EC事業者にとって誤出荷は何としても避けたいミスの一つでしょう。しかし、誤出荷と一言にいってもさまざまなパターンがあるため、実際に防止するのは容易ではなく、頭を悩ましている経営者や担当者も少なくないかもしれません。
そこで今回は、誤出荷の原因と対策について詳しく解説します。
目次
誤出荷とは
誤出荷は、読んでの通り出荷作業の誤り全般を意味します。その具体的パターンを6つ紹介しましょう。
商品を間違える
お客様が望んでいる商品とは別の物を誤って出荷してしまうパターンです。お客様からの指摘で判明することが多いため、気づくのが遅くなったり、企業価値を下げたりする一因にもなりかねません。
数量を間違える
注文数を間違えるパターンもよくあります。数量が多かったり、サイズが小さすぎたり、セールやキャンペーンで仕様が変化したり、一時的にセット販売になった場合などに発生しやすいです。
商品をとりこぼす
同じお客様から複数種の商品が同時に注文されると、一部の品目についてとりこぼしが起きることがあります。
宛先を間違える
送り先を間違える誤出荷もあります。テレコで複数のお客様に間違った商品を出荷している可能性が高いため、すべての荷物の在処を確かめたり、被害状況を把握したりするのに時間がかかります。その後の返品、再送などの対応にも手間がかかるでしょう。
伝票を入れ間違える
商品は正しく出荷できていても、同梱した納品伝票が誤っている場合は、他の顧客に個人情報が漏洩するため厄介です。
誤出荷の8つの原因
それでは、なぜ誤出荷が起きるのか、主に8つの原因について説明しましょう。
- 保管場所を間違える
- 出荷指示のミス
- 種類や数量を勘違いする
- 伝票の記入ミス
- 種類や数量を勘違いする
- 伝票の記入ミス
- 送り状伝票の貼付ミス
- 積荷作業のミス
保管場所を間違える
そもそも、荷主や製造工場などから商品が届いた際の入庫作業に誤りが起きることがあります。本来、保管場所として決められている棚とは別のところに商品を格納してしまうのです。すると、誤った商品を正しいと信じ込んでピッキングしてしまうミスが生じやすいのです。
出荷指示のミス
注文数や品番の取り違えにより、誤った出荷指示をしてしまって、誤出荷を引き起こすことがあります。
種類や数量を勘違いする
出荷指示に誤りはなくとも、ピッキング作業者が、似た商品と間違ったり、数え間違いしたりして、誤出荷となるケースがあります。
伝票の記入ミス
伝票を手書きしている場合は、納品先の宛名や送り先を誤って記入してしまうことがあります。デジタル処理している場合でも、入力ミスによる誤出荷が起こり得ます。
送り状伝票の貼付ミス
ピッキングと梱包が正しくても、送り伝票を誤って貼付してしまうと、送り先を誤ることになります。
積荷作業のミス
積荷の上げ下ろしが誤出荷の原因となることもあります。A社に送るはずの商品をB社に行くトラックに積んでしまったり、そもそも積荷を忘れて放置したりといったミスです。行った先で、下ろす必要のない荷物を下ろしてしまう場合もあります。
誤出荷をなくす7つの対策
誤出荷を防ぐための有効な対策を7つ紹介しましょう。
- マニュアルと教育の徹底
- WMS(倉庫保管システム)の導入
- バーコードリーダーの活用
- ダブルチェック体制の導入
- 作業スペースの確保
- 完璧はないと認識する
- 出荷業務のアウトソーシング
それでは、1つずつ解説していきます。
マニュアルと教育の徹底
出荷に向けた作業を行うのは、基本的に「人」です。すべての誤出荷の原因は、突き詰めるとヒューマンエラーによるものといってよいでしょう。そのため、防止するには何よりもまず、業務フローのマニュアル作りが必要です。ベテラン、新人の別なく、だれが見ても内容が理解できるものでなくてはなりません。またそれに基づいた教育研修も欠かせないでしょう。
こうして業務の標準化をはかり、一部の熟練社員がいなければ理想のオペレーションができない、という属人化からの脱却をはかることが、肝要です。新人や経験の浅い社員は、意識せずともベテラン社員に依存しがちになります。「〇〇さんがいるから大丈夫」と頼る気持ちがあることで思考停止に陥り、見落としや判断ミスを犯す原因になりかねません。実はベテランも、同じ業務を長く続けていると、失敗をするはずがないと過信しすぎて初歩的なミスを犯す例が、意外と多いです。そこに新人が気づいてフォローアップできるくらいの体制が作れなくては、完全に誤出荷をなくすのは難しいといってよいでしょう。
WMS(倉庫保管システム)の導入
WMS(倉庫管理システム)を使えば入庫から出荷するまでの商品の状態をつぶさに把握することができます。在庫は一覧で確認できますし、ピッキングリストの作成や出荷指示も簡略化、自動化できます。これによりヒューマンエラーが生じる余地が極めて少なくなるため、誤出荷も抑えることが可能になります。
万一、誤出荷が生じた時でもどのプロセスに原因があったかを速やかに追及することができるので、再発防止にもおおきく役立つでしょう。
バーコードリーダーの活用
上記のWMSとの併用で誤出荷防止に劇的な効果を生むのが、バーコードリーダーです。ピッキングに際してバーコードスキャンによる検品ができると、商品の種類や数量などの取り違えがなくせます。出荷時だけでなく、入荷の際にもバーコードを利用することで同じく誤入荷が防げるので、二重で行えば、さらに効果的な誤出荷防止体制が構築できるでしょう。
ダブルチェック体制の導入
誤出荷をなくすには、検品や梱包作業を2回にわたって確認するタブルチェックも有効です。別の人が別の観点から同じものを確認するとより効果があがるでしょう。分かりやすい例で言うと、ある作業者が商品が50点ある在庫棚から20点をピッキングしたとして、もう一人の作業者が残りの在庫数、つまり30点を確認します。この数値が合致すれば誤出荷の可能性はないということになります。
人手に余裕がない場合は、一人で2回行う方法もあります。逆に余裕があるなら、重要なプロセスにおいてはトリプルチェック(3回)を行ってもよいでしょう。
作業スペースの確保
入出荷業務には、何かとスペースが必要になります。在庫棚からいったん古い商品を取り出して、新しく届いた商品を奥に格納し、再度古い方を取り出しやすい手前に格納し直す、といった具合です。一度に多くの梱包をする際も意外と場所をとるでしょう。
スペースに余裕がないと、思うように作業がしづらいうえ時間にも迫られると、作業者は心身ともに疲弊しやすくなります。すると誤出荷につながるおそれが出てくるので、通路や作業スペースを最大限に広げるのが、おすすめです。
完璧はないと認識する
ある時点で完璧とも思える体制が構築できても、物流作業は常に変化の連続のため、油断は禁物です。気を抜けば、すぐに作業が雑になり、思わぬ失敗を引き起こす原因を作りかねません。誤出荷が起こらない仕組みづくりを行いつつも、トップや現場の責任者クラスが、気を緩めず緊張感を保てる雰囲気作りを怠らないことが、大切です。
出荷業務のアウトソーシング
注文数の増加、スタッフ不足、誤出荷などへのクレームの増加といった状況に陥り、自社での出荷作業に限界が生じたら、物流代行業者へのアウトソーシングも検討してください。
入庫から在庫管理、流通加工、梱包、出荷、配送までの物流業務をすべてプロに委託することができるので、誤出荷は間違いなく減ると考えてよいでしょう。浮いた時間を、開発や営業といった重要業務に充当できるため一石二鳥です。
参考:物流代行とは?EC物流を最適化させる物流代行7つのメリットと業者選定時の7つのポイント
参考:EC事業者が物流倉庫を選ぶ際に注意すべきこと|自社運営と外部委託の比較
まとめ
誤出荷は、ただお客様に迷惑をかけるだけでなく、客離れや企業価値の低下、業績ダウンといった負の効果をもたらすおそれがあるため、全力で阻止する必要があります。記事内で述べた内容を参考にして、誤出荷の原因究明と対策に積極的に取り組みましょう。