物流担当者が知っておくべき!
アウトソーシングで期待できる導入効果とは
近年、「物流崩壊」という言葉が、まことしやかに囁かれるようになってきました。こう聞くと、どこか恐怖心をあおられつつも、今一つ実感がなくピンと来ない方も少なくないでしょう。
日常においては、ネットで買い物をしても希望通りの日時にきちんと届くし、海外の商品でも、早いものは数日以内に到着するので、何ら問題ないように感じるのかもしれません。
しかし、「物流崩壊」は確実にそこまで近づいています。崩壊というからには、初期ではなく末期に近いということです。この表現が決して大げさでないことは、物流業界が直面しているさまざまな現実を正面から直視すると、だれもが納得するに違いありません。
そこで今回は、物流業界に立ちはだかる問題や課題について、項目別に解説していきます。
目次
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深刻な人手不足
物流業が直面しているもっとも深刻な問題は、人手不足です。とくに商品を直接消費者に届けるトラックドライバーについては、圧倒的に数が足りないだけでなく、平均年齢の高さが追い打ちをかけている状態です。
少子高齢化が直撃
厚労省の2021年5月の統計によると、トラックドライバーの有効求人倍率は「1.88」で、全産業平均(0.94)の2倍にあたります。つまり、188件の需要に対して100人の就労希望者しかいないことを意味しています。
大型ドライバーの平均年齢は、49.4歳、中小トラックは46.4歳で、これも全産業平均の43.2歳を大幅に上回っています(厚労省「賃金構造基本統計調査」より)。運送業者の40〜65歳までの就業者数も、全産業と比較すると約10%多いのが現状です。
つまりトラック運送業界は、深刻なドライバー不足と高齢化に直面しているのです。また、国交省の統計では、トラック運送業者の約99.9%が中小企業です。多くの産業で中小企業をめぐる事業承継問題が課題となる中、とくに物流業界でも若者の就労数が少なかったり、後継者が見つからなかったりして、廃業の危機にさらされている事業所が少なくありません。
「6K」のイメージが強い?
では、なぜ物流業界には、若者が不足しているのでしょうか。一つは、急激に進む少子化の影響です。しかし、少子化にもかかわらず、新卒の若者が増えている業界や職種は複数存在します。そのような中で、物流業界に若手が集まらないのは、「6K」のイメージが強いという点が挙げられます。
「6K」とは、「キツイ」「汚い」「危険」「帰れない」「厳しい」「給料が安い」のことです。このすべてが必ずしも当てはまるわけではありませんが、とくにこの6つの要素は、最近の若者が好ましく思わない仕事の上位を占める条件となっています。
長時間労働、重い荷物の荷役作業、ドライバーが強いられる待ち時間の長さ、そして全産業平均より1〜2割は少ない賃金など、物流業では、確かにネガティブな要素が多いことが否めません。
物流需要の激増
国交省が発表した2020年度の統計では、国内宅配便実績数が、48億3,647万個となりました。トラック運送と航空運送の合計値でみると、2016年の約40億個強からわずか4年間で約20%も増加した計算になります。人手不足に加えて、この物流需要の急増が、物流業に大きな負担としてのしかかっています。その背景を詳しく見ていきましょう。
商品の多様化・小ロット化
ネット通販の急増により、商品の中身は多様化し、小ロットのものが大幅に増加しました。鉛筆1本から、ボタンや金具、サラダ1皿といった具合に、その需要は実に多岐に渡ります。
これにより宅配件数が増えただけでなく、トラック1台分の積載率も下がり、約40%が平均といわれています。つまり、トラックの多くが、約6割のスペースを空けたまま配送を行っているということです。これは、作業精度としても時間やコスト面から考えても極めて非効率といわざるをえないでしょう。
サービスの過剰化
さらに追い打ちをかけているのが、翌日・当日配達といった過剰なサービスをめぐる流通・小売業者の過当競争です。件数のみならず、厳しい時間的な制約が課されることで、トラックドライバーをはじめとする物流業者の労働環境は、極めて厳しくなっているのです。
再配達が多すぎる
しかも、全宅配便の15~20%が再配達という現状も、ドライバーたちに過酷な労働を強いています。不在の場合、返送されてしまうことが少なくない海外と比べると、日本の物流マナーの丁寧さや親切さは、世界一ともいわれます。しかし、再配達は基本的に無料なため、その分はただ働きといっても過言ではないのです。
DXが進みにくい構造
スマホを中心とするデジタル機器とインフラの普及とともに、IotやAI、ブロックチェーンといったテクノロジーの進化が急速に進んでいます。それは物流業界とて例外ではありません。
しかし、DXが実現できるのは、ごく一部の大手業者に限られ、大半の中小企業では、いまだ旧態依然としたシステムが幅を利かせているというのが、現状です。
物流への憧れがない~IT人材不足の要因~
中小を中心とした多くの物流企業でDXが遅々として進まない理由として、IT人材不足が挙げられます。
大学生・大学院生の人気就職ランキングには、商社やIT関連企業が数多く名を連ねる中、物流企業はというと、トップ10はおろか、トップ100以内でもほぼ皆無といってよいくらいの人気のなさです。
デジタルネイティブが多くを占めるミレニアムやZ世代の若者にとって、そもそも物流業界は、憧れの的ではありません。上述の様な「6K」を想起させるイメージが、その大きな原因ともいえるでしょう。よって、そもそもDXを現実レベルで担えるIT人材が集まらないのです。
商社やIT企業頼みのDX
すると、多くの物流企業は、DXをアウトソーシングするしかありません。ノウハウを熟知した商社やIT企業を頼るほかなく、そこには莫大なコストがかかるため、一部の大手企業しか理想通りのDXが実現できないのです。
これにより、業界内での格差が広がるばかりでなく、時代のニーズについていけない中小企業の多くが、いよいよ淘汰されていくリスクにさらされているのです。そうなると、いくら大手でも、爆発的に増加する宅配便を末端の消費者までくまなく届けるのは、至難の技といってよいでしょう。
ESGへの対応が急務
倉庫業者や運送業者は、欧米を中心に急速に広がるESG(環境・社会・ガバナンス)思考への対応が、強く迫られています。これらを無視した経営姿勢は投資家やステークホルダーの批判の的となり、やがて市場から追い出されてしまうリスクすらはらんでいるのです。とくに地球環境に負荷をかけている事業においては、持続可能なエコシステムの構築や仕組み作りが急務、といってよいでしょう。
例えば、国交省の統計によると、2019年の部門別CO2排出量の19%を運輸部門が占めています。とりわけトラックが輩出するトンあたりの二酸化炭素排出量の多さは突出しており、鉄道の約11倍、船舶の約6倍にもなります。巨大かつ、多くの拠点に存在する物流倉庫を稼働するために必要な化石燃料由来の電気も、おびただしい量にのぼります。これらを今後いかにして地球環境に負荷をかけないかたちにエネルギー転換していけるかが、大きく問われているのです。
まとめ
物流が、日常生活やビジネスにとって絶対に欠かせないことは、疑う余地のない事実です。しかし、人の生活や命を根底から支える農業や漁業といった第一次産業を担う若者の数が減っているのと同様に、物流でも就業者の減少と高齢化が、凄まじい勢いで進行しています。
しかも、2024年4月からは、これまで例外とされてきたドライバーにも時間外労働の上限規制が厳しくしかれる予定です。ドライバーの稼働時間が減るということは、ますます人手不足が深刻化することを意味しています。このまま思いきった課題解決もなしに今の状態が続けば、いわゆるこの「2024年問題」をさかいに、いよいよ「物流崩壊」が本格的に始まるといっても大げさではありません。
今後、業界全体として、どのようなソリューションが実現されるのか、心して見守っていく必要があります。
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