入庫というプロセスは、届いた商品や資材を指定された位置(ロケーション)に格納し、在庫として記録する作業を指します。
これは物流の業務において重要な一環であります。入庫を正確に行うことは、間違った出荷を防ぐだけでなく、出庫や発送のプロセスも迅速に進めることができます。従って、全スタッフが適切にこのシステムを運用できるようにすることが重要です。
この記事では、入庫の役割の重要さと入荷との相違点について、またその効率的な実施方法についても詳しく述べます。あなたの会社の入庫プロセスを改善するための参考として、ぜひ活用してください。
倉庫・物流業務を委託したい方へ
目次
入庫とは?
入庫とは、届いた商品や資材を特定の場所(ロケーション)に格納し、在庫として計上するプロセスを指します。商品を迅速にピッキングし、出庫や発送をスムーズに行うためには、適切な入庫管理が不可欠です。
入庫の重要性
入庫作業は、顧客からの信頼度や後続の作業の効率に直接影響を与える重要なプロセスです。入庫と出庫は緊密に関連しており、入庫の際には高い精度が要求されます。
例えば、間違った場所に商品を保管することで、誤出荷が生じ、それが顧客の信頼を損なう原因にもなり得ます。また、在庫があるはずなのに見つからないという事態は、出荷の遅れにつながることもあります。
さらに、在庫計上のミスにより在庫の差異が生じ、その原因を特定する作業に時間が取られることもあります。このように、入庫は次の工程をスムーズに進めるために非常に重要な作業となります。
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入荷とは?
「入荷」とは、製造業者や供給元から送られてきた商品を引き受けるプロセスを指し、このプロセスには「商品の引き取り」と「検品・確認作業」が含まれます。
商品を引き取る際、以下のような書類も一緒に受け取ることが一般的です。
項目 | 概要 |
---|---|
納品書 | 商品の内容について記載された書類で、自社で保管する |
受領書 | 商品を受け取ったことを承認する書類で、受け入れ側が受領して仕入先に送る |
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商品の受領後、検品・検収のプロセスを進め、品番、外観、数量などが注文どおりに届けられたかを確認します。商品に何の問題もなければ、検収書を作成し、それを仕入れ先へ送付することにより、入荷の作業は完了となります。
入荷の重要性
入荷プロセスは、届いた商品が正確であることを保証するための重要な作業です。例えば、入荷時の検収で商品の数をきちんと確認することにより、データ上の在庫と実際の在庫の差を防ぐことが可能となり、在庫の精度が高まります。
また、入荷時の検品で商品の傷や汚れをチェックすることにより、不良品を消費者に送るリスクを減らし、消費者の信頼を維持することにも貢献します。このように、正確な検品・検収が必要とされます。
入庫と入荷の違いとは?
入庫と「入荷」はよく混同される用語ですが、実際には以下のように異なる意味を持ちます。入庫とは、入荷した商品を保管し、在庫として記録する作業を指し、入荷した商品の後続工程として理解されます。
項目 | 概要 |
---|---|
入庫 | 入荷した商品を決められた場所に保管して在庫計上する作業(入荷の後工程) |
入荷 | メーカーなどの仕入先から届いた商品を受け取り、検品・検収する作業(入庫の前工程) |
入庫作業の問題点
入庫作業を適切に行わないと次の問題が発生します。
- 在庫差異が生じる
- 誤出荷が発生する
- 属人化しやすい
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在庫差異が生じる
入庫プロセスが不適切な場合、理論上の在庫と実際の在庫の間に「在庫差異」と呼ばれるギャップが生じます。この在庫差異があると、帳簿や在庫管理システムで正確な在庫数を確認できず、余剰在庫や品切れの原因になることがあります。
在庫の不一致は、入庫時の商品情報の誤入力や、決められた場所(ロケーション)以外に商品を保管し、見失うことなどが原因です。
このような在庫差異は人的ミスにより発生することが多く、入力ミスや入庫時のミスを減らすためのシステム構築が重要な課題となります。
誤出荷が発生する
適切に行われない入庫作業は、誤出荷のリスクを高めます。例えば、入庫時に誤って別の商品の場所に商品を置いてしまうと、出荷する際に間違った商品をピッキングするトラブルが生じる可能性があります。
誤出荷を避けるためには、品番だけではなくサイズや色なども確認し、正確な場所に商品を保管することで、取り違えによる誤出荷を防ぐことが可能です。
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属人化しやすい
入庫作業を担当するスタッフだけが商品の保管場所を知っていると、そのスタッフが不在になったり退職したりすると、入庫管理が行える人が不足し、作業の正確性が落ちる可能性があります。
さらに、スタッフによって異なる作業手順も個人依存の問題です。新人スタッフに対して、指導する人によって教え方が違うと、作業手順が不明確になり、入庫ミスのリスクが高まります。
個人に依存しない運用を実現するためには、すべてのスタッフが同じ手順で作業を行えるようなシステムの構築が必要です。
入庫作業を効率化する7つの方法
入庫作業の効率化を図るためには、以下の7つのアプローチが有効です。
- 倉庫の整理整頓をする
- 作業マニュアルを作る
- ロケーション管理を行う
- フリーロケーションを設ける
- 産業用ロボットを導入する
- 在庫管理システム(WMS)を導入する
- 3PLを導入する
倉庫の整理整頓をする
効率的な商品の入出庫を実現するためには、倉庫の整理と整頓が非常に重要です。商品の保管ルールや配置、作業用具の置き場所を事前に定めることで、作業時間を大幅に短縮できます。
例えば、倉庫の入口付近に人気商品を置くことで、その商品の入出庫作業時間を減らすことができます。また、頻繁に入出庫される商品の近くには台車やフォークリフトを配置し、作業の最短ルートを実現します。
整理整頓は誤出荷を防ぐ対策としても効果的です。各商品ごとに定められた保管場所と仕切りを設けることで、商品が混ざることなく、ピッキングのミスを減らすことができます。
作業マニュアルを作る
入庫作業を標準化することにより、スタッフ全員が同一の手順で作業を行えるようになります。これにより、全員が精確な手順で作業を行うことが可能となり、人的ミスの防止に役立ちます。スタッフの能力や経験に依存せず、一貫した品質で作業が行えることも大きな利点です。
新人スタッフにとっても理解しやすい方法で手順を記載すれば、作業の正しい理解が容易になり、教育のスピードも向上します。
ロケーション管理を行う
ロケーション管理とは、倉庫や棚などの収納スペースに番号を割り当てて管理する手法です。例えば、倉庫内の棚を列ごとにアルファベットで区分し、各棚の段ごとに数字を割り当てます。このようにすると、例えば「A列の3段目」は「A3」と表現され、「A3に商品を入庫してください」と指示することで、誰もが商品の保管場所を簡単に把握できます。
この方法により、全員が商品の保管場所を共有し、入庫先まで効率良くアクセスできるため、生産性が高まります。
フリーロケーションを設ける
ロケーション管理には、商品の保管場所を事前に指定する「固定ロケーション」と、保管場所を指定しない「フリーロケーション」の二種類があります。取り扱う商品に応じて、どの管理方法を選択するかが重要です。次のような場合には、フリーロケーションを利用することが推奨されます。
- 通常とは異なる商品を入荷する場合
- フォークリフトを使用するほど大きなサイズの商品を扱う場合
- トレンドや季節商品のように頻繁に入れ替わる商品を扱う場合
- 出荷量が少なくサイズが小さい商品を扱う場合
保管場所を事前に決めないことにより、商品を柔軟に配置し、保管スペースを効率的に活用することが可能になります。
産業用ロボットを導入する
大量の商品を扱う場合は、産業用ロボットの導入も一考の価値があります。これにより、入荷から入庫までのプロセスを自動化することが可能です。
例えば、入荷した商品を画像認識技術を用いたAIで自動的に外観検品することができます。検品済みの商品はアーム型の産業用ロボットや自動搬送ロボットが定められた保管場所へ運び、格納します。
産業用ロボットの利用により、人間の作業に比べてより効率的で速い入庫が実現可能となるほか、作業員の削減による人件費の削減や人手不足の問題も解決できます。ただし、導入には多大な時間とコストがかかることも考慮が必要です。
倉庫管理システム(WMS)を導入する
倉庫管理システムは倉庫内作業の効率化を図るためのシステムであり、このシステムの入庫管理機能を利用することで、商品が入庫された時間や保管場所を自動的に登録し、管理することができます。
このシステムの例として、ハンディターミナルを使用した入庫管理が挙げられます。倉庫内の各ロケーションに割り当てられたバーコードと商品のバーコードをハンディターミナルで読み取ることで、入庫情報をシステム上で管理する方法です。
商品のバーコードをスキャンすることで、商品の品番や在庫数を自動的にシステムに登録し、手動入力によるミスを減らすことができます。また、出荷時にもシステムを使って商品の保管場所をすぐに把握できるため、迅速な出荷が実現可能です。
興味があればご覧ください: 倉庫管理システム(WMS)とは?基本機能や導入メリットを解説
3PLを導入する
3PL、つまり「サード・パーティ・ロジスティクス」は、物流の専門業者である第三者企業に物流部門の業務を委託し、効率化を図るシステムです。物流業務を担当する第三者企業が「サード・パーティー」として機能します。
3PLの導入により、自社で物流業務を行う必要がなくなるため、作業工数を大幅に削減し、人手不足の問題解消や在庫管理費用の削減が可能になります。
さらに、効率的な物流業務を得意とする3PLを活用することで、リードタイムの短縮も実現できます。これにより、商品をより迅速に消費者に届けることができ、顧客満足度の向上に寄与します。入出庫管理や在庫管理などの物流業務をアウトソーシングしたい場合、3PLの利用を検討するのが良いでしょう。
興味があればご覧ください: 3PL(サードパーティー・ロジスティクス)とは?重要性やメリットを解説
まとめ:入庫は後工程に大きく関わる重要な業務
入庫とは商品を保管して在庫計上することであり、後工程に大きな影響が出ることから、適切な運用が求められていることが分かりました。
自社で入庫・入荷作業を効率良くかつ正確に運用することが難しい場合は、3PLの導入も検討してみてはいかがでしょうか。当社では物流業務をアウトソーシングいただくことで、入庫管理だけでなく消費者へ商品を正確かつスピーディーに届けるまでのリードタイムの削減などが可能です。ぜひお気軽にご相談ください。