関西地方で多用されるテレコという言葉には、あべこべとか互い違いといった意味があります。「手入れ」に、接尾語の「こ」が付いた「手入れこ(ていれこ)」が変化した言葉と言われています。もっぱら良くない文脈で使用されるテレコは、地域に関係なく、物流用語としても広く用いられています。
そこで今回は、物流におけるテレコの意味や原因、その防止策について詳しく解説しましょう。
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目次
テレコとは
物流では、テレコというと基本的に「誤配送」を意味する場合が多く、2つのものを取り違えたり、2か所のお客様に送るものを入れ違えて出荷することをテレコ出荷と言います。
つまり、1つの荷物が全く違う宛先に届いたり、注文と違う商品が発送されたりする深刻な問題です。
テレコ出荷には以下のようなパターンがあります。
- 宛名の間違い
- 荷物の入れ違い
- 出荷漏れ
- ドライバーの勘違い
宛名の間違い
まず典型的なテレコのパターンが、別の顧客の宛名が記載された伝票を添付することによる誤配送です。1点のみが誤って送られるだけでなく、2点やそれ以上複数の荷物を、それぞれ違った宛先へ配送してしまうと、その後処理は非常に厄介になります。
荷物の入れ違い
「鉛筆ではなくボールペンを送ってしまう」「タオルを12枚送るはずが、21枚出荷してしまった」という具合に、荷物の中身を間違ってしまうパターンです。ピッキングを手作業で行っているうえに指示書が紙の場合、作業者が数を読み違えることがあります。同じような注文が重なると、正しいと思い込んで異なる商品を詰めてしまうことも起こり得ます。
出荷漏れ
出荷するはずの荷物が倉庫内に放置されていたり、違うトラックに乗せられてそのまま配送漏れや遅延を起こしたりというパターンもあります。
ドライバーの勘違い
同じ配送ルート上で近所に似た名前の届け先があったり、同サイズの荷物が複数あったりする場合に、ドライバーが勘違いをして誤配送してしまうこともあります。
テレコが起きる3つの原因
では、なぜこのようなテレコ出荷が起きてしまうのでしょうか。
テレコが起きる原因について、掘り下げていきましょう。
1. ピッキングミス
サイズや形状が似た商品が複数あったり、取り扱い品目が数多くあったりする場合は、ピッキングミスが起きやすいです。また繰り返しますが、紙の指示書を読み違えることで、別の品番を選ぶとか、数量を間違えることも考えられます。その背景には、慢性的な人手不足による作業品質の低下もありえるでしょう。
2. 伝票の貼付ミス
いったん荷物を梱包してしまうと中身を見ることができないため、正しいと信じ込んで別の配送伝票を貼付してしまうこともあります。この場合は、荷物内に入れた納品書と配送伝票に書かれた情報が一致しないため、荷解きをした顧客にはすぐに誤配送と分かるでしょう。
3. 配送スキルが低い
ドライバー歴が短いと、届け先を間違ったり、配送漏れを起こしたりすることがあります。近年の宅配需要の増加は目を見張るものがあり、1人のドライバーに過度な配送量が求められることが、少なくありません。すると特に新人の場合、肉体的にも精神的にも疲弊して勘違いや判断ミスを犯すケースがあるのです。
テレコによる3つのマイナス影響
テレコが起きることによる悪影響にはどのようなものがあるか、見ていきましょう。
信用の低下
誤配送はもちろん、遅延も顧客に大きな損失をもたらすことがあります。企業にしろ個人にしろ一刻を争う品の場合は、とくに被害が甚大におよぶので、信用失墜につながる可能性が十分にあります。
個人情報の漏洩
テレコで誤って荷物を届けてしまうと、名前や住所だけでなく、その相手が何を購入したかや、誰とどのような取引を行っているかといった個人情報や法人の機密情報が、漏洩しかねません。すると時に補償問題に発展するリスクもあるので要注意です。
コストと時間の浪費
誤配送を起こすと荷物の回収や再配達により、コストと時間を無駄にすることになります。再配達を拒否され、注文自体がキャンセルされると、機会損失にもつながるでしょう。
加えてテレコにより実際の在庫と帳簿上の在庫が一致しなかったり、商品の在処が不明になったりすると、在庫をすべて確認するなど、膨大な手間がかかる恐れもあります。
テレコの防止対策3選
最後にテレコを防ぐための対策を3つ紹介します。
1. WMSの導入
WMS(倉庫管理システム)を導入すると、全ての商品をバーコードで管理しながらハンディーターミナルを使ってピッキングできるので、ミスがあればその場ですぐに判ります。ペーパーレスにし、デジタル化することで人手不足の解消や作業の効率化も大幅に進むでしょう。
2. 作業マニュアルの標準化
ピッキング、仕分け、梱包、配送伝票の貼付、荷役といった一連の出荷作業をマニュアル化し、標準化できれば、ベテラン、新人の別なく、ほぼ同レベルの作業が叶うため、テレコのリスクは大幅に抑制できるでしょう。
3. 作業環境の改善
在庫の収納方法が雑だったり、倉庫内が雑然としていると、作業者の動線を塞いだり、移動距離がいたずらに長くなったり、目当ての商品が見つからないなどの弊害が、頻発します。収納法を工夫し、整理整頓を徹底するのはもちろん、移動式自動倉庫やソーター、自動搬送機といったマテハン機器の導入を適宜検討するのも、おすすめです。
まとめ
物流業者にとって、テレコは一つ間違えると社の存在を揺るがす大問題に発展しかねません。ミスやトラブルは付きものですが、2度と同じ過ちを犯さない対策を施し、さらにその上を行く作業品質の追求を忘れないことが、大切です。