物流倉庫におけるAI活用のアイデアと事例を3つずつ紹介

物流倉庫

昨今の物流倉庫では、労働者不足や小口荷物の増加など、複数の課題に直面しています。その解決策として、AIの活用が注目されています。とはいうものの、物流倉庫でAIをどのように使用すればよいのか分からなくて戸惑う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、物流倉庫でのAI活用の方法などを以下のように解説します。

  • 物流倉庫におけるAIの価値
  • AI活用アイデア
  • 導入によるメリット
  • AIの活用事例
  • AI導入における課題

この記事を参考にすることで、現場でのAI活用のアイデアが得られるようになるでしょう。また、商品を預ける荷主に効率的なサービスを提供できるようになります。ぜひ最後までお読みください。

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物流倉庫におけるAIの価値

物流倉庫でAIを活用すると、業務の標準化や省人化が可能となり、効率的な運営ができます。

効率が向上するのは、AIが大量のデータ分析や画像識別を得意としており、人で対応するよりも処理が早く問題解決の糸口が見つかるからです。

物流倉庫が抱える主な課題と、AIによる解決アイデアの例を列挙すると以下のようになります。

課 題AIを活用した解決アイデア
適正な在庫管理入出庫データをAIに分析させ在庫量を調整
人手不足正確な需要予測に基づいたスタッフのシフト作成
業務の属人化AIカメラで業務フローを標準化

改善やアイデアにより、今よりも少ない労働力で業務をこなせると期待されています。

他にも、間接的に労働環境の改善や、ECショップの普及で小口化した荷物の迅速な発送体制の構築にもAIが有効な手段となるでしょう。つまり、今まではスタッフの数や熟練度で対応していた問題を、AIで対処できる体制の構築が可能になることが期待できます。

物流倉庫でのAI活用アイデア3選

物流倉庫でのAI活用アイデアを3つ紹介します。

  1. AIの需要予測でシフト作成
  2. AIカメラで倉庫内の事故防止
  3. AIによる仕分け・ピッキングミスの防止

それぞれ確認していきましょう。

AIの需要予測でシフト作成

AIにデータ分析をさせると、高精度な需要予測ができるため、ムダのないスタッフのシフト作成ができ、効率的に現場を回すことが可能です。

物流倉庫は、繁忙期と閑散期で業務量が異なるうえに、作業量に応じて適切なスタッフ配置に苦心する場合が珍しくありません。特に、繁忙期に短期のアルバイトを現場に投入する場合は、効率的なシフト作成が難しくなります。

そこで、AIに需要予測をさせると、シフト作成を補助することが可能です。これにより、現場への負荷が少ないシフト作成ができ、過剰労働が回避しやすくなり、作業中の事故も防ぎやすくなるでしょう。また、物量の急増が予測できる場合には、事前に臨時スタッフやドライバーを手配して体制を整えやすくなります。

つまり、AIを活用すればシフトが最適化され、効率的なオペレーションが実現するでしょう。

AIカメラで倉庫内の事故防止

AIカメラ(AIが映像や画像を自動分析するカメラ)で作業現場を記録させると、倉庫内の事故防止や業務フローの改善が可能です。

物流業界では、慢性的な人手不足であるため、現場での事故による欠員は影響が大きいです。

特に、業務量が劇的に増える繁忙期には、作業に不慣れなアルバイトを雇用するため、事故の発生率も上がります。

そこで、AIカメラを設置して現場を管理させると、映像からリアルタイムで異常を検知して、倉庫内の表示灯やアラームで知らせることができます。

したがって、AIを活用すれば、物流倉庫内の事故を予防し、欠員防止や業務フローを安定させることができるでしょう。

AIによる仕分け・ピッキングミスの防止

多くの物流倉庫では、スタッフが荷物の仕分けやピッキングを行っており、ミスを減らすことが課題となっています。

そこで、AIによる画像解析システムを使い、荷物の情報を読み込ませることで、AIが画像から仕分けやピッキングのミスを検知する体制が構築できます。

従来は、バーコードなどがピッキングミス防止に用いられてきました。

しかし、AIに画像を解析させると、荷物の形状やパッケージなどの情報から自動的に識別することが可能です。

これにより、仕分け・ピッキングミスの防止ができ、作業の効率化が実現します。

また、データ上の在庫と実際の個数を近づけることが容易になるでしょう。

以上のように、AIは荷物の解析にも活用ができます。

AI導入による物流倉庫のメリット3選

AIを物流倉庫に導入するメリットを3つ紹介します。

  • リアルタイム管理と業務改善
  • 在庫管理の最適化
  • 作業の省人化

これらの業務改善や最適化が実現すれば、間接的にコスト削減につながるでしょう。それぞれについて解説します。

リアルタイム管理と業務改善

AIを活用して、業務進捗や現場の状況をリアルタイムに管理することで、業務改善が進み、物流倉庫の効率的な運営ができるようになるでしょう。

前章に紹介したように、カメラ映像やデータからAIは現場の人や荷物の動きを分析させることができ、業務のボトルネックや改善点を特定ができます。

そのため、以下のことが可能です。

  • 倉庫内の事故件数の抑制や防止
  • 在庫配置の最適化
  • 倉庫スペースの有効活用
  • 不正な在庫操作

これらのメリットは、AIがデータを学習するほど精度が上がるため、物流業務の業務改善は時間の経過、蓄積したデータ量とともに効率化と安全性が向上します。

したがって、AIによるリアルタイム管理は、業務改善に大きく貢献するでしょう。

在庫管理の最適化

AIに入出庫データを分析させることで、正確な出荷予測が可能となり、在庫管理の最適化ができます。

物流倉庫では、保管している商品の在庫を適正に維持することが求められており、正確な出荷予測が重要です。

特に、予測が外れて在庫不足や在庫過剰を起こすと機会損失となり、ビジネスにも影響が大きいです。

このようなリスクに対応するため、今までのデータをAIに分析させて、正確な出荷予測をさせれば在庫切れや過剰在庫を防ぎ、在庫管理を最適化できるでしょう。

作業の省人化

AIを導入することで、作業効率が向上し、省人化ができます。

ただし、ここでの省人化とは、スタッフを解雇するという意味ではなく、人手が必要だった作業を少ない人数で回すことができるようになるという意味です。

物流業界は人手不足が常態化しているため、マンパワーに頼らない方法で業務を回す必要性に迫られています。

そのため、人手が必要だった作業をAIで以下のように省人化できます。

  • 自動認識で商品を検品
  • 商品を画像から採寸して段ボールサイズを計算
  • 紙伝票を読み込ませ自動処理

このように作業をAIで処理させれば、今までよりも少ない人数でミスを減らし、負荷を軽減して業務効率を向上させることが可能です。

また、現場を回すための人手不足の影響を軽減させることもできるでしょう。
このようにAIを活用すれば、マンパワーに頼っていた物流倉庫の作業が省人化され、効率化が進みます。

物流倉庫でのAI活用事例3選

物流倉庫でAIを活用した事例を3つ紹介します。

  • AIによるフォークリフト操作の判定システム
  • 自動封函の異常をAIで検知
  • 倉庫内をAIでデジタル化して把握

一つずつ確認していきましょう。

AIによるフォークリフト操作の判定システム

サントリーロジスティクス株式会社は、安全なフォークリフト運用のために運転者の操作をAIで判定するシステムを導入して、安全運転の促進に取り組んでいます。

このAI判定システムは、フォークリフトのドライブレコーダーに保存された動画データを解析して安全係数を算出します。

具体的には、AIが動画からフォークリフトの爪操作や走行中の危険な運転をしているシーンを抽出して、操作水準を明確にする仕組みです。

この判定システムにより、作業現場での事故抑制と減少、作業効率の向上を図り、効率的な運用を実現すると説明されています。

フォークリフトを使う現場でAIを活用して、安全性向上に取り組んだ事例といえるでしょう。

自動封函の異常をAIで検知

三井物産グローバルロジスティクス株式会社は、自動封函機で箱に封をする際にAIで異常を検知できる仕組みを導入しています。

自動封函機は1時間に約4,000箱を封函できるものの、稀に不適切な状態で封函されることがあるそうです。

そのまま次のプロセスに入ってしまうと、出戻りやクレームになります。

しかし、人力で対応すると作業負荷が大きく、効率が低下するでしょう。

そこで、封函の異常を検知できるようにAIを導入し、想定される不適切な状態をパターン化して、意図的にその状態を作り出して必要な画像データを収集。AIが画像データを分析して、実際の封函に異常を検知したら自動封函機を停止する仕組みです。

このAI活用によって、大幅な効率化と封函作業の品質向上ができたと説明しています。

倉庫内をAIでデジタル化して把握

工具や資材を販売するトラスコ中山株式会社は、AIを活用したシステム「GWES」を導入し、物流倉庫の最適化や可視化の実現に取り組んでいます。

GWESは、GROUND株式会社が開発した物流施設統合管理・最適化システムです。

同システムは、倉庫管理などのソフトウェアや、ピッキングロボのハードウェアなどとメーカーを問わずに連携ができるため、物流倉庫全体のデジタル化が可能です。

倉庫の作業状況をリアルタイムにモニタリングできるため、在庫や人員配置の提案ができると説明されています。

したがって、AIの活用と、ソフトウェアやハードウェアを連携させ、倉庫全体のデジタル化や自動化に取り組む物流倉庫にとっては、インフラとなるシステムといえるでしょう。

物流倉庫でのAI導入の課題3選

物流倉庫にAIを導入する際の課題を3つ紹介します。

  • 初期投資に多額の資金が必要
  • AIシステム運用のために教育とトレーニングが必須
  • データの蓄積が必要

それぞれ確認していきましょう。

初期投資に多額の資金が必要

AI導入には、多額の初期コストがかかるため、予算が潤沢にない中小企業にとっては負担が大きくなります。

特に、AIシステムとロボットを並行して導入する場合は額が大きくなるでしょう。

しかし、AIはデータが蓄積されるほど精度が上がるため、長期的に見ればコストパフォーマンスに優れた投資となります。

そのため、長い目で事業を考えながら数年後に得られるリターンを考慮しつつ、AIの導入を検討してみてください。

AIシステム運用のために教育とトレーニングが必須

AIを業務で最大限活用するには、スタッフに専門的な知識やスキルを学ばせるための新しい社内教育プログラムの整備や、トレーニングの実施をしないといけません。

同時に、スタッフがAIを活用できるように、現場のルール変更も必要になるでしょう。

これらAIへの理解と体制の構築には、ある程度の期間を要します。

そのため、短期的には業務効率や、労働環境が悪化したような状況となり、現場からの不満にも対処しないといけなくなるでしょう。

しかし、AIを業務で活用するには、教育やルール変更は欠かせないものです。

また、AIを業務に利用して分析を依存するようになると、ハッキングやバグによるリスクが発生します。

当然、リスク管理のために、定期的なメンテナンスやセキュリティ対策が必要です。

したがって、AIを業務に利用するには、スタッフがAIに対して正しい理解をして、適切に対応できる現場と、チェック体制を社内に整備しないといけません。

データの蓄積が必要

AIを業務に活用するには、データを学ばせる必要があり、大量のデータがないと高精度の分析結果が得られません。

そのため、活用したい業務に関するデータを用意していない企業は、データ収集からスタートしないといけなくなります。

必要なデータの例をあげると以下のようなものです。

  • 在庫管理 →入出庫の記録
  • 事故防止 → 現場の映像記録
  • シフト管理 → 閑散期と繁忙期の勤怠記録

AIは使いこなせば大変便利ですが、十分に使いこなすには専門的な知識と大量のデータが必要です。

したがって、物流倉庫でAIを活用するために学ばせるデータが用意できるか確認をしましょう。

物流倉庫の業務効率化にはAI活用が必要:まとめ

AIは物流倉庫の運営を劇的に変える可能性を秘めています。

データ分析や画像認識により、精度の高い業務改善が可能となるからです。

そのため、省人化や効率化が進み、コスト削減も実現するでしょう。

もちろん、AIを活用するには初期投資や教育、データの用意といった課題もあります。

とはいえ、これらの課題を克服しつつ、AIを効果的に活用すれば物流倉庫の運営を大幅に改善することができるでしょう。

今後もAI技術の進化に伴い、物流倉庫におけるAIの活用が一層進むことが予想されます。

紹介した内容を参考にし、自社でのAI活用方法を考えてみてください。

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