ロジスティクスとは? 物流との違いや目的、仕組みについて解説

ロジスティクス

ロジスティクスとは、「いかに効率よく顧客のもとに商品を供給するか」を考え、利益を最大化するために商品の効率的な輸送と保管の物流計画、および実行力を管理することをいいます。ロジスティクスに強い企業は、効率よくスピーディーに商品を消費者に届けることが可能であり業績向上にも大きな影響を与えます。

この記事では、以下のように要点を絞ってわかりやすく解説します。

  • ロジスティクスの目的
  • ロジスティクスと物流、SCMの違い
  • ロジスティクスの仕組み
  • ロジスティクスの事例

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ロジスティクスとは?

ロジスティクスの5r

ロジスティクスとは、適切なモノを、適切な場所に、適切な時間に、適切な条件で、適切なコストで届ける仕組みづくり全体を指しています。つまり、必要量の商品を無駄なく調達・保管し、ちょうど良いタイミングで納品先に届けられるようにすることです。この考え方はロジスティクスの5Rと呼ばれます。

ロジスティクスは、元々軍事用語として使われていた言葉です。武器や食料、衣服、医薬品など前線の兵士が戦うために必要な物資を供給し続ける後方支援活動のことを指していました。軍需品を調達して保管し前線に供給することは、戦争時においてとても重要な役割を果たしています。供給活動全体を一元的に管理し、情報の共有や各段階の連携と最適化をすることで、供給に必要な量を過不足なくリアルタイムで適切に把握し、調達し、確実に届けるためです。この仕組みや考えを企業に持ち込んだものが「ビジネス・ロジスティクス」と呼ばれ、現在ではロジスティクスと我々は呼んでいます。

ロジスティクスの目的

ロジスティクス

ロジスティクスの目的は、ビジネスの収益性を向上させることです。ロジスティクスには以下のような内容が含まれます。

  1. 原材料の調達量を増やしすぎない
  2. 必要以上に商品の生産をしない
  3. 在庫の保管量の適正化・削減する
  4. 納品先への輸送回数を適正化する
  5. 生産部門と保管、配送部門が相互に情報で連携する

ロジスティクスを最適化するということは、各段階において適切な在庫計画を立てることを意味します。企業では一般的に、営業、調達、納品などの活動は部門ごとに分かれていますが、この分業によって見えないコストや無駄が発生することが課題となっています。在庫が不足すれば欠品が発生し販売の機会を逃してしまいますし、一方で過剰な在庫の保持は売れ残り保管費や廃棄コストがかかります。

ロジスティクスがうまく機能しないと、欠品や納品遅れ、誤納品、商品の破損などが発生し、顧客満足度を低下させる原因となります。また、物流コストの適切な管理ができないと、見えないコストが収益を圧迫することにもつながります。

したがって、ロジスティクスを強化することは、企業の収益性を向上させるためにリソース(人、原料、在庫、設備)を最適化することを意味します。

ロジスティクスと物流の違い、SCMとの関係

ロジスティクスと関連する言葉に、物流やサプライチェーンマネジメント(SCM)があります。これらはどのように関連しているのでしょうか。

ロジスティクスと物流、サプライチェーンの違い

ロジスティクスと物流の違い

ロジスティクスと物流は同じように扱われますが、厳密には異なります。物流は「発送元から発送先に物を運ぶ活動」を指します。ロジスティクスの活動の一部に物流が含まれているため、ロジスティクスは物流よりも上位にあたる言葉です。また、物流の機能は複数あり、物を運ぶだけではありません。物流には以下の機能が含まれます。

  • 輸送
  • 荷役
  • 保管
  • 梱包・包装
  • 流通加工
  • 情報処理

これらの活動を適正化するのがロジスティクスです。したがって、物流のほうがより現場的な活動を指し、ロジスティクスは物流機能を使い効率化するための概念といえます。

ロジスティクスとサプライチェーンマネジメントの違い

サプライチェーン

そして、ロジスティクスよりも上位になるのがサプライチェーンマネジメントです。

ロジスティクスは、一つの企業が顧客に製品を供給するための効率的な商品供給体制を構築するプロセスであり、言い換えれば一企業の効率性です。

一方でサプライチェーンマネジメント(SCM)は、ロジスティクスを企業とその取引先全体に拡大して一つのグループとして効率を考える、より広い概念です。つまり、メーカーから卸売業、小売業まで関係する企業グループ全体で最適な供給の仕組みを考える必要があります。

サプライチェーンとは何かをわかりやすく説明!物流やロジスティックスとの違いも一緒に解説

ロジスティクスの仕組みづくり

最適なロジスティクスを実現するためには、以下の点に注意して仕組みづくりを行う必要があります。

  1. サービス管理: ABC分析を活用して、顧客ごとのニーズに応じたサービス提供の範囲を決定します。納期対応や付帯作業も含めて、どこまでサービスを提供するかを明確にします。
  2. 在庫管理: サービスを満たすために適切な在庫量を確保します。需給予測に基づいて在庫を管理し、過不足のない在庫を維持します。
  3. 調達管理: 適切な調達を実現するために、サプライヤーの選定や協力関係の構築を行います。また、発注方法や品質管理、納期管理も重要です。
  4. 輸送ネットワークの構築: トラック、航空、船舶などの輸送手段を活用して、適切な品質と納期を実現する輸送ネットワークを構築します。
  5. 倉庫管理: 物流拠点の適切な配置やロケーション管理を通じて、入荷から出荷までの効率的なオペレーションを設計します。

これらの要素を順番に設計していくことで、効率的で効果的なロジスティクスを実現することができます。

例えば、当日や翌日納品を全ての地域で実現するためには各エリアに拠点を設置しますが、拠点が増えれば在庫や供給の管理はより難しくなります。こうした在庫管理や入出庫管理の効率や精度を高めるにはデータを使った情報共有が効果的なため、ITの導入も欠かせません。さらに、ロジスティクスの重要性の認識は高まる一方で、最適なロジスティクスを実現するために近年では様々な課題が生まれています。

  • 長期的なドライバー不足
  • 働き方改革による労働環境改善

このような中で競争力を保つためには、倉庫管理システムやバーコード管理による在庫の見える化、ハンディターミナルや自動ラックなどIT・マテハンの活用、物流の効率化、企業内だけでなく企業間の連携(サプライチェーンマネジメント)改善などが求められます。

ロジスティクスの3つのメリット

この章では、ビジネスにおけるロジスティクスのメリットを解説します。

順番は以下のとおりです。

  1. 生産量の適正化
  2. 余剰在庫の削減
  3. 物流コストの削減

それぞれ確認していきましょう。

生産量の適正化

ロジスティクスによって得られるメリットの1つは商品の生産量の適正化です。情報の一元管理によって、今現在の在庫量と納品予定の製品が生産部門で把握できるようになります。すると、生産部門は補充に必要な生産量の把握ができ、過剰生産が避けられます。

同時に、生産のために抱える設備や人員のムダを減らすことができ、過剰投資も避けられるようになるでしょう。
つまり、ロジスティクスによって生産量の適正化ができれば、必要な分だけ生産し、機会損失を防ぎつつ、過剰調達も防ぐことが可能です。

余剰在庫の削減

ロジスティクスで商品の必要量が把握できるようになるため、余剰在庫を削減できます。もちろん、売れる商品の在庫量を適正にして欠品の回避も可能です。他にも、商品在庫に必要なスペースが正確にわかれば、保管するのに適切な広さの倉庫を選べるようになり、賃料の見直しもできます。

突然注文が増えた時に欠品を避けるため、在庫量はやや多く見積もる場合があります。しかし、ロジスティクスで必要量の把握ができれば、不必要な在庫もいらなくなります。したがって、在庫管理もロジスティクスに含まれる内容といえるでしょう。

物流コストの削減

間接的ですが、ロジスティクスは物流コストの削減にもなります。生産量が適正化できて、余剰在庫が無くなれば、輸送回数も自然と減少するからです。また、納品先に届ける商品の頻度と量も適正にできるため、使用するトラックを変更したり、ドライバーの拘束時間を短縮したりもできるようになります。ECショップであれば、商品の調達と注文客の元に届けられるまでのロスタイムが最小限に抑えられるでしょう。

以上のことから、ロジスティクスは物流コストの削減もできます。

ロジスティクスへの取り組み事例

この章では、ロジスティクスの取り組み事例を3つ紹介します。

  1. 納品方法と配送スケジュールと見直し(日本マクドナルド株式会社)
  2. 追従自動走行する物流ロボットの導入(DHL)
  3. 物流倉庫と製造工場をシステムで連携させ管理(佐川急便)

前述したように、ロジスティクスへの取り組みは各社でそれぞれ異なります。紹介する内容もそれぞれ異なるため、参考にしてみてください。

納品方法と配送スケジュールと見直し(日本マクドナルド株式会社)

日本マクドナルド株式会社は、物流倉庫から店舗への配送効率の見直しを行い、コストカットとドライバーの負担を軽減しました。

それまで、カートを使用した納品方法が全体の60%だったのを100%まで引き上げました。カートの重量でトラックの積載効率は低下するものの、荷卸しの作業負荷の軽減につながります。また、配送スケジュールは店舗側の希望ではなく、物流目線で再構築したそうです。

結果、長時間になりやすいドライバーの勤務時間の短縮と、配送トラックの走行距離を短縮、車両の回転率も向上しました。このような取り組みに対して、日本マクドナルドの受賞歴は以下の通りです。

  • 令和元年度グリーン物流パートナーシップ会議「特別賞」を受賞
  • 2019年度ロジスティクス大賞ロジスティクス大賞「業務改革賞」

ロジスティクスの一環である納品方法と配送スケジュールの見直しで、走行距離の短縮(排ガス量の削減)とドライバーの労働環境の改善につながっています。

追従自動走行する物流ロボットの導入(DHL)

グローバルロジスティクスで有名なDHLは、ドイツの国際宅配サービスを提供している企業です。FedExやUPSなどを比較されるほど知名度の高い国際物流企業であり、海外に荷物を発送する際には候補になるのではないでしょうか。

DHLは、荷物を保管する倉庫でピッキングをするスタッフに追随するロボットを導入しました。ロボットは、フランスの新興企業のEffidenceのEffiBOTと呼ばれカート型をしています。ピッキングスタッフは追随してくるロボットのカート内に荷物を入れながら作業を行います。

そして、十分な荷物を載せてから、ボタンを押すとロボットは出荷場所に自立走行します。スタッフが出荷場所に行く必要はありません。ロボットが出荷場所に向かうと、すぐに新しいロボットが自動的に入れ替わって、ピッキングスタッフに追随します。

スタッフは重い荷物を持つ必要がなく、終始ピッキング作業に集中できるため、効率的な出荷作業ができます。

物流倉庫と製造工場をシステムで連携させ管理(佐川急便)

佐川急便は、日立物流と協力し、建築資材を生産と倉庫をシステムで連携させて、必要な分だけ輸送するJIT(Just In Time)納品を提供しています。

輸送を依頼した製造業は、10カ所で倉庫を借りており、在庫管理ができずに生産が過剰になっていました。

それが日立物流の倉庫を利用することで、どれだけの資材が出荷したのか、生産工場が把握できるようになりました。

結果、倉庫に過剰にあった資材の保管、ムダな輸送をする必要がなくなり、在庫するための倉庫10カ所を閉鎖。効率的な製造、輸送、納品ができるようになりました。

「MOTOMURA」の3PL物流サービス

株式会社MOTOMURAは、埼玉県志木市に拠点を置き、BtoCとBtoB双方に対応して物流業務の代行サービスを展開しています。

MOTOMURAでは配送業者として主に佐川急便とヤマト運輸を利用しており、全国発送に対応できます。また、MOTOMURAは連絡ツールとしてChatworkを使用しているため、レスポンス良く情報のやりとりができます。午前中に指示を出せば当日発送も可能です。

MOTOMURAはクラウド型の倉庫管理システムを使用しており、その在庫データには顧客のスマートフォンからでも自由に接続して確認できます。毎朝30分の環境整備活動を実施しており、長年に渡って5Sの徹底をしているサステナブルな会社です。首都圏で物流サービスをお探しの方は、MOTOMURAの利用を検討されてみてはいかがでしょうか。

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ロジスティクスとは効率化を追求する計画と実行

ロジスティクスとは、企業の人、設備、商品、情報を最適化するための計画と実行するプロセスをいいます。そして、ロジスティクスで効率化が進むほど企業の収益性が向上します。
そのためには、原材料をより効率的に調達、生産、必要分だけ在庫して、納品先に速やかに輸送する必要があります。キーとなるのは一元管理とシステム化です。

ロジスティクスに取り組む際には、それぞれの現場で効率化を求めるのではなく、部署がお互いに情報把握を容易にできる仕組みづくりが必要です。

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この記事の著者について

MOTOMURA物流編集部

MOTOMURA物流編集部

物流の基本や改善ノウハウなど、物流担当者が知っておきたい様々な情報を配信している部署です。


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