
EC物流のアウトソーシングは、業務効率化やコスト削減を目指す多くの企業に採用されています。 特に、EC市場拡大で、自社物流の限界を感じた企業がアウトソーシングを選択するケースが増加しているのが現状です。
ですが「自社でアウトソーシングする必要が本当にあるのか?」と懐疑的な企業担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、最新のEC物流市場データをもとに、EC物流のアウトソーシング利用率やメリット・デメリット、導入の判断基準を詳しく解説します。最適な物流の形を見つけ、事業の成長を加速させるためのヒントを提供します。
目次
EC物流のアウトソーシング利用率と市場動向
EC物流のアウトソーシングは年々増加しており、多くの企業が効率化とコスト削減のために導入を進めています。 特に、EC市場の拡大に伴い、自社物流の限界を感じた企業がアウトソーシングを選択するケースが増えています。本章では、市場の成長率や導入企業の特徴を詳しく解説します。
EC物流・アウトソーシング市場の市場規模
BtoCのEC市場規模は、2020年が12兆2,333億円、2021年は13兆2,865億円、2022年にはさらに7,132億円増加で13兆9,997億円と順調に拡大しています。 参考:令和4年度 電子商取引に関する市場調査|経済産業省 あわせて矢野経済研究所の2023年7月のプレスリリースでは、物流17業種の総市場規模は2023年が約24兆円、2024年が24.5兆円を見込むなど、市場拡大は確実と考えられるデータが発表されています。 EC物流代行を引き受ける3PL事業市場規模について、ニッセイ基礎研究所の3PLビジネスの現状調査結果によると、2010年度に1.5兆円未満でしたが、2020年には2倍以上の3.3兆円まで拡大したというデータも出されました。 この市場の成長は、物流業務の専門性が高まり、企業が物流業務を3PL業者へ委託する動きが定着しつつあることを示しています。 また、EC市場の拡大に影響を受け、物流代行市場は今後も増加が見込まれています。特に、EC市場規模の拡大や、物流業務の専門性の高まりが、アウトソーシング需要を押し上げています。
EC物流をアウトソーシング利用企業の割合は37%
ECのミカタを運営するMIKATA株式会社がPRTIMESで発表した、329社の回答から導き出したEC事業者の実態調査によると、EC物流企業のアウトソーシング利用率は約37%でした。 この調査はEC市場拡大の裏で問題視されている、「運営側の人手不足が深刻である」という課題があるため、行われたものです。 この調査ではOMS(受注管理システム)を導入する企業は56%、WMS(倉庫管理システム)を利用している企業は約30%。導入のコストや人材教育、オペレーション上の課題が少なからず影響しているとも考えられます。
EC物流をアウトソーシングする企業の共通点とは?
物流アウトソーシングを利用する企業には以下のような共通点があります。
- 年間売上1億円以上のEC事業者が多い
- 多品種・多チャネル販売を行っている
- 繁忙期の出荷量増加に対応できる体制が必要
- 物流コストを最適化したいと考えている
ECを物流アウトソーシングしていたが、自社倉庫を構えEC物流をインハウスする決定を下す企業は、「売り上げが数十億円を超え、安定的で大きな売り上げが期待できるまでに成長した」企業です。 年間売り上げ10億円までの創業期で、インハウスが厳しいと、自社倉庫を構えるリスクが大きく、アウトソーシングをと考える企業が多いと理解しておいてもよいでしょう。
EC物流をインハウス運用するリスクと課題
インハウスでEC物流を運用する企業も多いですが、その一方で様々なリスクや課題が伴います。特に、事業の成長とともに発生する物流コストの増加や、業務の煩雑化が大きな問題となります。本章では、インハウス物流が抱える代表的な課題について詳しく見ていきます。
EC物流のインハウス運用が抱える3つの大きな課題
EC物流をインハウス運用する企業が抱えがちな3つの課題についても、見ていきましょう。
課題 | 発生リスク |
---|---|
コスト増大 | 倉庫費用・人件費・設備投資などの固定費が増加 |
業務負担の増加 | 注文処理・在庫管理・出荷作業にかかる時間と労力 |
スケールメリットの欠如 | 事業拡大時の柔軟な対応が難しく、機会損失のリスク |
EC物流をインハウス運用する上で発生する課題と、その理由について以下でさらに掘り下げます。
EC事業の成長でインハウス物流が限界を迎える理由
EC事業が成長するにつれ、物流の課題も深刻化します。受注数が増えると、以下の問題が発生しやすくなります。
- 出荷業務が追いつかず配送が遅延する
- 倉庫スペース不足で適切なロケーション管理ができない
- 倉庫スペース不足で在庫管理が煩雑化
- 繁忙期などの物流はどう対応力不足で機会損失する
このような問題が起これば、エンドユーザーからの信頼を失墜したり、顧客育成の観点でも大きなデメリットとなります。 EC物流は今後も市場拡大が見込まれており、企業がインハウスでEC物流運営するのはより困難になる可能性が高いです。そのため企業のEC物流のアウトソーシング利用率も上がっていくと考えられます。
EC物流をアウトソーシングする5つのメリット
EC物流をアウトソーシングすることで、多くのメリットを享受できます。物流の専門企業への委託は、コスト削減・業務効率化・配送品質向上など、以下のような利点があります。
- 物流コスト最適化:様々なコストを削減し変動費用化も可能になる
- 業務効率化で本業に集中可能:煩雑な作業を外注しコア業務に注力できる
- プロのノウハウで配送品質向上:配送ミス・遅延リスクを抑え一定のクオリティが担保できる
- 繁忙期も安定した出荷対応が可能:セール時などにも安定した対応が期待できる
- 最先端の物流システムの活用:自社対応ではないからこそ最先端のシステム活用も容易になる
業務効率化はもちろんですが、最適な業者選定ができれば、インハウス以上の物流クオリティで、物流波動にも耐えうる安定したEC物流を、最低限のコストで実現できます。
EC物流アウトソーシングのデメリットと注意点
物流業務のアウトソーシングには多くのメリットがありますが、業者選定に失敗してしまうと、期待した成果を得られないだけでなく、様々なトラブル・リスクも抱えてしまいます。以下のデメリット・注意点を踏まえEC物流アウトソーシング先を検討しましょう。
費用対効果の見極めが必要
物流アウトソーシングにはメリットが多いものの、委託費用が発生するため、費用対効果を正しく見極めることが重要です。特に、インハウス運用と比較した際の固定費・変動費の内訳を理解し、コスト削減効果を慎重に検討する必要があります。
物流業者の選定ミスがトラブルに繋がる
対応エリア・配送スピード・サービスの質を事前に確認せずに契約すると、配送遅延やクレーム増加といった問題が発生する可能性があります。物流業者を選定する際は、契約内容をしっかり精査し、違約金や契約期間の条件もチェックすることが大切です。
システム連携や業務フローの調整が必要
WMS(倉庫管理システム)やOMS(受注管理システム)との連携をスムーズに行うためには、事前の準備が欠かせません。また、業務フローの調整や従業員のトレーニングも必要となるため、導入前に計画をしっかり立てることが求められます。
EC物流をアウトソーシングするべきかの判断基準
EC物流をインハウスにするか、アウトソーシングするか悩んだ時は、以下をポイントに検討してください。
物流業務にどれくらいの時間・コストを割いているか?
現状の業務フローで出荷業務や在庫管理にどれほどの時間と人件費がかかっているか算出し、アウトソーシングでどれだけ時間・コストを削減可能かシミュレーションしてみましょう。
現在の物流体制で事業拡大に対応できるか?
受注数が増えた際に、現在の物流体制で対応できるか検討し、将来的なスケールメリットを考慮した上でアウトソーシングの可否を判断しましょう。その際、業務量の増減に柔軟に対応してくれる委託先かどうかも重要な検討ポイントです。
EC物流アウトソーシングの成功事例
弊社にEC物流代行を委託いただいたことで、「1日当たりの出荷数が大幅に増えた」とおっしゃっていただいた企業様の事例をご紹介します。 ご相談いただいた際には、現状抱えている課題と潜在的な問題点を洗い出す作業から始めさせていただきました。 その改善策を含め、これからの委託企業様の躍進に耐えうるサポート案をご提示。「急な依頼や短納期、また予定を早めての納品にも柔軟に対応してくれた」という点は特に評価いただけています。 あわせて「迅速かつ丁寧な対応と、在庫状況をリアルタイムに把握できるのも助かっている」という嬉しいお声もいただきました。 このように、EC物流のように出荷件数に増減が大きく、取り扱う商品の大きさ・サイズも様々な商材を適切に物流に載せられる対応力も、EC物流業者の腕の見せ所であり、弊社の強味と自負しております。
EC物流アウトソーシングならMOTOMURAにお任せ
EC物流は、煩雑かつ件数の増減があり、多い場合は1日に数百以上の発送が求められる物流業務です。 インハウスかアウトソーシングがお悩みであれば、こちらでご紹介した判断基準を踏まえ、自社にとってどの程度メリットが生まれるか、費用対効果で検討することが重要です。 それでも「アウトソーシングしたほうがいいかどうか」のご判断に悩まれるのであれば、ぜひ当社にお気軽にご相談ください。弊社ではお客様に寄り添い、求められる以上の効果のあるEC物流代行サービスをご提供しております。 お客様が今見えている課題をヒアリングし、潜在的な課題も洗い出しつつ、どうするのが最適なのか、検討させていただきます。