クーリエという言葉だけでは、どんなサービスかわかりにくいですよね。国際郵便との違いもイマイチはっきりしないところがあります。
とはいえ、海外発送の際には、適した発送方法を選ばないと、配達までの日数が長くなったり、発送するのに手間が増えたりします。
そこでこの記事ではクーリエについて、以下の内容を紹介します。
- 国際宅配サービス「クーリエ」の概要
- 似ているようで違うクーリエとEMSの違い
- クーリエで荷物が発送できる4つのステップ
- クーリエを利用する際の注意点2選
ぜひこの記事を参考にして、海外発送の際に適切なサービスが選べるようになってください。
→ダウンロード:物流担当者が知っておくべき!アウトソーシングで期待できる導入効果
目次
国際宅配サービス「クーリエ」の概要を解説
まず「クーリエ(Courier)」とは、書類や小口荷物を航空便で発送して、ドアツードア(door-to-door)で送り先に届ける宅配サービスです。
クーリエという言葉を日本語にすると「国際宅急便」になります。例えるなら、クロネコヤマトや佐川急便の国際バージョンになるでしょう。
海外へ書類や商品サンプルなどを急ぎで送る場合に重宝するサービスです。
代表的なクーリエは以下の3社です。
- FedEx(フェデックス):アメリカのクーリエ業者
- DHL(ディーエイチエル):ドイツのクーリエ業者
- UPS(ユーピーエス):アメリカのクーリエ業者
多少の違いはありますが、3社とも国際クーリエと呼ばれる企業です。利用する側にとっては、物流センターの位置が重要になってくるため、最寄りのセンターの住所を確認しておきましょう。
似ているようで違うクーリエとEMSの違いを説明
クーリエと比較されるのが、郵便局から発送できるEMS(国際スピード郵便)です。両方とも同じような扱いをされる場合がありますが、実際は異なるサービスです。
この章ではクーリエとEMSを比較して違いを説明します。内容は以下の通りです。
- クーリエは配送料と関税の支払いが選択できる
- EMSより配送スピードを早くできる
- 重量物も発送できる
1. クーリエは配送料と関税の支払いが選択できる
まずクーリエは、配送料や関税の支払いを発送者側で全額負担(元払い)にしたり、送料や関税を送り先負担(着払い)にしたりと選べます。対して、EMS(国際スピード郵便)は、送料は発送者負担で、関税は送り先負担になっています。
したがって、取引の内容に合わせて柔軟に対応ができるのはクーリエになるでしょう。
2. EMSより配送スピードを早くできる
配送スピードがEMSより、クーリエのほうが早い傾向があります。もちろん、配送スピードを重視したサービスを選ぶため、輸送料は通常よりも割高です。
また、配送する国や地域によっては、EMSと日数がほとんど変わらない場合もあります。
とはいえ、クーリエであれば、荷物の発送方法を予算や日数など都合に合わせて調整が可能です。ともかく先方に早く荷物を届ける必要がある場合は、クーリエが有効な輸送手段になるでしょう。
3. 重量物も発送できる
クーリエのほうが重量のある荷物を発送できます。
具体的には、EMSは最大30kgまでであり、それ以上重い荷物は発送できません。しかし、クーリエの場合は30kg以上であっても対応可能です。ただし、普通料金ではなくなるため、事前の予約や問い合わせが必要です。
主要なクーリエでは、以下の重量を超えると料金体系や発送方法が変わります。
- FedExは68kg未満まで(68kg以上になると特別対応)
- DHLは70kgまで(70kgを超えるとパレット運送)
- UPSも70kgまで(70kgを超えると超過料金)
発送する荷物が重かったり、軽かったりと重量にバラツキがある場合はEMSよりもクーリエのほうが使い勝手が良いと感じるはずです。
4. 通関作業をせずに済む
クーリエは会社内に通関士がいるため、通関手続きは代行してくれます。つまり、発送する側は、およそ国内の宅配便と同じ感覚で送れるといってもよいでしょう。
対してEMSの場合は、発送する商品価格が20万円を超えると、通関手続きが必要になります。
発送に際して、自身で輸出申告書を作成しないといけません。もちろん、郵便局に通関手続きを代行させることも可能です。
内容物の価格が20万円以下ならば、EMSであっても税関に輸出申告は必要ありません。そのため、低価格のものしか発送しないという条件があるなら、クーリエとEMSの使い勝手は変わらないかもしれません。
しかし、価格が高くなる場合は発送の際にひと手間増えるため、安定したオペレーションをするにはクーリエのほうが便利といえます。
【たったこれだけ】クーリエで荷物が発送できる4つのステップ
この章では、クーリエの発送方法を4つのステップにわけて説明します。順番は以下の通りです。
- 発送する物を確認
- 書類を作成
- 集荷を手配
- 通関・配達
1つずつ確認していきましょう。
1. 発送する物を確認
まずクーリエが発送対応している商品かどうかを確認します。生鮮食品やサプリメント、酒類などは原則発送不可です。また、航空便に積み込みが禁止されている物も発送できません。
念のため、日本の税関が禁止している規制品目も一緒に確認しておきましょう。
日本税関のWebサイトから一覧でチェックできます。
2. アカウント作成と書類を作成
次にアカウント作成と発送に必要な書類を作成します。
主要なクーリエであれば、Webサイトからアカウント登録ができるため、支払い方法や発送地の住所など入力が可能です。また、送り状やインボイスも、それぞれのクーリエごとでフォーマットを用意しているため、Webサイトから作成したり、ダウンロードしたりして、発送の準備ができます。
最近では、クーリエがアプリを提供しているため、情報の入力や送り状作成、集荷依頼をスマートフォンからできます。荷物を発送する際はインボイスを3部は用意しておきましょう。ただし、送り先によってはさらに必要になる場合もあります。
発送物の中身が書類の場合はインボイス不要です。
送り状とインボイス、荷物の梱包で発送準備が整います。
3. 集荷を手配
発送したいクーリエ業者に集荷を依頼します。発送依頼は電話やWebサイト、またはアプリから可能です。
近くにクーリエの拠点がある場合は持ち込むこともできます。大抵の場合は集荷を担当するトラックが回っているため、集荷のタイムスケジュールが決まっています。
クーリエは郵便局よりも拠点が少ないため、発送するまでの時間や日数に余裕を持って依頼するようにしましょう。
4. 通関・配達
荷物を預けたら、クーリエのほうで通関手続きをするため、荷物に不備や書類が間違っていなければ、発送者は送り先に着くのを待つだけです。
クーリエは通関手続きを行う体制があるため、短時間で荷物を輸出ができます。
Webサイトから荷物の現在位置が確認できるため、先方に荷物のIDを伝えておけば荷物の場所を配送先のほうで確認ができます。
クーリエを利用する際の注意点2選
クーリエを利用する際の注意点を2つ紹介します。
- 輸送できる荷物・地域が限られる
- 大きな貨物は割高
1. 輸送できる荷物・地域が限られる
クーリエは民間企業のサービスのため、マイナーな地域に荷物が発送できないケースがあります。
また、採算の合わないエリアから撤退するため、配送先によってはEMSを利用したほうがよい場合もあります。
クーリエが配送先をカバーしているか確認してから利用するようにしましょう。
2. 大きな貨物は割高
クーリエは航空便を使うため、重い荷物に関しては特別料金になり、配送料が割高になります。
日数などに余裕がある場合は、船便などを利用したほうが安く発送できます。
そのため、発送物の重さや発送条件が頻繁に変わる場合は、フォワーダーを介したほうが便利でしょう。
フォワーダーとクーリエの違い
ときどきクーリエとフォワーダーが比較されますが、両者は全く異なるものです。
フォワーダーとは、航空便や船便、トラックなどさまざまな輸送方法を組み合わせて、クライアントの希望に合わせた最適な配送ルートを手配する業者をいいます。フォワーダーにとって、クーリエは輸送手段の1つです。対して、クーリエにとってフォワーダーは顧客であり、荷物の仲介者です。
つまり、フォワーダーは輸送プランを考え、提案するプランナーであり、クーリエは配送手段の1つです。
小物や商品サンプルを手間いらずに送りたいならクーリエを使おう
クーリエは航空便を使い、短い日数で荷物を配達してくれる海外宅配サービス業者です。EMSより柔軟に発送条件を変えられるため、航空便でさまざまな品物を発送する場合は、クーリエを利用するとよいでしょう。