物流コスト削減は内訳から取り組む!コスト削減を実現する3つのアイデア

物流アウトソーシング
  • 物流コストの削減に向けた分析方法を知りたい
  • 物流コストの分析のポイントとは?
  • コスト削減の方法にはどんなものがある?
  • 物流コスト削減の効果はどれくらい?

物流コストをどうやって削減しようか悩んでいませんか?物流コストは、企業の物流管理指標の1つとして、また物価変動の要因の1つとして重要視されています。

ですが、そもそも「物流コスト」と呼ばれるものに、何が含まれるのか、どのように実態を把握してコスト削減に繋げれば良いか分からない、という担当者の方もいることでしょう。

ここでは、「2021 年度 物流コスト調査報告書」を活用しながら、より分かりやすくポイントを紹介していきます。

物流コストとは

物流コストとは、物流業務で発生するコスト全般のことを指します。

一方で、売上高物流コスト比率とは、各企業の売上高を物流コスト金額で割ったものです。

売上高物流コスト比率 = 売上高 / 物流コスト金額

日本ロジスティクスシステム協会(JILS)の「2021年度物流コスト調査報告書」の調査結果によると、2021年度の売上高物流コスト比率は5.70%(全業種平均)でこの数字は年々増えています。これらの傾向からも物流コストの抑制が大きな課題であることがわかります。

では具体的に、物流コストの内訳と分類の方法について見ていきましょう。

物流コストの内訳と分類の仕方

物流コストには、複数の費用が含まれており、業種や業態によって割合も異なります。そのため、削減効果のあるコストを特定しないといけません。そこで、物流コストを支払い形態と、機能の2つの方法で分類し、内訳を解説します。順番は以下の通りです。

  • 支払形態
  • 機能

物流コストの内訳がわかるだけで、削減する費用のおおよその検討ができるでしょう。

1. 物流コストを支払形態で分類

物流コストを支払形態で分類すると、支払物流コストと社内物流コストの2つに分けられます。社外費と社内費と言い換えてもいいかもしれません。それぞれ具体的なコストの例をあげつつ、概略を説明します。

支払物流コスト

支払物流コストとは、外注先に支払う費用全般を指します。具体的には以下のような費用です。

  • 鉄道やトラック、船の運賃
  • 倉庫の賃料
  • 委託した梱包料

保管や配送を外注に委託している場合、委託先を切り替える・減らすなどは支払物流コストの削減になります。ただし、取引先あってのものなので、お互いに納得のいく内容になるまで交渉しないといけません。

社内物流コスト

社内物流コストは、社内で発生する物流費用になります。含まれるものは以下のような費用です。

  • 自社倉庫の維持費
  • 人件費
  • 自社トラックの維持費
  • 社内システム管理費 等

社内物流コストは、支払物流コストに比べ、自由度があり思い切ったコスト削減も実行しやすいでしょう。

機能で分類

物流コストは、機能別に分類することもでき、以下の5つに分けられます。

  • 人件費
  • 運送費
  • 保管費
  • 荷役費
  • 管理費

もしかしたら、前述した支払形態による分類よりも馴染みがあるかもしれません。

こちらは、社外・社内をどちらも含み、物流コスト全体の中でどこに費用がかかっているのか把握するために役立ちます。

【分析】物流コスト削減で注目すべきポイント

物流コストの削減で、注目すべきポイントはどこにあるのでしょうか。

ここで参考にするのは、日本ロジスティクスシステム協会が公開している「2021年度物流コスト調査報告書」です。報告書の中で、全業種における物流コストの比率が算出されています。

今回は、前述した「支払形態」「機能」の2つのパターンで物流コストの内訳と割合を把握しましょう。

  • 支払形態で分けた場合の構成比
  • 機能で分けた場合の構成比
  • 削減コストは外部と自社の両方

一般的な割合が分かれば、自社の状況と比較して物流コストで削減すべき費用がより明確になります。

また割合の大きいものほど、コスト削減した際の効果がはっきり出てきます。

1. 支払形態で分けた場合の構成比

支払形態で物流コストの構成比を見てみると、以下のようになるとされます。

  • 支払物流費(自家物流費以外の合計):85.1%
  • 自家物流費:14.9%

数値だけでみると、社外に支払う物流コストが8割以上占めています。

物流コストを削減しようとしたら取引先に支払っている費用をカットするのが効果的な方法だと感じるかもし得ません。しかし下手に削減すると、取引先を減らし人手不足の問題につながる可能性があります。

2. 機能で分けた場合の構成比

物流コストを機能で分けた場合の構成比は以下の通りになります。

  • 輸送費:54.3%
  • 保管費:17.0%
  • その他(包装費、荷役費、物流管理費):28.7%

全体の半分以上を輸送費が占めています。物流コストの削減で輸送費が注目されることは理にかなっていると言えるでしょう。しかし、保管費やその他の費用も決して小さいわけではありません。

3. 削減コストは外部と自社の両方

前述した支払形態と機能、それぞれの物流コストの構成比を参考にすると、外部に支払う費用と社内コストの両方に効果的なコスト削減できる箇所があることがわかります。

具体的には、構成比の8割を占める支払物流費、その中でも外注先に支払っている輸送費(54.3%)と保管費(17.0%)の削減が考えられます。さらに、自社の輸送費や保管費の削減をすれば、より大きな効果が出るでしょう。したがって、物流コストを削減する際には、1つのコストだけを減らすのではなく、社外・社内の両方でコストカットを目指すのが効果的です。

物流コスト削減の優先順位と3つのアイデア

物流コストの見直しをする時の優先順位と3つのアイディアを紹介します。

コストカットは順番が重要です。ここで間違えてしまうと、コストカットの効果が十分に出ないどころか手間が増えたり余計なコストが発生したりする場合もあります。

以下の順番で取り組むことで無理が少ないはずです。

  1. 自家物流費の見直し
  2. 支払物流費の見直し
  3. 物流コスト削減の経過を確認

1.自家物流費の見直し

最初は、自家物流費の見直しから始めましょう。

自家物流費は、物流コストの15%ほどではあるものの、変更や節約がしやすい部分です。特にコスト削減で効果が出やすいものが以下の3つです。

  • 在庫管理
  • 人件費
  • 作業のオペレーション

在庫量の適正化で、必要最小限の量に調整できれば、倉庫のサイズ小さくできる場合もあります。結果として保管料を下げられるでしょう。つまり在庫管理をきちんと行うことで、間接的に支払物流費も削減できる可能性が高いです。

人件費は、従業員の数を減らすということではなく、より効果的に業務ができる環境を整えることに着目しましょう。そのために、手作業でやっていた部分を自動化したりシステム化することで効率化し、人件費を抑えられます。もちろん部分的な効率化やシステム化をしてもオペレーションが従来と同じでは非効率のままです。オペレーションも効率の良い方法に変更しましょう。

その際は、3定管理を再考して効率を上げられるように現場作業者と取り組んでください。

関連記事:3定管理とは?基本・メリット・導入のステップまでを一気に紹介

2. 支払物流費の見直し

物流コストの構成比の8割を占めるとされる支払物流費のコスト削減ができたら効果が大きいです。

まず下記の3つに毎月どれくらい費用をかけているか明確にしましょう。

  • 運賃
  • 倉庫の賃料
  • 外注化している梱包料や管理費

明確にできたら、運賃や賃料は適正であるか確認をします。一度決めてからしばらく変更をしていない場合、見直しや交渉の余地があります。特に倉庫を長く借りている場合は、今預けている在庫量と賃料の妥当性をチェックしましょう。支払物流費は物流コストで占める割合が大きいので、少額でも削減できればコスト圧縮に効果があります。

3. 物流コスト削減の経過を確認

物流コストの削減効果を確認するには、現状把握と定期的なチェックが必要です。今まで、物流コストを明確にしていなかった場合は、何の費用にいくら使っているのかを確認できるようにしましょう。次に社内の自家物流費からコスト削減を初めて、外部に支払っている支払物流費の見直しに移ると物流コスト全体を削減できます。コストの数値化と経過観察によって今まで見えてこなかった無駄も発見できるでしょう。

物流コストの削減で注意するポイント

コスト削減をする際の注意するポイントを2つ紹介します。

内容は以下の通りです。

  1. 外注先に一方的にコストカットを要求しない
  2. むやみやたらに方法を変えない

コストカットをする側と、される側では感じ方がまるで変わります。無理に進めると取引先を失うリスクや、社内から反感を買ってしまう場合もあります。

外注先に一方的にコストカットを要求しない

支払物流費の見直しをすると、物流コスト削減に効果があります。とはいえ、支払物流費の削減には取引先との協力が必須といえるでしょう。そのため、慎重に交渉を進めないといけません。一方的な契約条件の変更を要求すると関係が悪化、物流コストの削減ができないばかりか取引自体がなくなる可能性もあります。最初は、自社のほうから積極的にコスト削減に励み、きっかけをつくりながら外注先の運賃や賃料の調整に入ったほうが、お互いに話がまとまるでしょう。

むやみやたらに方法を変えない

コスト削減を最優先にして、現場の方法をむやみやたらに変えないように注意しましょう。効率化するはずが、前後の作業プロセスで不都合が生じてしまい、手間が増えて非効率になってしまうケースも珍しくありません。社内でコスト削減をする時は、一気にあれもこれも手を付けずに各部署で検証しながら進めていきましょう。

物流コスト削減の見直しと分析を繰り返してアイデアを練る

物流コストは、物を移動する際に生じたコスト全般を指します。その内訳は、支払物流費が約8割、自家物流費が2割ほどとされます。物流コスト削減の順番は、社内の自家物流費から始めて、次に外注先の支払物流費を減らせるように進めていきましょう。特定の費用をひたすら削減するより、社内と社外の両方でコスト削減の効果が出るように進めていくのが効果的です。一時的ではなく、経過観察をして費用圧縮ができるアイデアを練り、物流コストの削減に取り組みましょう。

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