ロットとは【製造業と物流業のロットの違い・ロット管理の方法とメリット・特殊なロット(アパレル)について】

物流センター

ロットという言葉は効率よく業務を進める為使われる表現ですが、物流業・製造業では異なる用語が使われています。ここでは、業界ごとに「ロット」という言葉を解説していきます。また、独自のロットの使い方をするアパレル業界についてもまとめています。さらに、ロットの取り扱いをより効果的にするために、どのような「ロット管理」の方法を採用すべきか、どのようなメリットがあるのかについてもまとめています。

業務を無駄なく効率的に推進するのに欠かせないロットの考え方をおさらいしてみましょう。

ロットとは|製造業と物流業界の異なるロットの使い方

ロットは英語で「lot(意味:集団・束・ひとつのまとまりの)」で表される流通業界で生産効率や販売効率を向上させるために用いられる、単位の表し方です。多くの商品を取り扱う流通業界で、商品1つ1つを管理・生産するのは非効率なので、ある程度のまとまりで扱うほうが効率的である場合に使われます。

製造業と物流業では異なる「○○ロット」という表現がされていますので、それぞれの業界ごとにみてみましょう。

物流業界における3つのロット

物流業界における3つのロットは以下のものがあります。

  1. 輸送ロット
  2. 配送ロット
  3. 保管ロット

物流業界に置けるロットには3つの種類がありますが、どれも業務効率を向上させる目的で用いられる表現です。物流業務における適切なロットの取り決めをする際には、『物流コスト・リードタイム・生産性・サービスレベル・利益率』などをあわせて考慮する必要があるとされています。

輸送ロット

輸送ロットとは輸送効率の向上のために、適切な数量をまとめて輸送する際に使う単位表現です。

コンテナリゼーション(規格化されたコンテナを使って輸送することで、コンテナ輸送ともいう)のシーンで良く使われる表現ですが、輸送においては以下の2パターンの輸送手段があります。

  • FCL(Full Container Load):荷主がコンテナを丸々一本占有して貨物を輸送する手段
  • LCL(Less than Container Load):コンテナ単位に満たない小口貨物で他の荷主と一緒に積載するため、混載輸送とも言われる

配送ロット

配送する際の効率化のため、荷物をある程度の量にまとめておく際に使われるのが「配送ロット」という表現です。

保管ロット

在庫を保管する際の効率化のため、ある程度の数量をまとめておくシーンで用いられる単位表現が「保管ロット」です。ロットでまとめて考えることで、バーコードがつけられない小さな製品や、数が多い商品をまとめて効率よく管理できるようになります。

製造業界における4つのロット

製造業界に置けるロットには4種類ありますが、製品を効率よく生産・管理するために用いられる表現です。

  1. 製造ロット
  2. 購入ロット
  3. 最小ロット
  4. ロット管理

製造ロット

効率的に無駄なコストを省きつつ生産するため、ある程度の数量をまとめる際に用いられるのが「製造ロット」です。

適切な製造ロットを見定めることで、顧客ニーズ・需要にあった製造数を設定し、余剰在庫を抱えるリスクが軽減できます。

購入ロット

卸業者やメーカー・小売店などに製造者が販売する際に、無駄なコストを省き自社の利益も守れる数量をまとめるのに用いられるのが「購入ロット」です。

在庫の保管や管理・輸送にかかるコストを回収するため、一定量をまとめて販売する考え方。

購入ロットの数量決定時には、販売側と購入側の交渉で決めることも多く、小ロットなら販売単価を引き上げ、大ロットならば販売単価を引き下げるというケースもあります。

最小ロット

購入ロットの決定交渉時や商談の際に使われることが多いのが「最小ロット」という表現で、ミニマムと呼ばれることもあります。

販売側は自社の利益が確保できるような最小ロットを設定することが重要ですが、最小ロットが大きすぎると商談成立を妨げる可能性も。

購入者側は余剰在庫を抱えないため、まずは最小ロットで仕入れて売れ行きをみてから追加発注、という形をとることが多いもの。

そのため多くの企業は購入してもらえる価格でかつ、自社の利益もだせるギリギリのラインを最小ロットとする場合も多くあります。

ロット管理

他のロットは業務効率化のためある程度の数量をまとめる、という目的で使われるものでしたが「ロット管理」はまとめられたロット毎に管理するということを指す言葉です。

製造業においては不良品や、何か問題があった際に商品を回収するということも考慮しておく必要がありますが、その際効率よく回収するのにもロット管理が役立ちます。

また食品や衣料品のように消費期限がある場合には、ロット管理することで簡単に先入れ先出しでき、無駄のない倉庫管理が効率的に行えます。

アパレル業界におけるロット【OEM・SKU】

シーズンごとに商品が入れ替わるアパレル業界では、ロットサイズに対する考え方が他の製造業とは異なります。

アパレル業界は、過剰在庫のリスクを回避するために、多品種小ロット生産の傾向が強いのが特徴です。非効率な小ロット生産を無駄なコストをかけずに実現するために、多くのアパレルメーカーは海外の工場と交渉しています。交渉が成立すると、生産ラインを効率的に稼働させるために、OEM(Original Equipment Manufacturing:他社ブランドの製品を生産すること)を受注することも多いです。

また、アパレル業界でよく使われる単位表現にSKU(Stock Keeping Unit)というものがあります。これは他の業界と同様、自社ブランド商品を販売する際に最低ロットを設定するものですが、商品の特性上、色やサイズごとに最適な最低単位が設定されています。一般的には、同一生産ラインで製造された同一商品群を最小ロットとしますが、これでは不便なので、アパレル業界独自の表現として「SKU」が使われています。

倉庫管理における2つのロット管理方法とメリット

適切な倉庫管理を行うためには、ロット管理が有効な手段であることを説明しました。ロット管理には2つの方法があり、取り扱う品目の数によって利便性が異なります。

ロット管理の2つの方法

ロット管理には以下の2つの手法が挙げられます。

  • 在庫管理をシステム化する
  • ロットナンバーを基準に在庫保管する

在庫管理をシステム化する

ロット管理を効率よく実施するために在庫管理システムを導入することで、人為的ミスを最小限に抑えつつ、人的コストも抑える効果が期待できます。商品毎のバーコードをハンディターミナルなどを使い読み込み、ロット番号毎に商品の管理。管理している商品の出庫時には、ロット毎のバーコードを読み取り在庫情報をリアルタイムに管理でき、出荷先の情報をそれに紐づけ入力してデータ管理します。

また不良品が発生した場合など、システマチックにどれが回収対象のロットか、販売先はどこかといった情報も含めて絞り込み、スピーディーに対応が可能です。このように在庫管理システムを導入すると、大量商品や商品の販売先の情報などを効率よく管理でき、ロット管理をするメリットが増強されます。

ロットナンバーを基準に在庫保管する

データ管理は手入力でロット番号の貼付も手入力で、人的コストはかかるものの、システム化するコスト的メリットがない場合に選ばれる方法です。ロット番号をシールなどにプリントし、商品に貼付し管理データを手入力しますが、ロット番号を割り振りする場合にはExcelで連番を作成するほか、カウントアップしてくれるゴムスタンプなどが使われます。

ただしシステム導入のコストは不要になる一方、人為的ミスは完全には防ぐことは難しくなります。

ロット管理の2つの方法

ロット管理を適切に行うことには3つのメリットがあります。

  • 在庫管理が効率化できる
  • 無駄なコストが省ける
  • 不良在庫の取扱が容易になる

在庫管理が効率化できる

在庫管理の手法としてロット管理を導入することで、同じロットの商品は製造時期や製造場所が同じものを一括管理できるようになるため効率よく在庫管理できるようになります。

入庫・出庫・回収どのシーンにおいても効率化することができる為、より細かな在庫管理が必要な食品・衣料品のように消費期限のある商品の管理の効率化により有効です。

関連記事:在庫管理とは?在庫管理の方法とメリット

無駄なコストが省ける

ロット管理を行う際にはまず「最小ロットをどの程度にするか」を決定し実施するため、需要と供給に見合う効率的な生産が可能になり、無駄なコストを省くことが可能になります。

このため、生産過剰になって保管スペースを圧迫してしまったり、余剰在庫を抱えるリスクも軽減できるのです。

不良在庫の取扱が容易になる

ロット管理を行うことで商品に不良があるか確認すること、また該当商品の出荷先のデータも含めて回収しなくてはならない時に的確かつスピーディーに対応可能になります。

同じ製造時期・製造場所で生産された商品をまとめて扱うのがロット管理ですから、1つ不良品があれば同じロット番号のものも同様とみなし対応することができるからです。

まとめ

ロットとは何かは物流業と製造業で異なりますが、どちらも効率的かつ正確な作業を進めるために一定量の物品をまとめたものであることはご理解いただけたかと思います。

また、ロット管理を導入することで、より効率的なロット管理が可能になることや、ロット管理にはどのような方法があるのかについても解説しました。

より効率的で無駄のない運用を推進するために、ぜひご活用ください。

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MOTOMURA物流編集部

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