受注管理とは、顧客からの注文を受けて、出荷するまでの工程を管理することを指します。
出荷は、注文された商品が確実に在庫として存在することが前提です。また、在庫が少なくなったときに遅滞なく補充できるよう、十分な生産能力を確保しておくことが必要です。さらに、いつ、どれだけ出荷するか、出荷するかしないか、顧客に通知するか、出荷の注文と同時に商品をピッキングしてトラックに積み込むなどの仕組みも必要になります。
つまり、受注管理は単に注文を受けるだけでなく、在庫管理、生産管理、出荷管理など他の物流・製造業務と密接に関係しているのです。
目次
受注管理の流れ
受注管理は、大きく5つのプロセスに分けることができます。
1.見積を行う
まず顧客からの要望に従って見積書を作成します。取引相手や商品の種類、数量、納期などによって見積額は異なります。もちろん見積ですから、折り合いがつかなければ修正のうえ再度提出することもあります。
2.契約を結ぶ
見積に承認が得られたら正式に契約を締結します。単に金額だけでなく、支払いの時期や方法、品質保証などについても取り決めておくことが大切です。
3.受注する
契約が済めば、正式に受注することになります。契約に沿った内容での受注になりますが、顧客側の事情で品番や仕様、数量、納期が変わることもあるので、臨機応変な対応が迫られることも少なくありません。
4.在庫確認・納期連絡を行う
契約をする段階で、生産予定の在庫も含めた在庫数の確認を済ますのが一般的ですが、長期に渡って何度も繰り返し受注していたり、急な注文を受けたりした場合は、受注時点での在庫確認が必要となるケースもあります。確認でき次第、顧客に納期を連絡します。在庫が足りれば良いですが、不足している場合は、追加生産が可能か社内で協議し、結果を納期も含めて顧客に連絡します。
5.受注票・注文請書を作成する
正式に受注が完了すれば、受注票を作成し、データ入力を行い、生産部門や在庫管理部門、出荷部門など必要な部署と共に情報をシェアします。顧客には、注文請書を送って、注文内容に間違いがないかを確認し合います。
受注管理の注意事項
受注管理には、いくつかの注意点があります。
1.ヒューマンエラーが起きやすい
とくに電話やファックスを使った受注の場合、確認ミスや受注関連書類への転記ミスといったヒューマンエラーが起きやすいです。すると誤出荷を引き起こしたり、取引先との関係が悪化したりして、企業価値の低下や業績悪化の原因となりかねません。
2.属人化リスクがある
マンパワー頼りの受注管理体制では、ベテラン社員や一部の優秀な社員による業務の属人化が起きやすい点も要注意です。その人物が抜けると、受注業務が滞ったり、ミスが増えたりする恐れが高くなるからです。
3.適切な連携が必要
受注管理は、在庫管理や生産管理、出荷管理との連携が不可欠です。受注が問題なくとも、それ以外の部署にトラブルやミスが発生すると、納期が遅れたり、納品自体ができなくなったりするリスクがあります。
4.コストがかかる
受注に際しては、電話やファックス、オンライン、それらの組み合わせと、選択肢が複数ありますが、受注量が増えるにつれ人件費が高騰します。コールセンター機能を外部委託するケースも少なくありませんが、決して安価ではないので、コストパフォーマンスをよく吟味する必要があるでしょう。
5.ペーパーレス化が進みにくい
電話やファックスに依存した受注体制では、ペーパーレス化が進みません。紙中心の作業は、転記ミスや紛失のリスクが高くなり、整理収納、廃棄等の手間もかかります。さらに持続可能性の観点で、顧客やステークホルダーからの評価が下がる恐れも十分に考えられます。
受注管理システム導入のすすめ
上記の注意事項に付随する課題を解決するためには、「受注管理システム」の導入が効果的です。受注管理システムは、受注や伝票処理が自動化でき、在庫確認、生産部門や出荷部門との連携が容易になります。紙の納品書と請求書を照合させるといった作業もデジタル処理が可能となるので、業務効率化やコスト削減、ペーパーレス化が大幅に進むでしょう。