保管とは、品質と数量を適切に管理した上で、一定の期間、一定の場所にモノを蔵置しておくことです。
物流における6大機能のうちの1つとされており、物流倉庫や物流センターが担う役割の中でも重要な物流業務です。
目次
保管とは
保管とは、主に物流倉庫において、荷主から預かった荷物を出荷指示があるまでの期間、在庫管理することを意味します。管理というのは、ただ単に荷物を倉庫内に置いておくということではありません。温度や湿度の調整、防虫、防カビといった商品価値の低下や劣化を防ぐ対策を施すと同時に盗難被害に遭わないためのセキュリティ管理も行います。
物流倉庫、物流センターにおける保管の重要性
物流倉庫や物流センターでは、品質向上、リードタイムの短縮、物流コストの削減を目指すことが重要です。これらの目標を達成するためには、保管効率の最大化が欠かせません。効率的な保管を行うには、適切な保管機器(棚)の選定、レイアウトの設計、ロケーション管理など多角的なアプローチが必要であり、それぞれの要素が連携して初めて、全体としての効率改善が実現されます。
レイアウトの設計
レイアウトの設計においては、作業効率と安全性を考慮して、商品の入出庫の流れや作業エリアが適切に配置されることが重要です。例えば、よく使用する商品は出口に近い場所に配置することで、ピッキングの時間を短縮できます。
レイアウトにはI字型、U字型があり、作業動線が一方通行になるように工夫されることが一般的です。詳しくは下記記事を参考にしてください。
保管機器(棚)の選び方
倉庫にて、様々なサイズや種類の商品を保管をする場合にまず重要になるのが棚です。
限られた保管スペースの中で適切な棚選びを行うことで、保管容量を大幅に増やせたり、作業や在庫管理などの効率を高めたりできます。
保管機器の種類としては、カゴ台車、中軽量棚(スチールラック)・パレットラック(重量棚)・ネスティングラックなどがあり、商品の荷姿、パレットを使用するかどうか、フォークリフトを利用するかどうかなど状況に合わせて適切なものを選びます。詳しくは下記記事を参考にしてください。
ロケーション管理の方法
ロケーション管理は、商品がどこにどのように保管されているかを正確に把握するために不可欠です。これには、まず棚に番号をつけてバーコードシステムやRFIDタグなどの技術が利用されることが多いです。これにより、在庫の正確な位置情報をリアルタイムで追跡し、迅速な商品の取り出しと補充が可能になります。
また保管はいずれ出荷することが前提のため、指示があった際にすみやかにより少ない手間でピッキングできるようにする必要があり、3種類の方法でロケーション管理を行うことができます。
- 固定ロケーション
- フリーロケーション
- ダブルトランザクション
ロケーション管理について、詳しくは下記記事を参照ください。
保管に重要な物流センター
大変基本的なことですが、保管業務が行われるのは、物流倉庫というのが一般的な解釈かもしれません。しかし現在は、それと似た言葉で物流センターの方が、幅を利かせている傾向にあります。物流倉庫は、単に「保管」だけ行う倉庫を指します。一方、物流センターは保管業務に加えて、輸送、荷役、包装、流通加工といった物流の総合的な機能を兼ね備えているのが、特徴です。
物流センターには大きく分けると、4つのタイプがあります。
- TC(トランスファーセンター)
- DC(ディストリビューションセンター)
- PDC(プロセスディストリビューションセンター)
- FC(フルフィルメントセンター)
それぞれについて以下に解説しましょう。
TC(トランスファーセンター)
4つの中では、例外的に在庫機能を持たない物流センターで、通過型物流センターといわれます。一旦荷物は預かるものの、そのまま商品を中身や出荷先に合わせて仕分けし、終了次第遅滞なく出荷するという目的で利用されます。
DC(ディストリビューションセンター)
在庫型物流センターとも呼ばれ、保管が主たる機能となる物流倉庫にもっとも近いタイプです。ただ倉庫との大きな違いは、倉庫自体の敷地や建物の一部に、トラックの積荷スペースや搬入口があり、輸送機能をもち合わしている点です。
PDC(プロセスディストリビューションセンター)
流通加工・在庫型センターと呼ばれ、上記のDCに加工機能が追加されたタイプになります。主に生鮮食品を保管しつつ、必要に応じてその場で加工のうえ出荷するという役割があります。他にも家電製品や精密機器など専用機器と多数の作業員を使って組み立て加工を行うケースもあります。
そのため、他のタイプとは異なる厳密な温度管理や防塵、防カビなどの設備を持つのが特徴です。
FC(フルフィルメントセンター)
大手通販会社が提供するフルフィルメントサービスを担う施設です。フルフィルメントとは、ECモールに出店する企業やショップなどの商品を在庫として預かり、受注から、梱包、出荷、カスタマー対応までを代行するというものです。取り扱う商品数が膨大となるため、広大な敷地に超大型施設として建設される傾向が、強いです。