ECやD2Cブランドを運営している方なら、「商品が届く瞬間」こそがブランド体験の最終工程であることを実感されているでしょう。
ギフト包装、パーソナライズされた同梱物、複雑なセット組など人の手による作業が、顧客の信頼やリピート率を左右します。
しかし、多くの倉庫が標準化された自動フローで運営される今、こうした柔軟な対応が難しくなっています。「対応範囲」「品質」「コスト」、物流業者にどこまで任せられるのか。これが担当者にとっての最大の課題です。
この記事では、手作業対応ができる発送代行をプロの視点から徹底解説。品質・コスト・運用体制の見極め方、そして業者選定の実践チェックリストまで、現場ですぐに使える情報を提供します。
関連:小ロットで始められる物流代行の選び方|EC・D2C担当者が知っておきたい5つのポイント
目次
手作業に対応できる発送代行とは
EC物流では自動化が進み、仕分け・ピッキング・梱包など多くの工程がシステムで完結するようになりました。大量出荷やスピード対応といった効率化の点では優れていますが、機械的なオペレーションは「すべての荷物を同じルールで処理する」ことを前提としています。
一方で標準化されたオペレーションでは対応しきれない領域が存在します。
たとえば、ギフト包装やメッセージカードの同梱、セット商品の組み合わせ変更、ラベル貼り替えなど、商品や顧客ごとに仕様が異なる作業です。こうした工程には自動化ラインだけでは再現できないこともあります。
手作業に対応できる発送代行とは、こうした非定型作業を前提に設計された物流サービスを指します。具体的な作業例として以下のようなものが挙げられます。
- 商品ごとに異なる同梱物やメッセージカードの封入
- 輸入品の目視検品やシール貼り替え
- 季節やキャンペーンに合わせたラッピングやのし掛け
- セット商品の組み合わせ変更やラベル貼り
これらに対応する倉庫では、作業スタッフが商品単位で仕様を確認し、人の手で丁寧に処理します。作業ごとに確認と記録を行うことで、正確さと印象の良さを両立させています。
柔軟な手作業対応を支える仕組み
手作業対応型の発送代行は、単に人手を増やすだけの運用ではなく、柔軟性と品質を両立させるための明確な仕組みを持っています。
まず、すべてのカスタム作業はマニュアル化され、誰が作業しても同じ品質で処理できるように設計されています。ラッピングや同梱物の配置、のし掛けの仕様などは、写真や図を使った手順書として作成し、倉庫内の作業場でリアルタイムで掲示されます。これにより、担当者ごとのスキル差による仕上がりのばらつきを防ぎます。
また、ピッキングや入出荷処理、送り状の発行など、可能な作業はWMS(倉庫管理システム)を通じてシステム管理されます。全てをアナログで行うのではなく、システムを取り入れながら業務効率化を図り、ヒューマンエラーを大幅に削減できます。
WMSの仕組みや導入のポイントについては、EC物流を支える倉庫管理システム(WMS)の基礎と活用法で詳しく紹介しています。
さらに、作業工程ごとに複数のチェックポイントを設けることで、誤出荷や封入漏れを未然に防ぎます。ピッキング後、梱包前、出荷直前の各段階でダブルチェックを実施し、異なる担当者が内容を確認します。これにより、誤出荷率は一般的な標準倉庫と比較して数分の一に抑えられます。
こうした一連の仕組みにより、日ごと・商品ごとに異なる作業内容でも、安定した品質で出荷を行うことが可能になります。自動化の効率と人の判断力を組み合わせることで、ブランドの細かな仕様や顧客体験を損なわない柔軟な物流運用が実現します。
手作業対応の発送代行を見極める4つのチェックポイント
「手作業に対応できます」という説明だけでは、実際の対応力や品質は判断できません。発送代行を比較・検討する際は、日々の運用を想定したうえで、どこまで経験や柔軟性があるかを見極めることが重要です。ここでは、実務担当者が確認しておきたい4つのポイントを紹介します。
1. どこまで柔軟に対応できるか
ギフト包装や同梱物の差し替え、キャンペーン時だけの仕様変更など、ECでは個別対応が欠かせません。対応可能な範囲が明確か、また作業をマニュアル化し、誰が担当しても同じ品質を再現できる仕組みがあるかを確認しましょう。これまでの実績から、どのように実行対応しているかを聞くこともポイントです。
2. システム連携とコミュニケーション体制
日常的なやり取りや仕様変更をスムーズに行うには、システムと人の両方の連携が欠かせません。WMS(倉庫管理システム)を使って作業指示や在庫情報をリアルタイムで共有できるか、ECカートや基幹システムとの自動連携が可能かを確認します。また、専任担当者がつき、チャットや電話で直接やり取りできる体制があると安心です。情報の透明性とレスポンスの早さが、品質とスピードを左右します。
3. 繁忙期や急な出荷増にどこまで対応できるか
セールやイベントなど、出荷量が一時的に急増するケースは少なくありません。繁忙期の人員体制、応援スタッフの確保、複数拠点でのバックアップなど、どのような対策を取っているかを確認しましょう。また、小ロットから始めた場合でも、将来的に出荷量が増えたときに契約を柔軟に拡張できるかも重要です。
4. コストの内訳と追加料金の透明性
料金表の「基本料金」だけでは全体像を把握できません。ギフト包装やセット組などの手作業費、返品処理やキャンセル対応などのオプション料金を事前に確認しておきましょう。費用の安さよりも、内訳を明確に説明し、根拠をもって見積もりを提示してくれるかどうかが、信頼できるパートナーを見極めるポイントです。
これら4つの観点を押さえることで、「対応できる」だけでなく「任せても安心できる」発送代行を選ぶことができます。仕組みと人の連携を両立できる倉庫こそ、ブランド体験を支える真のパートナーといえるでしょう。
倉庫を選定する際は、実際に現場を見て確認することも重要です。見学時に確認すべき項目をまとめたガイドは、失敗しない倉庫見学時の17のチェックポイントをご覧ください。
手作業対応の発送代行にかかる費用とコストの考え方
手作業対応の発送代行を検討する際に、最も気になるのが「どれくらい費用がかかるのか」という点です。一般的な発送代行と同様に、費用は大きく固定費と変動費に分かれます。
固定費は、毎月発生する基本料金で、倉庫のシステム利用料や専任担当者による管理費が含まれます。多くの発送代行会社では、月額でおおよそ3万円〜5万円前後が目安です。利用規模が小さい場合は、固定費を抑えたプランを提供している倉庫を選ぶのも一つの方法です。
変動費は、出荷件数や作業内容に応じて発生する費用です。主な項目は以下の通りです。
- 入庫料:商品を倉庫に受け入れて検品・棚入れする費用。1点あたり10〜40円程度。
- 保管料:在庫を保管するスペースの費用。1坪あたり月4,000〜10,000円前後が相場。
- 出荷作業料:ピッキング・梱包を行う基本作業費。1件あたり150〜400円が一般的。
- 流通加工費(手作業費):ギフト包装、のし掛け、セット組、チラシ同梱などにかかる追加費用。1点あたり80〜300円前後が目安で、作業の複雑さによって変動します。
- 配送料:宅配業者への発送費。60サイズで400円前後が目安ですが、出荷量が多いほど単価が下がる傾向があります。
これらの費用はあくまで目安であり、扱う商材や出荷規模によって変わります。特に手作業が多いブランドでは、標準作業よりも1件あたりの費用が上がることもありますが、その分、顧客満足度やリピート率の向上につながるケースも少なくありません。
品質や出荷ミスの少なさ、担当者との連携スピードなど、トータルで見たときにコストに見合う価値があるかを確認しましょう。
発送代行の費用相場や見積もりの仕方を詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
関連:発送代行の費用相場と比較ポイント|失敗しない導入ガイド
実際の導入事例
手作業対応型の物流代行を導入したEC・D2Cブランドでは、作業品質の安定化や業務負担の軽減など、運用面で確かな成果が見られています。以下は実際の導入事例です。
事例①:ギフト系D2Cブランド(食品・雑貨)
自社で行っていたラッピングやのし掛け作業を外部に委託。発送ミスが減少し、担当者の作業時間を毎月約10時間削減。繁忙期も安定して出荷できる体制を整えました。
事例②:クラウドファンディング商品
数百件規模の一時的な出荷案件に対応。支援者ごとのメッセージ封入や複数商品の組み合わせなど、個別の条件に合わせた出荷を人の手で正確に実施。単発案件ですが、短期間でもスムーズに完了できるオペレーションを構築しました。
事例③:セレクトショップ型EC
商品ごとに同梱チラシや販促カードの内容が異なり、自動仕分けが困難でした。手作業対応型倉庫に切り替えることで、同梱ミスが発生しなくなり、業務負担の軽減と品質の安定を両立できました。
これらの事例に共通するのは、効率化よりも「確実さ」と「丁寧さ」を重視して外注している点です。発送は単なる業務委託ではなく、顧客が商品を受け取る体験の一部。ブランドの信頼を守るために、現場レベルでの品質管理ができるパートナーを選ぶことが重要です。
その他の導入事例や詳細なオペレーション事例は、導入事例でご覧いただけます。
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「人の手が必要な工程を安心して任せたい」
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- ラッピング・のし掛け・チラシ同梱などの個別対応
- 検品・流通加工・セット組などの一貫処理
- 土日祝も出荷可能
- 入荷から出荷までワンストップ
- 専任担当者による柔軟なサポート体制
すべての荷物を同じように処理するのではなく「商品と顧客に合わせた手作業」で出荷品質を支えます。
「細かい作業を引き受けてくれる倉庫が見つからない」「小ロットだから断られてしまう」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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まとめ
発送を任せるということは、単に倉庫業務を外注するのではなく、ブランド体験の最終工程を託すということです。顧客が商品を開封する瞬間に感じる「丁寧さ」や「信頼感」は、人の手による正確で柔軟な対応から生まれます。
自動化による効率化が進む一方で、手作業の価値はむしろ高まっています。ギフト対応やカスタム梱包といった非定型な作業に対応できるパートナーを持つことが、ブランドの信頼を長期的に支える鍵です。
品質・コスト・運用体制を比較し、自社に最適な発送代行を選ぶことが、顧客満足度と業務効率の両立につながります。株式会社MOTOMURAでは、小ロットから始められる柔軟な手作業対応を通じて、ブランドの「届ける品質」を支援しています。
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