倉庫・物流業務を委託したい方へ
物流倉庫を探す際に、選ぶ基準があいまいだと迷ってしまいますよね。
端的に倉庫選びのポイントを列挙すると、立地と設備、そして倉庫内の環境です。この記事では、倉庫の選定をスムーズにできるように前述した3つのポイントを細かく解説します。
- 倉庫の種類
- 倉庫選びのポイント7つ
- 見学する際の倉庫選びポイント3つ
この記事を参考にすれば、物流倉庫の選び方のポイントや、倉庫を見学する際にチェックする内容がわかります。納得感ある物流倉庫を選ぶことができるでしょう。
目次
おおまかに倉庫は2種類
ここで扱う倉庫とは物流倉庫のことです。
単なる倉庫は、商品の在庫を保管するためのスペースを貸し出す場合がほとんどであり、商品の出荷などは、借り手が手配して対応しないといけません。しかし、物流倉庫は、商品保管・梱包・出荷までの在庫の保管とサービスが一つになったものです。
したがって、物流倉庫では以下のサービスが含まれます。
- 商品管理
- 入庫や検品
- 在庫管理
- ピッキング
- 梱包
- 出荷作業
- 返品作業
つまり、物流倉庫を選ぶ際には、商品を保管するだけでなく、必要に応じて迅速に発送される体制があるかを確認しないといけません。
倉庫選びのポイント7つ
倉庫選びのポイントを7つ紹介します。
- 利便性の高い立地に建っている
- 商品の保管要件を満たせる
- 在庫や出荷量の変化に対して柔軟な対応ができる
- 出荷指示がスムーズに伝わる体制がある
- 丁寧で作業ミスが少ない
- 梱包や発送で柔軟な対応ができる
- 実際にコスト削減になる
上から順番に立地・設備・環境に関わる内容を説明し、7つ目に倉庫を借りる目的に関して解説します。
利便性の高い立地に建っている
物流倉庫が高速道路や空港、港などへのアクセスが良好な立地にないと、その役割を十分に果たすことができません。
仮に提供しているサービスが手厚く、費用が安い物流倉庫であったとしても、利便性の悪い場所にあれば、配送時間などでムダな損失が生まれます。
また、倉庫で働く人にとってもアクセスが良くない立地はマイナスに働きます。
物流倉庫は、繁忙期に多くの人手が必要です。
しかし、倉庫へのアクセスがあまりにも良くないと、年末などの繁忙期に人が集まらずに業務が停滞するリスクが高まります。
特に出荷量が増える年末や、クリスマスなどのイベントで立地が悪いことが原因で出荷の遅延や入荷が遅れてしまうこともあるでしょう。
こういった問題を回避するためにも、倉庫が便利な立地にあるか確認しましょう。
商品の保管要件を満たせる
倉庫に預けたい商品の保管に適した環境が用意されていることも立地の次に重要です。
物流倉庫には、揃えている設備や作業に従事している人員によって得意不得意があります。
そのため、倉庫がどんな商品を預かっているか必ず確認しましょう。
預けたい商品と同じ、もしくは似ている商品を多く預かっている倉庫であれば、好条件が揃っている可能性が高いといえます。
また、以下の商品を預ける場合は、必要な設備や許可を倉庫が取得しているか確認を忘れずに行って下さい。
- 医薬品
- 酒類
- 食品
- 化粧品
- 木材
これらの保管や取扱いには、特殊な重機や設備・資格が必要になります。
自社商品に不向きな倉庫を選択してしまうと、取り扱いに慣れておらず、予想外のミスや事故が起きるかもしれません。
自社の商品を預けるのに適した倉庫か確認する際は、先に保管されている商品と、設備に注目しましょう。
在庫や出荷量の変化に対して柔軟な対応ができる
年末やクリスマスなどのイベントの際に発生する出荷波動(物流量の増加)に対して十分な対応ができるか確認しましょう。
出荷波動への体制が不十分だと、遅延やピッキングミスなどのトラブルが起きやすくなります。
イベントや祝祭で影響を受ける商品を扱っている場合は、特に重要なポイントになるでしょう。
一年を通して需要の増減が少ない商品を扱っていても、他の借主が預けている商品の影響を受けて、発送が遅延する可能性があります。
したがって、物流倉庫が出荷波動に対する十分な体制を構築しているかチェックしましょう。
出荷指示がスムーズに伝わる体制がある
発送のキャンセル指示や、個数変更など出荷内容が変更になった際に、すぐに伝わる体制があることも重要なポイントです。
ECショップを運営する場合、購入後のキャンセルや購入情報の変更に備えておかないといけません。
自社で商品の保管や出荷しているうちは対応が容易です。
しかし、物流倉庫を借りている場合は、すぐに連絡しないとピッキング・発送されてしまいます。
倉庫が管理システムを導入して業務の効率化や自動化ができていれば、出荷状況や変更指示も画面上からできる体制を構築している場合が多いです。
ただし、自動化やデジタル化が進んでいると、それだけ出荷作業が短時間で終わるため、変更の連絡も早く伝えられる手段が必要です。
変更指示を出す際の方法や手順などをあらかじめ確認しておきましょう。
丁寧で作業ミスが少ない
物流倉庫の「誤出荷」の数値を調べて、どれくらいの割合でミスが発生するのか確認します。
商品のピッキングや出荷はスタッフの手作業で行われるため、ミスや誤出荷を完全にゼロにするのは困難です。
しかし、ミスを少なくするためバーコード検品やRFIDなどの仕組みが導入されている倉庫が多いです。
もし手作業や目視でチェックしている場合は、スタッフの入れ替わりでミスの割合が上がる可能性があります。
問題が起きてから、現場のチェック体制に驚かないように以下の内容を把握しておきましょう。
- 商品のロケーション管理の仕方
- 導入しているシステム
- スタッフの教育体制
これらの内容で「誤出荷」の割合は変わります。
倉庫を選ぶ際には、ピッキングミスの実際の数値をどれくらいか把握して、ミスの発生や再発させないための工夫や仕組みがあるか確認しておけば安心です。
梱包や発送で柔軟な対応ができる
今まで商品を自社発送していた場合、同様の作業が物流倉庫でもできるか確認を必ず行いましょう。
自社発送で当たり前にできていた作業が商品を預ける倉庫によっては、対応不可な場合があるからです。
作業の例をあげると、以下のとおりです。
- 複数個購入した顧客にオマケの小物を同梱する
- 季節のパンフレットや新しいカタログを入れる
- 誕生日のメッセージカードやギフトカードを追加する
物流倉庫を探す前に、自社で当たり前に行っている発送作業内容をリスト化しましょう。
次に、倉庫を探す段階で担当者に対応してもらえる作業範囲を聞き、リストを元に確認すれば、こちらの要望が通るか否かが判断できます。
このチェックだけで預ける倉庫を絞れるはずです。
実際にコスト削減になる
倉庫を選ぶ前に、実際にコスト削減になるのか試算を入念にしてください。
物流倉庫を借りるメリットの1つとして物流コストの削減があげられます。
在庫管理・出荷作業などの物流業務は、時期で作業量が変動するため、自社で人を雇用する場合は人件費や設備などにムダが生じやすくなります。
しかし、物流倉庫に商品を預けて物流業務を委託できれば、閑散期での人余りや人件費のムダを削減できます。
とはいうものの、物流倉庫を借りるコストが以下の2つよりも安くなっていないと意味がありません。
- 人件費
- 商品保管に関わる備品
およその概算で比較して、実際にコスト削減になることを確認しましょう。
この作業をしないと、どれくらいコスト削減になっているか把握が難しくなります。
見学する際の倉庫選びのポイント3選
実際に倉庫を見学する際のポイントを3つ紹介します。
- 倉庫内の環境
- 倉庫内の匂い
- 倉庫へのアクセス
倉庫見学でしかわからない情報があるため、よほど遠方でない限りは現地に行って、こちらの内容を確認してみてください。
インターネットやホームページではわからない情報が多くあることに気づくはすです。
倉庫内の環境
倉庫を見学に行く場合はホームページなどには出てこない部分に集中しましょう。
特に、以下の内容に該当したら要注意です。
- 倉庫内の汚れがひどい
- 指示出しの声が乱暴
- スタッフに余裕がない
こういった環境にある倉庫は、導入しているシステムが良くても良好なサービスや成果を出し続けるのは難しいといえるでしょう。
また、安心して商品を預けることができないため、事故やミスが起きないか不安を抱えることになります。
したがって、倉庫内の環境は商品だけでなく、働いているスタッフもきちんとしているか確認しましょう。
倉庫内の匂い
倉庫を見学する際には、内部の匂いに注意を払ってください。
商品によっては、匂い移りが起きることで商品価値が損なわれるリスクがあるからです。
匂いは倉庫を実際に見学しないことには確認することができません。
また、保管されている他社の商品の匂いが移る場合もあり、想定している状態とは異なった状態で顧客に届く可能性があります。
当然、匂いに敏感な顧客であればクレームや返品になる可能性が高いです。
預ける商品に匂いが移りやすい物品の場合は、倉庫見学で現地の匂いを確認しましょう。
倉庫へのアクセス
倉庫に出入りするための道は必ずチェックしてください。
空港や高速道路に近い場所に位置していても、倉庫の前の道が細くて出入りが難しい道だったり、一方通行だったりすると、トラックの出入りに無用な時間を生みます。
見学の際は、倉庫内部に注意が集中してしまいますが、周りの環境、特に道路幅はチェックが必要です。
これは実際に倉庫に見学に行かないと実感が湧きません。
倉庫内部が円滑に機能していても、トラックの出入りで商品発送が遅れるようなことがあれば、遅延を発生させてしまうかもしれません。
以上のことから、実際に倉庫を見学する際には、周辺の道路環境にも注目して物流倉庫を選びましょう。
倉庫選びのポイントを押さえて最後は見学で決める
物流倉庫を選ぶ際のポイントは、立地と倉庫の設備、環境ですが、それは表面的な部分です。
もちろん、インターネットでこれらの情報を集めて倉庫を決めてもある程度の結果は得られるでしょう。
しかし、もう一歩踏み込んで倉庫を見学する際に見るべきポイントも解説しました。
倉庫が建っている場所のアクセスの良さや、倉庫内部の匂い、環境は現場でないとわかりません。
ぜひ、こちらの紹介した内容を参考にして納得できる倉庫を選んでください。
倉庫探しをする前にチェックするポイント
最後に倉庫探しをする前に、自社の課題や借りる目的の整理をしてから始めましょう。
場合によっては倉庫を借りる以外に選択肢が見つかる可能性があります。
チェックするのは以下のポイントです。
- 自社で有効利用できていないスペースがないか
- パートを雇うだけで対応できないか
- 今の業務で不要な部分がないか
これらを倉庫を借りる前に確認しておけば、社内の貴重な資源と倉庫を借りる目的を明確にできて納得感のある倉庫を選べるようになるでしょう。