「入荷」と「入庫」の違いを明確に説明できますか?
物流業界には似たような言葉がたくさんあり混同されがちですが、「入荷」と「入庫」も混同されやすい言葉の一つです。
物流業務のスタート部分にあたる業務ですが、その後の業務を円滑かつ正確に進める上でも非常に重要となります。ここでは、それぞれの業務の違いや内容を確認し、スムーズで正確な業務を行うための5つのポイントについても解説していきます。
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目次
入荷と入庫の違いとは?
混同されやすい言葉でもある「入庫」と「入荷」ですが、何となく表記が違うだけではなく、業務上の違いがあります。
入荷とは
入荷とは、「物流倉庫に届いた商品・荷物を受け取る」ことを指します。
製造業においては材料となる部品を受け取る、物流業としてはこの後取り扱う商品を管理する最初の一歩ということになります。
入庫とは
入庫とは、「入荷された商品・荷物に間違いがないか確認しつつ、倉庫内で保管・管理するために格納する」ことを指します。棚入れとも呼ばれます。
入荷の次に行うべき2つ目のステップということですね。一言で入庫といっても、検品作業や倉庫内で決められた場所への格納、在庫管理のためのデータを入力やそれに変わる台帳への記帳なども業務に含まれます。
在庫管理システム上の入荷・入庫の違い
業務面での違いに加え、DXに欠かせないシステム管理の面からも「入庫」と「出庫」の違いを見ていきましょう。業務面では、倉庫に商品が届き受け取った時点で「入荷」、移動して決まった場所(ロケーション)に置かれた時点で「入庫」と述べました。
在庫管理システムを導入している場合、商品が入荷すると入荷処理が行われ、商品の状態を「入庫待ち」に変更させます。入荷処理によって商品のロケーション管理されますが、この状態では商品を出庫対象として扱うことはできません。入荷した商品に対して「入庫処理」を行うことで、商品の状態が「入荷待ち」から「保管中」に変更します。この状態になって初めて、出荷用の在庫として扱えるようになります。
物流改善のカギは、入荷・入庫作業にあり
物流業務に置けるトラブルの多くは、入荷から入庫の間のミスが起因するものがほとんどである、と言われています。
たかが「荷物を受け入れて格納するだけだろう」と思いがちですが、このステップでのミスが後々様々な問題を引き起こすのです。
在庫数の管理を誤ると、「在庫差異」が発生し、適切な在庫管理ができなくなります。また、在庫の保管場所を間違えると、スムーズに出荷できず、お客様のもとへ迅速にお届けすることができません。その結果、お客様の満足度は低下してしまいます。
正しい入庫・入荷業務を行うことで得られるメリット
物流業界において入荷・入庫の業務は重要で、その業務を正確に行うことが重要だということはご理解頂けたのではないでしょうか。
正しく入荷・入庫を行うことで、以下のようなメリットがあります。
- 在庫管理・出荷など後の業務が円滑に進められる
- 作業効率が向上し生産性UP
- 商品保管時の劣化を最低限に抑え安定した品質で出荷できる
- 顧客満足度が高まり企業としての信頼感が得られる
入荷・入庫の業務が正確にすむと、その後の業務が円滑に進められる準備が整います。 その結果、後続業務の作業効率・生産性も向上し、出荷ミスや配送遅延などのリスクを回避できることは言うまでもありません。 スムーズかつスピーディーな業務が展開されることで、、品質の劣化を防ぎ、出荷品質の向上にもつながり、顧客満足度の向上や企業の信頼獲得につながることが期待できます。
入荷・入庫業務でミスが起こりやすい4つのポイント
入荷・入庫の業務でミスが起こりやすい4つのポイントをまとめておきます。
- 入荷検品時の確認ミス
- 在庫数量管理ミスによる在庫差異
- 商品保管先の誤り
- 在庫管理システムへの情報登録ミス
上記の4つのタイミングでミスが起こりやすい、ということを把握しておけば業務の流れやマニュアル作成時に、注意すべきポイントが見えてきます。 在庫管理システムとハンディスキャナーの導入はもちろん有効策ですが、入荷検品時に置ける業務の流れ、確認ポイントなどをマニュアル化しておくことも大切です。
入荷・入庫業務における課題解決の5つの対応ポイント
ミスが起こりやすいポイントを把握していただいたところで、入荷・入庫業務の課題を解説するための5つのポイントも見ておきましょう。
- 現状の入荷・入庫業務における課題を把握し対策を練る
- 棚のロケーション最適化
- 入庫業務効率化に役立つマテハン機器の導入
- 在庫管理システム(WMS)を導入する
- 物流倉庫サービスのアウトソーシングをする
続けてそれぞれのポイントについて、詳しく解説してまいります。
1. 現状の入荷・入庫業務における課題を把握し対策を練る
現状の入荷・入庫業務でどのような課題があるのか、把握することは大切です。
「入荷作業に時間が必要以上にかかっている」
「入荷時の数量確認ミスが多い」
「入庫作業で荷物の保管がスムーズに行えない」
「倉庫内が整頓されておらず、どこに格納すればよいか判断つきずらい」
「在庫数が実際と違うことが多い」
様々な課題を抱えてしまうこともありますが、それぞれ適切な対処をとることで確実に改善することはできます。
2. 棚のロケーション最適化
入庫作業だけでなく、出荷までの担当者の作業のしやすさを考えて棚のロケーションを決めることで、作業効率が改善されヒューマンエラーも軽減できます。
回転率の高い商品を取り出しやすく、一定期間だけ売れるような商品はフリーロケーションを準備しておく、などの工夫も有効策です。
作業効率、正確な作業を可能にするための対策として棚のロケーションの最適化は必須とも言えるポイントです。
3. 入庫業務効率化に役立つマテハン機器の導入
入庫業務の効率化だけでなく、出荷作業までの効率化が図れるマテハン機器を導入することで効率化・省人化を実現できます。
例えば倉庫への格納・出庫を自動で行えるようにする自動倉庫も一つですし、自動倉庫までは難しい場合には、天井走行車やAVGを導入することで作業負荷を大きく軽減することもできるので、是非検討されてみてください。
4. 在庫管理システム(WMS)を導入する
在庫管理システム(WMS)を導入することで、様々な業務負担を軽減できるだけでなく、正確なデータ管理が可能になります。
これとあわせて入力ミスを防ぐため、ハンディスキャナーの導入、大規模な倉庫であれば自動倉庫を搬入することでより正確かつ効率的な作業を実現できるでしょう。
また在庫管理システムはその他のシステムとの連携も可能なものもあり、マーケティングに欠かせないデータ収集と連携させることで、より魅力的な商品を生み出すことも容易になります。
5. 物流業務をアウトソーシングする
入庫・入荷の業務でミスが多い、自社内では人的リソースも足りていない、かといって様々な機器やシステムの導入は難しい、といったケースではこの選択肢もおすすめです。
物流倉庫サービスのアウトソーシングを利用することで、これらの課題を一挙解決することも叶います。
アウトソーシングを請け負う業者は、様々な業界での物流業を担ってきたノウハウも蓄積されている為、自社での人材教育などの負担もなく効率化された正確な作業でサポートしてくれます。
ただしアウトソーシングする場合には、自社の目的と解決すべき課題も把握し、それに見合う業者を選定すること、自社で賄うよりもコスト面での負荷がかからないかを検討することも重要です。
まとめ
入荷・入庫の業務上の違いとあわせて、在庫管理システム上の違いもご理解頂けたでしょうか。
荷物の在り処、含まれる業務に違いがあることはもちろんですが、物流業界における重要な業務なのでミスは可能な限り避けなくてはいけない業務であることも忘れないでください。
こちらでお伝えしたミスが起こりやすいポイント、課題を解決するためのポイントもあわせてご確認頂き、今後の業務に役立てていただければ幸いです。