ロケーション管理とは、倉庫内をゾーン、列、段、間口などに分け、パレットやラックを使い、倉庫内の場所を割り当てることで、「何がどこにあるか」をデータとして扱い、商品の保管・貯蔵を管理する方法です。
こうすることで、保管場所を特定することができ、倉庫内で商品を探す手間が省けます。
一般的には、商品と場所番号を関連付け、ハンディターミナルやタブレット、スマートフォンなどを使って数量管理を行います。
倉庫に多くの種類の商品が保管されている場合、ピッキングの際の効率性を考えて場所を決めています。何がどこにあるのかがすぐにわかれば、商品を探して歩き回ることなく保管やピッキングができます。
今回は、ロケーション管理の基本から、よくある問題の解決方法まで解説します。
目次
ロケーション管理とは?
ロケーションは、商品が保管されている棚に表示される番号や文字のことで、倉庫内の商品の住所を示すものです。それを利用して行うのがロケーション管理です。
物流倉庫では、多種多様な商品が保管され、入荷と出荷が繰り返されるため、常に流動的な状態になっています。
ECの通販ビジネスでは、生産性と収益性を高めるために、効率的な在庫管理が必要です。管理が不十分だと、ピッキングや出荷などの業務がスムーズに行えないだけでなく、誤出荷などのミスも発生しかねません。中でも、ピッキング作業の効率化は、業務全体の効率化を図る上で重要なポイントです。
ロケーション管理のメリット
ロケーション管理は、在庫の適切な保管場所を効率的に管理し、物流倉庫での入出庫作業やピッキング作業などの効率化に活用されています。
ロケーション管理を行うことで、商品の位置が把握しやすくなり、商品の知識や経験が少ない作業者でも正確に作業を行うことができるようになるというメリットがあります。
ロケーション管理の種類と方法
ロケーション管理には以下の方法があります。
- 固定ロケーション
- フリーロケーション
- ダブルトランザクション
取り扱う商品や製品、保管場所の広さや形状、出荷頻度などに応じて適切な管理方法を選択することで、作業効率を高めることができます。
どのロケーション管理を行うかは物流倉庫によって異なりますが、重要なのは、どの商品がどこに保管されているかを明確にし、作業者の作業効率を下げないこと、入出庫のミスをなくすことです。
固定ロケーション
固定ロケーションとは、あらかじめ決められた保管スペースや棚に商品を保管することです。
ロケーション番号ごとに商品が保管されるため、物理的な管理がしやすいという利点があります。フリーロケーションに比べ、同じ商品が散在しないので、ロケーション管理などをシステム化せずとも管理が可能です。
デメリットは、商品やアイテムの数に応じて保管スペースが必要になること、新商品のために棚を追加する必要がある場合、ロケーション番号の付け替えが必要なことです。また、在庫の有無に関わらず保管スペースが必要となるため、保管効率が上がらない可能性があります。取扱う製品や商品の数が多い場合や、年間を通じて在庫を確保する必要がある場合に適した方法です。
フリーロケーション
フリーロケーションとは、空きスペースを利用して商品を保管・入庫する方法です。空きスペースを最大限に活用できるため、保管効率が向上し、物流倉庫を無駄なく活用できるというメリットがあります。
また、入出荷の頻度が変動しても、それに合わせて保管・入庫場所を柔軟に変更することができます。
デメリットは、保管場所が固定されていないため、同じ商品が散在して保管され、作業効率が悪くなる可能性があることです。これを避けるためには、保管ルールを厳格に運用する必要があり、ロケーション管理をシステム化する工夫が必要です。
ダブルトランザクション
ダブルトランザクションとは、フリーロケーションと固定ロケーションを組み合わせた管理方法です。
エリアを固定ロケーションのピッキングエリアとフリーロケーションのストックエリアに分け、ピッキングエリアの在庫が一定以下になるとストックエリアに補充する方法です。この場合、補充に時間がかかりますが、ピッキングラインを短縮し、保管効率と作業効率の両方を向上できるメリットがあるため、多くの倉庫で採用されています。
ロケーション管理に起こる課題と改善策
ロケーション管理をする際に、よくある課題と解決方法をご紹介します。
不良在庫が多く、保管効率が低下している。
ピッキング作業の効率を上げるためには、できるだけ多くの商品を棚に保管し、作業動線を短くすることが必要です。しかし、出荷頻度の低い商品が多くなると保管効率も低下します。
この問題を解決するのが「ダブルトランザクション方式」です。
出荷頻度の低い商品や売れる見込みのない商品はフリーロケーション方式で在庫スペースに収納するのがよいでしょう。出荷頻度の高くない商品については、どこにあるのかをすぐに把握する必要はありません。
出荷指示が出た後、システムで棚番を確認し、ピッキングエリアに行けば、大きな時間のロスにはならないでしょう。
類似商品によるピッキングミス
似たような商品同士が近くに保管されていると、ピッキングミスの原因になることがあります。例えば、同じ色の化粧品や長さの違うパーツなど、見た目で区別がつきにくい商品が隣り合わせに保管されていると、誤って違う商品をピックアップしてそのまま出荷してしまうなど、ミスが発生する可能性が飛躍的に高くなります。
場所を選定する際には、外観が似ている商品をできるだけ離し、ヒューマンエラーが起こりにくい環境を作ることが大切です。
場所を変えるたびに、作業効率が落ちる。
システム化がされていない場合では、場所を変えるたびに作業効率が低下することがあります。ベテランの作業者はどの棚にどのような商品が収納されているかを覚えていることが多く、一時的に作業が遅くなる傾向があります。
倉庫管理システムやハンディターミナルを導入していれば、場所が変わってもシステムからの指示を受けながら作業することができます。なるべく場所を覚えなくて済むような商品管理の運用方法が望ましいです。
最適なロケーション管理のために
最適な方法を検討
まず、どのようなロケーション管理方法が自社に適しているかを検討する必要があります。
商品の種類や在庫量が多くない場合は、固定ロケーションで効率的な倉庫運用が可能な場合があります。小規模な倉庫では、費用面を考慮してシステムを導入しない場合もあります。
一方で、取扱商品の種類や在庫数が当初から多い場合や、徐々に増えていく場合は、スペース効率を考えて、フリーロケーションやダブルトランザクションの導入を検討する必要があるかもしれません。
出荷頻度の高い商品のロケーションを工夫する。
出荷頻度の高い商品は近い場所に、普段あまり動かさない商品は遠い場所にと、倉庫の保管場所を指定するのが効果的です。
なぜなら、目的の商品とピッキングのスタート位置との距離で作業時間は大きく異なります。例えば、1点だけのオーダーで、その商品のピッキングに要する時間が近い位置で10秒、遠い位置で30秒とすると、たった1点でも20秒もの差が生じてしまうのです。
回数の多いものは、個々の作業の時間を短縮することで、全体の作業の迅速化につながります。
なので数秒でも効率化できる方法を模索し続けることが大切です。
ハンディターミナルの導入を検討する。
類似商品を誤ってピッキングしてしまったり、数量を間違えてしまったり、ピッキングミスが発生する場合があります。
物流業務では、梱包などの出荷準備の後、注文内容と倉庫から取り出した商品に相違がないかを確認する出荷検査作業が行われます。このとき、ミスを減らすために有効なのが、ハンディターミナルなどのシステム導入です。
ハンディターミナルでバーコードを読み取るだけで、注文内容とピッキングした商品が一致しているかどうかを判断することができ、ミスを大幅に減らすことができるのです。