物流業務を効率化し、企業価値を高めたり、収益を向上させたりするには、「工数削減」が欠かせません。しかし実際に行うとなると、何から手をつければよいのか意外と戸惑うケースが少なくありません。
そこで今回は、工数削減の意味、必要な理由や背景、具体的な方法、注意点などを詳しく解説します。
- 工数削減の概要
- 工数削減が必要な理由と背景
- 工数削減の方法
- 工数削減の注意事項
物流担当者が知っておくべき!アウトソーシングで期待できる導入効果とは
目次
工数削減の概要を解説
物流における工数削減とは、物流業務において、一つの作業にかかる作業員の人数を減らしたり、作業時間を短縮したりすることによって、作業の効率化を実現することを意味します。
工数は、以下の計算式で算出できます。
- 工数=作業員の人数×作業時間
例えば、1日のピッキングに必要なスタッフの人数が10人で、その作業時間が6時間であれば、10人×6時間=60(人日(にんにち))となります。
「人日(にんにち)」「人月(にんげつ)」という言葉はIT業界でよく使われますが、「人日」は1人が1日に要する仕事量、「人月」は1人が1カ月に要する時間という意味です。
経営者の立場からすると、同じ作業量の仕事をより少ない人数で、より短い時間で終わらせることができれば、コスト削減や業績向上につながるということです。
工数削減が必要な理由と背景
工数削減が必要な理由としては、次のことが挙げられます。
- 利益率を高めるため
- 長時間労働と人材不足を解消するため
- スピーディな出荷要請に応えるため
詳しくみていきましょう。
利益率を高めるため
物流業界の利益率は、他の業界と比較しても決して高いとはいえません。
売上が良くても利益率が低ければ、業績を高めることはできませんし、給与や設備投資に回す資金の確保も難しくなります。したがって、工数削減によって利益率を上げることが重要となります。
長時間労働と人材不足を解消するため
物流業界の慢性的な人手不足は年々深刻さを増している状態です。それに対して、ECの急激な台頭による宅配便需要の増加ぶりは目を見張るものがあります。国内の年間宅配便件数は50億個を突破するところまで迫っていますし、メール便もとうに40億冊を超えています。
これらの荷物を首尾よく出荷するには、膨大な作業量が求められますが、人手不足ゆえに、作業員の長時間労働が解消されません。したがって、工数削減により経営の効率化や労働条件の改善を推進することは、何より優先して取り組むべき課題といってよいでしょう。
スピーディーな出荷要請に応えるため
物流量の増加にもかかわらず、物流業界において荷主や消費者が求める仕事の質は高まる一方です。当日配送、午前中配送、さらには注文から1時間以内の配送などが登場し、サービス競争はとどまるところを知りません。これらのニーズに応えるには、リードタイムを短縮するしかなく、そのためには工数削減が欠かせません。
工数削減の方法
各作業の必要性を個別に検証する
物流の現場では、昔から行われている同じ作業が標準化され、実は無駄があるにもかかわらず、改善や排除がされないままルーチン化されていることが少なくありません。
梱包を例にとると、荷物を受け取るたびに、わざわざダンボールを組み立てて、底をガムテープで止めるのは非常に手間がかかります。しかし、これは梱包作業としては当たり前のことであり、多くの作業者は「仕方がない」と思っているのではないでしょうか。しかし、「ワンタッチ式ダンボール」を導入したらどうでしょう。ワンタッチ式ダンボールは、折りたたんだ状態から横に広げるだけで一瞬で組み立てられ、底をガムテープで止める必要もありません。これにより、1個や2個ならともかく、1,000個、10,000個となると、組み立て時間を半分に短縮することができるのです。
効果的に工数を削減するためには、担当者を変えたり、コンサルタントや他社の方法を参考にするなどして、それぞれの作業が本当に必要なのか、別の視点から根本的に見直すことが望まれます。経営者や幹部が「これでいい」と納得していても、現場スタッフの不満が強かったり、無駄な作業が多くて「やらされ感」が蔓延し、職場環境に悪影響を及ぼしている場合もあります。
定期的に現場のスタッフの意見を直接聞いたり、複数のスタッフで意見を出し合う機会を設けるなど、現場のモチベーションを上げる工夫も効果的です。メンバーが満足しなければ、プロジェクトは想像の産物で終わってしまうことを認識することが大切です。また、上から目線で判断したり、傲慢になったりせず、常に現場の声に耳を傾ける謙虚な姿勢も忘れてはなりません。
レイアウト・ロケーションの最適化
スピーディーで正確なピッキングを行うためには、動線に無駄がないことが重要です。作業員が一つの作業をするのに何度も往復したり、何度も回らされたりすると、時間がかかり、スタッフへの負担が大きくなります。
たとえば、先入れ先出しを行う場合、消費期限の古いものから出荷しやすいように、新しい商品が届くたびに古い商品を奥から取り出し、新しい方を奥に格納してから再度古い方を手前に収める必要があります。しかし、棚の逆側に十分な通路やスペースがあれば、古いものはそこから取り出せるため、わざわざ入れ替える手間が省けるでしょう。
このように、倉庫全体のレイアウトや在庫の配置を工夫することも、工数削減に有効なのです。
機械化・自動化の推進
一定レベルの物流業務を行う上で、機械化・自動化は必然的な工数削減の方法です。手書きや紙ベースの出荷指示書や帳票は、ヒューマンエラーの温床になりがちです。
物流業務は、常に同じ作業量ではなく、繁忙期と閑散期の差が激しいという特徴があります。特に繁忙期は、一度にかなりの量の注文が集中するため、アナログな業務手法では、書き間違いや勘違いが頻発する恐れがあります。商品を間違えて送ったり、数量やサイズを間違えたりといった誤配送は、企業価値やお客様の信頼、収益を低下させます。
そこで、WMS(倉庫管理システム)やハンディターミナル、自動搬送機やソーター、自動包装機などのマテハン機器を導入することで、作業の迅速化・正確化を図り、大幅な時間短縮を実現します。
工数削減での注意事項
工数削減に着手する際の注意事項を見ていきましょう。
一方的な工数削減は逆効果
工数削減に着手するにあたっては、まず現場のスタッフに徹底したヒヤリングを行う必要があります。広く意見やアイデア、不満などを吸い上げ、そこから作業効率化のヒントを得るのがとても大切です。
理屈を先行させて無理やり上から新たなやり方を押し付けても、現場では矛盾が生じたり、理想通りには進まなかったりして、かえって逆効果になりかねません。気持ちがついて行かなければ、作業はスムーズに進まず、新たに別の問題を引き起こしかねないでしょう。
頻繁に検証を行う
具体的に新たなやり方を導入したとして、それにより現実に作業時間が短縮し、作業人数を減らせたのか、またどこかに無理が生じて予想外のヒューマンエラーなどが起きていないかを、厳しく検証する必要があるでしょう。加えて、工数削減の残りの課題である、「利益率の向上」と「スピーディーな出荷」が実現し、ステークホルダーやユーザー利益に寄与しているのか、についての確認も忘れてはなりません。
工数削減は、一度できればそれで良いわけではありません。上記のように、実行したら必ずその後の効果を検証、不備があれば改善してまた実行、そして検証というPDCAサイクル(Plan(計画)→Do(実行)→Check(検証)→Action(改善))を回し続けることが肝要です。
まとめ
工数削減は、短期間に完了するものではありません。現状を冷静に分析し、何から手をつけるべきかをよく検討する必要があります。しかも現場や担当者の都合やスキルに応じて無理のないペースで焦らず確実に進めていくのが、賢明でしょう。
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