商品を製造したり、仕入れたりした際に、注文が入るまで在庫を保管しておくのに必要な倉庫。自社で所有して運営しようと思えば、多くの人手とコストが必要ですし、ネットショップを経営する場合でも、自宅の一角で商品を在庫保管するのは、大変でしょう。
そこで便利なのが、物流倉庫です。レンタル式のトランクルームや貸倉庫とは違って、ただスペースを借りるだけではなく、入出庫業務、デバン二ングやピッキング、梱包、そして配送まで、物流業務の大半を委託することができます。
本記事では、その物流倉庫の費用相場と選ぶ際のポイントについて詳しく解説します。これから物流倉庫を利用したいとお考えの方や、自社運営から物流倉庫への切り替えを検討している企業の担当者の皆さまも、ぜひ参考にしてください。
物流担当者が知っておくべき!
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目次
物流倉庫とは
物流倉庫とは、工場で生産された製品を入庫のうえ、仕分けをして在庫管理し、ピッキング、検品、流通加工、梱包を経て出荷までを代行する、3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)のことです。
大手メーカーなどは、自社で倉庫業務を行っているケースも少なくありません。しかし、ネット通販に対応するために、商品数を増やしたり、小ロット化したりすると、管理や出荷作業が非常に負担となってくるケースが、少なくありません。小売店や個人事業の場合も、自前の倉庫や自宅などで在庫管理することが多いですが、数が増えてくるとそうもいかなくなるケースがあるでしょう。
そこで、物流倉庫に倉庫業務を外注すれば、入庫や、注文ごとのピッキング、検品、梱包、出荷といった面倒な作業が一切必要なくなります。しかも、倉庫業に特化しているため、フォークリフトや移動棚、自動搬送車、コンベヤーといった精度の高いマテハン機器やそれを使いこなせる人材が充実していたり、WMS(倉庫管理システム)による倉庫業務の自動化、システム化を一任できたりします。よって、迅速な配送や、商品の破損、荷崩れの回避といった顧客ニーズに対するハイレベルな対応が、期待できるでしょう。
自社倉庫の場合、扱う商品の個数や種類の増減があると、それに合わせて倉庫を拡張したり、スペースが余ったりして、何かと調整に苦労がともないます。その点、倉庫業務のプロである3PLにアウトソーシングしてしまえば、状況の変化にいちいち気をもむ必要もなくなるでしょう。
物流倉庫の料金体系
物流倉庫に委託する際の料金体系は、大きく2つのタイプに分かれます。
もっともオーソドックスなのが、固定費と変動費で構成されているタイプです。システム使用料など毎月変わることのない固定費と、どの作業をどれだけ依頼するかで料金が異なる変動費との合計が、毎月請求されます。
もう一方は、固定費はゼロで、出荷した荷物のサイズなどにつき、1個数百円程度の単価が設定されており、そこにすべての費用が集約されているタイプです。その単価に個数を掛け合わせた金額が、トータルで請求されます。
物流倉庫の料金相場
それでは、オーソドックスな、固定費と変動費で構成されているタイプの料金相場について具体的に見ていきましょう。
【固定費】
倉庫保管料・・・1坪につき3,000〜7,000円
利用するスペースにかかる料金で、倉庫によってはパレットやラックごとに計算されることもあります。都心に行くほど高く、地方ほど安い傾向にあります。冷蔵や冷凍が必要な場合は、設備や経費も異なるため、後述の業務管理料も含めて割高になる可能性があります。
システム手数料・・・20,000~50,000円
荷物の種類や数量、入庫から出庫までの荷物のステータスやロケーションを、WMS(倉庫管理システム)を使ってデジタル管理するための手数料です。
業務管理料・・・10,000~50,000円
荷物を破損や落下などから守ったり、セキュリティを強化したりといった荷物の管理全般にかかる手数料です。預かる荷物や数量によって変動するケースもあります。
【変動費】
入庫料・・・1個につき10~100円
荷物が倉庫に到着し、荷降ろしを行って棚に収納するまでの作業に対する手数料です。
デバンニング料・・・20,000~35,000円
フォークリフトを使ってコンテナから荷降ろしをする際にかかる手数料です。
検品料・・・1個につき10~100円
荷降ろしした後、内容に間違いや破損などがないかを確認する作業です。目視の場合は、高くても1個30円前後ですが、動作確認が必要な場合は、100円前後かかることがあります。
ピッキング料・・・1個につき10~30円
注文にしたがって該当する商品を取り出し梱包場所まで運ぶのにかかる手数料です。
梱包・流通加工料・・・1個につき150~300円
出荷のために緩衝材を入れてダンボールなどに梱包する手間賃です。ギフト用にラッピングしたり、袋詰めしたりする手数料も含みます。
物流倉庫を選ぶ際のポイント
委託する物流倉庫を決める際に注意すべきポイントについて解説しましょう。
委託内容を明確にする
まず、どのような業務を委託するのかをはっきりさせます。デバン二ングが必要か、流通加工は必要か、必要ならどのような作業を依頼するのか、配送トラックまで手配してもらうのか、などを明確にします。規模の大きな物流倉庫の場合、扱う荷物が非常に多いため、カスタマーバリューにより運賃が安価になるケースが多いです。よって、自前でトラックを手配するよりもコストパフォーマンスが高くなる可能性が大きいでしょう。
何をどこまで委託するのか、詳細が決まらなければ見積りも出ないので、曖昧な点をなくすように心掛けてください。
現場を必ず見学する
候補となる物流倉庫が決まったら、必ず現場を視察、見学させてもらいましょう。とくにチェックするべきポイントは3点あります。
- 整理整頓が行き届いているか(室内だけでなく、戸外の敷地内に荷物が溢れていないかなども確認する)
- お客様から預かった荷物を大切に取り扱っているか
- 作業員が明るく、前向きな感じがするか
以上を確認してください。
少々感覚的な内容もありますが、担当者も含め、どれだけ真摯かつプロ意識があるかをしっかりと見極めるように努めましょう。
実績を詳しく調べる
いったん物流倉庫に委託してしまうと、基本的に発送される商品の姿を自社の社員が見届けることはありません。相手を信用するしかないのです。よって、すべての業務に関してどれくらいの経験と実績があるのか、とりわけ、委託しようとしている商品と同種のカテゴリーを扱ったことがあるかは、しっかりと確かめましょう。入庫から出庫までの様子を目で見て、間違いのない相手を選ぶことが肝要です。
コストを計算する
委託料がトータルでいくらになるのか、複数の見積りを比較するようにしてください。都心に顧客が多い場合、安いからといって地方の倉庫を選んでしまうと、運賃がかさんでかえってコストが高くなる可能性があります。
また、安さだけを基準にすると、業務レベルが下がり、顧客からの信頼を損なうおそれもあるでしょう。その辺りのバランスも含めて、適切な取引先を見つけることが大切です。
トラブル時の対応が可能かを確認する
トラブルの際にどのような対応をしてくれるのかも、詳しく聞いておきましょう。とくに土日祝日について、完全休業なのか、対応可能なのか、によって大きく事情が違ってきます。カレンダーに関係なく待ったなしの対応を迫られることもあるので、リスク管理に協力的かどうかは、大事なポイントです。
まとめ
物流倉庫にアウトソーシングする際の費用相場について解説しました。
業者によっては、固定費がゼロで、荷物の数量で価格が決まる場合があります。その場合、「固定費+変動費」タイプの業者の見積りが、1個につきいくらになるか換算してみて、比較すると割安か割高かが、つかめるでしょう。
入念に情報収集を行い、ぜひ自社に合った最適の物流倉庫を見つけだしてください。