小売業やメーカーにとって、出荷とは、お客様からいただいた注文に応じて、商品を適切にお届けするための重要なステップです。
出荷作業が適切に行われないと、お客様の満足が得られず、その結果、お客様からの注文が継続されないという大きなリスクが発生します。出荷作業は、商品を正しい内容で時間通りに届けるために必要な作業ですが、近年はスピード配送が当たり前になっており、出荷作業をミスなく効率的に行うことが企業にとってますます重要になってきています。
スピーディーで確実な出荷業務を行うために、どのように業務を改善すればよいのか、ここではそのポイントに焦点を当てご紹介していきます。
目次
出荷作業の流れと起こりやすいミス
まず出荷作業とは何か。
出荷作業とは、顧客から受けた注文に見合った製品を準備し、梱包し、適切な運搬ルートを組み立て出荷する業務です。
出荷作業の流れ
出荷作業は、以下の6ステップで進められます。
- 出荷指示書(納品書)を作成する。
- ピッキング・検品・梱包を行う
- 納品書・受領証・領収書の原本と控えを作成する
- 配送業者に荷物を引き渡し、発送手続きを行う
- 顧客から受領証を受け取る
- 売上伝票を作成し、経理手続きを行う
商品の発送にあたり、必要な事務手続きやそのための書類作成なども出荷作業に含まれます。
通常、出荷業務は出荷指示書により行われますが、企業によっては、商品と一緒に顧客に届けるものだからということで納品書を先に作成し、それに合わせて出荷作業を行う場合もあります。
上記の流れの中で、トラブルやミスが発生しやすいポイントを押さえておけば、発送作業の業務改善のポイントも明確になってくるでしょう。
出荷作業時に起こりやすいトラブル・ミス
出荷作業を行う中で起こりやすいミスやトラブルには、以下のようなものが挙げられます。
- 出荷対象商品・数量のミス
- 発送状況の管理ミスにより正しく発送業務が行われない
- 納品書など書類の作成ミス
- 出荷作業の業務過多によりスムーズに発送作業が行えない
- 納期に間に合わない
出荷対象商品・数量のミスに関しては人為的ミスであり、作業工程の見直しをしたりするなど対策がしやすい部分でしょう。
発送状況の管理ミスも同様に人為的に起こりうるミスですが、出荷管理システムの入力方法を見直したり、システム改善を行うことで回避しやすいミスです。
納品書など書類の作成ミスも人為的ミスですが、IoTツールを導入したり、発注を受けてシステム的に書類を作成するような業務改善を行うことで回避できるミスでもあります。
業務方や納期遅延に関しては人に関するミス・トラブルではありますが従業員教育が行き届いていなかったり、適切な作業マニュアルが策定されていない、人員不足といった原因がある場合が多く、企業として改善すべきポイントと言えるでしょう。
これらのミスに共通して言えることは、こうしたトラブルがあれば顧客からの信頼感が損なわれ、エンゲージメントが低下し、業績悪化に繋がりかねない問題であるということ。
このようなトラブル・ミスをしっかり対策を取り業務改善することが、早急に求められる状況であるということを認識しておかなければなりません。
発送作業の業務改善における5つのポイント
起こりやすいミスやトラブルを把握していただいたところで、具体的にどのような業務改善ポイントがあるのか見ていきましょう。
- ピッキング業務の効率化を図る
- 発送管理を適切に行う
- 必要書類作成を適切にシステム化する
- 出荷作業担当部署の見直し・再教育・再配置
- 適切なリードタイムの設定
続けてそれぞれ考えられる対策をまとめていきます。
ピッキング業務の効率化を図る
ピッキング業務の効率化には大きく2つの見直しポイントがあります。
- 倉庫内の整理整頓を行う
- 倉庫内の商品管理スペースを商品ごとに定める
ピッキング作業が効率的に進められないケースには、「倉庫内が整頓しきれておらず、対象商品をピッキングするのに時間がかかってしまう」という場合が多くあります。この状況を改善するためには、「どこに・何を・どれだけ」保管するのかを定め、ルールを守った在庫管理を徹底することが重要です。まずは、5S活動の基本を押さえましょう。
» 5S活動の基本・目的・事例を詳しく解説|倉庫の在庫管理に導入するステップも紹介
在庫管理を行う際に、どこのラックのどこにある商品なのかもあわせて管理すれば、出荷指示書に在庫の所在地もあわせて明記することでピッキング作業も大幅に効率化することができます。
そうした管理を徹底するためのルールの策定はもちろん、業務負担を軽減するためのIoTツールの導入などを取り入れる企業も多くなりました。
ピッキング作業の効率化には、以下の記事を参考にして見てください。
発送管理を適切に行う
発送管理を行うにあたり、1受注1データで管理してはいませんか?
とある顧客から、「9月30日までにA商品を15ロット、10/10までにC商品を10ロット」という発注があったとしましょう。この発注に対して「9/30までにはA商品は10ロットしかなく、残りの5ロットについては10/5の納品でOKと交渉済み」という状況になることもありますね。
この場合、9/30に「A商品を10ロット発送した」ことを発送管理データを登録した際、まだ発送していないA商品の残りの5ロット、C商品の10ロットまで発送済みと登録されてしまい、その後の発送が正しく行えなかったという状況になってしまっては大問題です。
発送管理システムでの入力方法が適切に行えるようになっていない場合には、このようなケースも対応できるよう見直す必要があります。
必要書類作成を適切にシステム化する
発注を受けて、必要になる各書類をそれぞれ作成するという流れで業務を行うことで書類作成ミスが起こるリスクが大きくUPしてしまいます。
そうならないために、各書類を自動的に作成できるシステムを導入することで不備が起こるリスクを回避でき、また業務負担も大きく軽減することに繋がります。
出荷作業担当部署の見直し・再教育・再配置
出荷作業がスムーズに行えない場合、見直すべきポイントは3つあります。
- 適材適所の配置になっているか
- 作業担当者の人数が適切か
- 各担当者への教育は足りているか
繁忙期などはスポット的に人員が不足しやすくなりますが、そうした時期も含めた配置ができているか再確認してみてください。作業量に対して人手が足りていないことが明確であれば、人員増加や再配置で補わなくてはなりません。また各担当者が適材適所の配置になっているか、ということは面談を行うなどして見直すことができます。
「繁忙期に作業効率がガタっと落ちる」というような状況がある場合には、全ての担当者がどの工程も行えるよう再教育することで改善する場合もあります。また通常時も含めて、業務内容に見合ったスキルを有することができるような従業員への教育も重要です。
不足している部分を明確にしつつ、適材適所となるよう人員を配置するようにしましょう。
納期にあわせリードタイムを把握するための業務見直し
納期に遅れてしまうというのは、顧客からの信頼を損なう最も避けたい状況です。
この状況を改善するためには、ここまでに挙げた業務効率の見直しとあわせて、納期に見合うリードタイムが設定できているのかも見直しすることが効果的です。
それぞれの工程でどれだけ日程がかかっているのか、どのくらいの時間が必要なのかを見直し適切なリードタイムを把握しましょう。
まとめ
お客様から注文を受け、適切にスピード感を持って発送業務を行うことは小売業・製造業にとって重要度の高い業務です。重要性の高い業務でのミスやトラブルを回避しつつ、確実に推し進めるべき業務ですが、昨今ではスピード感もあわせて求められる時代になっています。こうした流れにあわせ確実かつスピード感のある発送業務を行うには、こちらでお伝えしたような業務改善ポイントにそって見直して頂くことが必要ということもご理解頂けたのではないでしょうか。
顧客からの信頼を得て、受注を継続していくためにも、お伝えした情報を役立てていただき、更なる発展の一助となれば幸いです。