在庫管理をしているはずなのに下記のようなお悩みはありませんか?
「余剰在庫が多いようだ」
「受注時に在庫状況を確認するのに時間(労力)がかかる」
「在庫管理が適切でなく、欠品で困っている」
また、倉庫が複数あり在庫管理が煩雑になっている場合や、商品数が多く在庫管理に多くの労力を割かざるを得ない場合は、「在庫の見える化」をお勧めします。
在庫の見える化とは、簡単に表現すると「適正な在庫数を管理し、効率的に受発注を行うためのソリューション」です。データ管理、倉庫管理の手法を徹底的に見直したものです。
在庫の見える化とは一体何なのか、どのように導入すべきなのか、導入することで得られる「8つのメリット」について解説します。
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目次
在庫の見える化とは
「倉庫内が乱雑で入出庫がスムーズに行えない」
「在庫がいくつあるのかも数えないと把握できない状況で困っている」
このような在庫管理の悩みを解決しつつ、業務効率改善の効果があるのが「在庫の見える化」です。
具体的に何をするかというと、在庫が保管されている倉庫を整理して、在庫状況をデータベースに記録することです。
これは単に倉庫内を整頓するということではなく、どこに何をどれだけ保管すればいいのかが分かるように保管ルールを定め、そのルールを徹底して守るように教育することも含まれます。
『どこに・何が・どれだけあるか・(出荷した場合は)いつ・どこに出荷したか』の情報をしっかりデータベースで管理し、遠隔地からでも在庫状況が確実にわかるようにすることで、業務効率を改善し、余剰在庫を抱えるリスクを軽減できます。そのため、より確実で円滑な情報管理と在庫管理の徹底を図るために、IoTツールを導入する企業も出てきています。
『在庫の見える化』を適切に実施するために何より大切なのは、その状態を継続し続けることということを忘れてはいけません。
在庫の見える化を行う4つの方法
在庫の見える化を行うには以下の4つの方法が考えられます。
- 手入力でデータ管理を徹底する(5Sの徹底)
- IoTツールを導入する
- 在庫管理システムの導入
- 受発注を管理できるシステムの導入
手入力でデータ管理を徹底する(5Sの徹底)
手入力・手作業による在庫の見える化は、全ての場合に有効なものとは言えません。
商品数・商品種類が少ない場合や、保管場所が1つだけといった比較的簡単に手入力管理できる場合に有効な方法です。Excelなどを使って管理されるケースが多く、在庫数のカウントやデータ入力時の人為的ミスが避けがたいのが課題となります。
この場合、人為的ミスを軽減するために推奨されるのが『5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)』を徹底することです。
継続して状態をキープするための仕組みづくりこそが、この方法の要であるとも言い換えられるでしょう。
そのための工夫として、
- 商品ごとの保管場所を色付きのテープで囲い視認性を高める
- 棚に商品名を貼付する
- 余剰在庫を抱えないよう一定数以上には置けないようにする
といった施策を行う企業もあります。
システム導入のコストは不要なものの人為的ミスが発生しやすく、在庫の計測と保管場所をわかりやすくするためのIoTツールを導入するケースもあります。
IoTツールを導入する
IT導入補助金対象でもあるIoTツールの「スマートマット」という商品が複数メーカーより販売されています。
スマートマットは、在庫を保管する場所に1つの商品毎に1マット配置し、マットの上に置けば自動的に計測しデータ入力までしてくれるというもの。
在庫の見える化を推進する上で、データ入力時の人為的ミスのリスクを避けられます。
手入力でデータ管理を行う際にも的確に、かつ効率的に行えるのでおすすめです。
在庫管理システムの導入
在庫管理システムの導入は、発注管理の必要がない場合に特におすすめできる方法です。
在庫管理システムも様々な企業から提供されていますが、以下のような機能があるものがあります。
- 入出庫記録の一覧表示
- 在庫状況(数量・品目)の一覧表示
- 倉庫間などで在庫を移動させた際の記録を表示
- ピッキングする在庫一覧リストの作成
- 在庫の棚卸し記録と分析結果の表示
在庫管理システムを使うことで入出庫や棚卸の作業にかかる人的負担は大きく軽減できますが、IoTツールを併用することで在庫管理をより的確に行う企業もあります。
受発注を管理できるシステムの導入
特定のサプライヤーから資材を購入することが多く、製造・販売を行う企業にとってのメリットは、受発注管理システムを導入することです。
受発注管理システムは、在庫管理システムとは異なり、取引先と同じシステムを使って受発注のやり取りをすることができるのが特徴です。受注管理システムの中には在庫管理もできるものがあるので、在庫の見える化にはこのタイプのシステムがおすすめです。
受発注情報をリアルタイムに確認できるため、受注・生産を行う企業にとっては、余剰在庫を抱えるリスクを軽減すると同時に、状況に応じた生産と正確な在庫管理を実現することができます。
在庫の見える化をする8つのメリット
在庫の見える化を行うことで、以下のような8つのメリットがあります。
- 在庫管理・業務の効率化になる
- 倉庫が遠くても在庫情報が常に把握でき業務効率が向上する
- 在庫管理を行う担当者が複数でもスムーズ
- 在庫管理の現場も整頓され業務効率UPする
- 倉庫スペースを有効活用できるようになる
- 現在の課題を理解しやすくなる
- 余剰在庫のリスクを軽減できる
- 顧客ニーズを把握しやすい
それぞれ詳しく解説させていただきます。
①在庫管理・業務の効率化になる
在庫の見える化を行うと、在庫が「何が・どこに・いくつ」あるのかをリアルタイムに把握できるようになります。在庫数を調べる・探すという手間・時間が省け、在庫管理の効率だけでなく業務効率が大幅に向上します。
②倉庫が遠くても在庫情報が常に把握でき業務効率が向上する
オフィスから遠い場所に倉庫がある企業は少なくありません。こうした場合、在庫情報の確認に「電話で聞いてみなくてはわからない」ということも多いですが、こうした問い合わせの手間が不要になります。
保管現場である倉庫の状況を確認することなく、必要なものを適切な数量で発注や受注することが可能になります。
③在庫管理を行う担当者が複数でもスムーズ
誰が見てもわかるようにすることを目指すのが「在庫の見える化」。ですから担当者が急な休みで現場が回らないということも無くなります。
④在庫管理の現場も整頓され業務効率UPする
在庫の見える化はデータ上の取扱だけでなく、在庫を保管する倉庫内の状況も「どこに何があるか」を把握できるようにするものです。決められた場所に保管されているが前提となる為、出荷も保管も適切にスムーズに行えるようになります。
⑤倉庫スペースを有効活用できるようになる
在庫の見える化を行うと倉庫内が整頓され、倉庫内のスペースが有効活用できるようになります。
余剰在庫となることも避けられる為、無駄な在庫でスペースが埋まってしまうということもなくなり、業績にも良い影響が期待できるのです。
⑥現在の課題を理解しやすくなる
在庫数や入出荷情報を常に正確に把握できるようになることで、販売量に見合った受注・生産が行われているかを把握し、状況を分析することが容易になります。その結果、現在どのような課題を抱えているのか、どのようなボトルネックがあるのかを的確に分析することが可能になります。
⑦余剰在庫のリスクを軽減できる
在庫を可視化することで、在庫の状況を常に正確に把握することができ、過剰生産の抑制や売れ行きの悪い製品の製造などの対策が取りやすくなります。
これにより、過剰在庫を抱えるリスクを回避することができます。
⑧顧客ニーズを把握しやすい
在庫の見える化を行うと、データで管理した在庫の推移をみて売れ行きの分析も的確に行えるため、顧客ニーズの動向把握がしやすくなります。
まとめ
在庫の見える化は、在庫状況のデータ管理とあわせて倉庫内の整頓により、常に的確に在庫管理・データ分析が行えるものであることがご理解頂けたのではないでしょうか。
在庫状況をリアルタイムに的確に把握できるようになることで、余剰在庫を抱えるリスクを軽減し、ニーズにあった生産が行えるようにもなり、一石二鳥の効果も期待できる在庫の見える化。
導入には最初に大きな労力を要する場合もありますが、IoTツールや、システムを導入するなどで負担を減らして継続していくこともできます。
何より在庫の見える化を行うことでは多くのメリットが享受でき、業務効率だけでなく業績にも好影響が期待できますから、是非ご検討されてみてはいかがでしょうか。