「TCとはどんなものなのか」「具体的にTCでは何をするのか」
TCと聞くと、なんとなくはわかるけど、はっきりしないところがありますよね。
そこでこの記事では、TC(トランスファーセンター)についての特徴や作業の流れなどを詳しく紹介します。
内容は以下の通りです。
- TC(トランスファーセンター)の概略を解説
- 作業の流れを紹介
- 似ているけどちょっと違うクロスドッキングとTCの違い
- TC(トランスファーセンター)のメリット・デメリットをピックアップ
- 物流センターを比較!DC ・ PC ・ PDC ・ FCを機能別に紹介
この記事を参考に、TC(トランスファーセンター)の全体像を把握して、物流拠点の効率化に役立ててください。
→ダウンロード:物流担当者が知っておくべき!アウトソーシングで期待できる導入効果
目次
TC(トランスファーセンター)の概略を解説
まずは、TC(トランスファーセンター)の概略を説明します。
TC(ティーシー):Transfer Center(トランスファー・センター)とは、入荷した商品を在庫せず、すぐに仕分けて、出荷・配送を行う物流センターです。
アパレルなど、多数の店舗に少量の商品を高頻度で出荷する場合に利用されます。別名で通過型センターと呼ばれたりします。
TC(トランスファーセンター)の作業の流れを紹介
この章では、TC(トランスファーセンター)の一連の作業工程を5つの段階にわけて紹介します。
工程は以下の通りです。
- 入荷と検品
- 商品の開梱
- 仕分け・荷揃え
- 梱包
- 出荷
1つずつ確認していきましょう。
1. 入荷と検品
TC(トランスファーセンター)に入荷した商品の種類・数を確認します。
物流センターの作業者が行う場合が多いですが、トラックの運転手が行う場合もあります。
2. 商品の開梱
種類と数の確認が完了したら、入荷した商品の箱を開封して、仕分けをしやすくします。
3. 仕分け・荷揃え
開梱した商品を出荷先ごとに仕分けて、品数を揃えます。パレットやカゴ車を使うセンターであれば、出荷先ごとに荷物を積み込んで作業するでしょう。
4. 梱包
出荷先ごとに集まった商品を梱包して、荷札を貼り付けます。パレットやカゴ車ごとに商品を積み込んでいる場合は、荷札の入れ替え・確認作業をして、フタを閉める作業になるでしょう。
5. 出荷
梱包された箱やコンテナ・パレットに付けられた荷札を確認して、出荷先のトラックに積み込み、発送します。
以上がTC(トランスファーセンター)の主な作業工程です。
似ているけどちょっと違うクロスドッキングとTCの違い
ここからは、間違えやすいクロスドッキングについて説明します。
クロスドッキング(クロスドッキング・トランスファー・センター)とは、TC(トランスファーセンター)の種類の1つといえるでしょう。別名でXD型と呼ばれる場合もあります。
一般的なTC(トランスファーセンター)との違いは、センターに入荷した荷物の開梱と中身の検品をしないで、荷物をそのまま仕分けて発送する点です。
つまり、クロスドッキングでは、商品は入荷した荷姿のままで、仕分けられて、配送先の店舗などに届けられます。
わかりやすい例が、一般家庭から荷物を預かる宅配業者の物流センターがクロスドッキングと言えるでしょう。一部の例外を除いて、預かった荷物を開封したり、中身をチェックしたりはしません。
そのため、クロスドッキングとはTC(トランスファーセンター)よりも、さらにオペレーションが簡素化された物流センターといえるでしょう。
近年のビジネスでは、スピードがより重視されるようになりました。クロスドッキングが注目を集めているのは、こうした背景があるためです。クロスドッキングなら、パレット単位で荷物を仕分けて速やかに出荷できるため、リードタイムを従来に比べ短くできるのです。
TC(トランスファーセンター)のメリット・デメリットをピックアップ
TC(トランスファーセンター)のメリット・デメリットをそれぞれお伝えします。
1. メリット
TC(トランスファーセンター)のメリットは、大掛かりな商品保管用の棚や自動倉庫が不要なことです。そのため、施設自体にかかる設備費が抑えられるでしょう。
同時に在庫がないため、不良在庫を抱えるリスクもほとんどありません。また、在庫管理に必要な人件費も必要なくなります。
TC(トランスファーセンター)は、高頻度で荷物を出荷するため、一回一回の荷物量が少なくなります。したがって、出荷先で荷受けする時間の短縮ができるでしょう。短時間で配送に使うトラックがセンターに戻ってくるため、台数の削減も可能です。
2. デメリット
続いて、TC(トランスファーセンター)のデメリットを紹介します。
まず、センターに在庫がないため、急なオーダーに対応不可です。一度センターを介して配送するため、店舗に直送する方法に比べると、リードタイムが長くなる傾向があります。
最大のネックは、高頻度に商品の入出荷を繰り返すため、情報を正確に把握する必要があります。そのため、高度な物流管理システムの導入が必要になるでしょう。
物流センターを比較!DC ・ PC ・ PDC ・ FCを機能別に紹介
この章では、TC(トランスファーセンター)以外の物流センターの機能を紹介します。
比較するのは以下の4種類です。
- DC(ディストリビューション・センター)
- PC(プロセス・センター)
- PDC(プロセス・ディストリビューション・センター)
- FC(フルフィルメント・センター)
1つずつ説明します。
1. DC(ディストリビューション・センター)
DC(ディストリビューション)とは、入荷した商品を在庫するのが前提の物流センターです。そのため、在庫保管している商品を、注文に応じてピッキング、出荷・配送を行います。
TC(トランスファーセンター)とは正反対の方法といえるでしょう。別名で在庫型物流センターと呼ばれることもあります。
2. PC(プロセス・センター)
PC(プロセス・センター)は、物流工程のなかで流通加工の機能を特化させた物流センターです。
商品を納品する店舗側で行っていた袋詰めやラベルの貼り付けなどをセンター側で行うため、店舗側の作業負荷の軽減や効率アップが見込めます。
代表的な例としては、フランチャイズのセントラルキッチンがPC(プロセス・センター)に該当するでしょう。別名では、加工型センター・物流加工センターと呼ばれたりします。
3. PDC(プロセス・ディストリビューション・センター)
PDC(プロセス・ディストリビューション・センター)とは、商品のラベルの張り替えや袋詰めなどの簡単な作業だけでなく、専門設備が必要な精肉・鮮魚・総菜といった加工を請け負う物流センターです。
物流センターに生産工場を足したような機能を持っています。
できることは多いですが、センター自体の設備の維持・管理にかかる費用が高くなるでしょう。スーパーやコンビニに総菜や弁当を配送する物流拠点がPDC(プロセス・ディストリビューション・センター)の場合があります。
4. FC(フルフィルメント・センター)
FC(フルフィルメント・センター)とは、商品の在庫・注文・配達までの一連の業務を行う物流センターです。
対応する業務は、センターによって多少変わりますが、以下のようなものが含まれます。
- 在庫管理
- 注文対応
- 代金の請求
- 商品梱包
- 商品発送
- 入金確認
- 顧客データ管理
- 返品クレーム対応
つまり、商品の保管から販売に関わるほとんどの業務を代行可能な物流センターです。
FC(フルフィルメント・センター)を利用する側は、商品の在庫保管や倉庫内作業にかかるコスト削減が可能です。しかし、利用料が割高なものになるでしょう。
代表的なものは、AmazonのFBA(フルフィルメント by Amazon)です。
「AmazonFBAとはどういったものなのか?」といった疑問に答える概要情報から、利用する際のメリット・デメリット、そしてFBA導入にかかる各種手数料までを詳しく解説します。FBAを導入する際の手順にも触れますので、導入を検討している方はぜひご一読ください。
多頻度・小ロットの納品をするならTC(トランスファーセンター)一択
TC(トランスファーセンター)とは、入荷した品物をすぐに仕分けて、配送を行う物流センターであり、高頻度で少量の商品を納品する場合に選ばれる仕組みです。
在庫を持たないため、棚や倉庫がいりません。しかし、入荷した商品を迅速に発送する必要があるため、高度な物流管理システムが必要になります。