循環棚卸とは|一斉棚卸との違い

棚卸しとは

適切に在庫管理できているか、経営状況を客観的に把握するためにも行う棚卸。

単純作業にも見える棚卸は、日常業務にも影響が多い定例的な作業です。今後の企業運営を適切なものとするためにも必要ですが、効率的に行いたい作業の1つ。 とはいえ効率だけを重視するとミスが起こりやすく、時間も余計にかかってしまいます。 ここでは、棚卸種類の1つ、効率的に通常業務にもっとも影響の少ない方法である「循環棚卸」について、効率的に成功させる7つのポイント、注意点などをご紹介します。 なぜ棚卸が必要なのかも理解しつつ、もっとも効率的に棚卸するための情報ですので、ぜひお目通しください。

循環棚卸とは

循環棚卸とは、倉庫内におけるロケーション(区画や棚など)単位、もしくは商品種類など小さく区分した範囲ごとに行う棚卸手法です。 そのため、倉庫内ですべてのオペレーションをストップさせる必要がなくなるため、棚卸前後での売り上げへの影響も最小化できます。 サイクルカウンティングや、サイクルカウントと呼ばれることもあります。

循環棚卸の実施サイクル目安

循環棚卸を行う頻度は、一般的な年1度でもよいですが、半期・四半期ごとに行うのもおすすめです。特に在庫差異が減少できていない、大きな在庫差異が過去に何度か算出できている場合に効果的でしょう。 ただし、月に1度、など頻回すぎれば棚卸作業にリソースがとられること、通常業務への影響もかさんでしまうこと、また作業への慣れ感から業務の質の低下により、ヒューマンエラーが起こりやすくなるためおすすめめできません。

循環棚卸は業務停止せずにも現状把握する目的で行うもの

他の方法もある中から、循環棚卸で棚卸を行うのは、倉庫業務を完全に停止することで、売り上げなどへの大きな影響を避けることが1つの大きな目的です。 倉庫業務を完全に停止する、循環棚卸以外の棚卸手法では、棚卸期間は利益をあげることもできなくなるため、事業規模が大きいほど効果が得られるのです。

そもそもの棚卸の目的とは

棚卸は以下を目的として行います。

  • 不良在庫・滞留在庫などのリスク回避のため
  • 在庫管理を適切に管理し差異を確認するため
  • 利益・経営状況を正確に把握するため

棚卸作業を全く行わない企業はないですが、行わない場合正しく倉庫内の在庫状況を把握できず、経営状況も正確に判断することはできないでしょう。 また現状抱えている在庫管理上の課題を洗い出し、業務オペレーションを最適な形に見直す役目も担っています。

循環棚卸を含めた棚卸種類一覧

循環棚卸を含め、棚卸は以下の種類があります。

種類概要
帳簿棚卸在庫出納を記録した在庫管理表をもとに帳簿上で在庫数を確認する
実地棚卸リスト方式在庫管理表と保管・管理中の在庫数を計上し差異を確認する
タグ方式全在庫数を確認し荷札(タグ)に記載し、タグを回収・集計し在庫管理表との差異を確認する
循環棚卸在庫を分類し順次在庫数を確認していく
一斉棚卸一次的に業務停止し決算期などに全在庫を一斉に計上し確認する

帳簿上での棚卸でなく、現場で在庫をカウントして行う実地棚卸は、循環棚卸以外にも3つの方法があります。一般的に行われるのが一斉棚卸です。

循環棚卸と一斉棚卸の大きな違いは業務ストップの必要性

循環棚卸と、一斉棚卸は「通常業務をストップさせる必要があるか」という点です。一斉棚卸は倉庫内(場合により店舗の在庫や売り場に陳列されているものも含めて)の在庫をカウントするため、期間中の通常業務をストップせざるをえません。 ですが循環棚卸は区分した範囲を順に棚卸するため、通常業務をストップすることなく、少人数でも棚卸を実施できます。

一斉棚卸より循環棚卸が向くケース

一斉棚卸よりも循環棚卸が向いているのは以下のケースです。

  • 業務を停止できない
  • 在庫管理にシビアな商品を扱っている
  • 多品目を扱っている
  • 常に大量の在庫がある

上記に該当する場合、一斉棚卸でなく循環棚卸にするメリットが大きいでしょう。例えば食品や、医薬品など扱っている企業では、通常業務を完全にストップせずに行える循環棚卸が向いています。

循環棚卸を行うメリット

循環棚卸を行うメリットについてみてみましょう。

  • 業務を停止せずに棚卸できる
  • 棚卸による利益減がない
  • 短いスパンで棚卸しやすいため常時的確に在庫把握できる
  • 24時間運営の企業でも実施しやすい
  • 対象エリア単位で進めるため少ない人員でも実施可能

一斉棚卸との違いでもある、業務停止の必要がない、ということがもっとも大きなメリットです。あわせて、少人数でも実施しやすい棚卸法のため、コストも抑えられます。 コンビニやスーパー、ドラッグストアにあるような24時間営業の店舗でも行いやすいのも、循環棚卸を採択するメリットでしょう。

循環棚卸の作業手順10のステップ

循環棚卸をスムーズに実施できる手順をご紹介します。

  1. 具体的に実施計画を立てる
  2. 棚卸業務のチーム編成・役割分担を決める
  3. 利用する機器や道具を準備する
  4. 倉庫内・帳簿データを整理し確認しやすい状況にする
  5. 棚卸対象エリアの業務をストップさせる
  6. 対象エリア内で在庫を計上する
  7. 理論値在庫(帳簿在庫)と③の差異を算出
  8. 差異を入力し在庫数量を確定する
  9. 対象エリアの業務を再開する
  10. 全在庫を確認できるまで⑤~⑨を繰り返す

実際の棚卸作業を始める前の準備として重要なのが、①~④です。特に実作業に入る前にカウントしながら差異を出す作業を的確かつスムーズに行うため、④が確実なものとなっているか確認するようにしてください。 ここまで整ったら、「⑤:棚卸対象エリアの業務ストップ」をスタートします。在庫の移動があると作業が不明瞭になってしまうため、期間中の移動を完全にストップし集中して棚卸できるようにしましょう。 ⑥~⑨を繰り返し、すべてのエリアをカウントし終われば終了です。カウントミスがあってもその場所だけカウントすればよく、差異のあるものが特定できれば、必要最小限の人員を残し、別のエリアの棚卸に移動できます。

棚卸差異発生時は原因特定と調査で再発防止

循環棚卸をしていて、上記手順の⑦・⑧で差異が発覚した場合、原因を特定し再発防止策を講じましょう。 再発防止策を講じてもなお、その後も同じ原因で棚卸差異が発生したり、原因は異なっても継続的に差異が出てしまう場合には、倉庫業務のアウトソーシングも1つの手段です。 まずは原因を突き止め、どうすれば差異を食い止められるのか、自社内での解決が可能かを含め検討しましょう。

循環棚卸を効率的に成功させる7つのポイント

循環棚卸を効率的に成功させるには、通常業務の中での工夫や、事前準備が欠かせません。以下でポイントを詳しくチェックしていきましょう。

  1. 帳簿在庫のズレ防止のため日常的な在庫管理を適切に運営する
  2. 影響を最小化するため対象エリアを小さく区分し計画する
  3. 熟練者を責任者に立てる
  4. 棚卸作業をマニュアル化する
  5. 棚卸作業は2人1組でダブルチェック体制で行う
  6. 棚卸作業中は対象エリアの在庫移動は完全にストップする
  7. バーコードスキャナーなどIoTツールを活用する

日常的に在庫管理が適切に行われていないと、循環棚卸を行ってもスムーズに進みません。また、循環棚卸のメリットを最大限教授するには、できる限り短時間で、少人数で1区画を終えられるよう小さな区切りとすることも重要です。 そのうえで、適切にマニュアル化し、ダブルチェックを徹底し、ヒューマンエラーを防ぐ対策としてIoTツールの導入もおすすめです。また、作業中在庫の出し入れが発生すると、作業が煩雑になりますので、できる限り完全にストップさせ短時間でまとめるようにしてください。

循環棚卸を実施する際の3つの注意点

循環棚卸を正確かつ的確に進めるには、時間・可能な限りの省人化・日常的な帳簿管理を確実に的確にしておくことが重要です。

  • ミスが起きやすいため可能な限り手作業・目視を避ける
  • 長期間にわたり実施しないようにする
  • 帳簿上の管理漏れ・ミスがないか事前に確認する

上記の3つの注意点を踏まえ、循環棚卸に臨むこと、これが重要です。

循環棚卸で在庫差異がなくならない・大幅な差異が出るなら外部委託する

循環棚卸は、少人数で通常業務への影響を最小化できる棚卸手法です。小さな範囲ごとに棚卸を行うため、的確に行えばエラーやミスも防ぎやすい方法ですが、それでも在庫差異が継続的に発生するのであれば、根本的な見直しが必要でしょう。 例えば倉庫業務の中でも棚卸に影響が大きい、在庫管理業務のアウトソーシングを行えば、自社でのシステム導入が難しかったケースでも、的確にDX化された環境で自社の在庫を任せられます。 棚卸も含めて委託できますから、それに付随するコストや、人材育成も不要になります。弊社では物流アウトソーシングや、循環棚卸が向く多品目を扱うケースが多いEC物流代行サービスを承っております。物流のプロだからこそできる適切かつ確実な管理で、御社の企業運営をサポートさせていただく体制を整えております。ご検討の際はぜひお気軽にご相談ください。

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この記事の著者について

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