棚卸しとは。目的と手順について解説。

棚保管

棚卸とは、企業が保有する在庫や備品の数量を正確に調査し、帳簿と照らし合わせて間違いがないかを確認する作業のことです。これにより、正確な利益額や資産額が確定するため、納税額の算出に役立ちます。棚卸しは、データと照らし合わせながら必ず現物を確認して状態を把握します。実施するタイミングは企業によって異なり、毎月実施する企業もあれば、年に一度、決算期に実施する企業もあります。

ここでは、棚卸しの具体的な意味、その目的から方法、注意点をまとめました。

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目次

棚卸しとは?その目的

棚卸しとは、どの商品がどれだけあるのかを実際に確認することです。現物を実際に確認して資産価値の金額を算出します。最低でも決算時には必ず実施する必要があります。

棚卸しの対象は、販売目的の商品、製造途中の仕掛品、消耗品など、在庫として数量を確認することができるものになります。これらを棚卸資産と言います。

棚卸資産とは

棚卸資産とは、棚卸しで確認しなければならない会社の資産のことです。財務諸表上では、貸借対照表の資産の部で流動資産に分類されます。

  • 商品・製品
  • 半製品(完成しているものの販売できる状態には至っていない商品。 例:ラベルが貼っていない等)
  • 仕掛品(製造途中の商品)
  • 半成工事(工事途中の建物など)
  • 原材料
  • 事業の用に供する固定資産(車両、不動産、什器備品など)

棚卸資産は上記のものを指します。

棚卸の目的

棚卸しをする目的は、データ上の在庫数と実際の在庫数を照合して間違いないかどうかを確認すること。もう一つは在庫の状態を確認して商品としての価値が低下していないかを把握することです。

さらに具体的に解説していきます。

利益を正しく確定するため

棚卸しのプロセスでメインとなるのが、「実地棚卸」です。倉庫や工場などに滞留している販売には至っていない在庫商品を、担当者が実際に手に取ったり目視したりして数量を確認する作業のことです。これにより、仕入れに対してどれだけの商品が売れたかが明確になるので、当期利益が確定します。

当期利益 = 売上額 − 売上原価(※)

※売上原価とは、実際に売れた商品の仕入れ額の総合計です。利益が確定することで、納税額も決定します。つまり棚卸しは、会計処理を行ううえで不可欠といえるのです。

帳簿の在庫数と実在庫を照合させるため

在庫の入出庫は、「在庫受払帳」や「在庫有高帳」「在庫管理システム」といった帳簿にその都度記載(入力)されます。棚卸しでは、これらの帳簿と在庫が一致するかを確認します。理論上は一致しなければおかしいのですが、実際は、破損、紛失、盗難、記載ミスといった様々な理由で過不足が起こり、両者の中身が一致しないことも珍しくありません。その場合は、「棚卸減耗損」として会計処理しなければならないため、決算期末時点での偽りのない現状を確認する上で、棚卸しは重要な役割をもつのです。

商品価値の低下を確認するため

長く売れないままで在庫保管された商品は、経年劣化や何らかの衝撃による破損などが原因で、商品価値が低下しているケースがあります。この場合も、「商品評価損」としてやはり会計処理を行う必要があります。実地棚卸をしなければ、多くの場合気づかないまま放置することになるため、正しい現状把握が困難となるでしょう。

経営の効率化をはかるため

棚卸しをしなければ在庫過多を見過ごしたり、把握しているつもりが失念したり放置してしまうことがあります。棚卸しによって、その事実が改めて浮き彫りになれば、セールやキャンペーンといった販売促進を行うなどして、経営の効率化をはかることも可能になるでしょう。

棚卸しの重要性

正確な在庫数を把握することで棚卸資産の把握ができます。

売上総利益の算出は、売上総利益 = 売上額 − 総仕入額 − 在庫分原価 となるので、在庫数によって利益額が大きく変わってしまいます。売上は上がっていて利益も出ているはずなのに、会計上はマイナスになっているという事態にもなります。

棚卸しの方法

棚卸しの方法には大きく分けて2つあります。

タグ方式

タグ方式とは、棚札(タグ)と呼ばれる伝票を使用します。

担当者が在庫品の品目と数量を確認したら、棚札に記入して棚や現物に漏れなく貼り付けていきます。システムを使用することがなく、どの業種でも実施可能です。

短所として、すべての在庫の確認が終了したら、貼り付けた棚札を回収して集計する作業があるため、手間と時間がかかります。

リスト方式

リスト方式は、在庫管理システムなどから在庫情報をリストで出力して、実際の在庫数と照合してチェックします。

在庫管理システムを使用することでタグ方式よりも容易にデータと在庫を比較することができ、差異があればすぐにチェックすることができます。

タグ方式に比べて短時間で作業を完了することができますが、在庫管理システムをしていることが対前提となります。

棚卸しの評価方法

棚卸しの目的が、利益算出や決算書の作成である以上、棚卸しの結果を数値化しなければ意味がありません。そこで続いては、代表的な2種類の棚卸し評価方法について解説します。棚卸しの評価方法は、決定の上あらかじめ税務署に申請しなければならない(とくに「低価法」の場合)ケースもあって、いったん方針を決めると最低3年間は継続する義務が生じるので注意が必要です。

原価法

棚卸資産を帳簿価額で評価するのが、原価法です。具体的には、以下の6種類の方法があります。

  • 個別法
  • 先入先出法
  • 移動平均法
  • 総平均法
  • 売価還元法
  • 最終仕入れ原価法

それぞれで計算方法が異なるため、どの方法を選択するかで帳簿価額が違ってくるのが一般的です。申請をしなければ、決算期末の直近の仕入れ額を帳簿価額とみなす「最終仕入れ原価法」が、適用されることになっています。

低価法

上記の原価法により算出された帳簿価額と、決算期末における時価を比べて低い金額を採用するのが、低価法です。帳簿価額が低くなるということは、棚卸資産の原価が低額になり売上原価は高くなるので、その分、当期利益は押し下げられる(上記※の計算式参照)ことになります。すると納税額も少なくなるため、とくに個人事業主や中小企業で採用されることが多いです。

棚卸しの効率的なやり方

棚卸しの効率化には在庫管理システムの導入が一番の近道です。

日々の入出荷についてもバーコードで管理でき、必要な時にすぐに情報を確認することができます。

棚卸しも手書きでの集計は必要なく、現物のバーコードをスキャンするだけで、データ上の在庫数との差異をチェックすることができます。簡単に正しい棚卸しが実施できます。

棚卸し時の注意すべきポイント

正しい棚卸しをするために注意すべきポイントがあります。

在庫の動きを完全に止める

棚卸しを実施している最中に、入荷や出荷の処理をしてしまうと在庫数が変わってしまい、正しい在庫数を把握することができなくなってしまいます。棚卸し実施中は、必ず在庫の動きを完全に止めておくことが重要です。

整理整頓

整理整頓ができていないと、確認前と確認後の商品が混じってしまったり、商品を違う場所に戻してしまったりします。正しい棚卸し作業ができないだけでなく、その後の商品確認においてもミスやロスが発生してしまいます。

» 5S活動の基本・目的・事例を詳しく解説|倉庫の在庫管理に導入するステップも紹介

手順を決める

複数人で行うため、手順を決めておくことが大切です。

担当者、担当エリア、チェック順などの手順を決めておかないと、同じ棚を重複してチェックしてしまったり、チェックしていない商品が存在したりと、正しく在庫数を把握することができなくなります。

商品の数え方を統一する

同じ商品でも、人によって数え方が違ってしまう場合があります。

1ケースに10個の商品が入っている場合、Aさんは1ケースで在庫数1と数えますが、Bさんは中にある1個を在庫数1と数えてしまい、同じ商品でも在庫数1と10の差が発生してしまいます。事前に数え方の統一をしておくことが大切です

取り出して数える

1個ずつ取り出して数えないと、同じ商品を2回数えてしまったり、小さいものや薄いものは数え漏れてしまう可能性があります。

必ず取り出して、数えたものを明確にわかるようにしておくことが大切です。

品質チェック

商品が破損している場合、在庫として計上することはできません。品質のチェックをして正常なものだけを在庫としておくことが大切です。

MOTOMURAの強み

弊社ではクラウド型在庫管理システムを使用し、全ての商品をバーコード管理しています。クラウド型在庫管理システムを使用していますので、お客様もいつでも在庫情報を確認することができます。

また、毎朝の30分間の環境整備活動など、長年に渡り5S、整理整頓に力を入れています。

皆様に安心をお届けすることができます。

まとめ

棚卸しは自社の資産状況を把握するだけでなく、正しい在庫数を把握して営業に役立てることで業績にも影響を与える重要な作業です。

正しい棚卸しを行うためにも、在庫管理システムを導入することをお勧めします。


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