ECサイト・通販を成功させる上で無視できない重要なポイントは、「新規顧客の増加」と「既存顧客の定着」の2点です。
特に後者は、単品リピート通販による既存顧客の囲い込みが効果的です。特定のユーザーに特定の数の商品を定期的に届けるこの方法は、うまくやればビジネスに様々なメリットをもたらす。
今回は、単品リピート通販の意味や増加した背景、またメリットだけでなくデメリットや成功させるためのポイントについても解説していきます。
物流担当者が知っておくべき!アウトソーシングで期待できる導入効果とは
目次
単品リピート通販とは
単品リピート通販とは、既存顧客に対して、単品またはごく限られた数の商品を、一定期間ごとに繰り返し販売するビジネスモデルのことです。
利用者は、欲しい商品、数量、配送期間(1ヶ月毎、3ヶ月毎など)を申し込みます。そして、電話やネットで注文することなく、決められた日に毎回同じ種類と数の商品が送られてくるのです。同じ品揃えの商品を注文するわけですから、商品は一定期間、日常的に使用する消耗品であることが多いです。一般的な例としては、化粧品、ヘアケア製品、飲料、健康補助食品、ヘルスケア製品などがあります。そして、これらの商品は、スーパーやコンビニなどの小売店や、ディスカウントストアやドラッグストアなどの量販店で手に入流ものではなく、その企業の看板商品や最も売り込みたい特別なセット品など、オリジナルでブランド化された商品が主流です。
商品が自宅に届くので、高齢者や共働きで買い物の時間が取りにくい人、過疎地の住民などには最適のシステムです。また、通販でしか買えない高級品を日常的に使えるという満足感や高揚感が、このシステムの魅力になっているケースも少なくありません。
単品リピート通販を長年利用しているユーザーの売上が、販売企業の大きな収益源になっているケースも多いです。欲しい時にだけ単発で購入する商品とは異なり、「肌の調子が明らかに違う」「持病が改善された」など、その顧客が家族や友人、同僚に口コミで伝え、その結果企業とは繋がりがなくとも、信頼できる相手から前向きに勧められることによって、自然な流れでリピーターに加わることは決して珍しくありません。そこを逆手にとって新規紹介をした場合は、その本人と紹介されたメンバーに何らかの特典が用意されていることもよくあるのです。
単品リピート通販台頭の背景
単品リピート通販が、通販のマーケティング手法として認知され始めたのは、2010年以降と最近の話です。2011年には63億円だった市場規模が、わずか5年後の2016年には、2,900億円と短期間のうちに約46倍にまで広がっています。
これと期を同じくして急拡大してきたのが、スマートフォン市場です。Amazonや楽天といったECモール利用者の主体が、パソコンではなくスマホに移行することで、通販市場も未曾有の活気を帯びてきました。デジタル利用には消極的な中高年層の中にも、電話やファックスではなく、スマホやタブレットで通販を利用する人たちが徐々に増加。この流れで積極採用されるようになったのが、「単品リピート販売」という手法です。さらにこの動きに拍車をかけたのが、2020年からの新型コロナウィルスによるパンデミックです。社会的距離の確保、非接触の励行が強く促されるなか、買い物のスタイルは一変します。スマホの登場によるデジタルシフトは、さらに加速し、なかには送料の無駄を省いたり、重要度の高い商品を確保したりするために、生活必需品を通販でまとめ買いする動きも広く浸透してきました。そこで、単品リピート販売が、改めて脚光を浴びたのです。旅行やレジャーにいけなくなったことで余裕ができた貯蓄を、少し高額でも品質が良かったり、よりヘルシーだったりする商品の消費に回す人たちが増えました。
加えて単品リピート通販と相乗効果を発揮するようにして伸びてきたのが、サブスクリプションです。定額制で、好きな商品やサービスを自由に選択し、何度でも利用できたり、レンタルできたりするビジネス手法です。2022年の矢野経済研究所の調査では、2020年の国内におけるサブスクリプション市場は、86億9,244万円で、翌2021年が96億1,550万円、さらに2024年は124億2,240万円と予測されています。
このように、さまざまなジャンルで、これまで実店舗で購入していた商品を通販で前払い・まとめ買いすることに抵抗を感じなくなった人の割合が大きく増えています。これにより単品通販のリピート需要も大きく押し上げています。
総合通販との違い
念のため確認しておくと、通信販売は、必要に応じて商品を購入する「総合通販」が一般的です。Amazonや楽天、Yahoo!ショッピングといったECモールや総合スーパーが提供する通販サイトを使って、毎回違った内容のものを注文します。注文する間隔も人によってまちまちです。
その中身は、野菜や果物、肉や魚といった食品や日用品などの生活必需品、年に数回、あるいは数年に一度くらいしか買わない家具や家電製品など、多岐にわたります。
その意味では、1種類か多くても数種類でレア感やプレミアム感のある商品を定期的に決まった数量だけ発送する単品リピート通販とは、まったく異なるといってよいでしょう。
単品リピート通販のメリット・デメリット
それではここから、単品リピート通販を利用することによるビジネス上のメリットとデメリットについて具体的に解説していきましょう。
単品リピート通販のメリット
まず、単品リピート通販には、以下のようなメリットがあります。
コストパフォーマンスが良い
単品リピート通販は、決まった商品をある程度決まった数量だけ特定の時期に製造すればよいので、生産効率が高いといえるでしょう。作りすぎて在庫が増えたり、賞味期限が切れたりする心配が少なく、逆に足りなくて慌てて増産するために、無理な材料調達やリードタイムの短縮をしたり、人件コストを増やしたりといったリスクも軽減できます。
経営計画が立てやすい
メーカーは、通年や四半期ごとなど、予算を正確に見積もり、それに応じた製造体制を敷く必要があります。アウトソーシングも含めて、工場における製造機械の手配、作業員と燃料の確保、物流体制の構築など、ユーザーの手元に間違いなく商品を届けるための精度の高い経営計画が、不可欠です。その点、単品リピート販売は、受注規模の予測が比較的容易で生産計画が立てやすいため、非常にメリットが大きいといえるでしょう。
価格競争を回避しやすい
単品リピート販売は、自社製品はOEM製品が主体で、他社にはない独自性を売りにしているため、過度な価格競争に巻き込まれる可能性が低いです。むしろオリジナリティが評価され、圧倒的に人気が高まれば、自社の都合に合わせて価格を最適化できるため、経営状態が安定して競争優位に立つことも可能でしょう。
単品リピート通販のデメリット
続いて、単品リピート販売のデメリットを見ていきましょう。
商品の認知度を高めるのに時間がかかる
単品リピート販売では、独自性の高い商品を扱うので、注目されれば爆発的に売れる可能性があります。しかしその反面、その存在を広く消費者に認知されるまでに時間がかかることが少なくありません。スーパーやコンビニ、ドラッグストアなど、多くの消費者の目につくスポットに商品を陳列するわけではないため、ブランド力をアップしたり認知度を上げたりするには、それ相当の戦略が必要になるでしょう。
先行投資が必要
商品の認知度を確実に高めるには、テレビやラジオ、新聞広告、SNSやネット広告、さらには影響力のあるインフルエンサーを活用するなど、まとまった経費を確保する必要があるでしょう。さらに、ユーザーにとって見やすく、操作性の高い自社サイトを作り込み、単品リピート販売の良さを周知し、巧みに購入へと誘導する仕組み作りにもしっかり注力しなければなりません。しかも効果がすぐに現れるとは限らないため、収支の安定性を確保することも大きな課題となります。
単品リピート通販を始める手順
単品リピート販売を始める手順を整理しておきましょう。
1. サービス内容を決定する
まず何より主役となるのは、単品リピート販売であつかう商材です。消費者が、これなら定期的にまとまった数を注文したい、と思うような魅力的で需要のある商品作りが必要です。それを単品で売るのか、何種類かをセットにするのか、製造設計や材料調達、利益を捻出するための値段設定などを総合的に勘案して、どのような体制で販売を開始するのかしっかりとした青写真を描くことから始めます。
2. モニター調査を行う
商品の方向性が決まったりサンプルができたりしたら、次はモニター調査です。実際に試してもらって、使い心地はどうか、いくらならリピート購入したいかなど、モニタリングアンケートを行います。回収した声や意見を参考にして最終的な完成形へと落とし込んでいきます。パッケージや説明書、法律面や衛生面、医学的な精査、製造許可などを経て、実際に販売できる体制を作り上げてくことも重要です。
3. プロモーションの方法を決める
いくらよい商品が作れても、それを認知させる手段に手抜かりがあっては、上手くいきません。そのためには、PRにどのような方法を採用するのか、具体的な方針を決めていきます。ターゲットの属性をよく考えて、シニア層を狙うなら、テレビやラジオ、新聞やチラシなどが有効でしょう。20〜30代であれば、SNSやインフルエンサーを使ったアプローチが効果的な場合が多いです。YouTubeを配信して、ランディングページへ誘導、あるいは専用アプリを作って、簡単に注文できるUI・UXを構築するのもおすすめです。
単品リピート通販成功のポイント
最後に、単品リピート通販を成功させるためのポイントについてさらに掘り下げましょう。
柔軟なサービス提供
単品リピート販売では、初回特典を付けたり、割引を行ったりして新規顧客が馴染みやすくしたり、他にもサービス内容にある程度の幅をもたせたりすることが、重要です。
例えば、ユーザーによっては、実際に使った後で、思ったより量が多すぎたり、消化しきれずに頻度を減らしたいと考えたりするケースがよくあります。この状態がしばらく続くと解約リスクが高まります。そこで、ニーズに合わせて数量や発送間隔が簡単に変えられるフレキシブルなシステムがあれば、サービス利用を決定づける大事なセールスポイントになるでしょう。
単品リピート販売とサブスクリプションは、少し内容が異なりますが、状況に合わせて自由に使い方を変えられるサブスクリプションが急拡大していることを考えると、柔軟な使い勝手が大きな訴求力をもつといえるのです。
アップセルやクロスセルに繋げる
単品リピート販売の良さを理解してもらえたユーザーには、さらに上級な商品を買ってもらうアップセルや、他の商品と合わせて使ってもらうクロスセルに繋げることも重要です。しつこくなってはいけませんが、単品リピート販売利用者ならではの特典を用意したり、新規ユーザーを紹介した場合のサービスアップなど、目を惹く魅力的なメニューを用意しておくとよいかもしれません。
冒頭でもお伝えしたように、単品リピート販売は、口コミによる売上アップが期待できるビジネスモデルです。よって、家族や友人を誘いやすいサービスを設定しておくことで、それが呼び水となってユーザーの拡大が望める場合があるでしょう。
単品リピート通販成功のポイント
単品リピート販売には、大きな可能性が秘められています。
ユーザーの立場に立って、どんな商品をどんな形でなら定期的に届けてもらいたくなるのか、徹底追求していくことにより、大きなチャンスが広がるでしょう。
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