ECにおける7つの物流課題!EC物流の仕組みから考える解決策5選

ECにおける7つの物流課題!EC物流の仕組みから考える解決策5選

EC事業の物流業務では、オペレーションが複雑化して、対策を講じないと円滑な運営に支障が出てしまいます。

特に、BtoC向けのECでは社内だけでは対応が難しいと感じられたら、外部の物流倉庫や発送代行サービスを活用するのも選択肢の1つです。

もちろん、委託すればEC物流の課題がすべて解決するとは限りません。自社対応したほうが効果的な場合もあります。本記事では、EC物流の課題や仕組み、自社でできる解決法をわかりやすく解説します。

ぜひ最後まで読み進めてください。

EC物流と市場規模

EC物流と市場規模

この章では、基本となるEC物流の特徴と、市場規模について説明します。

まずEC物流とは、ECでの注文処理や商品保管、出荷を担当する部署や企業のことです。

ECは、インターネットを使った商品やサービスの売買を指し、最近ではEコマースとも呼ばれます。

EC物流の特徴

一般的な物流と同様に、EC物流も注文客の元に商品を届けるまでの一連のプロセスを指します。ただし、BtoC(一般消費者向け)のEC物流には次のような特徴があげられます。

  • 個別対応(ラッピング包装やメッセージカードの同梱)がある
  • 受注件数は多いが品数は少ない
  • 配送日や配送時間に指定が多い
  • 納品先が日本中と広範囲

これらに対応するため、EC物流の現場のオペレーションは複雑化してしまい、効率を追求する際に課題となります。

EC市場規模

前述したEC物流の特徴への対応は、今後一層必要なものになります。
理由は、BtoC (一般消費者向け)のEC市場の伸びしろが大きいからです。

経済産業省が公開している数値では、BtoCでEC化しているのは全体の1割ほどです。つまり、EC化できる伸びしろが9割残っていることになります。

2024年9月25日に同省が公表したEC(電子商取引)に関する市場調査の数値を抜粋すると以下の通り。

項目数値
市場規模(前年比)約24.8兆円(9.23%増)
EC化率(前年比)9.38%(0.25ポイント増)

引用元:令和5年度電子商取引に関する市場調査

一方で、BtoB(法人向け)ではEC化率が40%となっています。このような状況からBtoC のEC物流の必要性と機能の充実がさらに求められるはずです。

対策としては、機械化できる作業を積極的に自動化して、マンパワーがいる部署に人員を集中配置するのが効果的な方法になるのではないでしょうか。

EC物流7つの課題

EC物流の7つの課題

BtoCのEC物流では、注文客からの多様なニーズだけでなく、EC運営者側の要望も組み合わさり、課題が非定型化・複雑化します。今回紹介する課題は以下の7つです。

  1. 個別対応で作業が複雑化
  2. 受注から出荷までのリードタイム最短化
  3. 急なキャンセル・返品・交換対応の増加
  4. 繁忙期と閑散期で業務量の違いが大きい
  5. BtoC向けは一度のミスで常連客を失う
  6. 保管スペースが継続的に必要
  7. 在庫管理と調整が複雑化する

それぞれ確認していきましょう。

個別対応で作業が複雑化

BtoC向けのEC物流では、各個人に商品を届けるため、顧客ごとに個別対応が求められることが多く、作業が複雑化します。例をあげると以下のとおり。

  • 複数商品の袋詰め
  • ギフト包装
  • メッセージカードの同封

この他に、差別化を図るためEC運営側が注文客に特別な対応をして、作業をさらに複雑化させてしまうケースもあります。

例えば以下のような内容です。

  • 初回購入の顧客にカタログやチラシを同梱
  • 特定の常連客に新商品の試供品を同梱
  • サプライズのバースデーカード

このように業務が複雑化して、担当する従業員の負荷が大きくなり、ミスも起きやすくなります。特に、システム化が十分でない現場では大きな負荷となり、新しいメンバーやアルバイトを教育する際にも課題となるのではないでしょうか。

受注から出荷までのリードタイム最短化

最近のECでは、リードタイム(受注から配達までの時間)の短縮が一層求められ、スピード感のある対応が当たり前になっています。そもそもECの利点は、24時間いつでも商品の販売ができることです。この利点の延長として、可能な限り早く商品が受け取れることが重要視されています。

そのため、大手ECモール(Amazonや楽天市場)では、当日出荷や翌日配達が当たり前になっています。しかも、配送までの時間の短さで商品購入を決めるユーザーも少なくありません。

この影響により、EC物流はリードタイムの最短化が必要となりました。具体的には、午前中の受注であれば、その日のうちに配送業者が荷物を渡せる体制です。

このようなリードタイムの最短化を実現するには、注文が入ったら出来るだけ迅速に梱包し、出荷できる体制がないといけません。

急なキャンセル・返品・交換対応の増加

BtoCがメインのECでは、注文客のキャンセルや変更、返品希望に対応しないといけません。ECの仕組みとして、現物を見ないで購入するため、キャンセルや返品は一定の割合で発生します。

特に、アパレルや化粧品を扱うECでは以下のような理由に対応する必要があります。

  • 色を変えたい
  • サイズを変更したい
  • 現物を見て返品したくなった
  • 他のECで安く買えた

加えて、交換や返品された商品を再販可能にするための検品作業にも多大な労力がかかるため、一定の人員を配置しないといけません。したがって、一般消費者との取引がメインのEC物流では、返品や交換対応に十分な体制が必要になります。

繁忙期と閑散期で業務量の違いが大きい

EC物流は、繁忙期と閑散期で出荷件数が大幅に変わり、業務負担も大きく異なるため、人員確保と配置が課題になります。特に、適切な人数を維持するのが難しいのではないでしょうか。人員が少ないと、繁忙期にマンパワーが不足して、増えた業務量でスタッフが疲弊し、ミスや出荷遅れが出やすくなります。

一方で、閑散期は少人数で処理できてしまう業務量だったりします。こうなると、繁忙期に対応できる人数を常に雇用するのは人件費が高くなり過ぎてしまうでしょう。そのため、業務量の大きく増えた時だけ、他部署や外部からスタッフを臨機応変に補充できる仕組みが必要です。

BtoC向けは一度のミスで常連客を失う

BtoC向けのEC物流では、一回のミスによる影響が大きく、企業に対する悪い印象を与えることもあります。例えば、誤った商品を梱包して、そのまま顧客の元に商品が届くとクレームとなって、自社の評価を大きく損なうでしょう。場合によっては長年の常連客を失うことも珍しくありません。

現在では、類似商品が多くあるため、わずかなミスが原因で他社に乗り換えられてしまう可能性もあります。特に、イベントや行事で贈答品になりやすい商品では、些細なミスが重大なクレームになるでしょう。そのため、ピッキングミスの防止や検品をして、何重にもチェックしないといけません。

また、入荷の際に棚入れミスが起きやすいため、デジタル化できないアナログ作業でミス発生を予防する仕組みも必要です。

保管スペースが継続的に必要

多くのEC事業では、売上を伸ばす際に商品数を増やす戦略を取るため、保管スペースの確保が課題となります。理由は、保管スペースを広げると、それだけ作業効率が低下するからです。加えて、賃料などの固定費も増えて利益率が低下します。
しかし、ECでは多品種小ロットで商品在庫を揃えることが多いため、どうしても広い保管スペースが必要です。特に、サイズ違い、色違いなど同じ商品で種類の多いアパレルや化粧品を扱う場合には、十分な保管スペースが確保できないとビジネスに支障をきたすでしょう。そのため、売れない商品から順次リストから無くすなど、保管スペースが広くなり過ぎない仕組みが必要です。

在庫管理と調整が複雑化する

上記で述べた多品種小ロットによる保管スペースの問題は、在庫管理も複雑にしてしまいます。理想の在庫は、注文に対して余剰と欠品がないことです。もちろん、このような在庫管理の実現はできないといえるでしょう。

しかし、在庫の余剰と欠品ができるだけ起きない管理が求められるため、専門的なノウハウやセンスが必要な業務になりつつあります。しかも、EC事業を拡大する際には商品数が多くなり、拡大するに従って在庫管理の複雑化に対処しないといけません。したがって、複雑化する在庫管理を適正化できる環境づくりが重要になってきます。

EC物流の仕組みと流れ

EC物流の仕組みと流れ

ECとEC物流の仕組みを図にすると、このようになります。EC物流の始まりは、ECサイト(Amazonや楽天市場など)でユーザーが商品を購入するところからです。決済が完了したら、受注情報がEC物流倉庫で処理され、注文された商品をピッキングします。その後、検品や梱包をして、佐川急便やヤマト運輸などの宅配業者に引き渡されます。最後に、宅配業者が商品を注文した顧客の自宅まで届けるという流れです。

この流れの中で物流課題は、ピッキング~出荷までの間で多く発生します。

物流の流れを詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。

物流の流れを図で紹介!押さえるべき物流の基本と業務フロー

EC物流の課題解決5選

EC物流の課題解決5選

EC物流の円滑な業務をするには、現状の把握が課題解決の第一歩です。そこから、効果的な解決方法を試行錯誤で見つけていくことになるでしょう。

この章では、主な課題への解決策を5つ解説します。

  1. オペレーションの見直し
  2. 流通加工に人材を集中させる
  3. システム同士の連携
  4. ロボットなど省人化の仕組みを導入
  5. EC物流の専門業者に外部委託

現在抱えている課題のヒントになる部分がないかご確認ください。

オペレーションの見直し

物流現場のオペレーションを分割し、シンプルにしましょう。まず、今の業務をリストアップし、改善点を検討します。

例えば、以下の内容が見直しできるのではないでしょうか。

  • 倉庫内のレイアウト
  • 動線
  • 人員配置

見直す際には、現場スタッフの意見も収集することで、管理者が気づかない点も発見できるはずです。

これにより、工数削減と効率化が図れます。また、作業を明確に分けることで更なる簡素化が可能です。

例えば、流通加工の有無で担当を次のように分けられます。

  • 流通加工なし → 経験の浅いスタッフや新人
  • 流通加工あり → ベテラン

このような方法でも現場では一定の効率化が期待できます。まずは一度オペレーションをリストアップして、簡単にできないか取り組んでみましょう。

流通加工に人材を集中させる

流通加工業務には、自動化が難しい作業が含まれ、多くの人手が必要です。
そこで、他の作業で省人化を推進し、人員を流通加工に集中配置できる環境整備をすることで対処が可能になるでしょう。同時に、流通加工作業の定量化、運用マニュアルの整備、教育体制の改善も行います。

例えば、スタッフごとにどんな作業ができるのか職能管理表を作成。

全員が複数業務を兼ねることができれば、繁忙期における負担軽減に効果的です。ミスの防止や物流品質の維持、向上に貢献するでしょう。加えて、残業時間を短縮することにつながれば、人件費の圧縮も可能です。

つまり、流通加工に人員を集中できる体制を整えられれば、EC物流全体の業務効率の向上が期待できます。

システム同士の連携

ECカート(ECサイトで商品を販売するための仕組み)と、WMS(倉庫管理システム)や在庫管理システムを連携させると在庫管理が容易になります。ECカートとは、ECサイト上でユーザーが商品の決済を完了させるための注文処理をするシステムです。このECカートと倉庫の在庫管理システムを連携すると、倉庫の実際の在庫がECサイト上の在庫と連動します。

つまり、在庫切れで商品が注文できるということが起きません。ECカートと倉庫での在庫数をリンクさせて、効率的な業務ができる土台を整えましょう。

ロボットなど省人化の仕組みを導入

ロボットを活用して、現場のオペレーションを自動化して課題を解決する方法もあります。自動化できる設備の例をあげると以下のとおり。

  • 自動梱包機
  • 自動ピッキングシステム
  • 自動搬送ロボット

これらを積極導入すれば、効率化や省人化が実現します。特に、チラシや試供品などの同梱物がない現場であれば、自動化するメリットは大きいです。ただし、ロボットで物流課題を解決する場合は、十分な資金がないといけません。

また、資金を投入した場合にどれくらいの期間で元が取れるのかも計算が必要です。

しかも、流通加工業務が多いEC物流では、そもそも自動化しても効果が薄い場合もあります。そのため、最初に述べたオペレーションの見直しの際に、定型化が容易であった場合には、自動化が検討すると効果的といえるでしょう。

EC物流の専門業者に外部委託

ここまでは、自社の物流体制の改善や、課題解決に効果的なものを解説してきました。この他にも、EC物流の業務を専門業者に外部委託する手段も効果的です。
ECで売上が順調に伸びていても、在庫不足や発送遅延が起きていては、リピーターの獲得や事業の継続は難しいでしょう。そこで、部分的でもEC物流を外部委託すれば、自社に設備や人員を変えることなく、業務遂行の底上げができます。

また、EC事業の規模に合わせて、柔軟に物流体制の拡大や縮小も可能です。つまり、EC物流代行サービスは、EC事業を拡大させる際に自由に後付けができる専門の物流倉庫といえるでしょう。

外注先の選び方について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

安心してEC業務を委託できる倉庫の選び方!EC物流倉庫の概要や費用・DC倉庫についても紹介

EC物流の課題解決につながる代行サービスを提供

EC物流で管理や課題解決に取り組んでおられる担当者様、物流課題に毎日どれくらいの時間や手間をかけられていますか?受注件数が少ないうちは、社内対応で十分かもしれません。しかし、受注件数が増えるにつれて、手間やコスト、本記事で解説した課題が大きな負担になります。また、倉庫代や人件費、設備などの費用は年々上昇しています。

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EC物流の課題は設備と体制で解決に近づく|まとめ

EC物流の課題を社内で解決する場合は、できるだけ省人化して、自動化できない業務に人員を集中配置することが効果的です。本記事ではEC物流の課題と解決方法について解説させていただきました。紹介した内容を参考に、社内の物流体制の整備を進め、手が足りないと感じたなら外部のEC物流代行サービスを活用してみてください。信頼できる物流倉庫やEC物流代行サービスを活用すれば、業務効率化と顧客満足度、両方の向上を実現できます。

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この記事の著者について

MOTOMURA物流編集部

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