
出庫とは、倉庫内にある荷物をオーダーにしたがって倉庫の外に出すことです。搬出口にはトラックがすでに待機していて、そのまま積み込むこともあれば、待機時間に倉庫外に搬出して積荷ができる状態にしておくこともあります。
ここでは、物流における出庫の重要性や注意点、および出庫ミスをなくす対策なども解説します。
倉庫・物流業務を委託したい方へ
目次
物流における出庫とは
出庫は、ただ荷物を外に出すことだけを指すのではなく、在庫棚からピッキング、加工、梱包のうえ、出荷先の伝票を貼付して、確かに搬出したことを確認・報告するまでのプロセスも含みます。
また、出庫は必ず「入庫(=棚入れ)」とセットで使用されるのが、前提です。倉庫に荷主から荷物が届き(入庫)、在庫に格納されてはじめて出庫の必要性が生まれるからです。よって、荷物が届いてから倉庫外に出すまでを「入出庫管理」として一元管理されるのが、一般的です。
出庫の重要性
出庫に求められることは、注文指示に応じて、いかにスピーディーかつ正確にピッキング、梱包、搬出までを完了できるか、という点にあります。
とくにネット通販需要の激増により、荷物は小型化、複雑化している傾向が強いです。したがってピッキングの難度は確実に高まっていると言えます。しかも当日発送や午前中配達など、配送サービスは高度化、多様化しているため、出庫作業が遅れると、ユーザーからの評価が下がり、競合他社に遅れをとることにもなりかねません。そのため、効率よく、正確な出庫体制を構築することは、倉庫業者にとっての命綱といっても過言ではないのです。
出庫の注意点
出庫業務で注意すべき点は、以下の3点になります。
1.在庫のタイムラグ
出庫が済んだらすみやかにその旨を報告あるいはシステムに入力して、関係部署や担当者との中で共有することが大切です。これが遅れると、出庫したにも関わらず、在庫が残っていると認識されるというタイムラグが発生することがあります。もし無在庫のまま注文を受けると、商品を顧客に届けることができずに多大な損失を与えてしまうことにもなりかねません。
あるいは誤って出庫前の荷物を出荷済みとして在庫差異が生まれることも考えられるので注意が必要です。
2.誤出荷
ピッキングの後に梱包し、ダンボールや木箱などの蓋を閉めてしまうと中身が分からなくなります。そこで取り違えて違う搬送先の伝票を貼付してしまえば、誤出荷が生じます。誤出荷は顧客からの指摘によって初めて気付くことも多く、そこから配送し直したり、取り違えた別の荷物のありかを追跡したりするのは、非常に手間がかかります。もちろん信用の低下にもつながるので、絶対に回避すべきミスといえるでしょう。
3.属人化
出庫は、いっときに作業が集中することが多く、極めて複雑かつ難度の高い判断が迫られるケースが少なくありません。するとどうしてもキャリアが長く、知識も経験も多いベテラン社員への依存度が高くなり、その人物が不在となると出庫作業がうまく機能しなくなる属人化を招く恐れがあります。
出庫で失敗しないための対策
出庫で失敗しないための対策として、以下の3つが考えられます。
1.出庫作業のマニュアル化・平準化の徹底
出庫作業の属人化を防ぐには、誰でも同じレベルの仕事がこなせるためのマニュアル作りと、その内容をマスターするための実効性のある研修が不可欠です。ベテラン社員がいなくても、確実にポイントを押さえ、トラブルやイレギュラーな事態が発生しても適切な判断ができるように、作業の平準化を徹底しておくことが肝要です。
2.マテハン機器の活用
出庫作業は止まることなくひっきりなしに続いていくため、作業員の疲弊が大きな懸念材料となります。心身ともに疲労が溜まると、ミスや事故、人間関係の不和などが発生するリスクが高まります。これらを回避するためには、フォークリフトをはじめ、自動ピッキング、自動梱包などが可能となるマテハン機器の導入が、非常に有効です。
マテハンについては下記記事を参照ください。
関連記事:マテハンとは?物流シーン別のマテハン機器の解説、導入のメリット・デメリット、導入事例を紹介
3.在庫管理システムの導入
在庫管理システム(WMS)を使うと、入出庫管理がデジタル化されるため、入庫から在庫管理、出庫に至るまでのプロセスを一元管理できます。ハンディーターミナルを併用することにより、製造業社名、品番、ロット、数量、保管場所などがいつでも確認できるので、作業効率が格段に向上するでしょう。