物流における「配達」「配送」「運送」「運輸」の違いは何?似ている言葉と意味の違い

「配達」「配送」「運送」「運輸」の違い

EC市場拡大により、顧客の元へ商品を届ける時間の短縮が求められています。

特に物流業務の担当者は、商品が届けられるスピードに不満や懸念を感じている場合も多いのではないでしょうか。

その場合、言葉の意味を正確に把握すると、問題解決のアプローチがしやすくなるかもしれません。

用語の意味を正しく理解できると、問題が特定しやすくなり、適切な解決方法が見つけやすくなるからです。

この記事では、「配達」や「運輸」など物流業界で使用される言葉の違いと、配達をスムーズにするポイントを解説します。

物流業務に関する知識を増やし、問題特定と解決にご活用ください。

物流における「配達」の定義

まず、配達とは荷物が指定された場所に送り届けられる状態を指します。配達に使われる「達」の漢字には「道が通じる・なしとげる・果たす・とどく・とどける」などの意味があります。

届け先は、店舗や注文客の自宅、場合によっては指定された特定の場所になるでしょう。

しかし、昨今では「お荷物を配達中です」という表現が使われ、「配達完了」と表記される場合が多くあります。そのため「配達」という言葉は、最終目的地に荷物を届けるプロセスで使用されている傾向があります。

ただし、漢字の意味から考えると「配達」とは、荷物が最終目的地に到着したことを意味しているといえるでしょう。

物流とは

物流(物的流通)とは、商品を生産者から消費者へ引き渡すまでの流れを呼びます。

また、5つの要素で物流は構成(保管・荷役・包装・流通加工・輸送)されており「物流5大機能」と呼ばれています。そのため、トラックに荷物を載せて、届け先に運ぶ作業を指すわけではありません。

もちろん、前述した「配達」は物流の最終目的であり「輸送」に含まれます。

物流5大機能のそれぞれの内容を列挙すると以下の通りです。

機 能内 容
保管
  • 商品を一定期間保管する機能
  • 商品の安全や品質、価値を維持する
流通加工
  • 商品への付加価値の付与や検品作業
  • 不良品の混入防止、値札貼り、カタログ封入
荷役
  • 荷物の積み込みや荷卸し・集荷・棚入れ
  • 物流拠点や倉庫などの施設内で行われる作業
包装
  • 輸送や保管の際に商品を保護
  • 内容物を守りながら効率的な取り扱いを容易にする
  • 商品が新品であることの保証、製品の宣伝も可能
輸送(配送)
  • 拠点から別の拠点への長距離移動を指す
  • 短距離や複数拠点を移動する際は「配送」と呼ばれる

これら5つの機能に、効率的に管理するため「情報」を加えて「物流6大機能」と呼ぶ場合もあります。

したがって、物流とは最終顧客へ商品を届けるまでのプロセスすべてが含まれるといえるでしょう。

配送・運送・輸送・運輸の違い

ここからは物を運ぶ以下の4つの言葉の違いについて解説します。

  • 配送
  • 運送
  • 輸送
  • 運輸

言葉ごとに手段や範囲が異なるため、それぞれの違いを把握して自社が抱えている問題を特定する際に活用してみてください。

配送

配送とは、物流倉庫や店舗など商品が保管してある拠点から品物を運び出し、注文した店や顧客の元へ運ぶことをいいます。トラックや軽バン、3輪バイク(ジャイロ)などが使用され、距離も短く、荷物の大半が小口を占めています。

昨今では「ラストマイル配送」と呼ばれ、フードデリバリーで注目が集まりました。また、届ける先が一箇所ではなく、○○宅…○○号室…○○○営業所…と複数になるのも特徴的といえるでしょう。

例として、ECサイトで購入した商品が物流拠点から注文客に運ばれる過程が「配送」です。佐川急便やクロネコヤマトが対応している範囲だと考えるとイメージしやすいでしょう。また、顧客が最も接するプロセスと言えます。

運送

旅客・荷物を運ぶことを「運送」といい、国税庁では以下のように定義しています。

“委託により物品又は人を所定の場所へ運ぶことをいいます”
引用元:運送の意義|国税庁

物流業界では「運送」は物を運ぶことに限定しており、人は運びません。
また、運ぶ手段は、自動車やトラックなどの車両です。そのため、飛行機や船舶を使う場合は「運送」には該当せず、次で紹介する「輸送」になります。

したがって、物流業界で「運送」とは、トラックなど車両を用いて、陸路で荷物を運ぶことをいいます。

輸送

「輸送」とは、何らかの手段で人や物を運ぶこと全般を言います。そのため、車両や航空機、鉄道、船舶などを使って、人や物をある場所から他の場所へ移動させることは「輸送」です。先ほどと同様に、物流業界では運ぶのは物だけであり、「輸送」は長距離移動を伴うケースが多いです。

この輸送を「一次輸送」と呼ぶ場合もあります。

具体的には、以下のような場合が輸送(一時輸送)です。

  1. A工場 → B拠点
  2. B拠点 → C物流倉庫

このように生産工場から中継地点を経由して、別の工場に大量の物品を運ぶ場合は「輸送」に含まれます。対して、前述した「配送」は近距離・小口輸送という条件があり、「二次輸送」とも呼ばれています。

運ぶ手段がわかるように言葉分けして表記する場合もあります。

  • トラックでの輸送:「陸上輸送」
  • 航空機での輸送 :「航空輸送」
  • 船舶での輸送 :「海上輸送」

まとめると、運ぶ手段を問わずに大量に物を長距離移動させる場合を「輸送」といいます。

運輸

「運輸」も輸送に近い言葉であり、人や荷物を乗り物で運ぶ・移動させることを指します。ただし、運輸の場合は運ぶことだけに限定されず、搬入や搬出、仕分けなど関連作業も含まれます。

前述した「運送」との違いを簡単に列挙すると以下の通りです。

  • 運輸 : 鉄道・自動車・船・飛行機に人や物を運び込み、目的地に届けて降ろす
  • 運送 : トラックなどの車両で荷物を目的地まで運ぶ

運送はトラックという手段で物を運ぶことが主目的であり、用途が限定されている言葉です。対して「運輸」は、人や物を移動させること全般を指しており、言葉の範囲が広いといえるでしょう。もちろん、運輸の中に運送も含まれます。

誤解されやすい「物流」と「運送」の違い

言葉の意味の違いがわかっても、「物流会社」と「運送会社」のどちらに業務のアウトソーシングを依頼するべきか迷う場合もあるでしょう。

この2つは、以下のように提供するものが異なります。

  • 物流会社:物を保管・管理することが主なサービス
  • 運送会社:物を移動させることがサービスの中心

つまり、会社名やサービス名に「○○物流」という名称を使っている場合は、商品保管や流通加工のための施設を中心としてサービスを提供しているケースが多いです。

一方で「○○運送」という名称の企業では、運ぶことが主なサービスであり、商品の保管などは未対応の場合があります。

もちろん、大手の運送会社であれば、運送と物流倉庫の両方を備え、全国対応しているケースもあります。

したがって、自社で委託したい物流業務が商品の保管を伴う内容か、移動させることが目的なのかを判断して、委託先を探すとよいでしょう。

商品が迅速に「配達」されるには出荷作業の効率化が重要

用語の意味の違いを解説してきましたが、実際に重要になるのは、注文客に商品を届けるスピードです。

迅速に配達されるためには、その前のプロセスである出荷作業とその管理が重要になってきます。

この章では、発送に至る前の出荷作業と、進捗管理について概要を紹介します。

出荷作業のプロセス

作業の流れ

商品が迅速に注文客の元に「配達」されるためには、出荷作業のプロセス一つ一つの迅速化が必要です。

出荷作業の流れは以下のようになります。

作業の流れ作業内容
注文受注顧客からの注文情報を受け取る
出荷指示在庫を保管している物流倉庫に出荷作業の指示を送信
指示書の作成注文された商品・個数・納期を記載
ピッキング(出荷準備)指示された商品を集める
検 品出荷指示通りの商品の状態・個数を確認
梱包輸送中の破損が起きないように商品を保護
出 荷発送先の地域ごとに仕分けて配送業者に引き渡す

これらを迅速に行うには、デジタル化や自動化が必要です。

また、表面的な作業が終わっても、出荷した後に伝票作成や取引の記録などのバックオフィス業務もあります。

単純に、注文客に商品を運ぶ「輸送」や「配送」を迅速化すればよいと考えるかもしれません。

しかし、トラックは一般公道を走っており、交通ルールに従わないといけません。

そのため、配達スピードを求める場合は、出荷作業の各プロセスがミスなく、正しく行われることで配達までの時間短縮につながるといえるでしょう。

作業の進捗管理

前述した出荷作業の進捗管理も重要です。

一元的に状況が把握できていないと、問題を特定するのが難しくなるからです。

多くの物流倉庫では、WMS(倉庫管理システム)とハンディターミナルを導入し、読み取ったデータをインターネットを介して管理するのが当たり前になりつつあります。

他にも、ICタグや自動ピッキングを活用して、リアルタイムに作業進捗を把握する方法も普及しています。

このような仕組みにより、商品の入出荷から保管・検品、出荷、配達までの状況把握が可能です。

ただし、設備だけでなく、熟練した人材や考え抜かれた倉庫のレイアウトがあって、効率的な物流業務が実現します。

作業の進捗管理ができれば、効率的な物流業務ができるわけではありません。

物流で配達は最終目的地:まとめ

物流における「配達」は注文客が指定した場所に荷物が送り届けられた状態です。その手前のプロセスに「配送」や「発送」が位置しています。物流倉庫からの流れを順に列挙すると、物流倉庫 → 出荷(発送) → 輸送(配送 → 配達)→ 注文客の順になるでしょう。似た言葉が多いですが、それぞれに指している範囲が異なります。

とはいうものの、商品を迅速に配達するには物流倉庫内での出荷作業と、進捗管理が重要です。もちろん、正確な在庫管理や需要予測も大切です。しかし、出荷指示の処理や出荷に至るまで作業が遅く、時間がかかっていると顧客のニーズを満たすことができません。これらの出荷作業や注文情報処理の自動化を自社対応する場合、大変なコストと労力が必要です。

当社では、オンラインで出荷指示や在庫確認がいつでも可能なWMS(倉庫管理システム)であるクラウドトーマスを導入。入荷から出荷、返品まで物流業務のプロセスをワンストップで対応し、リードタイムの短縮とコスト削減に貢献します。

お預かりする商品は、カゴ台車1台、パレット1枚から対応しており、小規模から委託が可能です。首都圏近郊で商品の迅速な出荷と、配達の物流体制を構築したい事業者様はお気軽にご相談ください。

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この記事の著者について

MOTOMURA物流編集部

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物流の基本や改善ノウハウなど、物流担当者が知っておきたい様々な情報を配信している部署です。


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