BCPとは?わかりやすく意味あるBCP策定の8つのステップ

bcpとは

2024年に介護業界で義務化されたBCP(事業継続計画)ですが、物流業界にこそ重要な事業計画の1つであることはご存じでしょうか?

「BCPとは?」

「BCPを策定するにはどうすればよいのか」

「なぜBCPを策定しなければいけないのか」

ここではそんな皆さんの疑問を解消すべく、また失敗せずに最適なBCPを策定いただくための情報をお伝えしていきます。 有事の際の損害を最小限に抑え、企業としての信頼を失墜することがないよう、BCP策定に必要な情報をご覧ください。

BCPとは

BCPは英語の「Business Continuity Planning」の略で、和名では「事業継続計画」と呼ばれています。平成17年に事業継続ガイドライン|内閣府が策定され、東日本大震災をうけより大きく注目を浴びています。 BCPは2024年に介護業界においては策定が義務化されていますが、今後そのほかの業界に波及する可能性も想定されています。 東日本大震災では経済的影響は日本国内にとどまらず、世界中に波及したことを受け、今後も想定される大災害でも、損害を最小限に抑えることを目的に策定されたものです。 流通を担う物流業界において、大災害が起こったときにどのように復旧するか、災害時の立ち回りについて対策しておくことこそ重要であるということから注目されています。 事業継続ガイドライン|内閣府では、BCPを各企業で策定する際不可欠になる、BCM(Business Continuity Management:事業継続Management)の重要性・有効性・策定方法なども触れられています。 このガイドラインが対象とするインシデントは、事業中断をもたらすレベルの自然災害・パンデミック・テロなどですが、こうした大きな問題に直面した時のための対策ができていれば、社会的問題に直面した際だけでなく、各企業で何らかの問題に直面し事業継続が危ぶまれた場合にもスピーディーに対策を講じるのに役立つでしょう。

物流におけるBCP策定の必要性

なんらかの問題で物流企業が事業継続を中断せざるを得なくなると、どのようなリスクがあるのかをみてみましょう。

  1. 中断により収入が途絶える
  2. 従業員数維持や施設・設備の維持費による経営圧迫
  3. 取引先からの信用度が下がる
  4. 消費者から取引先が信用・期待を失う
  5. 代替え商品や代替えサービスが台頭してしまう
  6. 取引先が長期的に売り上げ低下する
  7. トラブル解消後も中断前のような利益が見込めなくなる
  8. 経営悪化による事業規模縮小や倒産

上記は物流のみを扱う企業における影響・リスクに注視したものですが、商品の製造から物流まで、と考えるとかなり大きな社会的影響が出てしまうことになります。また、物流が途絶えれば当然、消費者の生活にも大きな影響が出る可能性は捨てきれません。必要な物資が届かないことで、日常的な生活を変えざるを得ない、商品によっては日常生活がままならなくなる可能性もあります。 こうした損害を最小限にとどめるためには、早期復旧できる体制を整えておくことが必要になりますから、BCPを策定することは物流業界に切っても切り離せないのです。

突発的な中断と計画的中断でもBCPは異なる

大災害やテロなどの場合には、突発的な継続中断を余儀なくされることとなります。対して、突発的に起こったものではあっても、計画的に事業を中断した新型コロナウイルス時期のようなケースもあります。 どちらも同じBCPを講じるのでは、適切な対応とは言えないでしょう。そのため、どのようなインシデントで事業継続が危ぶまれることが起こるか、のケース別にBCPを策定しておくことも重要です。

BCPは日常管理と改善がなければ意味がない

BCPは一度策定し従業員に周知すればよい、というものではありません。 実際にBCPを策定していた企業でも、突発的なインシデント発生時に「想定していたように対策を講じられなかった」「策定時と状況が変わっていて、当初の計画ではまったく意味がなかった」という事象が起こっています。 ですから、日常業務を遂行しつつBCMも並行して行い、必要に応じた改定を行い常に最新の状態をキープしておくことが必要なのです。

中小企業庁のBCP運用指針とひな形

中小企業BCP策定運用指針|中小企業庁から、BCP策定と運用に必要な情報を入門・基本・中級・上級とレベル別に資料が提示されています。 BCP策定にあたり、どのような問題にどのような対策を計画しておけばよいか、参考にすると策定をスムーズに進められるでしょう。上記ページでは、業種別のものも含めた「財務診断モデル」も提示されています。

最適なBCP作成担当部署

BCP策定に最適な部署は、危機管理を担当する部署でしょう。危機管理部・リスクマネジメント部が指揮をとり、各部署と上層部とも密な連携をとりつつ策定すると、具体的で最適なBCP策定がしやすくなります。

わかりやすいBCP策定の8つのステップ

BCP策定は以下の8つのステップを順に進めていただくと、様々なインシデント発生時に最適な対策を講じることができます。

  1. BCP策定の目的を定める
  2. リソース不足の状況でも事業継続に重要な業務を洗い出す
  3. 起こりうるインシデントを洗い出す
  4. 発生インシデントによるリスクを洗い出す
  5. BIA(ビジネスインパクト分析)を行う
  6. リスクに対処の優先順位をつける
  7. インシデント発生時に対応可能で具体的な対策を計画する
  8. BCPについて従業員に周知・教育し準備しておく

何のためのBCPなのか、その目的を忘れてしまうと計画すべき内容が漏れてしまい、有事にスムーズな対策を講じられなくなります。目的は明確に、具体的に立ててからスタートしましょう。 有事の際にすべてを平常運転することは難しいですから、リソースが大幅に限られてしまうシーンでも、どうしても継続しなくてはいけない業務は何か、それを実現するための具体策となりうる代替え策はどのようなものか、詳細に計画しておきます。 有事が収まり無事平常運転できる体制が整った時に、すでに消費者や取引先が離れてしまっていることがあれば、元も子もありません。BIAも行うと、現実的に継続すべき業務も見えてきますから、優先順位付けの際にはぜひBIAも行ってください。 あわせて、必要不可欠なのが策定したBCPを従業員間に周知徹底し、インシデント発生時にスムーズにその体制に移れる準備をしておくことです。そのためには避難訓練と同様、このようなケースではこう、とわかるよう訓練しておくのも有効です。

物流業界に有効なBCP対策

物流拠点を分散する、物流業務をアウトソーシングする対策を講じて置くと、有事の際に代替えしやすくなります。 あわせて、重要インシデント発生時には情報収集が重要になることは、東日本大震災で目の当たりにされた方もいらっしゃるでしょう。例えば社内電話や代表電話を、クラウド化しておくと周辺地域が災害でダメージを負うことがあっても、情報収集は可能です。 実際に、社内電話も使えず社員の安全確認もままならなかったことから、クラウド化する企業も増えています。

BCPをしない場合のリスクとメリット

BCPを策定しない場合に考えられるリスクは以下です。

  • 今後義務化された場合に急ぎ策定しなくてはならない
  • 緊急事態発生時に早期対応できない
  • いざというときの優先順位がわからず対応を間違ってしまう
  • 取引先・消費者の信頼を損なう
  • 売り上げ減で経営が立ち直れない

このようなリスクを避け、損害を最小限に抑えるためにも、最適なBCPを策定することが重要なのです。 逆に言えば、BCP策定すると、以下のメリットがあります。

  • 今後義務化されても慌てずにすむ
  • 有事に適切な対応をとれたことで企業としての信頼感が向上する
  • 緊急事態発生時にすぐに適切な対策が講じられる
  • 通常営業復旧時に取引先・消費者からの信頼を損なわずに済む
  • 経営的なダメージを最小限に食い止められる
  • 中断による従業員の離職を最小限に食い止められる

大災害が起こった際に、消費者の生活を守るために営業方針の舵を切った企業が称賛され、その後も消費者からの信頼を集め、SNSなどでも大きく拡散されたことも記憶に新しいところ。 人としての正しい行いもSNSで拡散され注目されやすい時代において、最適なBCPを講じておくことは、想定以上の好影響を及ぼす可能性も秘めているのです。

失敗なしでBCP策定するコツ

BCP策定を、意味のないものにしないためのコツをまとめました。

  • BCP策定の目的と優先順位を明確にする
  • 定期的に見直し改善する
  • ケース別のBCPを策定しておく
  • BCPとその対応を属人化させない
  • BIA(ビジネスインパクト分析)も行う
  • 復旧までの具体的な流れをイメージし策定する
  • 情報伝達手段を絶たないよう計画する

上記のコツの中でも、「目的と優先順位を明確にする」ことと、「BIAを行う」こと、これは有事が収まった際の事業再開で大きく影響します。 あわせて情報伝達手段を絶たないこと、これも有事の際にスムーズにBCPを実行するのに欠かせません。これらのコツを抑えてBCPを計画してください。

BCPとは有事の最中や復旧後の企業経営に重要な計画

BCPを立てる重要性について、ここまでご覧いただいた皆さんにはもうご理解いただけたのではないでしょうか。 適切にBCPを立てるためのコツをおさえ、日常的なBCMも行うことで、BCPが最適な形になります。何のためのBCPなのか、BIAもあわせてそのために優先すべき業務はなにか、避けるべきリスクは何か、具体的 画を立てておきましょ

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