけます。また、今ある在庫の量から、発注の必要性や補充する量を作業者自身でも判断が可能です。
したがって、管理者が備品が無くなっていることを指摘するまで、放置されるということも少なくなるでしょう。
そして、慌てて備品などを発注するようなことも避けられます。
備品紛失の防止になる
3定管理をすると、備品紛失の防止になります。
定位・定品・定量の3要素で、道具の戻す場所、位置、量が決まっているため、備品を置きっぱなしにしたり、間違った場所に放置したりするのを避けられます。
その結果、備品がいつの間にか紛失、その都度発注して無駄な費用を計上することも防げるでしょう。
3定管理の導入する5つのステップ
3定管理の導入ステップはどの業界でもおよそ同じです。
生産現場では工具、事務所では事務用品、物流現場での備品管理に3定管理が導入できます。導入は以下の5つのステップです。
- 置く場所を決める
- スペースを確保する
- 配置を決める
- 量を決める
- 確認とアップデートをする
1つずつ確認していきましょう。
1.見取り図やエリアマップから置く場所を決める
倉庫や工場の見取り図やエリアマップから、ものを置く場所を決めます。
置く場所を選ぶ条件は、作業プロセスやアクセスのしやすさなど、出来るだけ便利なエリアを選びましょう。実際に現場を確認して、作業現場までの歩数をチェックすると最適な場所を選びやすくなります。
場所を決めないと、3定管理は始まりません。まずは置く場所を決めましょう。
2.物を置くスペースを確保する
ものを置く位置を決めたら、その場所にスペースを確保します。
周りを清掃して床にテープなどを貼り、専用のスペースとして作業者の誰でもわかるようにしましょう。専用の机や備品棚を設置する場合が多いです。
作業者が頻繁に行き来する場所になるため、スペースには十分な広さを確保しましょう。
3.置く道具の配置を決める
場所を決めスペースを確保したら、取り出しやすく、仕舞いやすいように位置に道具を置けるようにします。
出来るなら、一目で道具があるか・ないかが分かるように工夫しましょう。テープやスポンジをくり抜いた型、フックなどを使い、置き方にもルールを決めます。
基本は、使用頻度の高い道具ほど、取り出しやすい位置に置きます。一端位置を決めたら、担当する作業者に取り出しやすいか確認を取るのもいいかもしれません。
このステップでは、作業者の意見に耳を傾けつつ、置く道具の配置を決めると、より3定管理が定着しやすくなります。
4.置くものの量を決める
どれだけの量を置くのかを決めます。
作業者が1つずつ持ち歩く道具であれば、エリアを担当する人の数と同じになるでしょう。
共有する物であれば、使用頻度に合わせて調整します。
最後は、どんな物がどのくらいの量があるのが正常なのか、個数を判断できるパネルを作成して、見やすい位置に貼り付けましょう。
3定管理の導入は、4ステップでひとまず完了です。
5.使い勝手の確認とアップデートをする
現場監督や管理者は、導入した3定管理が機能しているか確認をします。
そして、作業者の動きやヒアリングをして、改善点を洗い出します。現場の意見次第では、一度決めたものの配置や在庫量などを見直しましょう。
変更点があったら、作業者に必ず伝達して使い勝手がどのように変化したかチェックします。
このステップには終わりはなく、定期的に見直しと改良を加えて、3定管理の完成度を上げていきましょう。
3定管理ができてないと現場で起きること3選
この章では、3定管理をしていない・できていないと現場で起きることを紹介します。
内容は以下の通りです。
- 探し物の時間が増える
- 職場の人間関係が悪くなる
- 無駄な経費が増える
1つずつ確認していきましょう。
探し物の時間が増える
作業者や従業員が工具や備品の探し物をしている場合、3定管理はできていないといえます。理由は、ものの置く位置と量が把握できていないため、工具や備品が使用中なのか、使い切ったのか判断がつかないからです。そのため、まずは確認する時間や探し物をする時間が発生します。
作業者に探し物をする時間の有無を一度確認しましょう。
職場の人間関係が悪くなる
3定管理ができていないと、紛失した備品を誰が使っていたかなどが問題となり、職場の人間関係が悪くなる可能性があります。
また、非効率な時間で作業者の負担が増します。その結果、最後に使っていた人に責任を追及したり、作業効率が落ちた作業者の精神状態が悪くなったりするでしょう。
3定管理を導入しているのであれば、作業者に定着しているか管理者は確認を怠らないようにしてください。
無駄な経費が増える
3定管理をしていない・できていないと、同じ備品や工具を何度も発注して無駄な経費が増える場合があります。
消費した結果の発注なら問題ないですが、戻す場所や置く位置がバラバラで正確な数を把握できていない場合は、対策が必要です。まずは、量を把握して、過剰ではないか判断しましょう。
作業者が探し物をしていたら3定管理の導入を要検討
3定管理とは、作業者や従業員が何が・どこに・どれだけあればよいのかがわかる仕組みです。「3定管理」は、職場環境を整えるのに必要な5つの要素の整頓に該当するとされています。
- 整理
- 整頓
- 清掃
- 清潔
- しつけ
上記の要素をまとめて、5S活動と呼ばれますが、重要とされるのが「整頓」です。つまり、「3定管理」に取り組むと作業効率だけでなく、職場環境にもプラスの影響があります。まずは一度、作業者が探し物をしていないかチェックしましょう。
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