入出庫管理は、単に倉庫内での在庫を保管・管理するだけと思っていませんか?
入出庫管理が的確に行われていないと、在庫不足や過剰在庫といった問題が発生し、結果として業務効率の低下やコストの増大を引き起こします。必要な商品がタイミングよく供給されないことで販売機会を逃したり、逆に需要を超えた在庫が倉庫スペースを圧迫して管理コストを増大させたりするリスクが高まります。
また、入出庫データの不備や不正確さは、サプライチェーン全体にも影響を及ぼします。たとえば、正確な在庫情報が共有されていなければ、仕入れや生産計画の見直しが遅れ、さらなるトラブルを引き起こす可能性があります。
このような問題を回避し、スムーズな業務運営と顧客満足度の向上を実現するためには、効率的かつ正確な入出庫管理が不可欠です。本記事では、入出庫管理の重要性とその最適化方法について、具体的な事例や解決策を交えて詳しく解説します。
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目次
入出庫管理とは|業務内容
入出庫管理とは、倉庫に保管する在庫や、オフィスで使用する備品の出し入れを管理・記録・保管する業務です。ここで食い違いがあると、棚卸がスムーズにいかず、正確な経営判断もできなくなるため、重要な作業です。 単純作業に見えるものの、実在庫数や物品の移動を正確に把握するのは健全な経営に欠かせません。また、人手で行うことでヒューマンエラーが発生しやすい業務でもあります。 入出庫管理を行う目的は、経営状態を正しく把握するため、またニーズを読み解き適正在庫を維持するためでもあると意識しておきましょう。
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入出庫管理を適切に行うメリット
入出庫管理の業務内容・目的に続き、適切に入出庫管理することで得られるメリットもチェックしておきましょう。
- 在庫状況を常に正確に把握可能
- 検品で在庫状態(傷み・損傷など)を早期発見できる
- 計数ミスなど早期発見でリカバリー可能
- 実地棚卸をスムーズに行える
- 在庫差異の原因究明がスムーズになる
- 市場ニーズにあわせ迅速かつ適切な在庫コントロールが可能になる
- 欠品による顧客エンゲージメント低下を回避できる
- 余剰在庫などコスト的な経営損失を回避できる
正しく実在庫が把握できないと、『顧客から受注してしまった後で、欠品していることが判明する』という最も避けたい事態を招いてしまうことにもつながります。当然、こうした事象は大きな機会損失になるため、避けなくてはなりません。 また市場ニーズにこたえられることも、顧客から指示されるために欠かせない要素です。市場の動向を鑑みつつ、在庫の動きを分析しておくことである程度の物流波動にも迅速に対応することもできます。 また現状を正しく把握するため行う棚卸作業も、入出庫管理が適切に行われなければ、2度手間3度手間となり、無駄な工数がかさみます。こうした事態を防ぎ、スムーズに作業できることも入出庫管理を適切に行うメリットです。
入出庫管理でよくある課題
入出庫管理におけるよくある課題・問題点を以下にまとめました。
- 受注後の欠品発覚などトラブルが起きている
- タイムラグによるリアルタイムな把握が難しい
- 属人化しやすい
- 人的ミスが発生しやすい
- 丁寧に行いすぎてコストがかさんでしまう
上記のような問題・課題を先回りして対策することも、入出庫管理を適切に行う上で重要です。 丁寧な作業が求められる工程ですが、作業時間がかさみすぎても出荷に差し支えてしまうことを考えると、「効率的かつ的確に入出庫管理する方法を確率することも欠かせない」と、ご理解いただけるのではないでしょうか。
入出庫管理5つの方法
入出庫管理は以下の5つの方法で実施可能です。
- 手書きの帳簿で管理する
- エクセルファイル上で管理する
- 製品化された在庫管理システムを活用する
- 自社独自の在庫管理システムを構築し活用する
- 在庫管理をアウトソーシングする
それぞれの方法について、どのようなものか、どのようなメリット・デメリットがあるのか解説していきます。
手書きの帳簿で管理する
パソコンなど機器導入が一切なくても入出庫管理できるのが、手書き帳簿で管理するメリットです。計数ミスなどが起こっていても、気軽に書き直しも可能。 ただしヒューマンエラーが起こりやすく、すぐに必要な在庫の情報を引き出すのは難しい場合も多いでしょう。 取り扱う在庫数が少ない場合かつ、パソコンなど使える人材が極端に不足している場合にはこちらでも対応可能ですが、ミスに気を付けて作業しないと正確な状況把握ができません。
エクセルファイル上で管理する
Excelファイル(Googleスプレッドシート含む)で入出庫管理するのも一般的です。ただし在庫数量が多くなってくると、管理が煩雑になりがちです。 どの在庫のデータがどこにあるのかすぐに見つからない、手書き同様人力作業ですから、ヒューマンエラーが起こりやすいのもデメリットです。 こちらも取り扱い品目が少ない業種の場合には、手軽に管理できるメリットが享受できますが、人的ミスに気を付けなければ正しい状況把握はできかねてしまいます。
製品化された在庫管理システムを活用する
在庫管理システムはいろいろな製品が販売されています。大きく、クラウド型・オンプレミス型に分けることもできますので、以下詳細をご覧ください。 また下記の他、システムのタイプとして様々な業種に対応する「汎用的なタイプ」と、業界特化したタイプもあるので、取り扱う在庫に併せて選びましょう。
・サーバ不要で即時導入可能なクラウド型
クラウド型はパソコン(製品によりスマホからでもアクセスできるマルチデバイス対応済みのものもある)でどこからでも、リアルタイムな在庫状況が把握可能になります。 自社サーバーへの導入が不要で、メンテナンスや障害発生時も、クラウド在庫管理システム運営会社による対応で解決できるため、自社でメンテナンスなどする必要もありません。 初期費用は0~30万円、月額1000円程度から数万円で利用できるものが多くあります。
・セキュリティ重視ならオンプレミス型
クラウド型と異なり、自社でサーバー(レンタル可能)を立ててシステム導入し在庫管理するのが、オンプレミス型です。顧客情報の漏洩などを危惧し選ばれることの多いタイプです。 ただし自社サーバーとなるため、サーバーの設置場所により落雷での停電や、何かの影響でシステムダウンするリスクは避けられません。24時間体制で在庫状況を把握しておきたいEC運営などには向かないでしょう。 初期費用は数十万円~数百万円、月額数万円~で利用できるものが主流です。
自社独自の在庫管理システムを構築し活用する
自社ならではの在庫管理システムでなければカバーできないほど、在庫が多品目に渡るケースや、自社内で活用中の他システムとの連携が必要、という場合は独自に在庫管理システムを構築するケースもあります。 ただしこれは、パッケージソフトをカスタマイズするレベルのものなのか、0から自社に併せてどの程度独自機能を盛り込み開発するのか、により開発費用は大きく異なります。 クラウド型で開発を安価に請け負っているケースもあり、この場合初期費用30万円~、月額数千円~数万円です。 パッケージ開発での目安は50~300万円ほど、ゼロから独自システムとして開発する場合は300万円からが開発費用の相場となっています。 大きなコストがかかるため、事業規模がある程度以上あり、既存の在庫管理システムの導入では事足りないか、検討してから導入をお勧めします。
在庫管理をアウトソーシングする
入出庫管理上のミスや漏れで、顧客や取引先とのエンゲージメントにネガティブな影響が出てしまうのは避けたいものです。在庫管理システムを導入し、入出庫管理を適切に行いたいと思うものの、コスト面や人材面がネックで踏み切れない場合は、アウトソーシングするのも一案です。 在庫管理代行をアウトソーシングするメリットについては別記事:在庫管理をアウトソーシングの8つのメリットで詳しく解説しています。どのようなケースがアウとソーシングすべきかの判断基準もご紹介していますので、参考にご覧ください。 弊社では物流代行サービスも手がけておりますが、柔軟にご希望に合わせたカスタマイズをお請けしています。入出庫管理を適切に行うため、在庫管理もプロ品質でサポートさせていただきます。
入出庫管理に必要なデータ項目
入出庫管理を効率的かつ正確に行うためには、以下のようなデータ項目が必要です。
商品情報
- 商品コード
- 商品名
- SKU(Stock Keeping Unit)
- 商品カテゴリ
- 単位(例: 個、ケース、キログラム)
- サイズ・重量などの物理特性
在庫情報
- 在庫数(リアルタイム)
- 最低在庫数(安全在庫)
- 最大在庫数
- 保管場所(棚番号、ゾーン)
- ロット番号(必要に応じて)
- 有効期限(賞味期限や使用期限がある場合)
入庫データ
- 入庫日
- 入庫数量
- 仕入先情報(供給元)
- 購入注文番号(PO番号)
- 入庫担当者
- 保管予定場所
出庫データ
- 出庫日
- 出庫数量
- 出庫先情報(顧客や発送先)
- 出庫理由(販売、返品、廃棄など)
- 出荷指示番号(SO番号)
- 出庫担当者
トランザクションデータ
- 入出庫履歴(過去の移動記録)
- 日時記録(タイムスタンプ)
- 操作ログ(担当者、操作内容)
- 差異データ(棚卸し時の実在庫との差)
管理・追跡データ
- バーコード・QRコード情報
- RFIDタグ(必要に応じて)
- 運送情報(出庫時の配送方法や追跡番号)
- 返品情報(返品理由、再入庫の可否)
その他の関連データ
- 入出庫の優先順位(先入れ先出し(FIFO)、後入れ先出し(LIFO))
- 特殊条件(温度管理、危険物管理など)
- カスタマー情報(出荷先や特別要件)
- データ項目を管理するシステムのポイント
これらのデータを一元管理するには、適切な倉庫管理システム(WMS: Warehouse Management System)の導入が有効です。特にリアルタイムでのデータ更新や、他の業務システム(ERP、販売管理システムなど)との連携が重要です。
データを正確かつ迅速に収集・管理することで、在庫の見える化や業務効率の向上、さらには顧客満足度の向上につながります。
正確で効率的な入出庫管理を実現する7つのポイント
正確で効率的な入出庫管理を行うために重要な、7つのポイントをご紹介します。
- 作業フローをわかりやすくマニュアル化し従業員教育する
- 作業者の緊張感を維持できる体制を構築する
- 作業時の確認を徹底する
- 在庫管理表は見やすくわかりやすいレイアウト・書式にする
- 在庫管理システムとあわせIoTツール導入で手作業を減らす
- リアルタイムに入出庫データを反映できる仕組みにする
- トラブル・ミス発生時に原因究明と対応策を練る
正確かつ効率的に入出庫管理を行うには、管理体制を整え、適切にマニュアル化し、作業担当者に周知徹底することが欠かせません。その際、作業の進めやすさ、わかりやすさと合わせて効率的に動けるようマニュアル化するのが重要です。あわせてミスやトラブルの発生時には、原因と今後の対策を練り、再度周知徹底することも欠かせません。 効率的な作業という点において、④管理表の見やすさ・使いやすさと、⑤IoTツールを導入し手作業を減らすことも有効です。人手を介すほどミスが起こりやすいものですが、IoTツール(ハンディスキャナーなど)を利用することで、データ入力や計数ミスを防げます。 また、ECのように24時間在庫の動きが出る業種では、⑥リアルタイムなデータ反映が必須でしょう。24時間動きがない場合でも、可能であれば営業時間中は在庫が動くことを考えると、リアルタイムに在庫の移動が把握できる状況にすることで、顧客ニーズに確実にこたえられるだけでなく、出荷までの作業がスムーズに進められます。
入出庫管理でのミスは影響範囲が大きいからこそアウトソーシングもあり
自社内で正確かつ効率的な入出庫管理を実現するには、IoTツールや在庫管理システムの導入が効果的です。ただしどちらも初期費用・ランニングコストがかかるもの。また随時メンテナンスも必要ですから、事業規模的に費用隊効果が悪く感じるケースもあるでしょう。 また自社内製で試行錯誤したものの、トラブルやミスが続いているケースもあるかもしれません。 入出庫管理は倉庫内作業を円滑かつ正確に進める、キーポジションとなる業務です。正確で効率的な入出庫管理を自社対応するのが難しいと判断し、アウトソーシングする企業も少なくありません。 アウトソーシングすると倉庫スペースも自社で構える必要がなくなりますから、大きなコスト削減にもつながります。 弊社の物流代行サービスとあわせ、御社にあったアウトソーシング先をご検討されてみてはいかがでしょうか。