3PLという言葉が広く認知されるようになりましたが、4PLというものも認知され始め、新たなビジネスモデルとして注目度も上昇しているのはご存知でしょうか。
3PLがいわゆる物流代行業者であるならば、4PLとは何か?というと、「自社の物流上潜在している課題も含め洗い出し、改善しつつ業務効率改善・コスト削減を協働して推し進めてくれるパートナー」となる存在です。
本記事では、4PLの導入メリットや3PLとの違い、どういった企業に4PL導入がおすすめなのか、導入する場合の注意点などもお伝えいたします。
倉庫・物流業務を委託したい方へ
目次
4PLとはコンサルティングによる戦略企画や改善を含む3PL
4PL(フォース・パーティ・ロジスティクス|Fourth Party Logistics)とは、現状企業が抱える課題を発見し、経営理念に基づき課題改善のためのコンサルティングを実施しつつ、3PLが担っていた現場での物流オペレーション・マネジメントを含め、物流業務を担うソリューションです。
物流に、なぜコンサルティングが必要なのかというと、経営視点に立って課題解決をすることで、全方位的に理想的な物流ロジスティクスを実現するための施策や業務効率改善を行うためです。これまでの3PLではマネジメント・オペレーションの代行が主業務と認識されていたため、積極的な物流コストダウンも図りにくい状況となっていました。
そもそも3PLとは
3PLとは、物流業務を第三者(サードパーティー)にあたる物流企業にアウトソーシングすることです。『専門的な知識とノウハウが必要な業務は、専任業者に任せるのが得策である』という海外企業の合理的な考え方から広まったものでした。
ファーストパーティー | 自社ですべてのロジスティック活動を行うこと |
セカンドパーティー | 物流業者へロジスティック活動の一部を委託すること |
サードパーティー | 物流業者へすべてのロジスティック活動を委託すること |
委託する上では、自社内製する場合と比較し、物流業務に長けた業者にアウトソーシングすることで、現場でのオペレーションの効率化も図れる事となります。
3PL業者に委託する場合、物流業務全般を委託することはもちろんですが、いくつかの業務だけをピックアップして委託することもできます。
5PL・LLPというビジネスモデルもある
1PLや2PL・3PLは物流業界に限らず多くの方に浸透してきていますが、5PL・LLPというものもあるのはご存知でしょうか。
5PLは4PLのビジネスモデルに、AIや自動運転のような最新テクノロジーを駆使し、更なる最適化が図れるもので、経営視点にたった4PLともまた違い、自動化による物流業務効率の大幅に改善が大きな目的です。
LLPとは4PLと同義としても使われるワードですが、導入済みの3PLのコントロールも含め、ロジスティクス戦略策定・実行を支援するパートナーを指します。
4PLと3PLの決定的な違いとは
4PLと3PLでどのような部分が異なるのかさらに見ていきましょう。
- 依頼主企業が認識すらできていない課題も含め改善できる
- 積極的なコストダウンも図られる
- 事業拡大も図れる
- 業務効率改善効果が高い
3PLは業務委託ですから、「顧客に求められる成果を、物流業務上の効率は自社の方針で出す」というものです。対して「顧客が理想として掲げるものを守りつつ、理念に基づき現状抱えている課題を洗い出し、改善した上で成果を出す」というのが4PLです。
3PLでは顧客の売上が自社へのリターンともなるため、業務効率は改善されますがコストダウンの面からは積極的な働きかけがされにくくなってしまいますが、4PLではコンサルティングすることに対してリターンが得られるビジネスモデルのため、経営視点にたった戦略立案・業務改善によりコストダウンも積極的に図られることとなります。
4PLを導入する4つのメリット
4PLを導入した場合、どのようなメリットが生まれるのか見ていきましょう。
- 新たな設備投資はかけずに現状を改善できる
- 経営の安定・利益改善効果が期待できる
- 在庫状況も含め多角的に課題発見・改善ができる
- 課題解決・改善により無駄なコストの削減効果もある
①新たな設備投資はかけずに現状を改善できる
業務効率改善のため、また新しい形態でビジネスを展開する場合、新たな設備導入を行うケースは少なくありません。
4PLでは現状抱えている課題を発見・改善することで業務効率改善・経営の安定化を図るため、新たな設備を導入してどうこう、といった話は必要最低限のみで行われます。
設備投資は1つ1つがかさみがちでもあり、こうした投資なく現状を改善できるのが4PLを導入することで得られる大きなメリットの1つと言えるでしょう。
②経営の安定・利益改善効果が期待できる
物流業務上に抱えている課題として、すでに自社内で認識されているものだけでなく、他者から見ることで可視化される部分も多くあります。
様々な業種における物流業務のコンサルティング経験の豊富な4PL業者に委託することで、自社のまだ見えていなかった課題も認識できるでしょう。
③在庫状況も含め多角的に課題発見・改善ができる
物流業務上の課題を多角的に洗い出し、改善するのが4PLですから、在庫状況も含めて見直しが行われます。その過程で在庫量の最適化も見直しされますから、無駄な仕入れがなくなり、保管コストも最適化されることとなります。
その結果拠点の統廃合といった抜本的な改革が行われるケースもあります。思い切った判断が難しく、過去をそのままに運営されるケースも多い物流業務を、根本から見直すことができるのも4PLを導入する大きなメリットといえるでしょう。
④課題解決・改善により無駄なコストの削減効果もある
4PLを導入することで、現状抱えている課題だけでなく、認識できていなかった潜在的な課題も洗い出されてきます。その改善により、現状当たり前と認識されていたものが無駄なコストであった、という部分も浮き彫りになります。
改善も含めての4PLですから、業務の無駄とコストの無駄を同時に排除することができますので、経営状態を正常化させ、現状を改善できます。
3PLより4PLの導入をおすすめする企業の特長
3PLよりも4PLの導入をおすすめしたい企業の特長をご紹介します。
- コスト削減が思うように進まない
- 遅配・誤出荷・誤配送などトラブルが排除しきれていない
- 業務効率改善したい
3PLの導入が効果的な企業は、「物流業務がスムーズに進められずにいる・物流業務に関わる人件費を抑えて物流品質を安定させたい」という企業です。
対して4PLの導入をおすすめしたいのは、「現状経営上、または物流業務上の課題がある」と認識されている場合のほか、「従来通りのやり方では今後事業拡大は難しいが、課題をハッキリ認識できていない」という企業で、『今なんらかの課題を抱えておりできるだけコストを抑え、未来を見据えた改善策が欲しい』と考えているケース。
3PLと異なりコンサルティングも含まれる4PLでは、経営状態を良化させるための方策立案と実施も含めた改善効果が期待できます。
3PLを導入するか、4PLが良いか悩まれる際には、「現状抱えている課題を正確に把握できているか、その解決が確実にできるか」というところを軸に、検討していただくことで最善策を導き出していただけるでしょう。
4PLを導入する際の注意点
『4PL業者に任せきりにするのではなく、協働するサポーターと認識し改善にあたる』、これが最も重要な4PL導入により成果を出すポイントです。
4PLから様々な業務改善の提案がされていく中、社内で判断すべきこと、社内で調整すべきこと、協力会社を含めて改善していかなければならない事などもでてきます。
そうした事柄について、積極的に受け入れつつ、社内・協力会社を含め素早い判断と実行力で切り替えていく推進力が無くては4PLを導入するメリットは大幅に薄れ、成果が現れるまでの時間も長くかかることになります。
業務をアウトソーシングする3PLと同様の認識で導入するのではなく、4PLでは自社内の課題をともに改善していくチームとして受け入れ、対応していくことが必要になる点を認識しておくと良いでしょう。
まとめ
3PLと異なり、4PLは物流業務を代行するだけでなく、コンサルティングも含め最適化してくれるサポーターである、ということはご理解頂けたのではないでしょうか。
御社にとって3PLを導入するか、4PLを導入すべきかの判断指標もお伝えしましたが、最適解は見出していただけましたか?
3PLと4PLの違いも含め、4PL導入で得られるメリットも含め、今後も消費者・顧客に必要とされる企業として存続していく上で、本記事でお伝えした情報をお役立ていただけましたら幸いです。